コンサルファームが導入するケース面接とは
コンサルティングファームの面接を突破するにあたって必要になってくるケース面接。今回はそもそもケース面接とは何か、どのような点が評価されるのかについて解説していきたい。
コンサルティングファームがケース面接を実施する背景
コンサルティングファームがケース面接を実施する目的は、応募者の複数のスキルを総合的に評価することである。ケース面接は、実際のビジネス状況を模倣した問題を通じて、応募者の問題解決能力、分析力、コミュニケーション能力を検証することができる。
まず、問題解決能力はコンサルタントにとって非常に重要なスキルであり、クライアントが抱える課題を効果的に解決できるかどうかを見極めるために評価される。ケース面接では、応募者は与えられた情報をもとに、論理的かつ効率的なアプローチで問題に取り組むことが求められる。
次に、分析力は情報を整理し、適切な判断材料として活用する能力を測るために評価される。応募者は、多くのデータや情報を効果的に分析し、要点を抽出して、解決策を導き出す力を持っているかを示すことが求められる。
また、コミュニケーション力はクライアントやチームメンバーと円滑にコミュニケーションを取り、アイデアや提案を適切に伝える能力を評価するために重要である。ケース面接では、応募者が明確で簡潔な言葉で自分の考えを伝えられるかどうかがチェックされる。
さらに、ケース面接では、応募者のタイムマネジメント能力やプレッシャーに対する対処能力も試される。面接の時間制限内に問題を解決し、適切な結論に達することが求められるため、効率的に作業を進め、緊張感のある状況下でも冷静に判断できるかどうかが判断材料となる。
ケース面接は、これらの多様なスキルを総合的に評価する手段として、コンサルティングファームによって広く採用されている。実際の仕事においても、これらのスキルがクライアント企業の課題解決や業務改善に寄与するため、ケース面接はコンサルタント候補の選定において重要な役割を果たしているのである。
実際にコンサルティングワークをやったことがない方でも、クライアントとディスカッションをしているイメージが湧くか、そのビジネスパートナーとしてのポテンシャルがあるか、といった観点で面接をしている。
ケース面接の種類
ケース面接は大きく2つに分けることができ、フェルミ推定とビジネスケースに分けることができる。それぞれ解説していこう。
まずフェルミ推定とは、実際に調査することが難しい数量などを最低限の情報、知識で論理的に概算する手法となる。名前の由来はエンリコ・フェルミという物理学者が考案した手法に基づいている。フェルミ推定では、限られた情報やビジネスセンスをもとに、問題の解答や量的推定値を求めることが目的である。
コンサルティングファームの面接において、フェルミ推定は応募者の論理的思考力や問題解決能力を評価するために利用される。具体的には、応募者に対して様々な背景情報が与えられず、一見解答が難しそうな問題が出題される。このような状況で、応募者は既知の情報や常識、経験を活用して、問題を分解し、推定値や解答に近づくプロセスを提示することが求められる。
フェルミ推定の評価ポイントは、正確な答えを導き出すことではなく、問題解決のプロセスや論理的思考の展開が重視される。そのため、面接官は応募者の推論過程や根拠に着目し、分析力や問題解決能力を評価するのである。
この手法を採用する理由は、実際のコンサルティング業務においても、情報が不完全であったり、明確な答えが存在しない問題に対処することが多いからである。フェルミ推定を用いた面接は、応募者が不確実性に対処し、限られた情報をもとに適切な判断や推定ができるかどうかを確認するための効果的な評価方法であると言える。
あくまでも一例だが、以下のようなお題が出されることが多く、考える時間は5~10分と非常に短いことが多い。
フェルミ推定のテーマ例
・カフェ1店舗の1日の売上を推定せよ
・日本のサッカーの競技人口を推定せよ
・東京23区内にある駅の数はいくつあるか
・メガネの市場規模を推定せよ
もう1つはビジネスケースであり、ビジネスケースとは、実在する、もしくは架空の企業の経営課題に対して提言を行う、実際のビジネス状況を模した問題を解決することが目的である。この手法は、応募者の問題解決能力、分析力、コミュニケーション力、創造性、チームワークなど、コンサルタントに求められるさまざまなスキルを総合的に評価することを目指している。
ビジネスケース面接では、応募者に対して架空の企業や組織が抱える課題が提示され、その課題を解決するためのアプローチや戦略を考え、面接官に対して提案することが求められる。この過程で、応募者は与えられた情報を整理し、仮説を立て、データ分析や市場調査を行い、最終的な解決策を導き出すことが期待される。
