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【株式会社リブ・コンサルティング 西口氏/横山氏インタビュー】自動車業界・エネルギー業界の潮流と、先を見据えるリブ・コンサルティングの取り組み(前編)

中央:株式会社リブ・コンサルティング モビリティインダストリーグループ ディレクター 西口 恒一郎 様
右:株式会社リブ・コンサルティング モビリティインダストリーグループ マネージャー 横山 賢治 様
左:株式会社アサインエージェント事業部 グループマネージャー 長谷川 翔

これまでのキャリアと現在

―― まずは、キャリアについてお聞きします。「もともと何をされていて、なぜ現職を選ばれたのか」「現職で行っていることは何か」など、お話いただければと思います。

西口様:

前職は、採用や人事組織系のコンサルティングならびにアウトソーシングを行っている企業でクライアント先に常駐し、採用プロジェクトのBM、人事制度や給与制度の改定などを行っていました。

リブ・コンサルティングに移ったのが30歳のときです。

転職の背景としては、常駐先のクライアントと仲良くなりHR・人事組織以外の相談をいただく機会が増えた中で、当時の私はHR専門であったため対応が難しく、コンサルタント業への機会損失につながっているという思いを持ったことです。

私の理想像は、HR・人事組織がメインでありつつも、もう少し幅広く企業の成長に対して伴走できるコンサルタントです。この理想像を目指すために転職活動をしたところ、株式会社リブ・コンサルティングを見つけ、入社を決意しました。

現職では丸8年経ち、一貫してモビリティ業界に従事しています。

最初の4年ほどは、主にカーディーラー全般に経営コンサルティングやマーケティング、セールス領域などの支援を中心にやっていました。

直近の4年は、事業開発が主な業務で、現在はモビリティインダストリーグループ内のクロスモビリティ事業部の責任者を務めています。

横山様:

前職では、大手電機メーカーにて7年間、本部・事業企画と法人営業をしていました。

しかし、メーカーの立場では「商品ありきでの営業しかできない」「お客様から商品以外の相談を受けても、それに対するソリューションを提供できない」といったジレンマを抱えていたのです。

このジレンマを解決するため転職活動を始め、コンサルティングファームへの転職が第1希望だった私はリブ・コンサルティングと縁があり、入社を決めました。

入社後は西口と同じで、まずカーディーラーの経営コンサルティングに従事していました。

現在はモビリティやエネルギーの事業開発を西口と一緒に進めており、事業活動チームのマネージャーを務めています。

―― ありがとうございます。数多くあるコンサルタント企業のなかで、御社に決められた理由は何ですか。

西口様:

大きく2点ございます。

1点目は、テーマ特化型のコンサルティングではなくて、その企業に対して包括的に幅広いテーマで支援できる会社であった点。

2点目は、自ら事業を作っていきたい思いがあったので、弊社ではコンサルタント兼事業リーダーという立場で事業作りに携われる点が大きなポイントでしたね。

横山様:

1点目は、弊社の「100年後の世界をよくする会社」というミッションと、そこに紐づく活動に共感が持てた点です。

人事担当者との面談で「忙しい時期があること」「大変な仕事があること」を嘘偽りなく伝えてくれた点も好印象でした。

また、株式会社リブ・コンサルティング自体がまだまだベンチャー企業であり、活躍次第では事業開発に携わることができ、早くからプロジェクトリーダーになれる点も魅力的でした。

―― 御社が持つ軸は2軸で、一つは「クライアントの経営に伴走していくなかで、規模の大きな客層も支えている点」。もう一つが「社内の事業を作っていく段階に携われる点」で相違はございませんか。

横山様:

アプローチの仕方や入社時期によって、多少の違いはあります。

ただ、基本的な会社の在り方や目指す道という点に関しては相違ないと思います。

―― ありがとうございます。お二人とも入社と同時にモビリティの領域に参画されていますが、それは何か理由があるのですか。

西口様:

私はモビリティに執着していたわけではありません。

私の希望している働き方が実現できるのであれば、モビリティであろうがそれ以外の事業部であろうが問題ありませんでした。

一方で横山さんは、モビリティが第1志望ではなかったですよね。

横山様:

