コンサルの働き方とは。気になる残業やワークライフバランス、働き方改革
コンサルタントに対して、「昼夜問わない長時間労働」「休日出勤が頻発している」といったイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、2020年より本格的に施行された「働き方改革」により、コンサル業界も残業時間の削減やワークライフバランスを重視する動きが出てきています。
そこで本記事では、コンサル業界の基本的な働き方、残業やワークライフバランス・働き方改革への対応について解説します。
コンサル業界への転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
コンサルの働き方
コンサルの働き方として特徴的なのが、業務がプロジェクトベースで進む点です。
一般的な事業会社は、部門やチームに分かれ、人事異動がない限り同じ部門で通年勤務する方式です。
しかし、プロジェクトベースでの働き方を採用しているコンサル業界では、事業会社のような働き方・部門の編成はあまり見られません。
プロジェクトが決まると、その後プロジェクトごとのチームにアサインされます。
そのチームでクライアントから受注したプロジェクトが完遂するまで従事し、プロジェクトが終われば解散する形です。
プロジェクトチームでの一般的なフローは、以下の通りです。
順序 | フロー | 概要 |
1 | チームを編成する | ・営業が提案したコンサル案件が受注されると、チームのメンバー選定が行われる ・メンバーは内容やクライアント情報などをもとに決定される |
2 | クライアントの課題をヒアリングする | ・問題解決の仮説を組み立てるために、必要に応じてクライアント・社内外の関係者・ステークホルダー・専門家へのインタビューを行いデータを収集する |
3 | 課題を解決するための解決策を策定する | ・収集したデータをもとに仮説検証を十分に行った上で、最終的な課題解決案を策定する |
4 | 解決策を実行する | ・クライアント内で課題解決案が問題なく実行できるようにサポートする ・方向修正や改善も行いながらクライアントの成果が出るよう支援する |
5 | 実行結果を評価する | ・実行結果をクライアントからのフィードバックをもとに評価し、次回へつなげる |
プロジェクトベースの働き方では、プロジェクトごとで業務内容やメンバーが異なるため、新鮮な気持ちで取り組むことが可能です。
逆にいえば、支援内容やメンバーの変化に対応できる柔軟性が備わっていないと、プロジェクトベースで働くことに負担を感じる可能性があります。
コンサル業界における働き方改革
これまでコンサルは長時間にわたって仕事を行っており、激務とされていたことは否めません。
しかし、働き方改革の波はコンサル業界にも例外なく押し寄せており、働き方を改善しようとする企業が増えています。
ここでは、コンサル業界における働き方改革への対応を紹介します。
時間管理
コンサル業界全体での残業時間は月30時間程度であり、深夜残業が当たり前だった頃より大幅に短縮されています。
また、特定のメンバーに負荷が多くかかって長時間労働となることを避けるために、プロジェクトチーム内でタスク管理を行い、できるだけ均等にする動きが見られます。
ただ、均等にする調整を行ったとしても、繁忙期・プロジェクト内容などが原因で負荷が高くなる時期は避けられません。
各社で働き方改革を進めているとはいえ、クライアントワークであるからこそクライアントニーズを満たすためにハードになる期間があるようです。
多忙なタイミングではフレックスタイム制度を活用し、可能な限り長時間労働にならない工夫を行っている企業が多い傾向です。
勤務場所
コロナ禍で在宅勤務が普及したことにより、コンサル業界でも毎日の出社を強制している企業が減少しています。
最近では「週に1〜2日程度出社し、残り3〜4日在宅勤務」といったプロジェクトが多くなりました。
在宅勤務が増加したことで、「子育てや家族に割く時間も増えた」と感じるコンサルタントが増加している傾向があります。
また、クライアント先に常駐しないといけない案件も減り、通勤や移動にかかるコンサルタントの負担が軽減されています。
休暇
コンサル業界では、プロジェクトの合間は仕事がなくなるため、まとまった長期休暇が取れるのが特徴です。
なお、プロジェクト中も有給奨励日(GW前後、お盆休み、シルバーウイーク、年末年始など)が設けられているため休暇を取ることは可能です。
この有給も、時間単位で取得できるコンサルティングファームも増えており、休暇取得に対し前向きな姿勢が伺えます。
コンサルの働き方に関するよくある疑問
コンサルの働き方は、一般的な事業会社と異なる点があるため、不安や疑問に思う人がいるかもしれません。
ここでは、コンサルの働き方に対して寄せられる疑問と、その回答を紹介します。
コンサルは激務なのか
コンサル業界は、ほかの全業種と比較しても激務のカテゴリに入ることは否めません。
コンサルが激務となってしまう原因の一つが、産業形態が「労働集約型」である点です。
労働集約型とは、人材の知的労働力を収益の柱として事業を進めていくビジネスモデルのことを指します。
つまり、同業他社との競争は「人材の知的労働力の差」で決定します。
競争に打ち勝つためには、同業他社よりも案件を一つでも多く完遂させ、なおかつクオリティの高いものでなければなりません。
プロジェクトの期限を守って目標を達成するためには、労働時間が長くなりやすく、結果的にコンサルへの負担が大きくなってしまうのです。
ただ、労働集約型のビジネスモデル自体はすぐに変わるものではないものの、コンサルタントの負担を減らす努力を重ねている企業は増えています。
テレワークの拡大やフレックスタイムの採用によって、以前の激務とされる働き方から改善している企業も多々あります。
また、常にプロジェクトが忙しいわけではなく、比較的余裕が出る時期に1〜2週間ほどまとめて休暇を取る人もいるようです。
Up or Outの風潮はあるか
コンサル業界特有の風潮が「Up or Out」です。
