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一流のコンサルタントを輩出するPwCコンサルティングが掲げる「短期ではなく、長期で活躍できる人材を育てる文化」とは

右:PwCコンサルティング合同会社 上席執行役員 阿部 大祐様
左:株式会社アサイン 取締役 奥井 亮

未経験から一流のコンサルタントへ育てるサポート体制

━━ 本日は、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)の人材育成について伺いたいと思いますが、まずは阿部さんの現在のロールやご経歴を教えてください。

PwCコンサルティングのビジネストランスフォーメーションコンサルティング(BTC)で、カスタマートランスフォーメーション領域における営業フロント周りのBPRやシステム導入のリーダーを務め、ITソリューションやSalesforceソリューション導入支援のリーダーも兼務しています。

また、クライアントである自動車部品メーカーのリードパートナーも担っており、20年以上支援をさせていただいています。

経歴としては、新卒で日系のコンサルティングファームに入り、プログラミングからはじまり、徐々にERPのコンサルティングに従事していきました。

PwCコンサルティング入社後もERPを中心に多くのクライアント業務に関わり、ITに限らず業務コンサルや組織再編などさまざまな領域に携わりました。

━━ ありがとうございます。さまざまなロールがある中で人材育成も担われているわけですね。まずは、入社後のサポートについて簡単に伺えますか。

まず入社してから3日間はPwC Japanグループ(以下、PwC Japan)全体のオンボーディングがあります。

ここでPwCの歴史や全体の戦略の説明を行っています。また、入社初日の夜にはウェルカムパーティーが開かれ、これが所属チームのリーダーやキャリアコーチと会う機会になっています。

4日目にPwCコンサルティングのオンボーディングがあり、事業戦略の説明やリーダーメッセージを通してコンサルタントとしてのマインドセットを行い、5日目に所属チームへ配属されます。

また、コンサル未経験の方については、その後1カ月間CCSA(Core Consulting Skills Academy)という研修を実施しています。ここではドキュメンテーション・スライドの作り方・議事録の書き方などのコンサルの基礎を学んでいきます。

━━ CCSA後にはどのような状態になっていることを目指していますか。

1カ月でコンサルの素養すべてが身に付くかというと難しいと思っています。しかし、コンサルで求められる資質を理解することはできると考えています。

求められるものと自身の現在地の差分を理解し、そこに向かってステップアップしていくことを考えていけるようにマインドセットできると良いですね。

━━ 育成全体を見たときには、PwCとしてこういう風に育てるといった方針はありますか。

与えられた課題に対して結果を出すだけでは不十分であり、自分自身で主体的に価値を出せる人材になってほしいと考えています。

PwCでは、育成で大切なことは手取り足取り教えるティーチングではなく、コーチングだということが言われており、事細かにガイドするのではなく会話をする中で気づいてもらうことを大事にしています。
ソリューションだけを提示するのではなく、自分で考えて動き、新たなバリューを出せる「Value Accelerator」になっていってほしいですね。

キャリアコーチとの伴走をしながら叶えるキャリア

━━ 御社は一人ひとりの意向をしっかりくみ取るアサインメントを行っている印象がありますが、その点について具体的に教えてください。

まず、本人の意思を確認せずにアサインを決めることは絶対にありません。

必ずアサイン面談を行い、その面談後にキャリアコーチとディスカッションをする場も設けています。
本人とキャリアコーチとで定期的にキャリアのゴール地点を議論していますので、そのアサイン先が希望と合っているか、また今のスキルセットでできるできないという問題についてはキャリアコーチを通して意見を伝えてもらいます。

そうしてチーム事情、本人の意向を総合的に判断していくという仕組みになっています。
もちろん、チームのプロジェクトの都合上、どうしても本人の意向から少し離れたアサインメントをせざるを得ないケースもあります。その場合であっても、背景を誠実に伝えて、納得感や目的意識を持ってプロジェクトに入ってもらえるようにフォローをしていますし、次のアサインなど、中長期で意向を反映できるようにパートナーやキャリアコーチが気にかけてくれることが多いですね。

━━ ロングタームアサインをしないという話を聞いたのですが、これはファームとしての方針なのでしょうか。

ファームとして本人の意に沿わないロングタームアサインをケアする方針があります。以前は、このケアのために、9カ月以上に及ぶアサインになる場合は本人とコミュニケーションを取るということを制度として定めていましたが、既にこの考え方がファームの共通認識として根付いたため、現在は制度を設けること自体は廃止しました。

ロングタームアサインが必ずしも悪いわけではないため、本人の話を聞く中で納得しない形で1年を超えるアサインメントが起きないように対応しています。

━━ アサインメントにおいて、これまでの経験とチャレンジのバランスの取り方も難しいポイントになると思いますが、このあたりについてはどのように考えているのでしょうか。

一律の基準はありませんが、重要視していることはサポート体制です。
メンバーをフォローできる体制が整っているようであれば、かなりチャレンジングでも躊躇なくアサインしていきます。
結果的に、全体観でいえばチャレンジングなアサインはとても多いと感じています。

