異業種転職は何歳まで可能か。転職しやすい業種・職種や年齢別の対策を解説
異業種への転職を目指すにあたって、自分の年齢を気にしている人も少なくありません。
一般的に異業種への転職は、年齢が上がるほど難しくなるといわれています。
しかし、決して年齢が上がるからといって異業種転職が不可能であるとは限りません。
近年は、年齢を問わず異業種へ転職する人が増加傾向にあり、「異業種転職ができるのは何歳まで」などとは一概に断定できなくなってきました。
しかし、人材の年齢ごとに求められるスキルや期待されるポジションが異なるのは事実です。
自分の年齢を踏まえて、正しい対策を行い転職活動を進める必要があります。
本記事では、異業種転職ができる年齢や年代別での異業種転職のポイント、転職しやすい業種・職種を紹介します。
本記事を通して、異業種の転職を成功させる上での正しい知識と対策を把握してください。
異業種転職ができるのは何歳までなのか
まずは、異業種転職は何歳まで可能なのか、年齢制限があるのかを解説します。
「〇歳まで」という上限年齢はない
異業種転職では「何歳まで」という上限年齢は存在しません。
以前までは、「転職できるのは29歳まで」や「35歳の壁」という言葉が出回ることがありましたが、現在はその傾向はなくなりつつあります。
年功序列や終身雇用の崩壊によって転職市場にも変化があり、年齢を重視する傾向が弱くなっているのです。
実際に30代後半、40代、50代から転職活動を始める人も増加しており、30代以上で異業種への転職に成功した事例も多くあります。
こういった傾向から、年齢を理由に異業種転職を諦める必要はないといえます。
若手のほうが採用確率が高い
40、50代で異業種転職を成功させた人はもちろんいますが、異業種転職を成功させた全体人数から判断すると、やはり若手の20代のほうが採用確率が高い傾向にあります。
以下のグラフは、dodaエージェントサービスを利用して異業種転職した約30,000人の年齢分布です。
引用元:異業種転職の実態調査|doda
※今回調査:2020年7月〜2021年6月、前回調査:2019年7月~2020年6月
上記の分布を見ると、異業種転職をした人が最も多い年代は25〜29歳で、次に多いのが30〜34歳です。
これらのデータから、やはり若手人材の異業種転職が多いことがわかります。
この理由としては、20代の人材は若さやポテンシャルという武器で、比較的どの業種でも転職しやすい点が挙げられます。
年齢が上がるにつれて、スキルや経験が総合的に判断され「いかに会社の即戦力となれるか」といった観点が優先されるようになるのです。
近年は30代後半やそれ以上の年齢での転職も増えつつあるものの、若手採用を重視する企業も多いという事実を把握しておく必要があります。
異業種転職は年齢より「スキル・経験」が重要
異業種転職では、年齢よりも本人が持ち合わせている「スキル・経験」が重視される傾向にあります。
採用企業は、未経験者を採用する場合でもできるだけ職に活かせるスキル・経験のある人材を採用したいと考えるものです。
年齢にかかわらず応募先企業に活かせるスキルや実績があれば、採用確率は一層高まります。
異業種への転職では、前職との関連性や異業種でも活かせるポータブルスキルをアピールするのが効果的です。
【年代別】異業種転職のポイント
異業種転職では「何歳まででないと転職できない」などのルールはありません。
しかし、年齢ごとに問われるスキルや経験、期待されるポジションが異なります。
自分の年齢を踏まえた転職活動をすると、より採用確率も高まるため、その傾向を把握しておく必要があるのです。
ここからは、以下4つの年代に分けて異業種転職のポイントを解説します。
- 20代前半
- 20代後半
- 30代
- 40代以上
20代前半
20代前半は、いわゆる第二新卒と呼ばれる世代です。
20代前半の採用は、本人が持つスキルや経験ではなく、将来性や意欲が評価されるポテンシャル採用が多い傾向です。
会社側としても、20代前半の人材は社会人経験が3年弱しかないため、専門的なスキルは持ち合わせていないだろうと予測しています。
しかし、新卒人材と比べて最低限のマナーが身についているため教育の手間もかからず、かつ若手として吸収力や順応力が期待できると判断されます。
この点からも、20代前半・第二新卒の人は企業側にとっても需要の高い世代です。
20代前半の転職では、まず「転職先に入社したい」という気持ちを熱意を持って伝えることを重視してください。
ただし、20代前半の人材は前職を数年で辞めていることもあり、企業側は「またすぐに辞めてしまうのではないか」「一時的な憧れで異業種転職をしたいのでは」と不安を感じるケースも少なくありません。
