転職成功のカギ 企業側の視点を理解し、採用通過率を向上
はじめに
人材流動性の高まりを受け、転職市場は、近年ますます活発になっている。多くの企業が優秀な人材を求めて競争を繰り広げる一方で、転職を考える人々は自分に合った企業を見つけるために奮闘している。
しかし、応募しても面接に進めない、本命の企業から内定をもらえないといった問題に直面する人も少なくない。その原因の一つが、候補者側の視点だけでなく、採用企業側の視点を十分に理解できていないことにある。
転職を成功させるためには、自分のやりたいことを追求するだけでなく、企業が求める人材像を把握し、それに合わせた自己アピールをすることが重要である。特に、企業の経営課題や方向性を理解し、それに共感できるかどうかは大きなポイントになる。
本記事では、転職を考える人々に向けて、企業側の視点に立つことの重要性と、それを実践するためのポイントを詳しく解説していく。自分のキャリアを築くために、ぜひ参考にしていただきたい。
企業側の視点に立つことの重要性
企業の採用背景を理解する
企業側の視点に立つためには、まず企業の採用背景を理解することが重要である。企業が成長フェーズにあるのか、安定フェーズにあるのかによって、求める人材像は異なる。成長企業であれば、増員拡大計画による採用が中心となるだろう。一方、安定フェーズの企業では、欠員補充のための採用が主となる。いずれにせよ、採用は経営課題の解決のための人的資本投資として行われているため、その点を理解しておく必要がある。
企業のビジョンに共感できるか
また、企業が求めているのは単に優秀な人材ではなく、その企業にフィットした人材であることを忘れてはならない。特に事業会社の場合、打ち出しているビジョン、ミッション、バリューに対して、候補者の考えや人間性が概ね一致しているかどうかが重要なポイントとなる。企業の方向性に共感できるかどうかが、採用の可否を分ける大きな要因の一つである。
求められる人材像を把握する
企業が求める人材像を正しく把握することも欠かせない。事業会社であれば、ビジョンを理解し共感できていることが前提となる。その上で、ビジョン実現のために様々な事業を展開していく中で、自分のやりたいことだけでなく、何でもやり遂げられる人材が求められる。
企業側の視点に立つことで、自分が企業にとってどのような価値を提供できるのかを明確にすることができる。それが転職活動における自己アピールの基盤となり、採用通過率のアップにつながるのである。
企業が求める人材像とは
ビジョンへの共感と実現に向けた行動力
事業会社が求める人材像として、まず重要なのは企業のビジョンを理解し、共感できるかどうかである。ビジョンに共感できるからこそ、その実現に向けて様々な事業に取り組み、何でもやり遂げようとする姿勢が生まれる。自分のやりたいことだけにこだわるのではなく、ビジョン実現のために必要なことに柔軟に取り組める人材が求められている。
個々の才能を活かすマネジメント力
企業が求める人材像として、もう一つ重要なのはマネジメント力である。高い専門性や能力を持つ人材もさることながら、個々の尖った才能をうまく活用し、チームとしての成果を最大化できるマネジメント力を持つ人材が特に重宝される。プレイヤーとしての実力だけでなく、マネージャーとしての資質も問われるのだ。
若手に求められるコミュニケーション能力とマインドセット
若手の場合、特にコミュニケーション能力とマインドセットが重視される。経験が足りなくても、素直・謙虚な姿勢があれば、これから伸びしろを企業側に感じてもらえる。若手に求められるのは、まずは謙虚に学ぶ姿勢と、周囲とコミュニケーションを取りながら成長していく意欲である。
ミドル層に求められる即戦力としての専門性
一方、ミドル層の中途採用では完全に即戦力としての採用になる。そのため、自分がいかにその企業で具体的に活躍できるのか、求められる人材像に自分がフィットしているのかを明確に示せるかが重要だ。ミドル層には、これまでのキャリアで培った専門性を活かし、すぐに成果を出せる即戦力としての活躍が期待されている。
企業が求める人材像を理解するためには、自社のビジョンや事業フェーズ、ポジションごとに必要とされるスキルや経験を正しく把握することが欠かせない。その上で、自分の強みを活かしつつ、企業の期待に応えられる人材であることをアピールしていくことが、転職成功の鍵を握るだろう。
