個人の特性を診断するDiSCとは。4タイプの特徴とツールの活用法を紹介
個人の性格や行動を診断するツール「DiSC(DiSC行動分析アセスメント)」。
DiSCを利用することで、自分の性格や行動原理への理解が深まり、自己分析の一助となります。
本記事では、DiSCが分類する4タイプの特徴や活用法について解説します。
DiSCが何か知りたい人や、DiSCを利用して自己理解を深めたい人はぜひ参考にしてください。
DiSCとは:個人の特性や行動を診断するツール
John Wiley & Sons社が開発したDiSC(DiSC行動分析アセスメント)は、人材育成や職場改善、自己理解のために使用される自己分析・診断ツールです。
日本では、HRD株式会社が日本語版開発権と国内総販売代理権を保持しています。
DiSCは、人々の動機・欲求を把握することで相互理解を深め、人間関係や効果的なコミュニケーションを向上させることを目的としています。
DiSCは、4つの主要なパーソナリティスタイルを示す頭文字です。
4スタイルの内容は、以下の通りです。
スタイル | 特徴 | 組織のなかでの立ち位置 |
Dominance (主導) | ・自信に満ち、決断力がある ・目標志向 ・競争的 ・短気なことがある ・リーダーシップの傾向 | ・明確な指示と方針を提供する ・課題解決を主導する ・目標を達成するためにエネルギーを注ぐ |
influence (感化) | ・社交的で人との関係を大切にする ・楽観的 ・コミュニケーション上手 ・新しいアイデアを提案する | ・チーム内の雰囲気を明るく保つ ・モチベーションを高める役割を果たす ・ネットワークを広げる |
Steadiness (安定) | ・協力的で調和を重視する ・忍耐強く安定感がある ・変化への適応が得意ではない ・チームプレイヤー | ・チームの調和を保つ ・緊張を和らげる ・安定した環境を提供する |
Conscientiousness (慎重) | ・論理的で詳細指向 ・精密さがあり、品質を追求する ・責任感が強い ・変化への抵抗があることがある | ・詳細な計画と手順を提供する ・正確な情報を提供する ・規則やルールを守る |
上記のパーソナリティスタイルは、必ずしも1つの要素だけが突出するとは限りません。
人によっては、2つないし3つの要素が突出することもあります。
なお、DiSCのスタイルはどのような結果にもよし悪しはなく、各人のコミュニケーションの特性を理解できるものです。
DiSCで分類される4スタイルの特徴
DiSCで分類される4スタイルには、それぞれに得意なコミュニケーションと苦手なコミュニケーションがあります。
ここでは、4スタイルの特徴について解説します。
D:Dominance(主導)
Dスタイルの人は志気や意志が強く、成果に向かって奮闘できるエネルギッシュさがあります。
常に新しいチャレンジや可能性を求め、たとえ目的の達成に障害があっても、ものともせず行動できるのが強みです。
また、やるべきことに対して実直に向き合い、約束を必ず果たそうとする姿勢は、組織のなかで尊敬されます。
ただし、結果を重視する傾向が強いがゆえに、時折ほかの人に厳しい要求をしたり、せっかちになったりすることがあります。
得意なコミュニケーション
Dスタイルの人が得意なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 明確で直接的な表現・アプローチ
- 具体的な目標や計画の共有
- リーダーシップの発揮
- 簡潔で要点を得た報告 など
Dスタイルの人は、コミュニケーションの内容が具体的・直接的・明瞭であるものを得意としています。
苦手なコミュニケーション
Dスタイルの人が苦手なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 端的でない、長々としたコミュニケーション
- 雑談
- 他人の気持ちを汲み取った発言
- とりとめのない愚痴 など
「結論」が明瞭ではないコミュニケーションは、ストレスを感じやすい傾向です。
また、他者の気持ちをおもんぱかるコミュニケーションも苦手としています。
i:influence(感化)
iスタイルの人は、熱意がありながらも楽観的な考え方ができるのが特徴です。
初対面の人に対してもフレンドリーで、誰よりも積極的にやりとりをします。
