【前編】マーケティングとは。戦略を立てる上で知っておきたいプロセスや予算設計を解説
ビジネスシーンにおいて、相手が何を求めており、それに対してどのようなメッセージ・コミュニケーションを行うのかは非常に大切な要素です。
なかでもマーケティング担当者は、相手が求める物事を考えた上で戦略を立てることが、成果を出すためには欠かせません。
マーケティング戦略で用いる考え方・フレームワークは、多くのビジネスシーンで活用できるため、マーケティング専門職だけでなくさまざまな職種の方が理解しておく必要があります。
そこで本記事では、前後編にわたりマーケティングについて概要・戦略の考え方を解説します。
マーケティングを専門にしている方・興味があり挑戦したい方は、ぜひ参考にしてください。
マーケティングとは
マーケティングの定義を一言で表すと「顧客の欲求と満足を探り、創造・伝達・提供して、その成果として利益を得ること」です。
わかりやすい言葉でまとめると、以下の内容がマーケティングです。
- 販売を不要にする
- ニーズに応えて利益を上げる
- 市場を創造する
マーケティングのトレンド
近年は、マーケティングのチャネルが多様化しています。
なかでもデジタル広告の割合が非デジタルの予算を超えたことは、業界における大きな分岐点といえます。
多様化しているデジタル広告の例は、以下の通りです。
- MetaやInstagram、X(旧Twitter)などのSNS広告
- Google 広告
- インフルエンサー広告
- YouTubeやTVerなどの動画広告
一方で、非デジタルでもテレビCM・駅広告・紙媒体によるダイレクトメールなどは、頻繁に活用されています。
今後のマーケティング戦略では、デジタル・非デジタルを問わない多様なチャネルに対し、どのような戦略を策定して事業目標を達成していくのかを定めることが重要です。
マーケティングプロセスとは
マーケティングプロセスとは、「マーケティング活動における一連の流れ」を意味する単語です。
実務的には、事業目標・経営目標が決まり、それに対してのマーケティング予算が割り当てられた後に、マーケティングプロセスがスタートします。
5つのマーケティングプロセス
マーケティングプロセスはリサーチから始まり、以下の流れで進行します。
- リサーチ
- ターゲティング
- ブランドコンセプト
- 施策検討・実行
- KPI設計・分析
ここでは、各プロセスで行うことや重要性を解説します。
リサーチ
リサーチでは、アンケート調査・ユーザーへのインタビューなどを実施します。
広告代理店を挟む場合には、その代理店内にあるデータをもとに、ユーザーのマーケットサイズやターゲットの消費者行動を調査します。
ターゲティング
リサーチが完了すれば、次にターゲティングを行います。
市場のなかでどこをターゲットにするのかを考え、ターゲットのインサイト(消費者に対する深い理解や考察)を把握します。
ビジネス形態別でのターゲットは、以下の通りです。
ビジネスの形態 | ターゲット |
BtoC | 一般消費者 |
BtoB | 法人 |
BtoBtoC | 一般消費者・法人 |
ブランドコンセプト
ターゲットとなる企業や消費者に対しての深い理解に基づいて、ブランドコンセプトを選定します。
ブランドコンセプトは、「ターゲットに対してどのようなメッセージを打ち出していくのか」を決定する活動です。
このブランドコンセプトによって、その会社が打ち出すサービスの価値が定義されるため、マーケティングのなかでも重要度が高い項目となります。
施策検討・実行
ブランドコンセプトが固まれば、それを表現していくための具体的な施策の検討に入ります。
施策の検討段階では、各チャネルのマーケティング担当者に業務を分担して進めていく形が一般的です。
企業によって内実は変わりますが、例えばデジタル担当ならデジタルマーケティング関連・Webマーケティング関連の施策検討・実行が全て任されます。
また、マーケティング規模が大きい会社であれば、デジタルのなかでもSNS担当・SEO担当などとより詳細なチャネルで担当が分かれていることもあります。
KPI設計・分析
各チャネルで具体的な施策の実行をしたら、KPIのトラックを行います。
KPIをトラッキングすることで「検討したマーケティング戦略で効果が出たか」「どのような課題があるか」などを明確にし、改善策を検討します。
このように5つのステップを終えたら、再度リサーチ段階に戻ってPDCAを回していくのがマーケティングプロセスの全体像です。
マーケティングプロセスと主体の関係
マーケティングプロセスを理解する上では、各プロセスでどのようなプレイヤーが担っているのかを認識することが重要です。
事業会社内だけでマーケティングプロセスが完結する場合もありますが、マーケティングを支援会社に委託するケースも多々あります。
事業会社側・支援会社側の双方で担当するプレイヤーを理解しておくと、マーケティングの全体感が把握しやすくなります。
リサーチ | ターゲティング | ブランドコンセプト | 施策検討・実行 | KPI設計・分析 | |
事業会社 | 若手社員 | マネジメントクラスの意思決定者 | マネジメントクラスの意思決定者 | ・検討:マネジメントクラスの意思決定者 ・実行:メンバー(大規模な場合は責任者が担当する) | 若手社員 |
