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【EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 忽那氏インタビュー】SIer出身の知見を活かし、社会を変革するビジネスを─(後編)

SIer出身者のEYでの成長プロセス

奥井
EYの中で、IT知見を持つITコンサルタント・SIer出身者がどういう成長を歩んでいるか教えてください。

忽那
大きく3つのステップがあります。まず1つ目は、「コンサル業務に慣れる」こと。お客様に何が刺さるのか、どう動いていくべきかを考えて動く。2つ目のステップとして「自分のサービスを確立する」こと。自分の専門性、売れるところを明確にしていく。3つ目のステップが「チームを作る」こと。「一緒に働きたいです!」 というスタッフ、マネージャと一緒になってお客様に向かっていく。やっていることやパーパスが明確だったら、それに共感する人たちがついてきますよね。

SIerの出身者だからといって、仕事に制限はありません。そこは本当に勘違いされている方が多いので、しっかりとお伝えしていきたい。チャレンジしたい人には、どんどん色々な業務をお任せしたいと思っています。

とはいえ、最初は採用されたランクに求められるものをしっかり担っていただくので、特にSIerから転職する若手の人たちには、年収水準さえ合えばコンサルタントランクからスタートすることを推奨しています。

プロジェクトの提案から受注してデリバリーが完了するまでを安定して任せられるのがマネージャ。そのマネージャから部分的に仕事を任せてもらえるのが、シニアコンサルタント。そのシニアコンサルタントやマネージャから具体的な作業指示をもらって動くのがコンサルタントです。いきなりシニアコンサルタントでキャリアをスタートしてしまうと、コンサルタントをリードする立場になってしまう。それこそ新卒から数年活躍しているコンサルタントの面倒も見なきゃいけないので、プレッシャーも大きいです。

そうすると、優秀な先輩社員の働き方を学んだり、高品質な成果物の作成能力やプロジェクトのストーリーをボトムから習得したりする機会を失ってしまいます。できればコンサルタントランクから始めたほうが、後々圧倒的に優位になるのではと考えています。

シニアコンサルタントから始められる、と感じる人たちのスキルとしては、PM経験ですね。出身に関係なく、シニアコンサルタントにはプロジェクト、提案全体のストーリーを作ることが求められます。シニアコンサルタントには、提案~プロジェクトを任せられるマネージャ職への準備をして欲しい。

マネージャ職でのキャリアスタートはハードルが高いと思います。正直、他ファーム在籍経験があっても、営業経験がない方が多く、成果が上げられるまで苦労することが少なくありません。

充実のサポート体制

奥井
EYでコンサルタントとして活躍をしていくためには、入社後、どのような働き方やマインドセットを身に付けていく必要がありますか。

忽那
ひとつは先輩から技を盗むこと。もうひとつは仕事を楽しむことですね。今は辛いけどこれをやり遂げると、自分のスキルがこんなに伸びるとか、なんでもいいからポジティブになって楽しむこと。そういうマインドセットを持っている人はSIer出身の人に限らず活躍しています。

あとは、コミュニケーションの際に、質問技法を持っているかどうかというのは重要ですね。どれが本当に知りたいことで、それを聞いたときになにが分かるのか。お客様とコミュニケーションをとるとき、なにが譲歩できるポイントなのか。それらを引き出せる質問ができないといけない。

例えば、CIOの流れのシステム系の部署とCOOの流れの事業部系の部署は意見が合わないことが多いです。「どこまでだったら対応できる」「いや、予算がないだろう」とか。彼らの間に立ち、「この落としどころだったら双方納得がいく」というポイントを我々が持って、その解決に導いていくのですが、質問技法のスキルがないと絶対に任せられない。何がネックになっているのかを確実に紐解いていく必要があるので、すごく大事だと思います。

ただ、不安な方のために研修もありますし、今までの自分のやり方にこだわらないで吸収して高めてもらえたらいいなと思います。

奥井
中途入社される方も多く、皆さん、活躍できるよう努力されているかと思います。会社やチームとしては、どのようなオンボーディングのためのサポートをされているのでしょうか。

忽那
これも3つあります。1つ目が会社としてのオリエンテーション、2つ目がチームとしてのオリエンテーション、3つ目がフォーカス領域としてのカウンセラー・バディ制度 です。

会社としてのオリエンテーションは、会社の制度やセキュリティに関するガイダンスなどEY社員として必ず守らなければいけないマナーを学んでもらいます。それに加えてチームとしてのオリエンテーションがあり、TT(Technology Transformation)は、どういうビジネススキームをもって動いているのか、自分もその一員だというのをご理解いただく。

