対面面接とオンライン面接の成功ポイント ―ハイクラス人材が押さえておくべき準備と立ち居振る舞い―
寄稿エージェント:越川 潤也
ここ数年で、採用活動の形式は大きく変化しました。一次・二次はオンラインで実施し、最終のみ対面、といった「ハイブリッド面接」が今では一般的です。候補者様には、どちらの形式でも自分の魅力を過不足なく伝える準備が求められます。
特にハイクラス層の転職活動では、面接は「スキルの確認」だけでなく「信頼に足るリーダーであるか」を測る場でもあります。企業が見ているのは、候補者様の実績はもちろんですが、それ以上に「一緒に未来を描ける人物か」「顧客や部下の前に安心して立たせられるか」です。
私は日々、キャリア支援の立場から候補者様をサポートするだけでなく、現役の面接官として実際に選考に立ち会っています。その中で感じるのは、「面接は準備の質で勝負が決まる」ということです。本稿では、そうした実体験も交えながら、対面とオンラインの両面接で成果を高めるための具体策を詳しく解説いたします。
面接に臨むうえでの基本姿勢
面接で重視されるのは大きく分けて 「話す内容」 と 「伝え方」 の二軸です。
内容ばかりに意識が向きがちですが、伝え方が拙ければ魅力は半減してしまいます。
(1) 話す内容
候補者様が必ず整理しておきたいのは以下の3点です。
- 経験:どのような環境で、どんな成果を積み重ねてきたか。
- 強み:その成果を支えたスキルや特性は何か。
- 再現性:新しい組織でも成果を再現できるのか。
ここで大切なのは「抽象→具体」の流れです。
「課題解決力があります」だけでは説得力に欠けます。
「既存顧客の売上が頭打ちだったため、顧客群を4つに分類し、それぞれに合わせた提案を行った結果、前年比140%を達成しました」と具体的な工夫と成果を添えることで、信ぴょう性と安心感が生まれます。
また、言葉選びは必ず「自分事」として語ることが大切です。「会社として〜しました」ではなく、「私自身がこう考え、このように行動しました」と主語を明確にすることで、再現性の評価につながります。
(2) 話し方
内容と同等、もしくはそれ以上に印象を左右するのが「伝え方」です。
心理学で有名な「メラビアンの法則」では、人が相手から受ける印象のうち 視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7% で構成されると言われています。つまり、話す内容そのもの以上に「表情や姿勢」「声の抑揚」「話すテンポ」が評価を左右するのです。
候補者様に特に意識していただきたいのは以下です。
- 表情:口角を上げ、自然な笑顔を意識
- 声:少し大きめに、はきはきと抑揚をつけて話す
- 姿勢:背筋を伸ばし、軽く前傾する程度が誠実に見える
- 切れ味:語尾を曖昧にせず言い切る
- 口癖:「えー」「あのー」を減らすだけで格段に印象が良くなる
この「内容」と「伝え方」の両輪を磨くことが、信頼される候補者様に近づく最短ルートです。
対面面接でのポイント
(1) 身だしなみと清潔感
第一印象は数十秒で決まると言われます。スーツは紺・グレーなど落ち着いた色が安心です。ネクタイは無地や控えめなストライプなどを推奨します。派手すぎる色柄は避けましょう。男性は髪を整え、髭は必ず剃る。女性はジャケット+ブラウスを基本に、リクルートスーツではなく社会人らしい落ち着いた装いを選ぶのが望ましいです。
靴の磨き、爪や手の清潔さ、書類の持ち方なども意外と見られます。こうした細部に気を配ることで「仕事にも丁寧に向き合える方」という印象を与えます。
(2) 入室から退室までの所作
入室は3回ノックが基本。ドアを開けたら笑顔で「失礼いたします」と挨拶し、背筋を伸ばして入室します。椅子には「どうぞ」と促されてから腰掛けるのがマナーです。
退室時は椅子を静かに戻し、最後まで相手に会釈して退出します。ドアは音を立てずに閉めること。こうした細部の動作が、候補者様の人柄を映し出します。
また、面接会場には最低でも10分前には到着しておくことをおすすめします。直前到着は慌ただしく見え、余裕のなさが伝わってしまいます。受付を済ませ、会場の雰囲気に慣れる時間を持つことで落ち着いて面接に臨めます。
(3) アイコンタクトと姿勢
役員や経営層が同席する場では特に、相手の目を見て落ち着いた口調で話すことが信頼につながります。背筋を伸ばし、適度に前傾する姿勢は誠実さと意欲を伝えます。
(4) 書類の扱い方
