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パーパス経営を掲げるEY特有の人事制度

右:EYパルテノン ストラテジー パートナー 早瀬 慶様
左:株式会社アサイン 取締役 奥井 亮


━━ まずご経歴について教えてください。

大学卒業後にまずスタートアップ企業に入りました。

IPOを経験した後、コンサルティング業界に移り、総合系ファームの1社に入社し、主に自動車業界を中心に経験を積みました。同業界でコンサルタントとしての差別化を求め、シェアリングエコノミーやテクノロジーの盛り上がりを想定し、商用車やBtoB領域のプレゼンスシフトを読み、専門性を先取り・確立していきました。

その後、別のコンサルティングファームに移籍し、戦略領域を担当するとともに、各セクターからエース人材を集め、モビリティの専門チームを設立しました。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社に入社した経緯としては、私の専門領域が商用車やBtoBビジネスから「移動を通じた社会課題解決や街づくり」に広がる中で、EYのパーパス(存在意義)である「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」との親和性を感じたからです。

また、海外案件実施中に、がん撲滅キャンペーンなどEYが主催する革新的なイベントや社会的な取り組みに触れ、当時日本国内でのプレゼンスはそこまで高くなかったのですが、コンサルティングファームとして非常に魅力を感じました。(早瀬様の プロフィールページはこちらから確認できます。)

━━ HR採用の責任者はいつから担っていますか。

入社して2か月後ぐらいからです。
プロジェクトドラゴンを推進するにあたり、EYにおいて採用のプライオリティは非常に高いです。

その中でスピード感を持って、様々な仕掛けをしていくために、他ファームの経験があり、かつビジネスサイドにいる私に白羽の矢が立ったのかと思います。

━━ 振り返ってみてHRの取り組みとして良かった、あるいは失敗だったと感じるものはありますか。

高い目標を設定していますが、いずれも結果は出ており、基本的にやってきたもので失敗だったなと思うものは無いです。EYの存在意義は単に企業の財務向上だけではなく、より良い社会を構築するというものです。

ここまで成功している背景としては、このパーパスに基づいて物事を進めている、もしくは他ファームとの違いをパーパスに基づいて訴求出来ているからだと思います。

━━ 一般的に上の立場であれば数字がつかなければ話にならないという意見もある中で、EYですと、パーパスに合っているものであれば、短期で利益が出なくても投資するという判断が度々出ると聞くので、それも1つの例ですね。

はい。例えば、半年で数億円の規模の効率化だけを求めたアウトソース案件と、1年で数百万円の社会貢献案件がある場合、EYは「Building a better working world」に則り、社会貢献性の高い後者を選択します。

現在私が取り組んでいる官民連携の地域価値向上プロジェクトもこの方針に基づいていますが、これは、ファームとしての事業性を見ない、ということではありません。評価の視点や重視するポイントによって、プロジェクトの価値の捉え方は大きく変わる、ということです。

初めに見える金額だけを基準に判断すると、プロジェクトの実質的価値は疑問視されるかもしれませんが、我々のKPIは単に短期の収益ではなく、長期的な社会への価値、またそこからバックキャストされた、直近の取り組み意義や効果を重視していますので、事業者や地域住民の満足度、社会へのポジティブな影響が最重要の指標となっています。もちろん、長期的な視点ではマネタイズも念頭に置いておりますが、短期的な利益追求よりも、社会価値の創出を優先しています。

━━ EYの場合、マネージャーからセールスの売上KPIがあると思います。社会創生の案件を受注していると売上はどうしても少なくなると思いますが、売上KPIに関してはどのように向き合っていますか。

前提として、必ずしも社会創生の案件が正ではありません。 既存の継続案件を狙っていきます、システム案件やりますという人がいてもいいと思っています。

一方で、1部門や1企業のプロジェクトではなく、また1ソリューションだけではなく、視座をあげていく、新しいことをやりたいという人がいても、もちろん良いです。そのため、EYではKPIの設定の仕方が違います。あるコンサルファームでは、マネージャー以上であれば、絶対評価のセールスターゲットで数億円となっているケースもありますが、EYでは「0」の人も存在します。

この「0」はほかのマネージャー以上が合意していなくては成り立たず、将来的な成果や、直接的な数字には表れないシナジー等の価値を重視した結果です。この「0」を選ぶ背景には、単なる個人の目標達成以上に、チームやファーム、業界や社会全体の利益を最優先に考えるというパーパスが根底にあります。

━━ これまでのコンサルティングファームは、個々のパートナーが独立して売上を積み上げ、結果的に全体の数字になっている印象が強かったですが、EY社は全体の方向性が重視されているように感じております。その点はいかがでしょうか。

考え方は、積み上げていくのか、先にゴールがあって、そこから逆算していくのかの2つだと思います。

EYの場合は、逆算で考えているのが特徴ですね。 我々は、時間軸においては「Long term」を重視しますし、目線に関しては、我々のパーパスである「Building a better working world」を中心に、社会全体を基盤として捉えます。

この大きな枠組みの中で、まず業界全体を視野に入れ、次に個別企業・組織、そして最終的には個人の役割と貢献を検討します。そのような背景があり、私たちは長期的な視点で戦略を立て、少なくとも3年間のゴールを明確にした上で、その1年ごとの施策を実行しますから「目標設定」が非常に重要になるわけで、コンサルタント1人1人が納得し、またメンバーの共通認識化することに時間をかけているのです。

