PwCにおける変革と成長 テクノロジーを牽引するTechnology Advisory Serviceの魅力
未経験からファームへのチャレンジ
━━ まずは福田様のご経歴について教えてください。
私はメーカーの情報システム部からキャリアをスタートし、そこからPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)に転職してきました。
前職では、販売物流系のシステムエンジニアとして、業務の内容を理解しつつ、スクラッチ開発をしていましたが、運用保守系の業務以外のことにも興味があったため転職を決意しました。
PwCコンサルティング入社後は、販売物流だけでなく、在庫管理、会計、調達といった業務全般を把握できるようなコンサルタントを目指し、そんな中で大きな転機となったのは大手ガス会社のプロジェクトでした。
プロジェクトは在庫管理の仕組みを変えるというもので、私はメンバーとして参画していました。その中で物流改革プロジェクトを新たに立ち上げる話が上がり、シニアアソシエイトながら提案活動の機会を得ました。新しい案件を広げるという経験を積めたほか、在庫管理プロジェクトを完遂し、派生案件の受注に貢献したことからマネージャーに昇進することができ、後続の物流改革プロジェクトではプロジェクトマネージャーとしてERPのプロジェクトを開始から終了まで理解できるようになりました。
━━ よく未経験からファームを志望する方が気になる点として、思考の仕方が違うなど、いわゆるベースのスキルセットが違うという点を挙げられますが、どう考えられていますか。
コンサルティングファームへの転職直後は、私も活躍できるか不安だらけでした。
例えば、システムエンジニア出身の私自身には提案書の作成が難しく感じました。
しかし、同じタイミングで入社した職員の中にコンサル出身者がいて、その職員と仲良くなったおかげで、どういう仕事をしたらいいのか、アウトプットのクオリティはどの程度のものが必要なのかを、最初に見ることができました。
現在PwCコンサルティングには、コーチングという仕組みが整備されていますので(※1)、自分でコンサルタントとしてのコアスキルを探し求めていく必要がありません。そのため、スキルのギャップについてはそこまで気にされなくても大丈夫かと思います。
※1:キャリア構築
※2:PwCコンサルティング合同会社パートナー阿部様インタビュー「短期ではなく、長期で活躍できる人材を育てる文化」
TASの成り立ち
━━ 福田様の入社当時、Technology Advisory Service(以下、TAS)はなかったと思いますが、どのようにTASに関わるようになったのでしょうか。
前職でSCMチームやCRMチームを経験し、やはりテクノロジーを中心としたコンサルタントになるべきだなと感じていたところ、ちょうど関与していた自分の大きなプロジェクトが終了し、そのタイミングが重なったことで、PwCコンサルティングに転職してきました。
私が入社した当時は、TASはテクノロジーチームという20人ほどのチームでした。
TASはこのテクノロジーチームの歴史を引き継いでいる部分があり、TASのミッションとして掲げている「経営課題、社会課題をテクノロジーで解決する」も、当時から変わってない1つのアイデンティティです。
━━ 当時からここまでの変化はどういったものがありますか。
2010年代前半までは、企業の情報システム部門が使うIT環境についてのアドバイザリーサービスが多かったです。
その後にテーマとして上がってきたのはサイバーセキュリティです。今は別の部門になっていますが、当時はこのテーマもテクノロジーチームが扱っていました。
2010年代後半になってくると、DXが盛り上がってきて、私自身の担当領域も自動車会社のDX、自動車のコネクティッドサービスなどのサービス企画からプラットフォーム開発まで広がっていきました。
━━ DXの流れは今後も続いていきそうでしょうか。
そうですね。
例えば建設業界では、ドローンの利用やIoTの環境整備などが進み、ITを活用した予兆保全という話も出てきていますが、現業に近いところはまだまだこれからの話になると思います。
DXが進んでくると、次はやはり社会課題に近いところに取り組む必要がでてきます。
その上でクロスインダストリーや自治体というテーマに移ってきており、都市OS、都市のデジタル化といった領域への注目度が高まっています。
色々な産業が町の活性化や少子高齢化の開発等のユースケースを作って、その情報を連携したプラットフォームの中での様々なサービスを立ち上げるという構想ができてきています(※3)。
━━ TASの体制についてもう少し詳しくお話いただけますか。
コンピテンシーカットのチームではあるものの、業界によってイシューが異なるので、最先端の経営アジェンダを私たちがつかんでサービスを提供するために、より業界に深い知見をもっているシニアなメンバーを配置しています。
