未経験から社内SEへの転職を成功させるには。可能性や押さえておくべきポイント
一つの会社の専任エンジニアとして、システムの構築・運用・保守や社内ヘルプデスクなどの幅広い業務を行う「社内SE」。
数あるエンジニア職のなかでも、特に人気の高い職種です。
では、未経験から社内SEへの転職を成功させることは可能なのでしょうか。
本記事では、未経験から社内SEへ転職するときのポイントや注意点、実際の求人事例について紹介します。
実際のところ、社内SEの職に対して「一般的なSEと比べて働きやすい」「腰を据えて安定して働ける」といったイメージを持っている方が多い傾向にあります。
しかし、漠然としたイメージだけで安易に転職活動を始めてしまうのは早計です。
本記事を通して未経験から社内SEへ転職する難易度や注意点を知り、転職のイメージを膨らませてください。
未経験から社内SEへの転職は可能なのか
まず、未経験から社内SEへ転職できる可能性について詳しく解説します。
スキル0からの転職ではハードルが高い
スキル0の状態、つまり完全未経験から社内SEへ転職するのはハードルが高いと言えます。
社内SEはポテンシャル採用ではなく、企業の即戦力となるエンジニア経験者・IT企業経験者を採用する傾向が強くあります。
ただ、実際に転職サイトの社内SE募集を閲覧してみると「職種未経験可」「未経験者歓迎」などと表記のある求人も見られます。
しかし、これはあくまでも職種や業界未経験という表記にしかすぎず、「実務に対応できるスキルを保持していなくてよい」という意味ではありません。
職種未経験や業界未経験歓迎と記載されていても、「HTMLやCSS、MySQLなどの開発経験をお持ちの方」などと記載されている場合が多く、未経験であってもある程度のスキル・経験が求められます。
また、近年社内SEに求められるスキルのレベルが上がっている点も、未経験からの転職を難しくさせている要因の一つです。
業務効率化や企業の戦略を実現する手段として、IT技術の活用を目指す動きが活発になっています。
その結果、社内SEはこれまでの社内システム管理に加え、新システム・IT技術の導入や開発に対応できるスキルが求められるようになってきているのです。
このような点からも、社内SEとして転職するにはシステム運用に携わった経験やプログラミングスキルなど持ち合わせていないと難しいと考えられます。
未経験から転職を目指すなら、IT関連の基礎知識を証明できる資格を取得する、あるいはスクールでプログラミングを学ぶなどの努力が必要です。
ただし第二新卒であればポテンシャル採用枠が狙える
未経験からの社内SEへの転職は難しい傾向ですが、第二新卒枠であればポテンシャル採用も狙えます。
企業によっては、DXや内製化に向けて社内のIT人材を強化するために、長く会社に貢献してくれるような若手の採用を積極的に進めています。
若手の人材から意欲と将来性が感じられれば、未経験であっても採用に踏み出してもらえるかもしれません。
ただし、第二新卒であったとしても完全に業界の知識がない状態で転職活動をしてしまうと、なかなか職が見つからない恐れがあります。
最低限の知識と必要なスキルを習得しておき、社内SEへの意欲や興味をアピールすることが大切です。
社内SEの将来性について
社内SEは、数ある業種・職種のなかでも将来性のある職種です。
転職サイトdodaの調査によると、社内SEの需要はコロナ禍でも安定しており、2020年9月以降の求人数はゆるやかに上昇しています。
このような需要拡大の背景として挙げられるのが、DXの加速です。
DXによって、IT技術を活用して新たなビジネスモデルを創出したり、事業変革を推進しようとしたりする企業が増加しました。
こういったITの活用に対応するためにも、ITに詳しく、かつ会社の専任エンジニアとして貢献してくれる「社内SE」を新たに採用する企業が増加しているのです。
DXはますます加速すると考えられるため、社内SEの需要も継続すると予想されます。
また、最近の傾向として、技術志向の人材やクラウド・AI・データサイエンスなど特定の技術領域のスペシャリストを募集する企業が増加しています。
この傾向を踏まえると、社内SEとして長期的に働くのであれば何か突出した専門スキル・経験があると企業側から重宝されると考えられます。
時代とともに変化する需要を見極めつつ、自身の専門性やスキルを磨いていくことが重要です。
職種未経験OKの社内SEの求人事例
