商社による国内外ベンチャー投資の活性化
商社では、国内外におけるベンチャー企業投資や新規プロジェクトの立ち上げ促進に関わる支援が活発化しています。今回はそんなベンチャー投資の実態と大手総合商社の動きに迫っていきます。
大手商社によるベンチャー投資の実態
ベンチャー投資が活発化している背景として、幅広い事業を展開する商社が持つ資金力や販売機能を活かせる点が挙げられます。また、単なる資金を提供するだけでなく商社内で経営人材と呼ばれる人員を投資先企業に派遣し営業や経営面でも支援できるなど、自社の経営資源を活用できるという面でもベンチャーへの支援は有効です。
また最近では、長期的な視野をもって社内ベンチャーの育成や次世代産業の創出に挑む動きもあるようです。
近年はベンチャー企業への大型投資も増えており、例えば2020年は総合商社によるオンライン後払い決済サービス運営会社への出資、さらには住宅・店舗・オフィスのリノベーションを手掛けるベンチャー企業への出資などがありました。このように、ベンチャー企業への投資に対して積極的な商社が増えています。
大手総合商社のベンチャー投資先
では、各大手総合商社はどのようなベンチャー企業や新規事業に投資をしているのでしょうか。各会社ごとでの取り組みや動向を見ていきます。
三井物産
三井物産では、2017年公表した中期経営計画において「ヘルスケア」領域を成長分野の一つに定めたこともあり、医療×ITの「メドテック」やヘルス×ITの「ヘルステック」などの医療分野に関連するスタートアップ投資を積極的に行っています。
2018年11月にはアジア最大手の民間病院グループIHH Healthcare Berhad(IHH社)へ約2,300億円の大型追加投資を行いました。今後も増えゆく医療ニーズを背景に、IHH社を主軸としたアジア最大のヘルスケアシステムの構築を目指しています。
伊藤忠商事
90年代からIT系スタートアップへの投資に積極的である伊藤忠商事。近年、同社では、業務を自動化し従来型のビジネスモデルを効率化・進化させる可能性を秘めた「RPA」や「SaaS」関連のスタートアップ企業への投資が中心となっています。
IT系に強い伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(伊藤忠商事が立ち上げたベンチャー企業)の投資眼を活用し、事業の必然性や将来性を見極めつつ進めているようです。
住友商事
2017〜2019年の3年間で7大商社のなかでトップの投資数を誇る住友商事。同社では、中期経営計画にて「テクノロジー×イノベーション」「ヘルスケア」「社会インフラ」の3つの成長分野を特定し、資金投資を行う方向性を示しています。なかでもモビリティーやCASEのうちカーシェアリングサービス、RPAなどのスタートアップ企業への投資が多い傾向にあります。
三菱商事
三菱商事は、上記3社と比較すると投資件数は多くはないものの、ビジネス領域に関連するベンチャー企業へ投資しています。また、2019年に公表された新中期経営計画にて「デジタル戦略部」「事業構想室」の発表があったこともあり、今後さらにベンチャー投資に積極的になると考えられます。
商社によるベンチャー投資の課題
ベンチャー投資や新規事業開発は、商社の強みである資本力やネットワークを大きく活かせる分野です。ただし、市場予測が難しい案件や事業化に至るまでの負担とリスクが存在する点が大きな課題です。
従来の総合商社による投資は、「既存事業との相乗効果によって利益を生み出せるか」という観点が一つの判断軸でした。そのため、既存市場の外部環境や競合環境を分析することにより、ある程度は将来の売上推移を予測できました。
しかし、ベンチャー投資ではそういった投資眼を活かせません。なぜならベンチャー投資においては、「現在の世の中にない事業を創出する」というのが基本的なテーマとなることが多く、前例がないからです。この点からも商社は、従来のあり方にとらわれない自由な考え方での投資を促進していくことが求められています。
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