機械エンジニアへの転職を成功させるには。難易度や必要なスキルを解説
機械エンジニアは、工場や自動車、家電など機械全般の設計・開発に関わる、専門性の高い職種です。
転職難易度は決して低いとは言えず、転職を成功させるには選考のポイントや求められるスキル・経験を把握した上で、入念な対策をする必要があります。
そこで本記事では、機械エンジニアの転職難易度や未経験からの転職のコツ、求められるスキルを解説します。
本記事を通して転職に向けてやるべきことを明確にし、戦略的に転職活動を進められるようにしてください。
機械エンジニアの転職難易度
機械エンジニアは、多種多様な機械全般の設計・開発に関わる専門性の高い職種です。
そのため、ほかのエンジニアと比べて転職難易度が高い傾向にあります。
採用にあたっては、関連のある職種・業種に経験のある人材や大学・大学院で機械分野を専攻してきた人材が優遇されるようです。
なお、理工学部の機械系を卒業していることを応募条件と設定している場合もあり、関連する学歴がないとそもそも応募できないケースもあります。
未経験から機械エンジニアへの転職は可能か
機械エンジニアへの転職は、業種・職種の経験があれば可能ですが、業種・職種ともに完全未経験の場合は厳しい傾向です。
求められるスキルの専門性が高く、特に機械工学や電子工学といった分野の独学では簡単ではありません。
しかし、独学で技術面の知識を学んだり、「技術士」や「機械設計技術者」といった資格を取得したりしたことをアピールすれば、採用される可能性も十分にあります。
また、未経験者を採用して社内で教育・研修を実施する企業もあり、そういった企業を選んで応募すれば採用の確率も高まる傾向です。
募集している企業によって応募条件や求めるスキルは少しずつ異なるので、詳しくは機械エンジニアの求人を扱う転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
機械エンジニアへの転職前に知っておきたい基礎知識
転職するにあたって知っておきたい、機械エンジニアの基礎知識を紹介します。
- 機械エンジニアの仕事内容と役割
- 機械エンジニアの年収
- 機械エンジニアのやりがい
- 機械エンジニアの厳しさ
- 機械エンジニアのキャリアパス
機械エンジニアの仕事内容と役割
工場や自動車などの機械全般、目に見える部分を手がけるのが機械エンジニアです。
コンピュータ上のツールを活用しながら機械の設計をしたり、製造した機械を改造・メンテナンスしたりします。
また、配線の位置や使用する素材といった詳細を決めたり、実際に製図を書いてシミュレーションしたりするのも機械エンジニアの役目です。
機械エンジニアとほかのエンジニアとの大きな違いは、機械エンジニアは目に見えるハードウェアを設計・開発する点です。
ITエンジニアの場合、企業の打刻システムやナビ、自動運転のシステムなど目に見えないものを扱います。
製造したものが手元に残るのは、機械エンジニアの大きな特徴だと言えます。
機械エンジニアの年収
求人ボックスの調査によると、機械エンジニアの平均年収は「約476万円」です。
日本の平均年収と比較すると、やや高い傾向にあります。
ただ、機械エンジニア全体の給与幅は340〜887万円と広いため、勤務先や本人が保有する能力によっても給料に大きな差が生じることは理解しておかなければなりません。
未経験からの転職だとそこまで年収が上がらないかもしれませんが、入社後に専門性を磨き、実績を残していくことで、年収アップが期待できます。
参考:機械エンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)
機械エンジニアのやりがい
機械エンジニアは、自分が開発に携わった製品・機械が多くの人に使われることになります。
実際に自分が開発したものを使う人たちの反応が見られれば、より達成感ややりがいを味わえるはずです。
また、チーム単位でミッションに取り組むので、完成したときの達成感や喜びをチームで共有できるのも魅力です。
さらに、機械エンジニアは機械製造の工程のなかでも、製品の仕様の決定や設計といった上流工程に携われます。
上流工程に携わるなかで、設計のスキルや経営視点の考え方を学ぶことができ、自身が成長・スキルアップできるチャンスであふれています。
機械エンジニアの厳しさ
機械エンジニアが取り組むプロジェクトには、基本的に納期・締め切りが設定されています。
期限までに完成まで仕上げなければならないため、繁忙期には仕事量が倍増し、残業をするケースも少なくありません。