自分の意見や感情をポジティブに表現し、他者の意見も受け入れることが多いため、組織内の士気を高めるのが得意です。
ただ、コミュニケーションに積極的である分、パーソナルな空間・時間を大事にする人や、アイデアをじっくり練りたい人とは思うようにやりとりできないことがあります。
得意なコミュニケーション
iスタイルの人が得意なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 雑談
- ストーリー性が高く、興味が湧くようなトーク
- 他人の称賛
- ビジネスにおける営業・商談 など
他人とつながることに喜びを感じるiスタイルの人は、初対面をはじめさまざまな人とのコミュニケーションを好みます。
また、部下や同僚に対して称賛する行為も得意です。
苦手なコミュニケーション
iスタイルの人が苦手なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 他者への叱責・批判
- 製品説明のような詳細な話 など
iスタイルの人は、組織のなかで「悪役」になることを恐れるため、部下やメンバーへの叱責を嫌う傾向があります。
また、盛り上がりに欠け、個人のパーソナリティに依拠しない説明や解説などは、興味が持てない傾向です。
参考:職場環境にバランスとエネルギーをもたらす i スタイル|DiSC®
S:Steadiness(安定)
Sスタイルの人は、他人をサポートするために自分の欲求を抑えられる献身さがあるのが特徴です。
組織のなかでは協力的かつ安定感のある姿勢を取り、周囲の人々との調和を大切にします。
また、チーム内で優れたメンバーになろうとする意志が強く、チームが成功するための努力を惜しみません。
一方で、チームの和を乱す人とのコミュニケーションや、ガイドラインが明確でない物事に取り組むことは苦手です。
特に、他人との衝突には強いストレスを感じる傾向があります。
得意なコミュニケーション
Sスタイルの人が得意なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 悩み・愚痴などの相談を聞く
- 根拠のある具体的な話 など
Sスタイルの人は、他人の気持ちに寄り添い親身に話を聞けるため、頼りにされる存在です。
また、ルールやガイドラインの把握に熱心であり、傾聴力や正確性に優れています。
苦手なコミュニケーション
Sスタイルの人が苦手なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 抽象的で信ぴょう性にかける話
- 都市伝説やオカルト
- 無計画で突発的な飲み会・旅行 など
具体性や信ぴょう性に欠ける話には、疑い深くなる傾向があります。
また、変化を嫌う傾向があるため、計画性のない行動にはあまり乗り気になりません。
C:Conscientiousness(慎重)
Cスタイルの人は、物事を分析し論理的に考えるのが特徴です。
質の高い成果を生むために、全てにおいて正確さや精密さを重視する完璧主義者の一面も見られます。
客観的な事実に基づいた論理的な判断を好むため、時間をかけて行う細かな作業や綿密な分析に長けています。
チーム内では間違いを起こすことは少なく、円滑に仕事を進めるためであればメンバーへの説得・追及・叱責などもためらいません。
さらに、チーム内で論理や事実が無視された行動・言動が見られた際には、怒りが湧いてくることもあります。
ただ、自分が間違えたときは自責の念に駆られることもあり、第三者からは行動が遅いと捉えられることもあります。
得意なコミュニケーション
Cスタイルの人が得意なコミュニケーションは、以下の通りです。
- プレゼンテーション
- 会議での報告
- 理路整然な説得
- 的確なアドバイス など
事実を淡々と述べて、データに基づいた提案ができるので、会議や売上報告などの場で活躍できます。
また、他者の間違いを論理的に指摘して是正できる力もあるため、チーム内の秩序を保つ存在として重宝されます。
苦手なコミュニケーション
Cスタイルの人が苦手なコミュニケーションは、以下の通りです。
- 感情に訴えかける
- 意見・結論がまとまっていない相談
- 直感的な返答
データや資料がなく、感情だけで押し切ろうとするコミュニケーションは苦手です。
また、根拠と自信のある理論や提案に対して他者からの批判があると、聞く耳を持たないこともあります。
