【後編】マーケティング戦略で重要なコンセプトとカスタマージャーニーの事例、KPI計測を解説
前編では、マーケティング戦略の概要・予算配分の考え方を解説しました。
マーケティングプロセスの基本は、以下の通りです。
- リサーチ
- ターゲティング
- ブランドコンセプト
- 施策検討・実行
- KPI設計・分析
どの項目も重要ですが、特に「ブランドコンセプト」「KPI設計・分析」は、商材・サービスの売れ行きをダイレクトに左右する重大な項目です。
そこで後編では、「ブランドコンセプト」「KPI設計・分析」をピックアップして詳しく解説します。
マーケティング職に興味がある・キャリアアップを考えている方は、前編と合わせて参考にしてください。
>>【前編】マーケティングとは。戦略を立てる上で知っておきたいプロセスや予算設計を解説
ブランドコンセプト
ブランドコンセプトとは、「顧客にどのような価値を提供するのか」を言語化したものです。
ブランドコンセプトは、マーケティング全体で市場に打ち出すメッセージを定義する重要な項目です。
重要度が高いため、一般社員クラスが担当する機会は少なく、マーケティングのなかでも責任者クラスが検討します。
ブランドコンセプトの整理にあたっては、以下2種類の手法が活用されます。
- リボン型
- フレームワーク
ブランドコンセプト~リボン型~
リボン型は、中心に商材・サービスを配置し、左側にユーザーインサイト、右側にベネフィットを配置して整理する手法です。
ユーザーインサイト・ベネフィット双方を検討する際は、表層的な感情・利益ではなく、「ユーザーが何を考えているのか」を考えることが重要です。
ここでは、リボン型を用いて洗剤のマーケティング事例を考えてみます。
洗剤をマーケティングする場合、ユーザーインサイトは「手が荒れたくない」といった洗い物のシチュエーションをイメージします。
顧客の心情や現場をどれだけ理解しているかが、ユーザーインサイトの精度を左右するポイントです。
次に、ユーザーインサイトを踏まえてベネフィットを検討します。
ここでは、ファンクショナルベネフィットといわれる機能的価値と、エモーショナルベネフィットといわれる感情的な価値を整理していくのがポイントです。
「油汚れが落ちやすい」というファンクショナルベネフィット、「皿洗いする人の味方でいる」というエモーショナルベネフィットが考えられます。
このようにユーザーインサイト・ベネフィットを整理し、双方を掛け合わせることで最終的に企業が何をユーザーに提供できるのかを決定します。
その決定が、ブランドコンセプトを決める一つの材料となるのです。
ブランドコンセプト〜フレームワーク〜
フレームワークでは、以下6つの軸を構造的に整理した上でブランドコンセプトを選定します。
フレームワークで整理したものと、顧客が想像するサービスへの印象が一致すればするほど、ブランドイメージとして正しいものが作れているといえます。
まとめ: 企業側が「製品・サービスを通してどのような価値をもたせるのか」「顧客に何を届けるのか」を検討することがマーケティング戦略における上流工程で重要。 ブランドコンセプトは常に立ち戻るべき決定事項になるため、ドキュメント化した上でチームメンバーと共有しておくとよい。 |
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、「顧客が製品・サービスと出会い、そこから購入・契約に至るまでの道筋」のことです。
顧客の行動・感情を整理していくので、直訳すると「顧客の旅」となります。
具体的なカスタマージャーニーの運用方法
カスタマージャーニーの具体的な運用方法は以下の通りです。
- コンバージョン(CV)を明確にする
- カスタマージャーニーを2種類に絞る
コンバージョン(CV)を明確にする
カスタマージャーニーを運用するためには、まずコンバーション(CV)を明確にすることが大切です。
CVの具体例:
- クリック
- 申し込み
- 会員登録
- 購入
- 決済
カスタマージャーニーを正確に運用する上では、CVとしての最終目標を明確に定義する必要があります。
CVが曖昧な状態だと、一貫性がなかったり事業成長に直結しなかったりする可能性があるため、定義付けが非常に重要です。
カスタマージャーニーを2種類に絞る
カスタマージャーニーを運用する際は、2種類に絞るのが望ましいです。
カスタマージャーニーは認知したチャネル・特性によって、多種多様なユーザーが想定されます。
検討するカスタマージャーニーが増えてしまうと、優先事項が判断できなくなる恐れがあります。
これらの事態を避けるために、カスタマージャーニーを以下の2種類に絞るようにしてください。
①SNSを見て申し込むカスタマージャーニー | SNSを見て能動的にサービスに申し込んでくる顧客 |
②今後強化していきたいカスタマージャーニー | 自社のサービスをプロモーションして受注につなげたい顧客 |
上記2種類のカスタマージャーニーは特徴が大きく異なるため、宣伝・広告方法をそれぞれ精査して展開することが大切です。
カスタマージャーニーの具体的な事例
カスタマージャーニーへの理解をより深めるために、「夏の終わりに秋のファッションを眺めている20代女性」をペルソナにした具体的な事例を紹介します。
