コンサルタントのキャリアプラン
本記事では、コンサルタントのキャリアの必要性や戦略、ポストコンサルの事例、キャリアを考えるためのアクションなどについて記載させていただく。コンサルタントの皆さまが、自身のキャリアについて深く考えるきっかけになれば幸いである。
コンサルタントのキャリアパスの選択肢
コンサルタントとしてのキャリアを歩む
コンサルタントとしてのキャリアを歩む選択肢としては、以下のようなものがある。
- パートナー、マネージングディレクターを目指す
- 日本代表やグローバルファームのトップを目指すキャリアパス
- 社外取締役や顧問として活躍するケースも
- 特定領域のエキスパートとなる
- アナリティクスやセキュリティなど特定分野の第一人者を目指す
- ベンチャーファームに移籍する
- 自らの裁量で経営に携わりたい場合の選択肢
- フリーランスコンサルタントとして独立する
- フリーコンサルのプラットフォームを活用して独立するケースが増加
コンサルタントとしてキャリアを歩む人の価値観としては、以下の2点が挙げられる。
- 知的好奇心が旺盛であること:プロジェクトごとに必要な知見が変わるため、常に学び続ける姿勢が重要
- クライアントワークが好きであること:クライアントの課題解決を支援し、一緒に目標を実現していく姿勢が求められる
事業会社に転職する
コンサルタントから事業会社に転職する主な理由としては、以下の3点が挙げられる。
- 自ら事業を推進していきたい
- 特定の業界や事業セグメントでキャリアを積みたい
- ワークライフバランスを重視したい
戦略ファーム出身者の多くは経営企画や事業企画に、ITコンサル出身者はデジタル戦略やDX推進の部門に転職するケースが多い。事業会社では、コンサルティング経験を活かしつつ、事業推進の中核を担うポジションを目指すことができる。
スタートアップやVC・ファンドに転職する
スタートアップやVC・ファンドに転職する主な理由は、以下の通りである。
- スタートアップ
- 事業会社よりも大きな裁量を持ち、事業推進やドライブを行いたい
- 起業家と近い位置で事業の立ち上げや成長を経験したい
- VC・ファンド
- 投資先の企業価値向上のため、経営に深く関与したい
- 将来的に自らVC・ファンドを立ち上げることを視野に入れている
スタートアップでは役員やCXOクラスのポジションに就くケースが多く、VC・ファンドではインベストメント業務だけでなく、投資先支援でコンサルティング経験を活かすことができる。
コンサルタントのキャリアパスは多岐に渡るため、自身の価値観やキャリアビジョンに合わせて、最適な選択肢を検討することが重要である。また、各職位によって求められるスキルや経験が異なるため、キャリアの節目では自身の強みを再確認し、市場価値を高めていくことが求められる。
年代別のキャリア戦略
20代のキャリア戦略
大きな方針を決める
20代は、将来のキャリアの大きな方針を決める時期だ。具体的には、以下のようなことを考えておく必要がある。
- 将来的にどのような業界・職種で働きたいか
- そのために必要な経験・スキル・実績は何か
- それらを得るためにはどのような環境に身を置くべきか
北か南かを決めるイメージで、細かい部分までは決める必要はないが、大まかな方向性は定めておくことが重要だ。
ポテンシャルを示す
20代は、まだ実績よりもポテンシャルで評価される時期だ。そのため、以下のようなことを意識して行動することが求められる。
- 与えられた仕事に真摯に取り組み、成果を出す
- 自ら手を挙げて新しいことにチャレンジする
- 自分の強みや専門性を磨き、アピールする
会社や上司から将来有望な人材だと認識されることで、より良い機会や環境を得ることができるだろう。
30代のキャリア戦略
専門性を高める
30代は、自分の専門性を高め、強みを作っていく時期だ。そのためには、以下のようなアクションが必要だ。
- 自分のキャリアビジョンを明確にする
- そのために必要な経験・スキル・実績を洗い出す
- 現在の仕事でそれらを積極的に獲得していく
- 必要に応じて社内異動や転職も視野に入れる
マーケットから見て、「この人はこういうことができる」と認識されるような専門性を身につけることが重要だ。
将来を見据えた準備をする
30代は、将来のキャリアを見据えて準備をしておく必要がある。具体的には、以下のようなことが挙げられる。