こういった不安を解消するためにも、「なぜ異業種に転職したいか」を明確にした上で、長期的に貢献したい趣旨をアピールするようにしてください。
20代後半
20代後半になると、20代前半とは異なり、ある程度の経験やスキルを持つ人材として扱われます。
企業側にとっては1社目で一定の社会人経験がありつつも、30、40代と比較して特定の業界・企業の文化に染まっていないため採用ニーズが高い傾向にあります。
20代後半の人材は、会社の業務やプロジェクトを中心となって動かすリーダーや、将来的に幹部職として期待されます。
そのため転職活動では、前職で培ったスキルや経験はもちろん、部下を指揮する、またはプロジェクトを動かした経験があれば積極的にアピールするようにしてください。
20代前半よりもスキルや経験、実績が問われることを念頭に置いた上で転職活動を進めることが大切です。
30代
30代の人材は、企業・組織の中心となって動かしていく世代です。
そのため「いかに即戦力として会社に貢献してくれるか」が重視される傾向にあります。
異業種であっても関連のある経験や実績をアピールし、転職先の会社に自分がどう役立てるかを論理的に説明する必要があります。
さらに、30代以上になると新人の教育担当やチームの管理を任されたり、将来的に管理職として期待されたりするケースが多いため、マネジメント能力が問われる傾向です。
専門スキルに加えて、リーダーとしてチーム・プロジェクトを率いていく意欲や、前職でのマネジメント経験を積極的にアピールするのが望ましいです。
40代以上
40代以上では、管理職の募集が一般的です。
十分な実績・マネジメントスキルを備えている場合は、異業種の管理職への転職であっても歓迎される可能性が高いです。
ただし、40代以上の募集はほかの年代と比べると数が少なく、限られてしまう傾向があります。
未経験分野だと年収が下がることも多く、初めは待遇が前職より落ちてしまう可能性を覚悟しておく必要があります。
また、ほかの世代と比べ求められるスキルレベルが高く、いわゆる「ベテラン」としての扱いを受ける覚悟も必要です。
単なる個人の専門スキルだけではなく、チームやプロジェクト単位で成果を上げた経験や、人材育成の経験が求められる傾向にあります。
そのため、プロジェクトマネジメント、チームマネジメント経験を積極的にアピールし、組織に貢献できる趣旨を伝える必要があります。
異業種からでも転職しやすい業種
転職のしやすさは、業種によって異なります。
異業種からでも比較的転職しやすい業種は、以下の通りです。
- IT・Web業界
- メーカー
- 小売業界
- 医療・福祉領域
IT・Web業界
IT・Web業界は、業種未経験でも応募可能な求人が多い傾向にあります。
なかでもソフトウェア構築・運用を行う「情報サービス業」や、Webサイト運営・管理やコンテンツ制作を行う「Web系サービス業」は未経験歓迎とする求人が増えています。
これらの背景には、インターネット業界の急速な成長に伴う慢性的な人手不足が挙げられます。
経済産業省が発表した「IT 人材需給に関する調査」によると、2030年までに少なくとも約16万人のIT人材が不足すると想定されています。
IT・Web関連の企業はもちろん、自社でIT化を進めるあらゆる業界の企業でも、IT人材の採用に積極的な企業が増加している傾向にあります。
ITエンジニアやプログラマーなど専門スキルが必要となる職種も多いですが、職務経験がなくてもスキルを証明できれば応募できる求人もあります。
IT・Web業界は今後さらに成長すると予測されるので、将来性を踏まえて需要の高い職種へ挑戦するのもおすすめです。
メーカー
メーカー(製造業)は、作業工程がマニュアル化されている企業が多いため、業種未経験からでも転職しやすい傾向があります。
初めは専門的な知識や技術を持っていなくても、比較的スムーズに仕事に慣れることが可能です。
一口にメーカーといっても、以下のようにさまざまな種類があります。
- 機械・金属・鉄鋼
- 自動車・自動車部品
- 電子・半導体
- 食品
- 製薬・化粧品
- 化学
なかでも化学・製薬業界は、近年着実に需要が伸び続けているジャンルです。
メーカーは、業務を通して技術力や専門知識を身につけられるので、自分の強みや専門性を磨ける点でもおすすめです。
小売業界
人材不足傾向のある小売業界は、異業種から転職しやすい業界です。
厚生労働省が発表した「雇用動向調査(令和2年上半期)」によると、令和2年6月末日の未充足求人数は「卸売業・小売業」が最も多く、約19万人とされています。
つまり、それだけ人手が不足している業界であり、新たな人材の採用も活発であるということです。
小売業界の業務内容は、販売店舗の運営やマネジメント、仕入れから在庫管理を担う物流業務、販売促進業務など多岐にわたります。