ポジションごとに求められるスキルと経験
SEの場合
SEの方の場合、ポジションごとに求められるスキルと経験が異なる。例えば、金融系の大規模なインフラの案件において、要件定義を含むプロジェクトリーダーというポジションでは、以下のようなスキルと経験が求められる。
- プロジェクトリーダー(PL)としての経験
- 金融業界での開発経験
- 要件定義の経験と知識
これらのスキルや経験が不足している場合、他の要素で補う必要がある。例えば、PLの経験がない場合は、チームリーダーやサブリーダーとしての経験をアピールすることで、リーダーシップ能力を示すことができる。また、金融業界の経験がない場合は、他の業界での類似プロジェクトの経験を抽象化し、金融業界でも活躍できる可能性を示すことが重要である。
営業職の場合
営業職の場合、ポジションごとに求められるスキルと経験は以下のようなものがある。
- 法人営業の経験
- 新規開拓の実績
- 業界知識とネットワーク
- 交渉力とプレゼンテーション能力
これらのスキルや経験が不足している場合、例えば法人営業の経験がない場合は、個人営業での実績をアピールし、顧客とのコミュニケーション能力や提案力を示すことができる。また、業界知識やネットワークがない場合は、関連業界での経験や、自己学習によって得た知識をアピールすることが有効である。
マーケティング職の場合
マーケティング職の場合、ポジションごとに求められるスキルと経験は以下のようなものがある。
- デジタルマーケティングの知識と経験
- データ分析力
- プロジェクト管理能力
- クリエイティブ思考
これらのスキルや経験が不足している場合、例えばデジタルマーケティングの経験がない場合は、オフラインでのマーケティング経験をアピールし、マーケティングの基本的な考え方や手法の理解を示すことができる。また、データ分析力が不足している場合は、過去のプロジェクトでの改善事例や、自己学習によって得たデータ分析の知識をアピールすることが有効である。
ポジションごとに求められるスキルと経験を正しく把握することは、転職活動において非常に重要である。自分の経験やスキルが不足している部分については、他の要素で補うことを考える必要がある。また、これまでの経験を抽象化し、違う業界や関わったことのないフェーズでも活躍できる可能性を示すことが求められる。企業側の視点に立ち、求められるスキルと経験を冷静に分析し、自分の強みをアピールすることが、転職成功の鍵となるだろう。
早期活躍と長期活躍のバランス
新卒採用で企業が期待するポイント
成長ポテンシャルの高さ
新卒採用では、実務経験がない候補者に対して、会社の理念に共感し、高い意欲を持って働き、成長できるかどうかという点が重視される。例えば、学生時代の課外活動やアルバイトなどで主体的に取り組んだ経験や、自己分析を通じて自分の強みや弱みを理解していることが評価される。
チームワークとコミュニケーション力
新卒社員には、チームワークを重視する姿勢とコミュニケーション力も求められる。面接での適切な言葉遣いや、グループディスカッションでの他者の意見を尊重する姿勢、学生時代のグループワーク経験などが評価のポイントとなる。
学習意欲と適応力
企業は新卒社員に対して、業務で必要となる知識やスキルを吸収し、環境の変化に適応していく力を期待している。学生時代の資格取得や自己啓発の経験、技術トレンドへの興味関心の高さ、未経験の業務にも積極的に取り組む意欲などが評価される。
28歳前後の転職で求められる専門性とリーダーシップ
専門性の深化
28歳前後の転職では、一定の専門性が求められる。特定の言語やフレームワークへの精通、業務システム開発の豊富な経験、クラウドインフラの構築・運用スキル、データ分析や機械学習のスキルなどが評価のポイントになる。
リーダーシップ経験
専門性に加えて、プロジェクトリーダーやサブリーダーを務めた経験、後輩エンジニアの育成やマネジメント経験、顧客折衝や要件定義での中心的な役割などのリーダーシップ経験も重要視される。
専門性とリーダーシップを高めるアクション
