【後編】組織の成果最大化に向けた営業マネジメント。パイプライン管理や仕組み構築方法を解説
前編では、営業マネジメントに必要なスキルや営業マネージャーの役割を解説しました。
営業マネージャーが定量的・定性的な目標を設定すれば、営業組織として成果の最大化が期待できます。
また、営業マネジメントをする範囲の選択は、マネジメントする人数や組織の状況などを判断基準にするのが望ましいです。
次工程として、営業マネージャーが組織に属するメンバーの営業成績を上げる手法・営業管理の方法を具体的に把握する必要があります。
後編となる本記事では、成果を上げつつ、品質も担保された営業活動ができる組織にするために、営業マネージャーが取り組むべき内容を解説します。
>>【前編】営業マネジメントとは。営業マネージャーの役割や必要なスキルを解説
組織の営業成績担保で重要な「営業パイプライン管理」
営業マネージャーになると、組織に属する複数メンバーの営業成績を担保することが求められます。
営業成績の担保に用いる効果的な管理方法が、「営業パイプライン管理」です。
特にSalesforceは、営業パイプライン管理に適したツールとして普及しています。
営業パイプライン管理では、まず縦軸にセグメントを切り、横軸に営業プロセスとなる商談のフェーズを配置します。
営業パイプライン管理を行えば、メンバーの進捗状況・成果をわかりやすく可視化することが可能です。
営業パイプラインにおけるセグメント分け
縦軸のセグメントは、単価の高さの違い・成約率の違いで区切るのが一般的です。
縦軸のセグメントにおいて、区切り方の一例を紹介します。
- 修学旅行の営業:私立向け営業と公立向け営業で分ける
- 銀行における融資提案の営業:年商10億以上と年商10億未満で分ける
縦軸の切り方を検討する際には、単価の高さの違い・成約率の違いを基準としつつも、まずはマネージャー自身がよいと感じるターゲットでセグメント分けをするのがおすすめです。
一方の横軸には、以下の営業プロセスを配置します。
- アポ取り
- 初回商談
- 提案
- 見積もり
- 商談
- クロージング
開始(アポ取り)から終了(クロージング)までの一連の流れで記載することで、横軸の配置が完了します。
営業プロセスにおける進捗管理のポイント
営業パイプライン管理を行う際に重要となるポイントは、以下の2つです。
- 各プロセスが何%で次のフェーズに移行するかを把握する
- どの数字を増やさなければいけないのかをメンバーと合意する
各プロセスが何%で次のフェーズに移行するかを把握する
ポイントの一つ目は、各プロセスがどれぐらいの割合で次のフェーズに移行するかを明確にすることです。
営業パイプライン管理のなかで「何%の顧客がどのフェーズにいるか」がわかれば、最終的な成約数をある程度予測できます。
図の例では、アポ取りから初回面談で90%、初回商談から提案で80%、提案から見積もりで60%、見積もりから成約で40%です。
このように「各フェーズの脱落率」「次のフェーズへの移行率」を明確にすれば、営業プロセスのうちどこに改善の余地があるのかを導き出せます。
どの数字を増やさなければいけないのかをメンバーと合意する
脱落率や移行率を把握したら、次に増やすべき数値を明確にしなければなりません。
営業パイプライン管理を行うなかで、アポ取りや商談段階などのさまざまな数字(%)が「足りていない」「満たしていない」という状態になることがあります。
最終的な数値を上げるには、まず「どの数字を増加させるのか」を組織内のメンバーで合意を得ることが大切です。
一例として、営業パイプラインにおける課題別の改善策を紹介します。
課題 | 改善策 |
絶対値が不足している | 新規アポイントの数を増やす |
2つのターゲットセグメントにおいて、成約率が高いほうのセグメントが不足している | 成約率が高いターゲットセグメントのアポイントを優先的に取る |
さらに、一連の営業プロセスにおいて歩留まりが低いメンバーがいる場合には、営業パイプラインの図を可視化して助言すると、組織全体のパフォーマンスが向上します。
このように、企業全体として一定の営業成績を担保するためには、正しいターゲットセグメントの設定とフェーズ管理が避けられません。
既存の仕組みに紐づいて、各メンバーの現状を可視化することが大切です。
絶対値が不足している部分を明確にした上で、脱落率や移行率が低いメンバーには実力の改善を図って、組織全体の営業成果向上を目指してください。
なお、大企業では縦軸と横軸の設定が組織的に決まっているケースが多いですが、スタートアップ企業ではそもそも縦軸と横軸の管理がされていない場合もあります。
スタートアップのように営業パイプライン管理を一から行う場合には、縦軸は2つまで、横軸は5つまでに分解して整理するのが望ましいです。
最初は複雑になりすぎないよう、営業パイプライン管理で数字を整理するところから始めるようにしてください。
組織的な営業管理の仕組み構築
効果的な営業活動をするためには、組織的な営業管理の仕組みを構築する必要があります。
ここでいう仕組みとは、「クライアントからのクレームが入ったときに会社全体でどう対応するのか」や「会社のKPIとして毎月何日までに初回アポを7割まで充足させるか」といった決め事のことを指します。