そして、3つの包括領域としてカウンセラー・バディ制度というのがあります。1人の社員に対して1人のカウンセラーというキャリアアドバイザーのような存在です。

現在の自分の課題、将来のビジョンや業務の際の悩みなど相談することができ、年度末には、強みや来期に向けてのプランまで話します。社員個人のキャリア設計するためのアドバイザーです。

一方で、バディは中途入社のメンバーを対象に、タイムシートなど細かい庶務的なところのサポートから、直属の上司には聞きづらいことでも気軽に相談や質問ができる存在という重要な役割を担っています。メンバーそれぞれのニーズに合わせて、キャリア設計から庶務的なところまで、できるだけ早くキャッチアップしてもらえるよう体制を整えています。

職務内容の詳細は文書で共有しますが、チームにお迎えするときは早く馴染んでもらえるよう、OJTを入社までに整えておき、高いモチベーションを持った状態で業務に就いていただきたいと考えています。ただ、オンボーディング時に限らず、所属社員のキャリアを通じてWell-beingを高める施策を実施することが最も大切だと思っています。

SIer出身者の活躍の場と求める人物像

奥井
モノづくりとして着実に積み上げていくSIerと、仮説検証を繰り返しブラッシュアップしてくコンサルタントには働き方に違いがありますが、入社後にSIer出身者が躓くポイントはありますか。

忽那
山ほどありますね。人によって伸ばすところはさまざまで、一概に言えないものの、SIer出身の特徴として、仮説を持つことが苦手な人は多い傾向にあります。何をすべきかが決まっていればその実行に対する課題解決力はずば抜けていますが、何をすべきかを決めるのが苦手。先輩の技を盗むことを勧めていますが、コンサルタントの考え方は知っておいたほうがいいと思います。

コンサルタントの仕事は料理人にも例えられます。もし、あなたがカレーライスという料理を食べたことがないのに、お客様が「カレーライスが食べたい」と言ったらどうしますか。コンサルタントならば、「まずちょっと食べに行ってみます」とカレーライスとはなにかを理解するために調査し、試行錯誤して自分なりの他人に負けないレシピを作ろうとすると思います。私が一番良くないと思うのは、「レシピをもらってきます」と指示をもらおうとする回答ですね。

SIer出身の方でも慣れていけばコンサルタントの仕事の方法を理解し、上手く仮説を立てて進められるようになります。

奥井
EYでは、中途採用を積極的に行っており、異なるバックグランドを持つ方が在籍されているかと思います。その中でSIer出身者が活躍できるのはどのような場面でしょうか。

忽那
大きくアプリ系とインフラ系に強い人で特性が異なりますが、共通して言えることはシステム開発の工程管理、PMOという案件の勝手がわかる領域でしょう。インフラ系に強い人はグランドデザイン構想など全体を見通す仕事が得意で、複数の案件に知見を活かして活躍する例がよく見られます。

奥井
求める人材像やEYとしての注力テーマやマインドセットの違いをふまえると、どのような価値観やスキルを持つ人材がマッチするのでしょうか。

忽那
EYのパーパス「Building a better working world」に共感してくれる人。チームワーク・コラボレーションができる人です。チームワークができるし、人に対しても自分に対しても誠実、なおかつ独りよがりじゃない。そういう部分を重視します。

最後に、自律した人ですね。課題意識があってこれを実現したいという思いを持っている方。人が言っていることに左右され過ぎない方々が活躍をしています。

奥井
マッチしない方はそれを持っていない人ということですよね?

忽那:そうですね。思考が固まってしまい柔軟な考え方ができない方や受け身な姿勢の方、また、自分のやり方にこだわる、新しい知識を吸収できない方はEYのカルチャーには合わないかと思います。

コンサルの常識を覆し社会貢献につながる仕事を

奥井
今後、EYや忽那さんのチームについて、どのような展望を描かれていますか。

忽那
まだコンサルティングファームとしては小規模ですので、真価が問われるのはこれからだと考えています。我々TT(Technology Transformation)チームが、会社の戦略として注力しているのは、セクター。EYとしての方向性でもあるセクターフォーカスをチームとして加速させつつ、クロスセクター、産官学民をつなぐ連携もより活性化させて、経済の面からより大規模な、社会を変革するような貢献をしていきたいと思っています。

EYは、規模の大きなコンサルティングファームの中では異色だと思います。大規模開発は手掛けず、クライアントに寄り添った支援を提供するという戦略を持っている。我々が、コンサルティングファームの常識を覆す役を担いたい。EYが独自の路線を歩んでいる今が、その100年に一度とも言えるチャンスであり、TTチームとしてはテクノロジーを強みとして主戦力となっていきたい。一緒にやり遂げる仲間に、ぜひ出会いたいですね。

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