SIerの年収は本当に低い?日本と比べた年収水準と年収を上げる方法を紹介
SIer業界への転職は、多くのエンジニアにとって魅力的なキャリアパスの一つである。日本のIT市場において重要な役割を果たすSIer企業は、安定した需要と高い年収水準、そして幅広い技術経験を積める環境を提供している。本記事では、SIer業界の現状と将来性、転職のメリットとデメリット、そして成功するための具体的な戦略について詳しく解説する。
Contents
SIer業界の現状と将来性
年収水準
SIerの年収水準は、一般的に400万円から700万円程度(※1)である。ただし、この水準は企業規模や業務内容によって大きく異なる。プライムSIerと呼ばれる大手企業では、さらに高い年収を期待できる。特に、高度な管理能力や優れた技術力を持つ人材の年収は、一般的なSIerの平均を大きく上回ることが多い。
将来性
SIer業界は今後も成長の余地が大きいと考えられている。その背景には「デジタル化」「DXの進展」がある。
特にAI、IoT、クラウド関連の分野での需要が高まっている。これらの分野に強みを持つSIerは、今後さらなる成長が期待できる。
SIerで働くメリットとデメリット
メリット
- 安定した需要と将来性
- 多様なプロジェクト経験
- 最新技術への接触機会
SIerでは、さまざまな業界や規模の企業のプロジェクトに携わることができる。(下記に具体的なプロジェクトの事例を記載。)これにより、幅広い経験を積むことが可能となり、エンジニアとしてのスキルアップにつながる。また、大手SIerには研究開発部門が存在することも多く、最先端の技術やシステムに触れる機会が豊富である。
例えば、SIerには以下のようなサービスがある。
NTTデータの生成AIサービスの事例(※2)
保険業界大手の保険金支払業務における顧客説明資料をAIで自動生成
→保険金支払業務における損害確認の結果ご説明時に、お客様に対して保険金お支払内容のご説明資料を作成するケースがある。この業務の一部を自動化することで、レポート品質担保・担当者の資料作成負荷を軽減したいというニーズの解消に繋がった。
デメリット
- 特定業界への特化
- 長時間労働の可能性
一部のSIerでは、特定の業界に特化した組織構造を持っている場合があり、幅広い経験を積むことが難しくなる可能性がある。また、プロジェクトの納期が近づくと長時間労働が発生しやすい傾向がある。大規模なプロジェクトでは、複雑な要件や多数の関係者との調整が必要となり、プロジェクト管理の難しさに直面することがある。
SIer業界への転職方法
転職成功のポイント
- 明確な志望動機の準備
- 実務経験のアピール
- 転職エージェントの活用
志望動機を明確にし、自身の経験やスキルを具体的な成果や貢献度を交えてアピールできるよう準備することが重要である。また、転職エージェントを利用することで、効率的に情報収集や企業選び・選考対策を行うことができる。
キャリアアップ・年収アップに必要なスキル
SIer業界でキャリアアップ・年収アップに必要なスキルは「プロジェクトマネジメント能力」と「技術力」である。
プロジェクトマネジメント能力
→自分で手を動かして何かを作っていく機会は減り、顧客と接点を持っていく能力やプロジェクトが円滑に進むためにマネジメントできる能力のことで、プロジェクトマネジメント能力が身に付くと、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーを経験することができ、年収アップが期待できる。