また、プロジェクトはチーム単位で動くため、チームの連携が十分にできていないと苦労する可能性があります。
メンバーの取り組み・力量で仕事の進捗が遅れてしまったり、タスクの分担が偏ったことが原因でチーム内に不満が出てきたりするケースが考えられます。
チームで動くからこそ生じるトラブルは、機械エンジニアとして働くなかでよく起きるようです。
機械エンジニアのキャリアパス
機械エンジニアのキャリアパスは、主に以下の3通りが挙げられます。
- スペシャリストを目指す
- ジェネラリストを目指す
- ほかのエンジニアにキャリアチェンジする
スペシャリストとは、専門性の高い特定分野に特化したエンジニアのことです。
例えば、自動車の外装やモーター、駆動部などの設計を担う専門性がある人=自動車製品に特化したスペシャリストとして働きます。
スペシャリストとして活躍するには、一般的な機械エンジニアよりさらに専門性の高い、ハイレベルな技術・スキルを取得する必要があります。
一方でジェネラリストとは、一つの分野に特化することなく、幅広い知見を持つエンジニアのことです。
プロジェクトのリーダーとして管理するプロジェクトリーダーや、企画・設計などの上流工程を担う担当者などはジェネラリストに当たります。
ジェネラリストとして幅広い知見があれば、さらに活躍の場を広げることが可能です。
機械エンジニアへの転職で必要な知識やスキル
機械エンジニアへの転職をするなら、以下のスキルが必要です。
- 機械系の企画・技術スキル
- CADなどのツールを使用するスキル
- ソフトウェアに関する知識
- 法規の知識
- ポータブルスキル
スキルを磨くことで自分の市場価値を高められ、転職を成功させやすくなります。
機械系の企画・技術スキル
機械系の知識は、転職をする上で必要不可欠です。
特に4大力学(機械力学・流体力学・熱力学・材料力学)の知識は、機械系エンジニアとして働く上で基盤となるため、あらかじめ理解しておく必要があります
4大力学のそれぞれの内容は、以下の通りです。
4大力学 | 詳細 |
機械力学 | 機械が稼働するときに起きる問題を扱う学問 |
流体力学 | 空気や水などの流体の動きや仕組みを物理学や工学などのアプローチで理解する学問 |
熱力学 | 熱エネルギーをはじめとするエネルギーに関する学問 |
材料力学 | 機械や構造物の各部分に生じる内力や変形の状態を解析して明らかにする学問 |
また、上記の内容を知っているだけでなく、実際に企画したり、開発したりと実践に落とし込むスキルや技術も必要です。
CADなどのツールを使用するスキル
機械エンジニアの選考時には、「CAD・CAM・CAEなどのソフトウェアツールを使えるか」が確認されます。
機械エンジニアの業務では、CAD・CAM・CAEの3つのツールに触る機会が多々あるので、未経験者でも各ツールの仕様や使い方を把握しておくことが望ましいです。
ソフトウェアツール名 | 詳細 | 代表的なツール名 |
CAD(Computer Aided Design) | 新製品の設計やビジュアル化など設計支援のためのツール。 コンピュータ上で平面の設計をする2Dと、立体の設計をする3Dがある。 | ・AutoCAD ・CATIA ・Fusion 360 |
CAE(Computer Aided Engineering) | 製造前の設計図データをコンピュータ内でシミュレーションできるツール。 コンピュータ内で条件を設定することで、実際に実物で動かしたときとほぼ同等のシミュレーションが可能となる。 | ・FFCAM ・Ansys ・CFX |
CAM(Computer Aided Manufacturing) | 製造工程を自動化するためのソフトウェアツール。 CADで作成した設計図データからプログラムを作製し、製品を作り上げる。 | ・Ansys Mechanical ・Solidworks CAM ・CAM works |
これら3つのツールの知識は、関連の書籍や動画コンテンツ、eラーニングなどで習得可能です。
自分に合った方法で知識を得ながら、基本操作を身につけることをおすすめします。
ソフトウェアに関する知識
機械エンジニアは、ITエンジニアなどと同様にソフトウェアに関する知識も必要です。
近年はDX化やAIの発展などにより、機械がインターネットとつながることが増えてきました。
機械エンジニアがインターネットやAIを搭載した機械を設計・開発するケースは増えてきており、今後もその動きは加速する見込みです。