例えば、都市計画を担当したことのある官公庁出身の方が、戦略コンサルタントとして、スマートシティに関するプロジェクトにアサインされたことが挙げられます。コンサルティング未経験かつファーストアサインだったものの、担当のパートナーやキャリアコーチからの支援もあり、案件をスムーズに完遂されました。現在は、これまでのバックボーンを活かし、チーム内の不動産業界全般を担当するManagerとして活躍しています。

━━ キャリアコーチとはどの程度の頻度で、またどのような形でコミュニケーションを取れるのでしょうか。

各人のゴールセッティングに基づいてコミュニケーションをとっていきます。

ただ、入社後すぐにゴールセッティングは難しいので、案件が決まってからセッティングをする流れです。
その後は、プロジェクトや提案活動のスキルセットについての評価とは別に、少なくとも3カ月に1回はスナップショットというポジティブフィードバックをする機会があります。

それに加えて、半年に1回の評価タイミングの前後でのフィードバック、そして、その後のゴールセッティングも対面で行っているため、総合すると月に1回程度はコミュニケーションを取るのがスタンダードかなと思います。

━━ 目標はどのように、またどのような粒度で設定するのでしょうか。

PwC Japan全体のゴール、PwCコンサルティングのゴール、チームのゴール、個人のゴールを結びつけるという考え方をしています。

今期で言えば10項目程度の組織のゴールがある中で、そこに貢献できるような個人のゴールを3〜5項目ほど立てていくといった流れになります。

定量面はもちろんですが、単純に数値で表せない目標に至るまでのプロセスなど定性面の重要度が高まってきている背景もあるため、組織にどのようなインパクトをどう残すかという点をコーチと話すことも多いです。
プロジェクト内だけでなく、チームの採用やラーニングといった領域など、これまでにない取り組みにおいても加味するようになってきています。


絶対評価と相対評価のバランスで叶える納得感のある評価制度

━━ 評価についてはどのような構成で行われているのでしょうか。

定性的な評価と定量的な評価をそれぞれ行っています。

定性的なものは、PwCのプロフェッショナルに求められるAttitude(再現性のある行動特性)のコンピテンシーについて達成度を評価するもので、プロモーションや昇給に影響します。定量的なものはImpact評価と言われるもので、半年間でクライアントやチームに対しどれだけ成果を出したかを測るものです。

これらは連動するものの、明確に別物と捉えています。
今回はいまいちと思える成果が出たものの、環境が変わればよくなると判断されれば定性側の評価はつきやすい形になっていますね。定性側は絶対評価でつけ、定量側は相対評価になる点も特徴ですね。

━━ それらの評価はどのような流れで行われるのでしょうか。

まず、キャリアコーチが本人と会話をしながら1次評価のドラフトを作っていきます。
その後チームで1次評価のドラフトを持ち寄ってCareer Round Table(CRT)という評価会議で評価を定める流れです。

元々はプロジェクト評価をもとにダイレクトに評価を下していましたが、最近では、数字の実績だけでなく本人がどう成長したか、どうインパクトを与えたかという点を重要視するようになってきていますね。

各職位の人数枠は特に設けていないので、その人が職位にふさわしい水準まで成長しているのであればプロモーション(昇格)を絶対評価で決めていきます。

また、自己評価と他者評価の乖離が大きくならないように、評価の背景などは誠実に伝えるようにして、納得感を高めるようにしています。

━━ 少し観点が変わりますが、コンサル未経験でPwCコンサルティングに参画される場合、パフォームするか不安に思う方もいると思います。どのくらいの期間でコンサルタントとして立ち上がってほしい、つまり成果を出してほしいという期待はありますか。

PwCコンサルティングとして採用した方は、公正かつ高度な選考を経て、未経験者でも特定のポジションや案件で成果を上げられるだろうと判断したということですので、まずそこは安心してください。

その上で、成果の期待値をセットしたアサイン調整をします。期待値設定をする際には、キャリアコーチから本人のスキルや志向といったインプットをジョブ側が受け、その上でアサイン面談をします。そして面談の中で、今回のジョブでのあなたへの期待はこれですと明確に伝えます。

そういう意味で、やはり最初のジョブから成果を出してほしいと思っていますし、実際に成果を出してくれるメンバーが多いです。最初の成果は大きくなくても、そのメンバーに見合った成果をだしてくれれば良いと思っています。

━━ ありがとうございます。 最後に、今後PwCコンサルティングの選考を受けられる方に対して一言お願いいたします。

5年後に売上を現在の倍にすることを掲げていますが、人員を倍にするわけでなく、人員が1.5倍、1.6倍といった中での売上達成を目指しています。

そうするとビジネスモデル自体を進化させていくことが必要です。全社として、各チームとしてビジネスモデルの進化にあわせて人材の採用の幅を広げていっています。

実際、プロジェクトの進め方も大きく変わってきました。当社の特徴はコラボレーションであるとよく言っていますが、単独のチームで進めるプロジェクトはほとんどなくなってきており、縦、横、斜めの連携、つまりコラボレーションが前提となってきています。

昨今の複雑化したクライアントの課題に対応するためには、さまざまなバックグラウンドを持つ人々とのコラボレーションが不可欠です。いわゆるコンサルというような人材だけでなく、専門性の高い人も必要です。繰り返しになりますが、多様な人材との連携を通じて、大きな成果を出していきたいと考えています。

この考え方に共感し、アクションを取れる方にはぜひ来ていただきたいと思います。

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