ペルソナに対して、最初に起こしたいアクションが「認知」です。
年齢・性別・興味に合わせたテーマでSNS広告を配信し、ブランドを認知してもらいます。
認知が成功すれば、興味関心・比較検討に移り、Webサイト・ECサイトを見に行くアクションが見られるようになるはずです。
興味関心・比較検討の時点では、当初よりも購買意欲は高まっているため、商品の詳細・レビューなどをチェックする動きが見られるようになります。
実際の購入に進んだユーザーに対しては「2点同時購入で20%引き」「3点購入で試供品プレゼント」といったコミュニケーションを取り、CVを後押しするのが効果的です。
そして、最後に行うのがファン化に向けた施策であり、リピート購入や周囲への宣伝を促すためのメルマガ配信・会員クーポンの配布などを行います。
以上の流れが、カスタマージャーニーの具体的な事例です。
KPI設計・分析とは
ブランドコンセプトに基づいて実際に施策を実行した後、最後に行うのが「KPI設計・分析」です。
デジタルによってPDCAを高速で回せるようになった現代では、KPI設計・検証をスピーディーに行うことが重要です。
KGIとKPIの関係
KPIは最終的なゴールとなるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を達成するために必要な数値目標です。
最終的なゴールとなるKGIは、具体的な数値目標と達成期限・時期が定義されている必要があります。
そしてKPIは、KGIを達成するために必要な数値目標が分解され、ツリー構造で表現されます。
具体例は以下の通りです。
例: KGIが「来月に売り上げ1億円を達成する」だった場合、KPIとしては購入者数・購入単価・解約率に分解できる |
KPIを要素に分解して「各指標がどれほどの水準になっていれば、KGIを達成できるのか」を検討することが大切です。
KPIの重要性
KPIの重要性は大きく以下の4つに分類されます。
- 施策の検討
- 施策の評価
- 施策の改善
- 組織内での共通認識
施策の検討
「分解した各KPIの数字を上げるためには、具体的にどのような施策が効果的か」を検討します。
上げたい数字と施策が対応するように設計しなければ、マーケティング予算を投下しても変化が起きないこともあり得るため、この検討は非常に重要です。
施策の評価
評価段階では、施策の結果を通じて、以下の要素を洗い出します。
- どのような効果があったか
- 目標数値に対して結果の数値はどうなのか
- 先週・先月・去年と比較してどうなのか
上記を客観的・定量的に洗い出して、施策の評価を行います。
施策の改善
評価に基づき、以下の対応を取ります。
- 数値が悪い場合:「どのKPIが悪いのか」「どのKPIが改善の余地が大きいのか」を分析する
- 数値がよい場合:KPIベースで成功要因を分析する
改善は基本的に数値が悪い場合のみ行いますが、よい成果が出せている場合にも分析が欠かせません。
組織内での共通認識
ビジネス・事業を推進する上では、組織が同じ方向に向かうための目標=KPIが求められます。
組織内の共通認識を醸成するツールとしても、KPIは不可欠です。
KPIがあることで、組織のなかで「どの数字を追うのか」「この数値が上がっているのでよい傾向だ」などの共通認識を持てます。
KPI計測手法・ツール
KPI分析によく使用される手法とツールは以下の3つです。
- NPS(Net Promoter Score)
- サーチリフト
- Google アナリティクス
NPS(Net Promoter Score)
NPS(Net Promoter Score)は、顧客ロイヤルティを数値化するための指標です。
顧客体験や満足度を評価できるため、サービス利用や購入後のユーザーにアンケート形式で依頼することが多い傾向です。
NPSでは、顧客に対して一つの質問を投げかけ、顧客は0〜10で回答します。
NPSから得られたフィードバックは、製品やサービスの改善点を明確にするのに役立ちます。
また、NPSは自社の製品やサービスを競合他社と比較し、市場での立ち位置を理解する上でも効果的です。
サーチリフト
サーチリフトは、「特定の広告キャンペーンがどれほど検索トラフィックの増加をもたらしたのか」を測定する手法です。
キャンペーン開始の前後で検索キーワード・クエリの量を比較して、キャンペーンが検索トラフィックに与えた影響を評価します。
サーチリフトからもたらされる結果は、広告キャンペーンの効果を理解し、将来のマーケティング戦略を最適化する上で重要です。
Google アナリティクス
Google アナリティクスは、Webサイトやアプリケーションにおける、トラフィックやユーザーの行動を分析するツールです。
Google アナリティクスを利用する主な目的は、Webサイトやアプリケーションのパフォーマンスを測定し、現状を理解することです。
高度な分析機能を提供しており、例えばコンバージョンパス分析を通じて、ユーザーがCV達成するまでに辿った経路を分析できます。
Google アナリティクスは、企業やマーケターにとって、ビジネス戦略を構築・最適化する際に非常に価値のあるデータを提供しています。
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