転職の際にソフトウェアやセキュリティなどのITの知識があると、市場価値が高まり、転職先の幅も広がると言えます。
法規の知識
設計・開発する機械によっては、法規の知識が必要になるケースがあります。
機械を設計する際は、法令で定められた基準を満たすように設計しなければ、製品を世に送り出すことはできません。
そのため、転職先ではどのような法規の知識が求められるのかを確認し、ざっくりとでもいいので内容をつかんでおくことをおすすめします。
なお、法規の内容は年単位でアップデートされることも多いため、最新情報を取り入れることが重要です。
ポータブルスキル
機械エンジニアは技術系の知識やスキルが重視されると思われがちですが、ビジネスマンとして重要なポータブルスキルも欠かせません。
機械エンジニアは、一つの機械を設計するにあたってチームを組み、各フェーズの担当者が協力しながら進めていくのが一般的です。
ときには他部署や社外の人と連携をして業務を進めることもあります。
また、開発した機械を利用する担当者やクライアントが「どのような機械を求めているのか」「どういった課題を解決したいのか」を直接ヒアリングするシーンもあります。
これらの場面で業務を円滑に進めるためには、それぞれに合ったやりとりができるコミュニケーションスキルや交渉力が欠かせません。
さらに、プロジェクトを管理するマネジメントスキルがあると採用時に優遇されやすい傾向にあります。
将来的にプロジェクトのリーダーとして働きたいと考えている場合は、マネジメントスキルをアピールできると将来性への期待が高まるはずです。
機械エンジニアの転職で有利になりやすい資格
機械エンジニアの転職では、資格の取得が必須ではありません。
ただ、資格があると専門知識を保有している証明になるため、内定獲得や入社後の活躍に備えて取得しておくのも有効です。
機械エンジニアの転職で有利になりやすい資格は、以下の3つです。
- 機械設計技術者試験
- 技術士試験
- CAD利用技術者試験
機械設計技術者試験
機械設計技術者は、一般社団法人 日本機械設計工業会が実施している、機械設計技術者の技術力を証明できる試験です。
この試験では、機械や装置の基本仕様決定に必要な計算をはじめ、構想図の作成などの基本設計業務を行う能力が問われます。
機械設計技術者試験は、レベルの高い順に1級、2級、3級と分かれています。
1級・2級は最終学歴や実務経験といった受験資格が細かく決められていて、出題スタイルも記述式や小論文と難易度が高めです。
最も難易度の低い3級の場合は、受験資格が特に設けられておらず、全科目マークシート方式での出題です。
機械設計技術者は3級、2級、1級と段階的に勉強できるので、まずは3級から取得し、その後2級以上の取得を目指す形で学習を進めるのがおすすめです。
参考:機械設計技術者試験
技術士試験
技術士試験は、公益社団法人日本技術士会が主催する、科学技術に関する高度な知識と応用能力を証明するための国家試験です。
技術士第一次試験と技術士第二次試験に分けられ、文部科学省令で定める以下のような技術部門ごとに実施されます。
【技術部門の一例】
- 機械部門
- 船舶・海洋部門
- 航空・宇宙部門
- 電気電子部門
- 化学部門
- 繊維部門
- 金属部門
第一次試験は、技術士になるための第1段階の試験と位置付けられていて、基礎科目や適性科目、専門科目などが筆記形式(択一式試験)で行われます。
第二次試験は、専門的学識や高等の専門的応用能力を判定する試験と位置付けられていて、筆記試験と口頭試験の2形式で実施されます。
技術士第一次試験に合格すると「技術士補」となる資格を有し、技術士第二次試験に合格すると「技術士」となる資格を有することが可能です。
国家試験である技術士を取得すれば、社内での高評価や基本給のアップを期待できます。
参考:日本技術士会
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、コンピュータ教育振興協会が主催しているCADのスキルを測る試験です。
IoTやAIを用いたものづくりに欠かせない「CAD」を使いこなすために必要な知識・応用能力を証明できます。
この試験は2分野に分けて実施されていて、2次元CAD利用技術者試験(基礎、2級、1級)と3次元CAD利用技術者試験(2級、準1級、1級)です。
2次元CAD利用技術者試験は、図面を正しく理解した上でCADを利用した作図を効率的にこなすスキルが問われます。
