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【前編】営業マネジメントとは。営業マネージャーの役割や必要なスキルを解説

営業は企業が利益を得ることを目的として、顧客に商品やサービスを提案・紹介し、売買契約を取り付ける仕事です。

営業活動をプレイヤーが最大限に成果を出すためには、個々の努力だけではいずれ頭打ちとなります。

そこで重要となるのが「営業マネージャー」の存在です。

プレイヤーが最大限成果を出せるよう、営業マネージャーがさまざまな施策を実行することで、組織全体の成果が飛躍的に向上します。

しかし、営業マネージャーは必ずしもプレイヤーとして成果を出せていた人材が、そのままスライドできるポジションではありません。

営業マネジメントには当然ながら独自の特性や必要なスキルがあるため、それを理解しておくのが望ましいです。

そこで本記事では、営業マネジメント・マネージャーの役割や活躍するのに必要なスキルを解説します。

営業マネージャーとしてのスキルを磨きたい方、マネジメントポジションへのキャリアアップを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

営業マネジメントとは

営業マネジメントとは、複数人のプレイヤーで成り立つ営業組織を取りまとめ、組織全体の営業成果を向上させる業務のことです。

多くの企業では、営業プレイヤーとして秀でた成果を出した人材に営業マネジメントを任せる動きが見られます。

しかし、営業組織マネジメントをするにあたって、多くの営業マネージャーがつまずく点があります。

それが、「マネジメントではプレイヤーとして培ってきたスキルとは異なるスキルが求められる」点です。

営業マネジメントに必要なスキルを把握しないまま、営業組織を率いようとすると思うように成果が出せない可能性があります。

効果的な営業マネジメントをするために、まずは必要なマネジメントスキルを理解することが大切です。

営業マネジメントで欠かせない3つのスキル

効果的な営業マネジメントに欠かせないスキルは、以下の3つです。

  • 組織全体の目標を明確化
  • 適正なマネジメント範囲の設定
  • 自分の役割の再定義

組織全体の目標を明確化する

目標の明確化

まず、営業マネージャーは組織全体の目標と、自分のチームの目標を明確にすることが求められます。

目標は、定量的・定性的のどちらも設定されているのが理想です。

定量的・定性的な目標の例は以下の通りです。

定量的な目標・売り上げを昨対比130%の10億円まで上げる
・今四半期において新規の開拓数を30社実現する
定性的な目標・会社を代表するようなプレイヤーを育てる組織にする
・全てのメンバーが活躍できるような組織にする
・会社にとって新しい取り組みを率先する組織にする

ポイントは、定量的な目標では具体的な数値を目標とし、定性的な目標では大枠を捉えた中長期的な目標とする点です。

メンバーはわかりやすい定量的な目標=数値目標を達成することで、モチベーションアップや進捗の理解につながります。

短期的な数値目標の達成を重ねていくなかで、定性的な目標=中長期的な目標の達成を実感することが可能です。

適正なマネジメント範囲を設定する

適切なマネジメント範囲

2つ目は、自分や組織の特性を踏まえて、適切なマネジメント範囲(マネジメントする人数)を決めることです。

特に新任の営業マネージャーは、プレイングマネージャーと専任マネージャーの線引きを見極めることが肝要です。

プレイングマネージャーは、自身のプレイヤーとしての業務と部下マネジメントの両方を行う職務であり、一方の専任マネージャーはマネジメント業務に専念します。

プレイングマネージャーのマネジメント人数の平均は3〜5名であり、5名のマネジメントが限界だとされています。

また、営業の進捗・稼働具合でマネジメントできる人数に変動が出るのも特徴です。

一方で、専任マネージャーは最大12名をマネジメントすることが可能です。

「自分がマネージャーになることで、メンバーの売り上げをどれだけ増やせるか」「マネジメントするメンバーが何名いるのか」を考慮することで、自分のマネジメント範囲を適切に判断できます。

組織全体の視点で自分の役割を再定義する

組織の成果を最大化

プレイングマネージャーになるか・専任マネージャーになるかの選択では、「どちらのほうが組織全体の成長につながるのか」が決め手となります。

プレイングマネージャー・専任マネージャーそれぞれが適している場合の例は、以下の通りです。

・プレイングマネージャーが適している事例
組織内の営業に携わる人員が不足している場合→自分がプレイヤーを続けるほうが組織全体の成長につながる

・専任マネージャーが適している事例
プレイングマネージャーとしてほかのプレイヤーの2倍の結果を出せる方が、12名をマネジメントすることで全員の結果を2倍にできる場合→専任マネージャーになるほうが組織全体の成長につながる