ただし、この営業管理の仕組みや方針をメンバーに全てを事細かく浸透させるのは現実的ではありません。
そのため、「クレームが届いたら〇〇をする」「毎月10日までに初回アポを△件獲得する」のような合言葉を用意し、メンバーが理解できるよう促すことが重要です。
営業管理の仕組み構築の対象となるものは、主に以下の3点です。
- KPI管理
- 営業品質の担保
- リスク・クレームの報告
KPI管理
KPI(Key Performance Indicator)は営業成績を上げる上で重要な目標であり、営業メンバーが共通して意識する必要があります。
しかし、現実問題として毎月・四半期などの区切りでKPIを設定しても、達成できないメンバーが出てくるのは避けられません。
達成できるメンバーを増やすためには、区切りまでの段取りと中間ゴールを明確化することが重要です。
具体例は以下の通りです。
- 毎月10日までに、5割まで達成する
- 四半期目標の中間で、5億円の売り上げを作る
中間ゴールがあれば、メンバーのメリハリのある営業活動を期待できます。
営業品質の担保
営業成績を上げるためには、クライアントへの営業品質の担保が欠かせません。
そのため、営業品質の担保に向けた仕組みも構築する必要があります。
営業品質の担保はKPIの担保とは異なり、結果を出すための品質を担保する仕組みです。
営業品質を担保するための取り組み・仕組みの一例は、以下の通りです。
- 最終的なクロージングには必ず営業マネージャーの同席を必要とする
- 受注確度が低いと判断されたクライアントに対して、クロージングまでのストーリーをロールプレイしてから商談に臨むようにする
- 営業において急所となる部分に、マネージャーのチェックを入れる など
メンバーの営業活動に随時フォローを入れる仕組みを構築することで、営業品質の担保・向上が見込めます。
リスク・クレームの報告
営業品質を担保する仕組みを構築して営業活動を行うようにしても、リスク・クレームを完全に排除するのは不可能です。
そのため、万が一クレームが上がった場合にどのようなフローで対処するのかを、組織的に決めておく必要があります。
実際に顧客からのクレーム・不満が起きた場合に、マネジメント層が的確に確認できるレポートラインを構築しておくと、万が一の事態に対処できます。
ここで注意しておきたいのが、業務に慣れてきた組織では小さなクレームを報告せず、プレイヤーが勝手に対応してしまうことがある点です。
現場でクレームが解決してしまい、マネジメント層に報告が上がらない状態は、健全とはいえません。
問題が起きればすぐに報告する体制を整えるのも、営業マネジメントにおいて重要な要素です。
営業マネジメントと営業企画との連携の重要性
営業マネージャーは、営業企画と連携して営業成績を底上げしていくのも大切です。
企業によっては、営業マネージャーと営業企画を兼任していることもありますが、本来は役割が異なります。
ここでは、役割の違いと営業企画の業務について解説します。
営業企画と営業マネジメントの違い
営業マネージャーは、ある単一の組織を率いて営業成績を達成することを目的とした、マネジメントの度合いが強いポジションです。
一方で営業企画は、営業活動の効率化をサポートする取り組みが多い傾向にあります。
営業組織のマネジメントに注力するのが営業マネジメントで、全社的に営業へのサポートを行うのが営業企画といえます。
営業企画の役割
営業企画は、営業プロセスの効率化やミドルオフィスとして契約管理など、守りの要素を担当します。
効率化に向けた取り組みの事例は、以下の通りです。
業務効率化 | 内容 |
ドキュメンテーション | ・提案資料や契約書類の作成 ・社内向けの業務マニュアルの作成 |
デジタルトランスフォーメーション | ・顧客管理システムの導入や開発 ・電子決済や契約手続きの整備 |
市場動向調査 | ・顧客ターゲティング ・競合他社やトレンド分析 |
営業マネージャーは、上記の業務に取り組む営業企画と緊密に連携することで、全体的な営業パフォーマンスの底上げを目指せます。
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前後編を通じ、営業マネジメントについて解説してきました。
営業マネージャーは自身の営業スキル・経験を活用しつつも、戦略の考え方や仕組み構築のやり方といったマネジメント独自の観点を理解することが重要です。
組織内の営業メンバーを管理し、適切なサポートを行うためには、営業パイプライン管理で各フェーズの数字を読み取り、対応していくのが大切です。
営業マネジメントを担当されている方のなかには、マネジメントの難しさを感じているケースもあるかもしれません。
また、「今後のキャリアとして、営業マネージャーが自分に合っているのかどうか」に悩むこともあり得ます。
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ASSIGN
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