その上でTASのプライオリティサービス(※4)を4分類に定義しています。
1つ目のFront Business Transformationは、働き方改革などを推進するサービスです。
2つ目に、New Technology & Architectureという、新しいビジネスモデルを実現するアーキテクチャ設計を行うサービスがあります。
3つ目にData Transformationがあり、データ活用によるビジネスの収益の向上や、経営情報の可視化に取り組んでいます。
そして4つ目に、Digital Strategy & Governanceなど、戦略、人・組織、そしてガバナンスルール設計を行うようなサービスがあります。
━━ 入社される方にはどんなふうに活躍していただきたいですか。
私自身のキャリアも販売物流からスタートしたように、まずはある領域で何か自信をつけて立ち上がっていただきたいです。
先ほど申し上げた4つのサービスカットには、様々なプロジェクトがあるため、自分が前職で得た経験を活かせるところでまずは力を発揮いただいて、その領域を起点としながら周辺領域にチャレンジしていくことで時間とともに成長していってほしいです。
━━ 個々人に合わせて様々なチャレンジの機会を提供している印象ですが、何か工夫されているのでしょうか。
プロジェクトへのアサインメントだけでなく、アサインした後の工夫もあります。
具体的には、アサイン後にジョブマネージャーと相談してメンバーの目標設定をします。
そして、メンバーがどういうことにチャレンジしていきたいか、またどのような働き方をしていきたいかをヒアリングしてすり合わせした上で、プロジェクトにおいてどんな期待を込めてアサインしているのかということを、ジョブマネージャーから説明します。
このように期待のすり合わせをした上で、ジョブに入っていただくことで、期待値のミスマッチができるだけ起こらないようにし、メンバーのケイパビリティにあった目標設定でプロジェクトを遂行していくことが可能です。
複数回プロジェクトにアサインされている人においては、評価において成長・改善すべき部分としてディベロップメントポイントが設定されますので、そのディベロップメントポイントを解消するような役割を担うように、そのジョブで目標設定していきます。
評価の結果とその改善ポイント、ジョブでの次のチャレンジへと有機的につながることを意識しています。
━━ その他にチャレンジの機会を提供する仕組みなどはあるのでしょうか。
工数を100%プロジェクト稼働に充てるのではなくて、一定程度は投資に充てる方針で、ソリューションディベロップメント活動などを推奨しています。
ソリューションディベロップメントとは、ライセンス購入の予算や、自分の時間を使うための時間的な投資の予算を利用して自分がチャレンジしたいことを企画・立案し、会社として承認が下りればチャレンジできるものです。四半期に1回のペースで申請が可能です。
PwCコンサルティングの中でソリューションディベロップメント活動の申請件数のトップはTechnology & Digital Consultingです。
今後期待されるTASの役割と将来
━━ 直近でDX部門を立ち上げる事業会社も増えてきていますが、そういった部分への支援もしているのでしょうか。
もちろんです。
事業会社DX部門は現状、情報システム部の名称を変えただけに留まってしまっているもの、ITとDXで分けたもののすみわけが上手くできていないもの、立ち上がって目標を設定して動き始めたもの、という大きく3パターンに分けることができるように思います。
私たちはいかに3つ目の状態にしていくかというところをサポートし、ユースケースを作っていきたいと考えて取り組んでいます。
また、情報システム部や情報システム子会社のあり方も問われていますので、そのようなクライアントへの対応も率先して取り組んでいきたいと思います。
━━ 近年生成AIなどの発達が著しい中で、どのようなものがTASとして求められると思いますか。
いろいろな技術が次々に出てくるため、それらをどう使っていくのかという点は各企業が迷うところです。
そのため、新しい技術が出てきたときに、それをどう扱ってビジネスを作っていくかというニーズは変わらないと考えています。
一方で、コンサル業界においてずっとヒトが働くのかというと、そこも時代が変わってきています。
5年後に事業が倍になったとしても、働く人数は単純に倍にするのではなく、それよりも少ない人数で実現する、そんな体制を作っていかなければならないと思います。
そこで私たちTASは、ビジネスに軸足を置きながら今クライアントが直面している課題を2、3年以内に解決するためにどうするか、という視点で企業の“俊敏性”と“弾力性”を確保し、不確実性が高まる世界を生き抜くための変革を支援していきたいと考えています。