28歳前後の転職で求められるスキルを身につけるためには、自分の専門領域を明確にし、その知識とスキルを徹底的に高めること、社内外の勉強会やコミュニティへの参加、プロジェクトリーダーやサブリーダーのポジションへの挑戦、後輩エンジニアのメンタリング、顧客折衝や要件定義への積極的な参加などのアクションが有効だろう。
32歳以上の転職で重要となるマネジメント経験と専門知識
マネジメント経験の重要性
32歳以上の転職では、チームをまとめるマネジメント経験が重要視される。チームビルディング、コミュニケーション、意思決定、リーダーシップなどのマネジメントスキルが評価のポイントとなる。プロジェクトリーダーやマネージャーとしての実績があれば、転職先でもその能力が認められやすくなるだろう。
専門知識の深さと広がり
マネジメント経験と並んで、専門知識の深さと広がりも重視される。担当領域での高度な知見に加え、関連分野への精通、ビジネスサイドとのコミュニケーションを円滑に進めるための業務知識や業界動向への理解も必要とされる。
専門性とマネジメントスキルを高めるアクション
32歳以上の転職で求められるスキルを身につけるためには、社内外のマネジメント研修への参加、部下や後輩の育成を通じたマネジメント経験の蓄積、専門領域と関連領域の知識習得、業界動向や最新技術の情報収集などのアクションが有用である。
早期活躍と長期活躍のバランス
早く活躍できるかどうかを示すポイント
企業側は、候補者の方が早く活躍できるかどうかと、長く活躍できるかどうかの2つの観点で評価している。特にIT業界のSEの方々の場合、早く活躍できるかどうかは書類選考で、長く活躍できるかどうかは面接で判断されることが多い。
早く活躍できるかどうかを示すためには、以下のポイントを意識しよう。
- 求められるスキルと経験を具体的に示す
- 過去の実績や成果を数値化して伝える
- 即戦力としてすぐに貢献できる点をアピールする
例えば、「金融系の大規模インフラ案件でプロジェクトリーダーを務め、要件定義から開発、テストまでを担当し、納期通りに完了させた」といった具体的な実績を示すことで、即戦力としての能力をアピールできる。
長く活躍できるかどうかを示すポイント
一方、長く活躍できるかどうかを示すためには、以下のポイントを意識しよう。
- 企業のビジョンや方向性に共感し、長期的なキャリアプランを持っていることを伝える
- 自己成長への意欲や学習姿勢をアピールする
- チームワークやコミュニケーション能力の高さを示す
「御社の目指すDXの実現に向けて、自身のスキルを磨きながら長期的に貢献していきたい」といった、企業の方向性に合わせた長期的なキャリアプランを示すことで、長く活躍する意欲をアピールできる。
また、「新しい技術やフレームワークを積極的に学び、チームで共有している」など、自己成長への意欲や学習姿勢の高さを示すことも重要である。
企業が求める「活躍」とは
ここで押さえておきたいのは、企業が求める「活躍」とは、単にその企業に長く在籍してほしいということではなく、在籍期間中により多くの価値を提供し、候補者自身も成長していってほしいということである。
企業と候補者、双方にとってWin-Winの関係を築ける人材が求められているのだ。早く活躍できるか、長く活躍できるかの2軸で、自身の強みをアピールしていくことが重要である。
おわりに
転職活動において、企業側の視点に立つことは非常に重要である。企業が求める人材像を理解し、自分がその企業にフィットするかどうかを見極めることが、内定獲得のカギとなる。
企業は、ビジョンに共感し、それを実現するために様々な事業に取り組める人材を求めている。また、応募するポジションや自らの年齢において求められるスキルや経験を正しく把握することも欠かせない。
また、企業は、早く活躍できる人材と長く活躍できる人材の両方を求めている。書類選考では早期の活躍が、面接では長期的な活躍が重視される傾向にあることを意識することが大切だ。
企業側の視点に立ち、自分の強みを最大限にアピールすることで、転職活動における採用通過率を高めることができるだろう。自分のキャリアを築くために、ぜひ本記事で解説したポイントを参考にしていただきたい。
ASSIGN
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