ビジネスケース面接の評価ポイントは、フェルミ推定と類似するが、正確な答えを導き出すことではなく、問題解決のプロセスや論理的思考の展開が重視される。また、応募者が明確で簡潔な言葉で自分の考えを伝えられるかどうかも評価される。さらに、面接官は応募者の創造性や新たなアイデアを持ち寄る能力、チームで協力して問題解決に取り組む態度などもチェックする。
お題に対して、仮説・筋道を立てることは求められるが、自分1人だけでなく、面接官への質問やディスカッションを通じて、自分の考えを深めることができればOKとなる。面接官に質問してはいけない、と思い込んでしまっている人がたまにいるが、コンサルティングワークはチームで進めるため、前提や情報をヒアリングする姿勢はむしろポジティブに受け取ってもらえる。
ビジネスケースのテーマ例
・現職の経営層に何か提案するとしたら、何を課題提起するか
・現職で営業されているクライアントにおける一番の課題は何か
・ある大手自動車メーカーA社で事業戦略を所管する役員からある相談を受けた。競合他社B社が来年度新商品販売を予定しており、A社の主力製品とバッティングする可能性が高い。この1カ月間で対抗するための戦略を練りたいと相談を受けた、どう提案するか
評価ポイント
次に評価ポイントについて見ていきたい、主要なものを3つ取り上げてみたい。
コミュニケーション能力(ディスカッションできているか)
明確さと簡潔さ
応募者が自分の意見やアイデアを明確かつ簡潔に伝える能力は、クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションにおいて極めて重要である。応募者は、複雑な問題やアプローチをシンプルに説明し、聞き手に理解しやすい形で伝えることができるかを評価される。
ケース面接に限った話ではないが、面接で結論ファーストで回答する、質問と回答がズレない、といった観点では非常に重要なため、この点は評価項目に含まれている。
質問への適切な回答
面接官が質問をすることで、応募者の考え方や理解度を確認してくる。転職者は、質問に対して適切で具体的な回答を提供し、必要に応じて自分のアイデアやアプローチを説明することが求められる。
結論から答えられていたとしても、話の具体性が上がっていかないと良い評価には繋がらない。ケース面接はそもそも抽象度の高いテーマが設定されていることが多いため、質問のラリーを深めていくにあたり、具体化していく言語化能力が問われる。
ケース面接はプレゼンテーションの場ではなく、コミュニケーションの場なので、どんなに綺麗に分解して伝えたとしても、面接官を置いてけぼりにしてしまうと評価は得られない。ある程度説明が終わったタイミングで「ここまで問題ないでしょうか」といった振り返りの時間を取るのも効果的だ。
論理的思考能力
ケース面接における論理的思考力は、候補者が情報を整理し、分析し、適切な結論に達する能力を評価するための重要な要素である。まず、面接官は候補者が問題を理解し、それに対する明確な解決策を提案することができるかを見る。これは問題解決能力の根幹をなす論理的思考の基本的な部分である。
次に、様々な情報や視点を統合し、関連性を見つけ、全体像を把握する能力が評価される。これにより、候補者が複雑な状況や問題でも論理的に判断し、適切な行動を取れるかが見られる。
例えば、ロジックツリーを使って課題を構造的に分解したり、その分解において各要素がMECE(モレなくダブりなく)になっているかどうか、は重要な観点の1つである。
ケース面接の中で課題を解決していくことが求められるが、課題設定が緩いと全体が成立しないため、網羅的に検討しつつ、急所となる課題設定を固めることができるかどうかは勝負の分かれ目になることが多い。
ビジネスセンス
ケース面接では、候補者がビジネス観点で問題を理解し、解決する能力がある判断されている。この視点は、企業の成長、利益向上、リスク管理など、ビジネスの目標達成に必要な観点を持っているかどうかが重要となる。
面接官は候補者が市場環境、競争状況、顧客ニーズなど、ビジネスのコンテクストを理解し、それを解決策の策定に反映できるかを見ている。具体的には現実的な数字が置けているか、ペルソナを想定できているか、など一定の現実性があることが求められる。
また、新聞やニュースで出てくるようなトレンドや各業界の基本的なビジネスモデルを押さえることができるかどうかも見られているため、日頃から情報をインプットしていることが重要になる。
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