ストレングスファインダーの資質「共感性」の強み・弱みとは。仕事への活かし方
ストレングスファインダーは、4領域から34の資質に分類された資質のうち、該当するものを示してくれる自己診断ツールです。
以前までの正式名称は「クリフトンストレングス・ファインダー」でしたが、現在では「クリフトンストレングス」にリブランドされています。
分類される34の資質のなかには、「共感性」と呼ばれるものがあります。
共感性は、特に人間関係・コミュニケーションの場面でさまざまな強みを発揮するのが特徴です。
一方で、共感性を保持するあまり弱みとして作用してしまう場面もあります。
そこで本記事では、共感性の強み・弱み、仕事への活かし方を解説します。
ストレングスファインダーで共感性の資質があると判明した人はもちろん、ストレングスファインダーの資質に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
ストレングスファインダーにおける共感性とは
共感性は、4領域のうち「人間関係構築力」に分類される資質であり、他人の感情や立場に共感し理解する能力です。
共感性が高い人は、自分の経験・感情を軸に相手の感情を理解・共感した上で、人々との信頼関係を築くことが得意です。
また、特に共感性が高い人は、常に無意識で相手の感情を読み取ろうと動きます。
そのため、相手がネガティブな感情にならないよう、先回りして以下の行動を取ることがあります。
- 食事の際に、率先して水が少なくなっている友人のコップに水を注ぐ
- 体調が悪そうな部下に早退を促す
- 夕方に急に雨が降ったので、駅まで車で家族を迎えに行く など
日頃から上記のような行動を取り、第三者から「気が効く」と評価される人は、共感性が高いと考えられます。
共感性がある人の強み
共感性がある人の強みは以下の2点です。
- 相手の感情を察知し、よい信頼関係を築ける
- 協調性がある
相手の感情を察知し、よい信頼関係を築ける
共感性の資質を持つ人は、他人の感情を自分のことのように理解できるのが特徴です。
相手の立場や感情に寄り添い、自分の立場に置き換えて考えられます。
相手のことを自分ごととして捉えることで、相手の微細な変化や言語化されていない潜在的な感情にも気づけます。
また、共感性の高い人は人間が抱くさまざまな感情を尊重して寄り添うため、他人との信頼関係の構築が得意です。
他人の感情を否定するような発言・行動を取らないので、他社から信頼感を得られやすい傾向があります。
協調性がある
共感性がある人は、相手の視点や感情を理解した上で、そのシチュエーションに応じた適切な言葉で対話できます。
共感性がある人は、組織内で以下の行動を取ることが多々あります。
- 部下が抱いている懸念点について、要点を押さえつつ柔らかに上司に伝える
- ミーティングの場で発言しやすいような雰囲気作りに勤しむ
- チームメンバーの考え方・希望を考慮して役割分担を行う など
これらの振る舞いを自然と行い、コミュニケーションを円滑に進めるため、共同作業やチームプレーにおいて優れた協調性を発揮します。
また、相手を肯定的に承認し組織活性化の下支えをするので、周囲からの評価も高いのが特徴です。
共感性がある人の弱み
共感性がある人の弱みは以下の通りです。
- 過度に感情移入してしまい、ストレスを感じやすい
- 自分の考えや意見がブレやすい
- 他人の期待に応えすぎる
過度に感情移入してしまい、ストレスを感じやすい
共感性がある人は、感受性が強いばかりに、自分の周りにいる人の感情や場の雰囲気によって、自分の感情も左右される傾向があります。
また、周囲の人々や環境によって、自分の本音・感情を抑え込んでしまい、それがストレスになることも多々あります。
感受性が高い分、悲惨な事件・災害のニュースを目にするといたたまれない気持ちが強くなり、気分を塞ぎ込みがちです。
過度に感情移入し、ストレスを感じることを防ぐには、他人の感情と自分自身の感情との距離感・バランスを保つことが大切です。
「自分は自分、相手は相手」と認識して適切な距離感を保てれば、ストレスが軽減され心身の健康を保てます。
自分の考えや意見がブレやすい
共感性がある人は他人の意見や感情を尊重するので、自分の意見を主張するのが苦手です。
例えば、ミーティングで「これを言ったら相手が不快な気持ちになるかも」「反対の意見だから言わないほうがよい」などの考えが先行し、本心とは異なる意見にも同意してしまうことがあります。
確かに、自分の主張をしながら相手を尊重する姿勢を示すことは簡単ではありません。
ただ、自分の感情を蔑ろにしすぎないためにも、他人の感情に向きすぎることなく、自分の感情や意見へ意識を向けて考えることが重要です。
他人の期待に応えすぎる
共感性の人は他人の期待に応えようとするあまり、過度に頑張りすぎて自分を犠牲にする傾向があります。
共感性は非言語的コミュニケーションにおいても発揮される資質であり、相手の様子を伺うだけで何を求めているかに勘づくこともできます。
それゆえに「相手がはっきりと表明していない範囲まで先回りして動く」という慣習が染み付いていることがあるようです。
他人の期待に応えられる人は周囲から信頼・評価されやすいですが、一方で自分自身が疲弊する原因にもなりかねません。
そのため、他人の期待に応えられる自分の限界を理解し、無理のない範囲で対応することが大切です。
ストレングスファインダーの共感性の活かし方
共感性の強みを最大限に活かすためには、以下の3点を押さえておくことが大切です。
- 信頼関係構築力を磨く
- 「誰かのため」になるプロジェクトや仕事を担う
- 感情をコントロールするスキルを身につける
信頼関係構築力を磨く
