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ベイカレント・コンサルティングが導入するワンプール制とは

近年、コンサルティング業界でのトレンドとして「ワンプール制」の組織形態を採用しているコンサルティングファームが多くなってきていることが挙げられる。

ワンプール制とは

従来の大手コンサルティングファームでは業界(インダストリー)とソリューション(戦略・業務・IT)のチームから成る「マトリクス型組織」「チーム制」が主流であった。製造業チームや戦略チームという形で、業界やソリューションに特化したコンサルタントが所属することとなる。高度な経営課題の解決を求めるクライアントにとっては、業界・ソリューションのエキスパートからの支援を受けることができるため、BIG4・アクセンチュアを始めとする大規模な総合コンサルティングファームでは現在に至るまで採用されている形態である。

一方で、ワンプール制とは、全ての職位のコンサルタント(アナリストからパートナーまで)が同部署に所属する組織形態のことを指し、例えば金融業界向けのプロジェクトに従事した後に、インフラ業界のプロジェクトにアサインメントされる、業務案件の後に戦略案件にアサインされるといった様に、社内で柔軟に携われる業界やテーマを経験することができる。日系のファームを中心に現在拡大しているファームでは、このワンプール制が採用されている形態が多い。

ワンプール制におけるキャリアパス

ワンプール制では、金融業界向けのみの案件、IT案件のみという形ではなく、業界やソリューションに囚われずに、様々なクライアント・テーマに携わることが可能であるため、具体的に取り組みたいドメインやテーマが決まっていない場合、実際の案件を複数経験しながら、自身が高めたい専門性のテーマを除々に絞っていくことができる。

実際に、コンサルティング業務未経験の事業会社出身の若手層がワンプール制のファームを第二のキャリアで選択する理由として、上記メリットに基づき、「若手のうちのキャリアでは特定領域に囚われず、コンサルタントのベーススキルを身に付け、より幅広い視点での経験を積んでいきたい」という考えが決め手になるケースも多い。

また、近年では他業界での成功事例を自業界に展開するロールイン案件や、業界を跨いでコラボレーションを行いながら進行させるクロスインダストリー案件も多い。サステナビリティ案件においては、業界に囚われることなく、ベンチマークとして先進的な成功事例をクライアント企業に適応させていくことが求められ、スマートシティ案件では、民間事業者も然ることながら、自治体や教育機関など様々なステークホルダーと業務を円滑に進めていくことが求められる、といった具合である。その為、今後の社会のトレンドに沿ったキャリアを構築したいと考える場合は、案件の選り好みをするよりかは、様々な業界でプロジェクト経験を積んでいることがキャリア戦略上優位に働くケースも多いと考えられる。

ワンプール制と言っても専門性が全く付かないという訳では無い。確かに若手のうちは、携わる業界とテーマの繋がりが見えづらく、専門性が付かないと感じる人も多いように思える。アナリスト・コンサルタントの間は、コンサルタントとしてのベーススキル(具体的には資料作成やステークホルダーマネジメント、プロジェクト推進力等)を高め、プロジェクトの実行支援(デリバリ)力が主に求められる為、業界を絞った支援経験やITスキルなど、分かりやすい経験やスキルがある方が良いと考える人が一定数いることも確かである。また、コンサルティングファームで数年経験を積んだ後にすぐに事業会社に転職したいようなケースを考えると、事業会社の業務と親和性のある案件のみを経験する方が、スムーズにキャリアを構築しやすいという点は否めない。

しかし、職位が上がるにつれて、クライアント企業へのプロジェクト提案活動にもウェイトが置かれ、特にマネージャー以上の職位になれば、顧客の事業活動における全体像の理解や、現場レベルでの業務理解、更には業界全体のトレンドだけでなく、他業界から好事例を展開する等、高度な知見と視座が求められることとなる。その際に、特定の業界の知見のみに裏付けされた提案や、パッケージに基づいた効率化された上での業務経験ではなく、多角的な視点で事業を捉えて提案することが、真の意味でクライアントの課題解決に繋がるという考えが、クライアントとなる事業会社に除々に求められ始めていることも事実である。ワンプール制のファームが業界内でプレゼンスを高めているのはこういった背景があり、老舗ファームからワンプール制ファームに切り替える事業会社があることも珍しくはなくなってきた。

代表的なファーム

近年、国内で急速にプレゼンスを高めている、ベイカレント・コンサルティングが代表的な事例である。2006年12月の商号変更以降、2016年9月に東証マザーズ(当時)に上場、その約2年後に東証一部(当時)に上場。全社・事業戦略からグローバリゼーション、M&A戦略の経営上流プロジェクトからバリューチェーン改革、IT戦略など業務・ITプロジェクトにも強みを有している。従業員数が3,600人(2023年4月時点)と規模が大きく、近年ではSX(サステナビリティトランスフォーメーション)領域の案件も積極的に獲得している。

また、新興ファームの中でワンプール制を採用するファームの成長が多く見られる。従業員数約700名(2023年3月時点)のDirbatoや230名(2023年4月時点)のライズコンサルティングが代表的な中規模ファームから、ノースサンドやRegrit Partnersなど少人数精鋭のファームなどが挙げられる。前述のファームにおいても、IT戦略やDX化支援など、各領域で経験豊富な経営陣が強みとするテーマから案件を広げたり、大手ファームでは行えない規模の案件を獲得したりしながら、自社の事業成長に繋げている。

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