Up or Outとは、直訳すると「昇進するか、もしくは退職するか」という意味です。
つまり、昇進できなければ退職を選ばざるを得ない風潮がコンサル業界にはあります。
コンサル業界は、ほかの業界に比べても昇進スピードが早い状況です。
そのため、数年で昇進できない場合は、仕事の幅が広がらず昇給も見込めないことを理由に、退職を選ぶ人が一定数存在します。
ただ、最近はキャリアの選択肢が多様化していることから、昇進の有無にかかわらず入社後数年で転職するケースが増えています。
企業側が離職を促すのではなく、自分の意志で別のコンサルティングファームへの転職、独立、起業などを選択する人が増加しているようです。
なぜコンサルは辞める人も多いのか
コンサル業界は、人材の出入りが激しい業界の一つです。
コンサルティングファームを辞める理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 年収・役職を上げるために別のファームへ転職したい
- コンサルで培った経験・スキルを活かし、事業会社で活躍したい
- ワークライフバランスを重視したい など
「コンサルでの経験を活かして、次のフィールドでさらなる成果を出したい」といった理由が多く見られます。
ただ、近年は業界全体として転職・キャリアチェンジをすることが当たり前な風潮となっています。
そのため、コンサル業界が突出して離職率が高いというわけではありません。
コンサル業界は激務だと思われる方も多いかもしれませんが、それはクライアントワークであるからこそ、クライアントのニーズを満たすために一時的にハードな期間もあるということです。
つまり、クライアントの要望に応えるという観点で繁忙期があるのは、コンサルもそのほかの業界も同様です。
コンサル各社の働き方改善の事例
コンサル各社では、働き方を改善するためにさまざまな施策を実行しています。
ここでは、その事例について紹介します。
PwCコンサルティング
PwCコンサルティングは、外資系ファームの一翼を担う大手コンサルティングファームです。
PwCコンサルティングでは、リモートワーク・フレックスタイム制度・フリーアドレスなどが利用でき、社員が働きやすい環境を整えています。
また、独自の働き方改善に関する施策もあり、代表的なものは以下の通りです。
福利厚生・ライフサポートの名称 | 概要 |
FWA制度 | ・閑散期に短時間勤務、短日勤務(週あたりの出勤日を3〜4日に減らす)や3ヵ月間の休職ができる |
社外健康サポート | ・被保険者本人とその家族は、24時間・365日、電話で健康についての相談ができる ・万が一重篤な病気と診断されたときは、優秀な専門医を案内するベストドクターズ®サービスを利用できる |
参考:福利厚生・ライフサポート | PwC Japanグループ
プロジェクトが手薄になる閑散期に短時間勤務や休職も可能なFWA制度があり、社員のワークライフバランスに気を払う姿勢が伺えます。
ベイカレント コンサルティング
ベイカレント・コンサルティングは外資系大手総合型コンサルティングファームであり、働き方改革に対しても積極的です。
健康経営優良法人「ホワイト500」に3年連続で選出され、子育てサポート企業「くるみん」などにも認定されています。
各団体・機関などから表彰されている取り組みは、以下の通りです。
取り組み | 詳細 |
長時間労働の抑制 | ・2022年度の月平均残業時間は21時間 ・全社員に対し長時間労働への注意喚起や有給休暇取得を推奨している |
子育て・介護支援制度の整備 | ・2022年度の産休・育休の取得率は、男性61.4%、女性100% ・育休が取りやすい環境作りに努めている |
シックリーブ(病気休暇)制度の導入 | ・体調不良時に利用できる休暇制度を有給休暇とは別に採用している |
参考:健康経営優良法人 2023(大規模法人部門 ホワイト 500)に本年も継続して選定されました
長時間労働の抑制に加え、子育て・介護・病気に対する休暇制度も充実している点が、ベイカレント・コンサルティングの特徴です。
デロイト トーマツ コンサルティング
デロイト トーマツ コンサルティングは、外資系大手総合型コンサルティングファームとして、国内でも有数のファームです。
激務のイメージが根強いコンサル業界を変えるべく、時間にとらわれない自分らしい働き方を実現するための施策を実行しています。
主な働き方改善に関する施策は、以下の通りです。
施策 | 詳細 |
健康管理 | 健康診断・健康相談・保険制度の充実など、従業員の健康管理を支援している |
休暇制度 | 年次有給休暇や慶弔休暇のほか、子育て休暇や育児休業、介護休業など、多様な休暇制度を導入している |
フレックス制度 | 勤務時間や勤務形態を柔軟に調整できるフレックス制度を導入している |
インフラストラクチャー | 社内の設備やツールの整備にも力を入れ、従業員が快適で働きやすい環境を整備している |
健康管理からフレックス制度に至るまで、多角的に働き方改革に対応することで、激務といわれるコンサル業界に一石を投じる姿勢が伺えます。
コンサル業界の評価制度
コンサル業界の評価制度で特徴的なのが、社内に「カウンセラー」と呼ばれるポジションが配置されている点です。
カウンセラーは、プロジェクトへのアサイン状況について相談に乗ってくれたり、目標設定や評価、フィードバックについてもコンサルタントと一緒に行ってくれたりします。
コンサルタントにとってカウンセラーは、業務について相談できる頼もしい存在です。
ただ、カウンセラーとの関係性や自身を評価する職種の役割については、事前に理解しておく必要があります。
評価の流れとしては、以下の通りです。
- カウンセラーがPM(プロジェクトマネージャー)にコンサルタント本人の様子についてヒアリング
- ヒアリングを基にコンサルタントへフィードバック
- 評価会議に出席し、コンサルタントの評価を決定
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ASSIGN
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