前職と関連のある業務に応募することで、より転職も成功しやすいと考えられます。
なお、近年では非対面での販売=ECに対応した企業が多いため、Webマーケティング関連の知識があると優遇される傾向にあります。
医療・福祉業界
専門的な技術や知識が求められる医療・福祉業界ですが、一部の業務は未経験から始めることが可能です。
例えば、医療事務や営業職、生活支援員などは、高度な専門知識が必要ではなく、未経験から始められる求人が出ています。
実際に、厚生労働省「雇用動向調査(令和2年上半期)」によれば、医療・福祉業界が最も入職者が多かった業界であり、約76万人が新たに医療・福祉業界へ転職したと発表しています。
医療・福祉業界は、転職後に専門性を磨くことができ、資格取得などを通してキャリア形成しやすい点も魅力です。
異業種からでも転職しやすい職種
異業種転職であっても、前職と同職種を選べば前職での経験や実績を活かせるため、採用につながりやすい傾向です。
なかでも以下の職種は、多くの企業で需要が高く、異業種からでも転職しやすいといえます。
- 営業職
- 技術職
- 企画・管理職
営業職
営業職は、数多くの業界で欠かせない役割であるため、業種未経験向けの求人も多数存在します。
dodaの調査である「転職求人倍率レポート(2021年7月)」では、数ある業界で最も求人数が多い職が営業職であると発表しています。
営業職は業界によって必要な知識や扱う商材、営業スタイルが少しずつ異なるものの、業務内容やミッションに大きな差はありません。
そのため、営業経験者が異業種の営業職へと転職することは、今までのスキルを十分に活かせると考えられます。
技術職
専門スキルが問われる技術職は人材不足の傾向が強く、未経験からの転職も歓迎しています。
なかでもIT・通信関連の技術職は求人倍率が最も高く、それだけ求人が多く募集されていることがわかります。
IT・通信の技術職であるWeb・ITエンジニアは、異業種・同職種転職が多いのが特徴です。
すでに前職で技術職に就いていたのであれば、その経験を武器に他業界でも重宝されると考えられます。
企画・管理職
企画・管理職も業界を問わず多くの求人が募集されています。
企画・管理職は業界をまたいだとしても求められるスキルに大きな差がないため、すでに別の業界で企画・管理職経験がある人材は特に重宝されます。
異業種への転職を目指すにあたってやるべきこと
異業種への転職を目指すにあたって、年齢を問わずやるべきことは以下3点です。
- 業界情報をインプットする
- 自身のスキルや経験を洗い出す
- 業界・企業のなかで発揮できる自分の強みを明確にする
業界情報をインプットする
異業種へ転職する場合、まずは業界情報のインプットから始めてください。
異業種への転職では、自分自身の業種に対するイメージと、実際にリサーチをしてみてわかった業界の内部情報が異なる場合も多々あります。
業界についての正しい情報がないと、入社後のミスマッチにつながりかねません。
また、異業種からの転職であっても、全く知識ゼロの状態で転職できるわけではありません。
面接では業界に対する意見が求められたり、最新の動向について質問されたりする場合もあります。
業界情報の入手先は、専門雑誌・専門新聞、インターネット記事、SNSなど多岐にわたります。
あらゆる媒体を活用して情報をインプットし、「自分に合っているかどうか」を判断した上で本格的な転職活動を始めるようにしてください。
自身のスキルや経験を洗い出す
業界における経験や実績がなくても、関連のあるスキルや経験をアピールすることが大切です。
そのため、まずは自分のスキルや経験を洗い出してみてください。
その洗い出したなかから次の職場で活かせるスキル・経験をピックアップし、履歴書などの書類や面接で的確にアピールするのが望ましいです。
業界・企業のなかで発揮できる自分の強みを明確にする
企業側は採用を通して「会社の即戦力となれるスキル・経験を持ち合わせているか」を重視する傾向にあります。
異業種への転職だと「学びたい」「成長したい」という意欲や熱意ばかりを伝えがちですが、これらの回答では会社にとっての採用メリットがほとんどありません。
例えば、どの業種・業界でも活かせる汎用的なスキル「ポータブルスキル」は、異業種でもアピール要素になり得ます。
ポータブルスキルの例:
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- マネジメント力
- 交渉力
- 論理的思考力
- プレゼンスキル
前職との関連性や自分のスキル・経験を明確にして、「業界未経験であっても、自分は企業に貢献できる」という趣旨をアピールするようにしてください。
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