- 40代以降のキャリアビジョンを描く
- そのために必要な人脈づくりをしておく
- マネジメントスキルを身につける
- 自分の市場価値を把握しておく
30代でしっかりと土台を作っておくことで、40代以降のキャリアの選択肢が広がるはずだ。
40代以降のキャリア戦略
経験・スキルを活かす
40代以降は、それまでに積み重ねてきた経験とスキルを存分に活かすステージだ。求められるのは以下のような役割だ。
- 事業を伸ばし、新たな価値を生み出す
- 後進を育成し、組織力を高める
- 全社戦略の策定や意思決定に関わる
即戦力としての活躍が期待されるため、これまでのキャリアを総動員して成果を出していく必要がある。
キャリアの集大成を目指す
40代以降は、キャリアの集大成として、以下のようなポジションを目指すことも視野に入る。
- 事業部長や執行役員などの経営層
- 専門分野のエキスパートとして社内外で認知される
- 独立や起業に挑戦する
ただし、40代以降で抜本的なキャリアチェンジは難しいため、30代までの積み重ねが重要になってくる。
コンサルタントのキャリアは、年代によって目指すべき方向性や戦略が異なる。自身の強み・専門性を意識しながら、将来を見据えた戦略的なキャリア構築を進めていくことが求められるだろう。
ポストコンサルの事例
スタートアップでの経営企画室への転身
ある戦略コンサルタントの方は、若手の頃から事業会社に入り込んで自ら事業を推進していきたいという意向を持っていた。
大手事業会社への転職も選択肢にあったが、方針が固まっている中で与えられた仕事をこなすだけでは物足りなさを感じていた。 そこで、一時的に年収は下がるものの、スタートアップの経営企画室に転身し、ボードメンバーに近い位置で事業戦略の立案から実行までを一気通貫で経験することを選択した。
創業者と近い距離で仕事をすることで多くを学べることも魅力だった。 また、コンサルタントとしてのナレッジ化のスキルを活かし、社内でのナレッジ展開や社員教育なども担当している。将来的には事業部長や執行役員といった上位のポジションに就き、会社全体の方針を理解してビジョン実現のために遂行していくことを目指している。
事業会社でのコンサル子会社立ち上げ
SIerからコンサルティングファームに転職し、マネージャーまで昇進した方の事例もある。
ファームでは戦略案件やITのPMOなどを経験した後、戦略領域に移行するチャンスを得た。
その後、大手事業会社に転職し、ビジョンや事業プラン策定に携わりながら、コンサルティングの子会社立ち上げを責任者として担当した。他のファームへの転職や超大手事業会社の経営企画室への転身という選択肢もあったが、大手事業会社のリソースを活用しつつ、ゼロから事業を作り上げる経験を積みたいと考えた。
経営者や経営層から近い位置で事業の作り方・伸ばし方を学び、新たな事業を生み出していきたいという思いがあった。将来的には外資系企業が日本に進出する際のカントリーマネージャーを務めることも視野に入れている。
金融機関でのDX推進室長への抜擢
シンクタンク系からIT系コンサルティングファームに転職し、シニアマネージャーまで昇進した方は、金融業界に強みを持っていた。
その経験を買われ、ある金融機関のDX推進室が新設されるタイミングでヘッドハンティングされた。 入社から半年から1年も経たないうちに室長に昇格し、さらに1、2年後には次の役職への昇進も見込まれている。同社ではデジタル化が遅れていたこともあり、DX推進に向けた体制整備が急務だった。
ロードマップ作成、必要な人材の採用、組織づくり、IT予算の確保など、ゼロベースで推進体制を構築していった。年収面でも前職から大幅にアップしており、これはレアケースではあるものの、どうしてもその人材を確保したいという強い意向があったためだ。 今後は、ビジネスとITを繋ぐ人材として事業会社での実績を積み重ね、最高情報責任者(CIO)を目指すことも視野に入れている。一方で、より積極的に DX を推進したいという思いから、ベンチャー企業のCIOやCDOになることも選択肢として考えている。
以上のように、ポストコンサルのキャリアパスは実に多岐に渡る。自身の興味や強みを活かしつつ、より裁量を持って仕事がしたいのか、大企業の力を借りて事業を推進したいのかなど、それぞれの価値観に合わせて選択肢を検討していくことが重要だ。