理想の形態は、専任マネージャーとして成果が出せると判断できたタイミングで、プレイングマネージャーから専任マネージャーに移行することです。

例えば、営業成績がほかのメンバーの2倍である方が、マネージャーとして各メンバーの結果を1.2倍にできると仮定します。

この場合、10名をマネジメントできるようになった段階で、プレイヤーを続けるより専任マネージャーになるほうがよいと判断することが可能です。

ただ、実際には専任マネージャーを今すぐ育てなければならないケースや、短期的な売り上げやKPI(Key Performance Indicator)の下落を無視してマネジメントに取り組む場合など、さまざまな状況があります。

その時々の組織の状況に合わせながら、プレイングマネージャーと専任マネージャーのどちらを選択すべきかを判断することが重要です。

営業マネージャーの重要な役割:戦略立案方法

営業マネージャーの役割のなかでも重要なのが「戦略立案」です。

ここでは、その役割について解説します。

定量KPIを分解し、シンプルな戦略にする

シンプルな戦略室案

営業マネジメントでは、事業成長につながるような目標(定量KPI)を明確にした後、シンプルな戦略に落とし込む必要があります。

この目標(定量KPI)は、できる限りシンプルでわかりやすいものにすることが重要です。

広告営業を例にして、目標(定量KPI)の考え方を説明します。

課題目標(定量KPI)の考え方の例
広告単価が200万円であり、10億円の売り上げを目指す場合、5,000社のクライアント獲得が必要である200万円(固定値)×5,000社(積み上げ)=10億円(組織の合計売上)

上記のように、目標(定量KPI)をシンプルな数式に変換することで、取るべき戦略が明解になり、メンバーにも共通認識として浸透しやすくなります。

定量と定性をセットでメンバーへ伝達する

数式を用いた定量的な目標はわかりやすいものの、一方でメンバーが組織で働いている意義や役割を見出さなくなる恐れがあります。

定性目標の例:

  • 会社にとって新しい取り組みを率先する組織にする
  • お客様へのレスポンスをさらに早くする

定量的な目標だけでなく、定性的な目標もセットで伝えることが大切です。

営業マネージャーの重要な役割:メンバーとの信頼関係構築方法

営業マネージャーの重要な役割として、メンバーとの信頼関係構築があります。

多くの営業組織における共通点として、「メンバーは営業プレイヤーとして成果を出している人材の指示に従う」という傾向があります。

そのため、他社からヘッドハンティングした営業マネージャーであっても、まず自社内でプレイヤーとして営業成果を出してからマネジメント業務に移ることが望ましいです。

成果を上げている姿をメンバーが見ることで、素直にマネジメントを受けるスタンスが醸成されます。

また、メンバーとの信頼関係を構築する上では、プレイヤー本人の役割を伝え、期待・育成をするコミュニケーションがポイントです。

マネージャーとプレイヤーの相性を意識したマネジメント

営業マネージャーのキャリアパス

一般的に、営業マネージャーとプレイヤーでよい組み合わせが成立した場合に、信頼関係が構築しやすくなります。

マネージャーは、以下2つのタイプに分けられます。

  • スーパープレイヤー型:個人として結果を出すことに長けている
  • マネージャー型:組織の結果を最大化していることに長けている

よい信頼関係を構築する上では、スーパープレイヤー型の営業マネージャーは、自分と同じスーパープレイヤーになりうる人材のマネジメントを担当するのが望ましいです。

その理由は以下の通りです。

  • 伸びしろを感じる人材のほうが自身の理念・方法を伝えやすく、マネージャー自身のやる気が出やすい
  • スーパープレイヤー型の見込みがない部下は、マネジメントのやり方についていけず脱落してしまう恐れがある

一方、マネージャー型の営業マネージャーの場合は、メンバーのサポートに注力するタイプもいれば、ポテンシャルの高い人材をマネジメントしたいタイプもいます。

これらの方針に合うプレイヤーをマネジメントすると、よい信頼関係が構築でき、成果も上がりやすいです。

このようにマネージャーとプレイヤーの相性を踏まえ、どのように信頼関係を築いていくかを検討することが、営業組織のピープルマネジメントの第一歩といえます。

なお、多くの組織では、営業プレイヤーで成果を出している人材に営業マネージャーを任せる動きが散見されます。

しかし営業マネージャーは、成果を出したプレイヤー全員に対して、画一的に適応すべきキャリアパスとはいえません。

スーパープレイヤー型の人材によっては、マネジメントに不向きなケースがあることを理解しておく必要があります。

記事後編では、営業の組織マネジメントで欠かせない「営業パイプライン管理」からご紹介します。

>>【後編】組織の成果最大化に向けた営業マネジメント。パイプライン管理や仕組み構築方法を解説

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