【ベイカレント・コンサルティング 則武氏インタビュー】戦略から実行まで。理想とするコンサルタントの姿を目指して(前編)
奥井:
はじめに則武様ご自身についてお伺いしたいと思います。簡単にご経歴を伺えますか。
則武様:
京都大学で大学院まで建築学を学び、新卒でシステムエンジニア(SE)として外資系SIerに就職しました。
そこでは、4年ほど半導体メーカー向けの生産管理システムを担当していました。その後、29歳のときにBCGに転身し、7年弱在籍した後、ベイカレントに参画したという流れです。
奥井:
建築学を学ばれたにも関わらず、IT業界に進まれたということですが、どのような理由でIT業界に進まれたのでしょうか。
則武様:
これから企業が経営をする上でITが欠かせない時代がやって来るぞと思ったことですね。
ITのスキルをどこであれば身につけられるのだろうかと考えたときに、ITコンサルタントという道もありましたが、まずはしっかり技術を身につけたいと思い、SEになろうと決めました。
日本の企業だと自分は息苦しく感じてしまうのではないかと思い、外資系に絞って選考をいくつか受け、一番フィット感があったSIerに就職しました。
奥井:
そこから戦略ファームであるBCGに転身されたきっかけのようなものはどのようなものだったのですか。
則武様:
SEとして3年目を迎えた頃、一通りの経験を積むことができ、システム構築の全体感をつかめたと感じ始めました。次のステップとして、もともとキャリアの選択肢としていたITコンサルティングに進むことも考えました。しかし当時、より一層ビジネスや経営全体のコンサルティングへの関心が高まっていたということもあり、思い切って戦略コンサルティングにキャリアチェンジを図りました。
BCGは風土も自分に合っていましたし、ちょうどファーム自体がどんどん成長していく時期でもあり、それに合わせて自分も成長できる環境だと思い、入社しました。
奥井:
SEから戦略コンサルタントというのは大きなキャリアチェンジだと思いますが、その中でのブレイクスルーのようなものは何かありましたか。
則武様:
最初はとても苦労しました。SEの頃よりも、スピード感がすべてにおいて段違いでしたし、クライアントに対しても社内に対しても高度なコミュニケーション力が必要とされました。半年くらいはクビになるのではと思うほどパフォームしませんでした。
しかし、与えられたイシューに対して歯を食いしばってやりきる経験を重ねる中で、スピードとコミュニケーションの課題をクリアし、結果的には通常よりも早くアソシエイトからコンサルタントにプロモーションできました。
コンサルタントになるとCxO層と直接やり取りする機会が増え、CxOの方々の視座や想いが、それまで接してきた本部長・部長クラスの方とは全然違うということを強く感じました。更にプロジェクトリーダーになってからはCEOとのやり取りも増え、これまたCxOとは全く違う視座で考えていることを実感しました。CEOやCxOに向き合っていく中で、自分の視座も高くなったというのが大きなブレイクスルーだったかなと思います。
奥井:
BCGからベイカレントに移られた理由はどのようなものだったのでしょうか。
則武様:
一番の理由は、プリンシパルに昇進し、パートナーへのプロモーションに向けた準備を進める中で、もっとデリバリー(※受注したプロジェクトを進めていくこと)に軸足を置きたいと思ったことです。デリバリー自体が好きでしたし、コンサルタントを極めたいという想いが強く、そうなるためにはまだまだ経験が足りないと思っていました。パートナーになると仕事の中心がセールスになっていきます。私としては、自分が理想とするコンサルティングを追究し、新しいコンサルタント像を形にしていきたいという想いがありましたが、それはBCGから求められていることではないと感じ、別の環境に身を置くことを考え始めました。
その中でもベイカレントを選んだのは、コンサルタントを極めること、自分が理想とするコンサルタントになることを叶えられる環境だと思ったからです。
使い古された言葉ではありますが、本当の意味で戦略の頭から最後の実行までを支援できるコンサルタント、これが私の考えている理想のコンサルタントです。
戦略から実行まで支援すると謳っているファームは多くありますが、ほとんどの場合は実行支援が実行管理に留まってしまっているか、戦略と実行を別の組織・チームが役割分担してリレーのような形になっているケースが多いと思います。私はそうではなく、一人のコンサルタントが戦略から実行まですべて関わるのが理想だと思っていましたし、今でも思っています。例えば、CEOと戦略を立て、その戦略を自らも汗をかいて実行し、その中で出てきた現場の声をCEOまで上げて再び戦略を練る。こういったスタイルが自分の得意な形であり、これを極めていきたいと思っていました。
ベイカレントでは決まったコンサルタントの型というものが無かったので、こういったスタイルを作っていけると思いました。
また、ベイカレントが日本に本社機能があるコンサルファーム、つまり、グローバルファームの一拠点では無いというのも大きな理由でした。外資系ファームでは、本社-支社(拠点)という構造上、国内の意思決定権限にどうしても制約がかかってしまうことがあります。ベイカレントにはその構造上の制約が無いため、自分たちの意思に基づき裁量をもって、真にクライアントのためになるコンサルティングサービスの形を実現していけると考えました。
奥井:
ベイカレントに参画してからのギャップは何かありましたか。
則武様:
まず、社員の人柄・人格が優れているということを感じました。一人ひとりのコミュニケーション能力が高いということもあると思いますが、いわゆる“いい奴”が多いと感じましたね。人として好かれるというのは、クライアントと会社を変えていく上では不可欠な要素ですので嬉しいギャップでした。
また、会社として変わっていくスピード感にも驚きました。BCGに移ったときもスピード感の違いに驚きましたが、それを上回る環境があるのかと感じたことを覚えています。
あとは、人材のポテンシャルを引き出すのが上手だなというのもありましたね。ちょっと背伸びをするくらいのチャレンジを競争環境の中でさせて、成長を促すことが上手というのも良いギャップでした。各々のミッションをバチッと決め、そこに向かっての厳しいコーチングと温かいフォローのバランスが良い。 これらは、今でもベイカレントの主な強みです。
奥井 亮 ❘ Ryo Okui
取締役
総合系コンサルティングファームに入社し、ITから戦略まで幅広い案件を経験。大手金融・流通業界を中心として支援。 その後、マーケティングリサーチ企業を経て、アサインを共同設立。 コンサルファームやSIer出身者の転職を中心として若手からミドル層に対する支援を幅広く手掛ける。 現在は、コンサル業界においてパートナーファームからの戦略的に重要な案件に対するヘッドハンターとしても活動。