キャリアの選択肢が広いからこそ、自身のキャリアビジョンを描き、そこから逆算して必要なアクションを起こしていく姿勢が求められる。コンサルティングファームでの経験は、事業会社でも十分に活きてくるはずだ。
キャリアを考えるためのアクション
自分のキャリアを考える機会を定期的に持つ
コンサルタントは日々の業務に追われ、自分のキャリアについて考える時間を確保しづらい。しかし、半年に1回程度は立ち止まって自身のキャリアについて考える機会を持つことが重要だ。お盆や年末年始などの休暇期間を利用するのも一案である。
自分の価値観や強みを見つめ直し、将来のキャリアビジョンを描いておくことで、日々の業務にも前向きに取り組めるはずだ。
社内外の人脈を積極的に築く
コンサルタントは、社内外の様々な人と接する機会に恵まれている。プロジェクトを通じて社内の他部門の人と関わったり、クライアント先の社員と交流したりすることで、自分の視野を広げることができる。興味のある領域で活躍している先輩社員にアドバイスを求めるのもよいだろう。社外の友人や同業他社の知人とも積極的に情報交換し、客観的な視点からキャリアを考えるきっかけにしよう。
自分の市場価値を把握する
コンサルタントは、自身の市場価値を正確に把握しておく必要がある。
年齢や職位によって、求められるスキルや経験は異なる。例えば、シニアコンサルタントであれば、一定のコンサルスキルを持ち、クライアントとの折衝ができることが求められる。転職市場の動向にもアンテナを張り、自分の強みを活かせる領域を探っておこう。必要に応じて、転職エージェントに相談するのも一案だ。
自分の興味関心に基づいて行動する
コンサルタントは、自分の興味関心に基づいて行動することが大切だ。
例えば、特定の業界や領域に興味があれば、社内でその分野のプロジェクトに参画したり、オファリング開発に携わったりするのもよい。スタートアップ企業に関心があれば、副業やプロボノ活動を通じて経験を積むこともできる。自分の情熱を持って取り組める領域を見つけ、そこで専門性を高めていくことが、キャリア形成につながるはずだ。
柔軟な姿勢を持つ
コンサルタントのキャリアは多岐に渡り、様々な選択肢がある。
しかし、思い描いた通りのキャリアを歩めるとは限らない。時代の変化やビジネス環境の変化に伴い、求められるスキルセットも変わっていく。そうした変化に柔軟に適応し、新たなチャレンジを恐れずに挑戦する姿勢が求められる。時には、これまでのキャリアを一度リセットする勇気も必要だ。変化を前向きにとらえ、学び続ける姿勢を持つことが、長期的なキャリア形成の鍵となるだろう。
まとめ
コンサルタントのキャリア戦略セミナーを通して、コンサルタントの方々がどのようにキャリアを設計し、戦略的に描いていくべきかについて、様々な観点から言及した。
コンサルタントのキャリアは多岐に渡り、選択肢が豊富であるがゆえに、自分にとってどの道を選ぶべきか悩むことも多いだろう。しかし、自分の価値観や強みを見極め、将来のビジョンを明確にすることで、最適なキャリアパスを見出すことができるはずだ。
年代別のキャリア戦略や、ポストコンサルの事例を参考にしながら、自分なりのキャリアプランを描いていくことが重要となる。そのためには、日頃からクライアントや社内の有識者との対話を通じて、自分の興味や適性を探ることが欠かせない。
キャリアを考えるためのアクションとして、半年に1回はキャリアについて振り返り、自分の価値観や目指すべき方向性を見直すことをおすすめする。そして、必要な経験やスキル、実績を積み重ねながら、着実にキャリアを築いて欲しい。
コンサルタントとしてのキャリアは、決して易しい道ではありませんが、戦略的に考え、行動することで、きっと充実したものになるはずである。皆さんのキャリアが実り多きものとなることを心より願っている。
ASSIGN
アサインはビズリーチの最高ランク受賞等、確かな実績を持つエージェントと、若手ハイエンド向け転職サイト『ASSIGN』であなたのキャリアを支援しています。 コンサルティング業界専門のキャリア支援から始まり、現在ではハイエンド層の営業職・企画職・管理職など幅広い支援を行っています。 ご経験と価値観をお伺いし、目指す姿から逆算したキャリア戦略をご提案し、ご納得いただいた上で案件をご紹介するのが、弊社のキャリア支援の特徴です。