共感性の「相手の感情や立場を理解し、適切な言葉で対話できる」という特性を活かすために信頼関係構築力を磨くと、周りの人とよりよい関係性を築けるようになります。
ビジネスにおいて、信頼関係構築力は非常に有益です。
信頼関係構築力は、社内の同僚・上司のみならず、社外のクライアント・ステークホルダーに対しても有効に働きます。
例えば、顧客への営業活動や商談で信頼関係構築力を発揮すれば、営業成果も出しやすくなるはずです。
また、社内業務をメンバーと連携しながら円滑に進めていく上でも、信頼関係構築力が重要な役割を果たします。
このように共感性がある人は、信頼関係構築力を掛け合わせることでさらに強みを発揮しやすくなります。
「誰かのため」になるプロジェクトや仕事を担う
共感性を持つ人は、仕事の目標を「誰かのためになり、誰かを喜ばせること」に設定すると、目の前の仕事にやりがい・意義を見つけやすくなります。
共感性は、他人の感情・気持ちに寄り添う特性であるため、誰かのためになる物事に対してモチベーションや意欲を抱く傾向です。
顧客や患者などと直接関わるような職業に就くと、やりがいを感じながら勤務できる可能性が高まります。
感情をコントロールするスキルを身につける
共感性がある人は、他人の感情を感じ取りすぎてしまうのが弱みです。
そのため、自身の感情をコントロールしがたい局面に陥る可能性があります。
特に以下のシチュエーションでは、自身もネガティブな感情を抱くことがあります。
- 上司が同僚に説教をしている
- 電車内での喧嘩に居合わせる
- 事故・災害のニュースを見る など
上記のシチュエーションは、遭遇するのを避けようとしても難しいものです。
そのため、まずは自分をネガティブな感情から守り、感情をコントロールする意識を持っておくことが肝要です。
共感性を持つ人は、感受性が高いあまりにその場の空気に飲み込まれやすいので、少し引いた位置で自分を客観視するようにしてください。
共感性を持つ人との関わり方
共感性を持つ人と関わる場合は、コミュニケーションを明確にして、自分の感情をわかりやすく率直に伝えることが大切です。
共感性を持つ人は感情を豊かに表現するため、自分の気持ちを率直に伝えることで相手との意思疎通がしやすくなります。
万が一こちらの意図・感情が間違って共感性を持つ人に伝わると、あらぬ心配・気遣いをさせてしまう恐れもあります。
不要な心配・気遣いをさせないためにも、わかりやすい率直なコミュニケーションが重要です。
さらに、共感性を持つ人と信頼関係を深めるには、以下の方法が効果的です。
- 積極的に感謝の意を示す
- 相手の気持ちに共感する
- 悩みを聞く など
特に、共感性を持つ人は自分の本心を話せないことがあるため、話しやすい雰囲気を作って聞く姿勢を取れれば、より信頼関係が深まるはずです。
共感性を持つ人が向いている職種や役目
共感性が活かせる職種・役目は以下の通りです。
- 社会福祉士・介護職
- カウンセラー・セラピスト
- 教育者・コーチ
- キャリアコンサルタント
- 接客・カスタマーサービス
社会福祉士・介護職
社会福祉士・介護職は、さまざまな問題を抱えた人を制度的・身体的・精神的にサポートする職種です。
社会福祉士では、支援対象の人々の境遇・状況を的確に理解し、必要な支援を提案・提供することが求められます。
また介護職では、自身の感情・希望をうまく伝えられない人に対して、耳を傾けることが必要です。
共感性を持つ人は他者の想いを汲み取って行動できるので、社会福祉士・介護職に向いているといえます。
カウンセラー・セラピスト
相談者に寄り添うカウンセラー・セラピストは、共感性を持つ人の強みを発揮しやすい職種です。
カウンセラー・セラピストは、相談者の悩みを直接的に解決することもあれば、心身のつらさを少しでも和らげるために親身に寄り添うこともあります。
いずれの場合でも共感性を持つ人なら、相手との信頼関係を築きやすく、相談者も安心感を持って相談できます。
教育者・コーチ
教師・塾講師などの教育者や、各種スポーツのコーチは、一人ひとりの適性・才能を理解してそれに即した指導を行うことが求められます。
また、一人ひとりの学習・練習に対する感情面の揺れ動きも把握して、最適な対応を取ることも必要です。
共感性を持つ人は、一人ひとりの感情に寄り添い、各々のニーズや悩みに合わせた指導を行えます。
そのため、生徒・受講生からの信頼を獲得しやすく、人材としても重宝される傾向です。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、求職者や相談者の立場や悩み、価値観を理解し、適切なキャリアサポートを提供する職種です。
キャリアに対しては、「今後自分がどのようなキャリアを積んでいけばよいかわからない」「そもそも何を目標にすればよいかわからない」といった悩みを抱いている人もいます。
曖昧で方向性が定まっていない段階の求職者・相談者には、「このようなキャリアプランはどうですか」といった的確かつ具体的な提案をするのが重要です。
この提案が得意なのが、共感性を持つ人です。
共感性を持つ人は、求職者・相談者の悩みや不安を読み取り、的確なアドバイスができるため、キャリアコンサルタントは適職といえます。
接客・カスタマーサービス
お客様とのコミュニケーションが重要である接客・カスタマーサービスは、共感性を活かしやすい職種です。
共感性を持つ人は顧客の気持ちやニーズを理解し、求める商品・サービスを判断して、適切な対応ができます。
また、商品・サービスを通じた具体的な解決策も提示できる人材であれば、顧客からだけではなく、社内からの信頼も獲得できるはずです。
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