参考:正確さと実際的な解決策をチームにもたらす C スタイル|DiSC®
日本人はDiSCのどのタイプが多いのか
日本人には、「Steadiness」と「Conscientiousness」の要素が多い傾向があります。
島国かつ平野の狭い地域で生活を送ってきた日本人は、協力・調和・同調を求められる文化が醸成されてきました。
そのため、周囲との調和を重んじて争いを好まない要素がある「Steadiness」との関連性が高いと考えられます。
また、日本文化はリスクを避けて失敗を糾弾する慣習が強いのも特徴です。
このことから、正確さや品質へのこだわり、計画的な取り組みを重視する「Conscientiousness」との関連性を高めていると考えられます。
ただし、上記はあくまで傾向であり、全ての日本人に該当するわけではありません。
人々はさまざまな要素を持ち合わせており、DiSCの診断自体も個人の多様性を理解するために作られたものです。
DiSCの結果を絶対的なものとして捉えないようにしてください。
DiSCの活用シーン
DiSC行動分析アセスメントは、さまざまなシーンで活用できます。
ここでは、どのようなシーンで活用できるかを解説します。
組織内のコミュニケーションの改善
DiSCを使用すれば、組織内におけるメンバーのコミュニケーションスタイルや好みなどを理解できます。
各メンバーの傾向を把握できれば、業務内で適切なコミュニケーションアプローチを検討することが可能です。
適切なアプローチを実行することで、メンバー間の無用な軋轢や誤解を減少させられます。
DiSCを活用したアプローチについて、一例を紹介します。
・「I(Influence)」の人は、社交的で外向的な傾向があるため、対話や対面での会議を重視する ・「C(Conscientiousness)」の人は、詳細や正確さを重視するため、書面によるコミュニケーションを好む |
上記のように、スタイルごとに得意・重視するコミュニケーションを洗い出して、適切なアプローチを検討すると、組織内の効果的なコミュニケーションにつながります。
組織内のチームビルディング
組織内には、4タイプの人材が混ざり合って存在しています。
DiSCを通して各メンバーの行動スタイルや特性を診断すれば、各々の得意・不得意が明確になり、お互いの理解が深まります。
それぞれの強みを活かせるチーム編成や業務の割り振りをすることで、多様性を活かしたチームワーク構築を実現可能です。
リーダーシップ開発
チームにはリーダーシップを持つリーダーの存在が不可欠です。
リーダーは、組織の目標を達成するためにチームメンバーを統率・指導する役割を果たします。
リーダー自身がDiSCを使用して自分のパーソナリティや行動特性を理解することで、部下やチームメンバーに与える印象を理解できます。
また、リーダーが部下の特徴を理解するためにDiSCを使用し、関係構築や指導スタイルの調整に役立てることも可能です。
さらに、自分がリーダーを任命する立場・職位の場合は、リーダーの選定にDiSCを使用し候補者を絞り込むこともできます。
リーダーシップ要素を持つ「Dominance」の人をリーダーとして任命すれば、まとまりのあるチームが実現するかもしれません。
自己理解
DiSCは自分の行動スタイルやパーソナリティ特性を理解し、自己認識を深める手助けとなるツールです。
DiSCで診断することで、自身の適性や価値観を把握できます。
自身の適性・価値観が明確になれば、将来的なキャリアや転職先の方向性を決めるときにも役立ちます。
DiSCを活用することで転職活動がスムーズに
自分のキャリアや転職の方向性を検討する際にも、DiSCを活用可能です。
DiSCの結果を通じて、自分が適性のある職務や環境、得意・不得意がはっきりします。
例えば、「Conscientiousness」タイプの人が向いている職種は以下の通りです。
- 投資アナリスト
- プログラマー
- データサイエンティスト など
DiSCは、自分視点だけでは気づきにくい客観的なデータ・情報を明確にするツールです。
客観的なデータを取り入れることで、自分が認識できていなかった職種への適性が判明できるかもしれません。
ぜひ、キャリア・転職先を選ぶ際にDiSCを活用することも検討してみてください。
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