履歴書や職務経歴書を持参する場合は、折れや汚れのない状態で用意し、封筒から出して手渡すのが望ましいです。小さな配慮が候補者様の印象を大きく左右します。
オンライン面接でのポイント
オンライン面接では「環境整備」が前提条件です。面接官は無意識のうちに背景や通信の安定性から候補者様の「準備力」や「誠実さ」を判断します。
(1) 背景
- 白や無地の壁が理想
- バーチャル背景やカジュアルすぎる部屋は避ける
- 書類や私物など不要物は片付ける
(2) 照明
- 顔の正面から光を当てる(逆光は表情が暗く映る)
- 室内全体を一定以上明るく保つ
- リングライトやスタンドライトを活用すると表情がより鮮明に伝わる
(3) 通信環境
- 可能であれば有線LANを使用
- Wi-Fiの場合は事前に速度チェックを行う
- バックアップとしてスマートフォンのテザリングを準備しておく
(4) カメラ・音声
- カメラは必ず目線の高さに合わせる
- 話す際は画面ではなくカメラを見て、相手の目を見て話している印象を与える
- マイクは口元に近づけ、はきはきと明瞭に話す
- 相槌は声に出して「はい」「承知しました」と伝える
(5) トラブル対応 + 入室マナー
接続が切れた場合は落ち着いて再接続を試み、それでも難しい場合はメールや電話で「ただいま復旧を試みております」と一報を入れることが望ましいです。誠実さが伝わります。
また、面接用のURLには開始の3分前までに入室しておくことが望ましいです。直前にアクセスすると通信不良が起きた際に修正の時間がなくなります。少し早めに入室して待機している姿勢は「準備力」と「誠実さ」の表れでもあります。
よくある失敗例と工夫ポイント
- 結論が見えない/話が長くなってしまう
前置きが長くなると、何を伝えたいのかがぼやけてしまいます。
工夫ポイント: 「結論 → 理由 → 具体例」の順で構成し、1つの回答は30〜60秒程度にまとめましょう。簡潔に話すことで、伝えたいことがより明確になります。 - オンラインで熱意が伝わりにくい
画面越しは表情や声の熱量が伝わりづらいものです。
工夫ポイント: 表情をいつもより明るくし、声のトーンを少し高めに調整すると、熱意がしっかりと伝わります。 - 緊張しすぎる/逆にリラックスしすぎる
あまりに緊張して表情がこわばったり、逆にリラックスしすぎてカジュアルすぎる印象を与えてしまうのは要注意です。
工夫ポイント: 面接前に深呼吸をして気持ちを落ち着け、冒頭で「本日はお時間をいただきありがとうございます」と丁寧に始めると、程よい緊張感と誠実さを両立できます。
原稿を読み上げてしまう
細かいメモを読みながら話していると、目線で自然と分かってしまいますし、印象も硬くなりがちです。
工夫ポイント: メモはキーワードのみに絞り、何度も練習を重ねて自然に話せる状態にしておきましょう。
面接官が注目している点
私自身が面接を実施させていただく中で強く感じるのは、以下の観点が合否を分けているということです。
- お人柄:意思決定の一貫性、素直さ、利他性
- 仕事姿勢:当事者意識、困難をやり抜く力、高い目標設定力
- 能力面:コミュニケーション力、思考力、巻き込み力
逆に懸念が残るのは以下のケースです。
- 回答が抽象的すぎる
- 自分の責任ではなく環境要因に理由を求める
- 謙虚さがなく、学びの姿勢が感じられない
候補者様には、必ず「具体的なエピソード」と「自分の行動」で語っていただきたいと考えています。
まとめ
面接は「企業が候補者様を選ぶ場」であると同時に「候補者様が企業を選ぶ場」でもあります。だからこそ、相手に誠実さと信頼感を届けることが何より重要です。
対面面接では、清潔感や所作といった基本動作が評価を大きく左右します。オンライン面接では、背景・照明・通信といった環境整備と、声・表情・視線といった非言語的要素が鍵を握ります。
私自身、これまで数多くの候補者様をサポートし、同時に面接を実施させていただく立場として多くの場に立ち会ってきました。その経験から断言できるのは、「準備の質が候補者様の自信を生み、その自信が面接官の安心感につながる」ということです。
キャリアの大事な節目に挑む候補者様には、ぜひ周到な準備と自己理解をもとに、自信を持って面接に臨んでいただきたいと思います。そして必要であれば、専門性を持つキャリアパートナーを頼っていただければ幸いです。
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