Q. なぜ、プロジェクトマネージャー(PM)になると年収がアップするのか?
- プロジェクトの進捗を管理できる
- プロジェクトの進行の意思決定権を所持している
PMはプロジェクトが順調に進んでいるかを常に把握し、進捗の状況に応じて、手を打つことが必要となる。
例えば、プロジェクトの納期が実際よりも遅れている場合には、タスクそのものを減らしたり、タスクの工数(質)を下げたり、プロジェクト要員を増やしたり、納期を後ろにしてもらったりするなど、取りうる打ち手のどれを実行し、どの順番で実行すればよいのかを意思決定する権利を持つ。
プロジェクトマネージャー(PM)の年収は?|仕事内容と年収アップのポイントを解説|
技術力
→特定のプログラミング言語や技術スタックに精通しているだけでなく、それを応用して高度な設計や開発ができる力や、複雑なシステムの全体像を理解した上で最適なアーキテクチャをデザインできる能力といったスキルである。
例えば、分散システムやマイクロサービスアーキテクチャに対する理解、DB設計、NW設計なども含まれる。
SIerのキャリアパス事例
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトの企画から計画の立案、人材や費用の確保、進捗の管理などを行う。
プロジェクトマネジメントの目的は、以下の3つであり、PMはこの目的を達成できるようにマネジメントしていく必要がある。
- ゴールの明確化
「何のためにやっているのか・結果がどうなればよいか」を明確に提示する
- リソースの最適化
プロジェクトに関係する予算・メンバーを最適に配分して、タスクに偏りがない状態を目指す
- チームビルディング
各メンバーの動向を把握して、協力できる体制を整える
技術の専門職
クラウドやセキュリティ・アプリケーションの中でもモダンな技術を磨いていき、自分が開発者だったり、技術のスペシャリストとしてその案件に入って実際に手を動かしたりする職種。
IT業界の転職市場は、2024年も引き続き活況が予想される。特に、以下のような技術・言語のスキルを持つエンジニアの需要は高い。
- AI・機械学習開発のためのPython
- Webアプリケーション開発のためのJavaScript(TypeScript)
- サーバーサイド開発のためのJava、PHP
- モバイルアプリ開発のためのSwift(iOS)、Kotlin(Android)
- 大規模システム開発のためのGo言語
企業のDX推進やWeb3、メタバース関連の開発案件の増加により、これらの分野で使われる言語のスキルを持つエンジニアが優遇される傾向にある。
また、言語だけでなく、以下のようなスキルセットも転職市場で高く評価されている。
- クラウドサービス(AWS、GCPなど)の知見
- DevOpsの実践経験
- アジャイル開発の経験
2024年のIT転職市場は、コロナ禍で加速したデジタル化の流れを受けて、さらなる拡大が見込まれている。エンジニアがキャリアアップするためには、技術トレンドを押さえ、自身のスキルセットを磨くことが重要である。
結局何を学べば良い?Tech人材のキャリアプランと必要スキル
ラインマネジメント
表立ってプロジェクトに参入していくのではなく、
- 部署単位の人材の管理
- お金の管理
など完全に管理職に回っていくキャリアパスも存在する。
<ラインマネジメントに向いている人の特徴>
現場のプロジェクトで成果を出すことよりも、組織としてどう売上を伸ばしていくのかに興味と適性がある
<どういう企業で求められているポジションなのか>
- ほとんどのSIer企業で求められる
- PM兼管理職という形で兼任されている方も存在する
SIerの転職事例
実際の転職事例
大手通信会社にてクライアントのインテグレーション
→ コンサルティングファームのユーザー子会社のSIer
この方は前職が通信会社であったが、ネットワーク以外の領域にも担当することになり、よりネットワーク分野に特化したSIerに進みたいという思いから転職を決意された。
またプロジェクトマネジメントスキル・ネットワークの資格もかなり取られていたため、即戦力として、かつ前職から250万円もの年収アップでスペシャリストとしての採用となった。
その他の転職事例
大手損害保険会社にて商社業界をカウンターパートに外航貨物保険や賠償責任保険等の提案営業
→ 大手SIer企業への転職を決意
前職が保険業界での営業職だったが、そこで得た知見を業務に直接活かすことができる環境であると確認し、SIer企業への転職を意思決定。
現在は業界共通システム構築の案件に携わり、企画部分や上流工程部分を中心に担当。顧客の課題整理からtoBの策定、実現可能性の検討などをプロジェクトメンバーとして進めている。
IT知見については必死にキャッチアップを行い、具体的な運用や幅広い提案ができるように勉強に励んでいる。
この方が今後のキャリアで目指すこと
上流工程以下の部分まで担当できる業務を広げ、システム開発業務で経験を積んでいくこと。保険業界での経験と語学力の強みを生かして、日本の保険業界のさらなる発展にフィードバックするような取り組みをしていくことを目指している。
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SIer転職に関するQ&A
- 未経験からSIer企業に転職することは可能であるのか。
- 結論、第二新卒の採用枠がある企業は未経験からでも転職できる可能性がある。しかし、それ以外は基本的には厳しい現状があり、未経験を歓迎している企業や金融や官公庁など業務専門性が高い方を稀に採用しているケースもある。
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※1)経済産業省『我が国におけるIT人材の動向』より引用。
※2)NTTデータ『生成AI(Generative AI) | NTTデータ』より引用。
まとめ
SIer業界は今後も需要が伸び続け、キャリアの可能性が豊富な分野である。年収水準も日本の平均を上回り、特にプロジェクトマネージャーや高度な技術を持つエンジニアは高収入が期待できる。ただし、企業や業務内容によって経験の幅や労働環境に差があるため、自身のキャリアプランに合った選択が重要である。中長期的なキャリアプランを見据え、専門家のアドバイスを受けながら、自身に最適なSIer企業を選択することが成功への近道となるだろう。
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