3次元CAD利用技術者試験は、3次元CADシステムを利用した機械系・製造系のモデリング・設計・製図などのスキルが問われます。
CADはほとんどの現場で活用されているので、これを取得していれば社内の即戦力としての期待が高まり、採用確率も高まるはずです。
参考:CAD利用技術者試験 – ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会
機械エンジニアへの転職を成功させるポイント
転職を成功させるには、事前に必要なスキルを身につけることはもちろん、選考対策も手を抜くことなく行う必要があります。
機械エンジニアへの転職を成功させるポイントは、主に以下の4点です。
- 技術系の専門性を磨く
- 実績を作る
- ポータブルスキルを磨く
- 自分のスキルレベルと経験に合った企業を選ぶ
技術系の専門性を磨く
技術系の専門性は、転職で有利になることは間違いありません。
機械エンジニアとして活用できる、以下の知識やスキルを磨いておくのが望ましいです。
- 機械系の企画・技術スキル
- CADなどのツールを使用するスキル
- ソフトウェアに関する知識
- 法規の知識
上記の機械設計やツールの使い方などは、以下の手段で学習できます。
- 書籍
- eラーニング
- オンラインスクール
自分に合った方法でスキルや専門性を高めておくことをおすすめします。
実績を作る
機械エンジニアの転職では、「いかに自社の即戦力となれるか」という観点が重視されます。
即戦力になれるかどうかの判断材料となるのが「実績」です。
選考の際には「今までにこういったプロジェクトに参画し、〇〇という成果を出した」といった具体的な成果や実績を明確にアピールすると効果的です。
これまでエンジニアとしてものづくりに携わった経験があるなら、参画したプロジェクトの内容や規模、そこでの役割などを説明できると説得力が高まると言えます。
実績がない場合には、まずは現職でアピールできる実績を作ることに注力するのが望ましいです。
ポータブルスキルを磨く
機械エンジニアの転職では技術力や専門知識ばかり注目されがちですが、ポータブルスキルも重要です。
プロジェクトを進めるなかで、同じチーム内のほかのエンジニアやクライアント、他部署の担当者と調整したり交渉したりするシーンが多々あります。
こういった場面でうまく立ち回るためには、技術力ではなくポータブルスキルが重要になるのです。
機械エンジニアで特に必要なポータブルスキルは、以下の通りです。
- コミュニケーションスキル
- 交渉力
- ヒアリング力
- 課題解決力
- ロジカルシンキング
これらのスキルを高められるよう、普段の業務から意識して取り組むようにしてください。
自分のスキルレベルと経験に合った企業を選ぶ
転職先を決めるときには、自分のスキルレベルと経験に合った企業を選ぶようにしてください。
一口に機械エンジニアといっても、分野はさまざまです。
- 航空・宇宙
- 電気電子
- 化学
- 繊維
- 金属
- 建設
- 農業
- 森林
このように製造業にはさまざまな分野があるため、自分のこれまでのスキルや経験が活かせる場所を選ぶとやりがいを持って働きやすい傾向です。
自分が携わりたい分野を明確にした上で、転職先を選ぶようにしてください。
未経験から機械エンジニアへの転職を目指す場合には、自身のスキルレベルと合っている求人に応募することも重要なポイントです。
「未経験歓迎」とされていても、必要なスキルや実務経験が応募条件として掲載されている場合があります。
スキルセットが合っていない、あるいは前職の知識や経験が活かせないと、入社後に苦労する可能性があります。
また、未経験者に対する研修や教育が充実している会社を選ぶのもおすすめです。
入社後の研修や教育を通して最低限の知識が学べれば、入社後も業務に定着しやすくなります。
機械エンジニアの転職を成功させるなら転職エージェントがおすすめ
機械エンジニアへの転職は難易度が高く、自分一人で対策をしたり情報収集をしたりするのは容易ではありません。
転職を確実に成功させたいなら、エンジニア転職に強い転職エージェントの活用をおすすめします。
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また、難易度の高い機械エンジニアの求人は、転職サイトの求人ページには公開されていないことが多い傾向です。
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