そうですね。「今まで関わってきた業界を改善したい」という思いがあり当初は製造業が希望でしたが、さまざまな事業フェーズがあるなかでモビリティに配属されました。

しかし、今はやりたいことができていると感じています。

モビリティ分野における自動車産業に区切っても、自動車産業のビジネスには多くの人々が関わっています。

その分インパクトが大きく、ほかの産業と比較しても大きな規模感に触れられる点がやりがいとしてありますね。

今はモビリティ分野にエネルギー分野も入ってきて、両者がほかのさまざまな産業を支えていく形ができつつあります。

モビリティは、インフラビジネスの一つだと理解しています。

日本の基幹産業・インフラにアプローチができている点にも、やりがいを持って取り組めています。

―― 実際に御社は、モビリティ以外にさまざまなインダストリーに対してサービスを展開されていると思います。

お二人はモビリティと全く違った業界に異動してみたいと考えたことはありませんでしたか。

西口様:

一口にモビリティといっても、相当広い領域があります。

横山と私の場合、まずモビリティにおいて自動車、自動車のなかでも販売を中心に携わり、次に川上と呼ばれる製造に従事しました。

また、モビリティ領域における自動車以外でいえば、公共交通の鉄道やバス、タクシーも該当しますね。

さらに近年は、商社などの他業界でもモビリティ分野を設けて事業をしていることもあり、領域が徐々に広がっている印象です。

モビリティ領域を長く担当していますが、やっていること自体は次々と変わってきているので、1年以上同じ業務をしているイメージはありません。

―― 確かに多くのコンサルタントとお会いするなかで、一つのインダストリーで閉じたくない方も一定数いらっしゃいます。そのような状況で、お二人がモビリティ領域に長く熱中できる要因をお聞きしてみたかったので、今のお話は大変ありがたく感じました。

西口様:

我々のインダストリーでは、モビリティ関連の企業はもちろん、電機メーカーやIT、SIer、商社や金融会社など多種多様な企業の事業を担当しています。

このようにバラエティー豊かな業界で、かつ取り扱うプロジェクトテーマも毎回異なるため、仕事に対して常に新鮮な気持ちでいられますね。

横山様:

影響力の大きい業界に関わりながら働けているので、知的好奇心も満たされ、熱心に仕事に取り組めています。

自動車業界・モビリティ業界の潮流と、変化するトレンドに対応するコンサルタント

―― 次に質問させていただきたいのが、モビリティ業界の変化です。今まさに変化のさなかにあると思いますが、コンサルタントとしてどのように対応されているのでしょうか。

西口様:

自動車業界なかで起きた最大のトレンドは「CASE(※)」であり、CASEの改良をどうしていくのか考えなければなりません。

※CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動化)、Shared & Services(シェアリング)、Electric(電動化)を指す造語で、自動車産業の動向を象徴するキーワード

私たちがEV事業などに携わる前は、MaaS(Mobility as a Service)の事業ベースを行っていました。

そこで一番影響力があったのは、CASEのなかでも「シェアリング」です。

これまでのいわゆる「所有」ではなく、「利用」というモデルを広げていく事業活動を行っていました。

しかし、近年のトレンドは、明確に「E(Electric)」です。

自動車のなかでいくと、やはりEVシフトがトレンドなので、この変化に対するビジネスが今我々のメインになっています。

だからこそ、これまでのモビリティ業界のプレイヤーだけに対するコンサルティングでは足りません。

エネルギー業界などさまざまな新規参入に対応するために、ターゲットになる企業や関係者の幅も広くなっています。

―― さまざまな変化が起きているなかで、モビリティやエネルギー領域の会社はどういった経営課題を挙げていますか。

西口様:

これまで自動車の供給源がガソリンであったものが、EV化によってエネルギーに変わります。

それによって、充電やエネルギーを補給する場所がガソリンスタンドから自宅や公共施設などへ移っていきます。

場所が変われば、今度は「エネルギーを最適化する」という事象が発生します。

モビリティ側としては、電気を最適化したり、安価にエネルギー補給をしたりする方法を検討する必要が出てくるはずです。

一方でエネルギー企業側は、今までの電力使用量から使用量が大きく増えることが想定されます。

一般のご自宅でいうと、現状4人家族で約5,000kwhの電気を使用している場合、これが2,000kwhほど増える事態が発生します。

そうなったときに、お客様に提供するサービスや内容が異なる点を検討しなければなりません。

結局「E」もしくは「EVC(※)」で捉えたときに、モビリティ関連の企業はエネルギーに対する知見やノウハウがないことが課題です。

※EVC:電気をエネルギーとするモビリティを充電すること

これまではモビリティのことだけを考えていればよかったのが、エネルギーのことも考える必要があります。

一方でエネルギー関連の企業は、エネルギーだけでなくモビリティに関しても一緒に考えていかなければなりません。

この両方の課題が出てきているところが、一番大きいポイントであろうと思います。

―― モビリティ業界もしくはエネルギー業界の方々から、よくある案件や相談事項なども教えていただけますか。

西口様:

具体例で言えば、モビリティを販売するときにエネルギーをセットで提案しなければならない点が課題としてあります。

家でEVを充電する場合、日中の使用時間を避けた夜間に充電するのが一般的です。

電力会社によっては特定の時間帯で安くなるプランもあるので、そもそもモビリティを販売するときに電力エネルギーをセットで提案する必要があります。

「モビリティとエネルギーをどのように最適化し提供していくのか」がディーラーやリース会社も含め、現に検討されています。

一方、エネルギー会社は「バッテリーに電気を貯める機能をどのように獲得していくか」が課題です。

また、電気を貯めるデバイスとしてEVが使えないかも、電力会社と一緒に検討していくことになると思います。

横山様:

関連した事例をもう一つ挙げるとすれば、大手モビリティメーカーとの案件です。

今後モビリティが電動化していく際に、バッテリーには資産価値が生まれてきます。

バッテリーの価値をどう最大化していくのか、二次利用やマルチユースの観点で事業開発をしていくプロジェクトを支援しています。

本プロジェクトでは「モビリティを使っていない時間帯のバッテリーが持つ電源価値をどう活用するのか」が今後の課題です。

バッテリーを効率よく利用できるためのビジネスモデルの構築と、検証のためのPoCプロジェクトを行っています。

さらにエネルギー業界の事例で言えば、電力会社の経営事情を踏まえたとき、火力から再生可能エネルギーへ転換する必要性が高い点も課題です。

原子力発電所が稼働していない現状では、火力発電で多くをまかない、その分CO2を大量に排出しています。

それらを解決すべく、火力発電を太陽光発電・水力発電・風力発電などの再生可能エネルギーに切り替えていかなければなりません。

しかし、発電した電力は貯蔵ができないため、発電した分は使ってしまわなければいけないというデメリットがあります。

再生可能エネルギーは使わない分まで生産することがあり、残った分を捨ててしまっています。

今後再生可能エネルギーの比率が上がっていく場合、「どこかに電力を貯蔵する機能を持つこと」が必須になってくるのです。

一つの可能性として、EVで使われた少し劣化した蓄電池を、貯蔵用に転用できないか検討されています。

ここで大切になってくるのが「バッテリー(蓄電池)をどこからどういう形で回収してくるか」「どれぐらいの価格で回収していけば、経済性として合うのか」です。

そこで弊社は、回収方法のモデリングや回収するためのアライアンスの構築に踏み出しました。

今年の1月には、ある電力会社が技術会社とアライアンス構想を発表されましたが、実はそこに弊社も関与しています。

―― ありがとうございます。ステークホルダーの数が非常に多い印象を受けるのですが、それゆえに意識しなければならないことはありますか。

西口様:

おっしゃる通りで、自動車産業・電力市場・エネルギー市場のいずれも、日本の基幹産業で大きな市場です。

それゆえに、各会社がどのような会社と組めばよいかも分からないですし、もっというと各領域が競合になる可能性も否めません。

自社の弱みを把握した上で、それを補ってくれるパートナー企業が見つからないと悩むケースが非常に多く見られます。

そのなかで、モビリティやエネルギーに知見のある弊社と議論させていただくのは、意義があると思います。

また、最近は「リブ・コンサルティングさんはどう思いますか」などと意見を聞かれることが増えた印象です。

もともとコンサルタントの位置づけは、クライアントワークでした。

しかしここ数年は、コンサルティング会社が実現したい未来像・ビジョンを発信することが重要になっています。

そして、発信した未来像に共感してくれるようなプレイヤーやステークホルダーを巻き込んでいく流れにシフトしていますね。

さまざまなステークホルダーが存在するなかで、どのように正しい方向へ導いていくのかを検討することが重要なのだと思います。

―― ありがとうございます。次の章では、御社の実績・知見をお伺いしていきます。

【中編につづく】

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