支援会社 | ・マーケティングリサーチ会社 ・Web広告の代理店 | 広告代理店のストラテジープランナー(サポート) | 広告代理店のストラテジープランナー(サポート) | 広告代理店が運用 | 広告代理店がレポーティング |
ターゲティングとブランドコンセプトについては、事業会社がメインで担当しつつ、広告代理店といった支援会社がサポートをします。
このようにマーケティングプロセス全体において、支援会社の助力も得ながら進めていくのが一般的です。
マーケティングは、一連の流れをいわゆる「PDCAサイクル」を用いて繰り返していくことになります。
マーケティングにおけるPDCAサイクルは、以下の通りです。
- P(Plan):リサーチ・ターゲティング
- D(Do):マーケティング施策の実行
- C(Check):KPI設計・分析
- A(Action):分析に基づき施策を高速で回す
上記の内容に基づいたPCDAサイクルを回して、より効果的なマーケティング戦略を展開します。
マーケティング予算配分
マーケティングの予算配分を考える際は、まず事業目標・経営目標を達成する道筋を検討した上で、全体の予算を導き出します。
全体予算が決まれば、予算をもとに以下の要素を検討します。
- マーケティングプロセスの手順
- 各チャネルの予算の投下量
- 各チャネルにおける戦略
全体予算・予算配分の決定は、マーケティング戦略の根幹となる項目であるため、マーケティングの責任者・マーケティング本部長が意思決定することが大半です。
予算投下キャパシティと投資生産性
予算を考える上では、以下の2点が重要です。
- 予算投下キャパシティ:どれだけの市場ポテンシャルがあるのか
- 投資生産性:投資をどの程度、どのくらいの期間で回収できるのか
特に1.では、投資的な妥当性を担保する期間を想定することが肝要です。
「マーケティングの投下先が最終的にどれだけのボリュームを生み出せるのか」を見極めることが、成功の鍵を握ります。
マーケティングの予算を考える具体例
マーケティングの予算を考える具体例として、スロットマシーンを用いて以下の4つのポイントを紹介します。
- 投資リターン見込み
- 投資制約
- テストマーケティング
- 投資回収期間
投資リターン見込み
具体例で想定するスロットマシーンの特徴は、以下の通りです。
① | 100円投入したら150円返ってくる |
② | 100円投入したら120円返ってくる |
③ | 100円投入したらいくら返ってくるか不明 |
この3台のスロットマシーンがある場合、大抵は投資リターン見込みの高い①に資金を投入する方が多いはずです。
しかし、マーケティングではそうはいかない場合が多々あります。
投資制約
多くのマーケティングでは、以下のような制約が課せられることがあります。
100万円の予算があるなかで ・①のスロットマシーンには30万円しか投資できない ・②のスロットマシーンには50万円しか投資できない |
上記の場合では、費用対効果を最大化するために、まずROI(Return On Investment:投資収益率)が高いところから優先的に投資し、全体のリターンを最大化する考え方を用います。
①+②=80万円しか投資できない状況では、20万円余ってしまい、ROIを最大化できません。
実際のマーケティングにおいては、予算に対し投下できる施策が足りていない状態を意味します。
テストマーケティング
③のスロットマシーンは、100円を投資した結果いくら返ってくるかがわかりません。
投資リターンがわからない場合は1台ずつ検証しなければならず、この検証のことをマーケティングでは「テストマーケティング」と呼びます。
特に「①のスロットマシーンには30万円しか投資できない」といった制約がある場合には、テストマーケティングの実施が有効です。
テストマーケティングを実施すれば、検証結果に基づいて全体の予算を最適に配分できたり、自分が投資できる先を増やしたりできます。
投資回収期間
実際のマーケティングでは「投資金額がどのくらいの期間で返ってくるか」も重要な指標です。
スロットマシーンで例えると以下の場合です。
①:100円投入すると1年後に150円返ってくる ②:100円投入すると1ヵ月後に120円返ってくる |
上記の場合、②のスロットマシーンに予算を投入し続けるほうが、効率よく結果を出せます。
マーケティングでは、リターンの金額と同時にリターンの時期も精査して、最も効率よく回収が見込める投資先を判断するのが肝要です。
予算配分で重要なCPO
マーケティングの予算配分で重要なのが、「CPO(Cost Per Order)」と呼ばれる概念です。
CPOは「1回受注するために、どのくらいのマーケティング予算投下が必要か」を表す指標です。
CPOが高ければ、1回の受注に多額の予算をかけたことを意味します。
予算の投下額が低ければCPOも低くなるため、マーケティング戦略の効果を判断する一つの材料となり得ます。
マーケティング担当者は、CPOを意識してプロセス全体を俯瞰しながら予算配分を行い、効率的に成果を出すことが重要です。
後編では、マーケティングのブランドコンセプトから解説いたします。
>>【後編】マーケティング戦略で重要なコンセプトとカスタマージャーニーの事例、KPI計測を解説
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