コンサルタントを支えるバディ/カウンセラー制度

━━ 入社された方に対してどのような研修やアプローチをしていくのかという点について、文化面や現場感含めてお話いただけますか。

まずは、いわゆる入社時研修のようなものがありますが、コンサル経験者と未経験者によって内容は多少変わります。

未経験の方においては、新人研修に近いコンサル基礎研修があります。経験者の方は配属先や期待役割が明確に決まっているため、そのユニットやチームごとに特別な知識をインプットする研修が用意されることもあります。これらの研修では、業界の第一線で活動するコンサルタントから直接、最新の知識や経験、考え方を学べるのが特徴です。基礎研修やユニット専門研修以外にもMBAや修士号を取得可能な教育プログラムがあるのが特徴です。 ( 研修制度 / MBA制度 の詳細についてはこちらから確認できます。)

━━ 未経験の方からよく聞かれるのですが、アサインメントまでのサポートはどのようにしているのでしょうか。

基本的にはバディ制度やカウンセラー制度が軸としてあります。 アサインメントは、本人がこういうキャリアを形成していきたい、こういうプロジェクトをやってみたいという意見を吸い上げ、 また、チーム全体のアサイン状況や今までのトラックレコードなどに基づいて、「希望を叶えることが出来るプロジェクトは何か」を議論する少なくとも週1回のミーティングを通じて、常に最適アサインをしています。

実際のところ、EYはメンバーの意見を聞きすぎというぐらい聞いていて、ほぼ本人の意向に合うアサインになりますので、他のファームから入社してきた身からするとかなり驚く面も多いです。

━━ カウンセラーがキャリアの話などをして、バディは細かいオペレーショナルな部分をサポートするというイメージでしょうか。

そうですね。バディは日常業務のサポートから社内の案内まで、身近な相談役として関わり、極端に言えば、コピー機がどこにあるかといった問い合わせにも対応しますし、 カウンセラーはキャリアに関して、ご自身の課題解決状況や、直近のプロジェクトパフォーマンス、また1年~3年を通じた長期目線でのプロジェクト経験の提案などの話をします。 さらに、アサイン管理リーダーもおり、各メンバーの適正やキャリアビジョン、さらにはカウンセラーの意見を考慮して、最適な配置や計画を立てます。

━━ 意向に合わせすぎるとメンバーが足りなくなる案件が出てくる可能性も考えられますが、それでも成立しているのはなぜでしょうか。

その懸念には、2つの考え方があります。 1つ目は、そもそも誰も入りたがらない案件は取るべきでなく、いわゆる“面白い案件”を取るのがパートナーやマネージャーの役割であり責任であるという考え方です。

もう1つは、多種多様な案件を組成出来ている結果、仮に相対的に希望者が少ない案件であっても、積極的に関与したい人が必ずいる、という考え方です。例えば、別の案件に入っている場合でも、本人の希望があり、それによってクライアントにより良いパフォーマンスが提供できるのであれば人員の入れ替えするような柔軟なアサインメントをします。だからこそ、先ほど少し触れたような、最低週1でアサインメントを検討する全体ミーティングで、各人の希望はもちろん、案件状況やクライアントのニーズ等を把握・決定する必要があるのです。

コラボレーションが当たり前、の文化があるので、1つのチームだけで何とかするのではなく、チームを跨いで全社4,000人の状況を踏まえてアサインを考えていくイメージです。

綿密な目標設定と納得の行く評価制度

━━ 評価についてもどのように進めているのかお伺いしてもよろしいでしょうか。

評価の鍵は、先ほど話した目標設定です。ここにすごく時間をかけています。

例えば、スタッフ層であれば論理的思考力やクライアントコミュニケーション等の評価基準と具体的目標を設定し、皆で合意形成した上で、プロジェクト・ワークをスタートします。 ランク設定についても、成り行きの結果、昇格するのではなく、今期はこういうことを達成するために、ランクを上げる、そのために、このようなことを実施・実現するということを事前に設定し、それを上位者で共有した上で、その進捗や仕上がりをすべての上位者で見守り、サポートするというようなやり方になりますので、全員の合意のもと、ランクを上げる、という形です。

段階をスキップするような制度はほかのファームでもありますが、実際に、自身の領域を作り、社会に提供することを宣言し、一気にランクアップしたマネージャーや非常に若いパートナーが誕生しているのにはこのような背景がありますし、それが実際に適用・運用されているのがEYの特徴ではないでしょうか。

加えて、目標設定や最終評価が本人やカウンセラーだけではない、メンバー全員の合議であることも特徴です。一見時間がかかるように思えるかもしれませんが、常に皆が関わり、情報共有や本人フィードバックが実施されているため、最終評価でギャップが生まれることがなく、全員が納得しゴールに到達するため、結果的にスムーズに進むという構造です。

━━ 最後のアジェンダですが、今後のEYをどうしていきたいと考えていますか。

社会課題を解決することももちろん重要ですが、短期的に解決できることは多くありません。したがって我々は、それら社会課題を前提としながら、如何により良い社会を構築するか?がより大切だと考えています。

例えば、少子高齢化をどのように改善・解決するのかだけでなく、少子高齢化が進む前提の中で、より良い社会を作り上げるためには?と我々自身が公共交通、医療、地域経済、政策等のアジェンダを設定し、それに向けて現実的な解を作っていきます。難易度が高いため、様々な業界経験や得意分野・価値観を持った方にジョインしていただかないと、業界や社会に期待される推進スピードを担保出来ず、現実解に辿りつかないものです。

プロジェクトドラゴンの目標は、所属人員を増やすということでは決してありません。EYのパーパスである「Building a better working world」に基づき、我々自身が主体的に活動し、実際に各業界や社会を良くしていくことであると考えています。 経験者はもちろんですが、コンサル未経験であっても、このような強みがあり、EYにジョインすれば組織に化学反応を起こせる、や、クライアントや社会に貢献できる、等の志や視座の高い人には是非EYに興味を持っていただきたいです。



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