ここからは、職種未経験OKと記載されている社内SEの求人事例を抜粋して紹介します。
未経験OKの求人にはどういった傾向があるのか、必須スキルはあるのかなどを確認してみてください。
事例①:基幹システムの運用/問い合わせ対応
事例の1つ目は、基幹システムの運用・問い合わせ対応の求人です。
システムの開発業務はなく、運用やヘルプデスクとしての問い合わせ対応を任されます。
①業務内容の詳細 | ・現行基幹システムの運用 ・問い合わせ対応 ・関連会社システムの運用支援 ・新基幹システム構築に関する仕様決定・テスト・教育・運用・問い合わせ対応 |
②応募条件・必須スキル | なし(学歴不問・意欲重視) |
③歓迎スキル | ・何らかのシステム構築、アプリケーションの開発経験がある方 ・実務経験でなくても相当の知識や資格のある方 →Java、Ruby、VB NET、C、C#、C++、PHP、Objective-C、Swiftなどによるプログラミング経験 →Oracle、SQL server、PostgreSQLなどDBにおける経験 →Windows、Linux、iOSなどOSにおける経験 →基本情報技術者資格 |
④想定年収・待遇 | 年収400万円(入社1年目) ・経験2年以上の場合 月給28.7~31.5万円+賞与年2回+決算賞与年1回+各種手当 ・経験2年未満の場合 月給21.5~25万円+賞与年2回+決算賞与年1回+各種手当 |
こちらの求人では「意欲重視」との記載があるものの、歓迎スキルには専門的な内容が多数掲載されています。
意欲や熱意を伝えることはもちろんのこと、未経験であっても何かしらの知識・スキルをあらかじめ取得し、書類や面接でアピールしたいところです。
事例②:社内システムの構築・運用/取引先企業のIT機器のデータ消去
2つ目の事例は、社内システムの構築・運用と取引先企業のIT機器のデータ消去を中心とした業務です。
①業務内容の詳細 | ・社内システムの構築・運用 ・取引先企業のIT機器のデータ消去 ・セキュリティ面の管理 ・機器やシステムに関する問い合わせ対応 ・パソコンのキッティング |
②応募条件・必須スキル | ・システムに関する基本的な知識をもっている方 →ITパスポートや基本情報技術者の資格 →情報系の学部学科を卒業(大学、専門学校) →ITエンジニアの経験 |
③歓迎スキル | ー |
④想定年収・待遇 | 年収300万円 月給23万円以上+賞与年2回(昨年度実績:3.5ヶ月分)+各種手当 |
こちらは、未経験者を対象とした求人であるものの「システムに関する基本的な知識をお持ちの方」が応募条件となっています。
未経験者であっても、前もって基礎的なスキルを習得しておく必要があります。
事例③:システム開発・運用/社内ヘルプデスク業務
3つ目の事例は、業種もさまざまなクライアント企業のシステム開発・運用、ヘルプデスク対応を行う業務です。
初めはヘルプデスクやPC管理、システム運用サポートなどからスタートし、徐々に開発や構築にも携わります。
①業務内容の詳細 | ・システム開発・運用 ・社内向けIT活用教育 ・ヘルプデスク・PCセットアップ ・クラウド環境の構築 ・サーバー、ネットワーク運用保守 ・RPA開発 ・AI関連業務の要件定義 |
②応募条件・必須スキル | ・高卒以上 ・SEとしてステップアップしていきたい方 ・39歳以下の方(第二新卒歓迎、職務経験不問) |
③歓迎スキル | ・情報系・理工系を専攻 ・オープン系・Web系の開発経験(業界・規模・年数不問) ・ネットワーク/サーバの設計・構築、運用管理経験 ・テクニカルサポートやヘルプデスクなどIT業界での経験 ・IT分野の基礎的な知識とスキル |
④想定年収・待遇 | 年収300万~800万円(能力や経験に応じて決定) 月給21万5000~55万円 |
こちらの求人では、未経験者の応募条件を39歳以下と年齢制限を設けています。
応募にあたって必須スキルの記載はないものの、IT分野でのスキル・経験がある方を優遇しています。
社内SEのやりがいについて
社内SEのやりがいは、社内とのつながりや交流がもてることで、自社の課題を解決できる喜びや達成感を得られる点です。
SEの場合、基本は社外のクライアントとやりとりするため「自分が構築に携わったシステムが現場でどう活用されているか」「実際に利用した社員はどのような感想を抱いたのか」などがなかなか伝わってきません。
しかし、社内SEは自分自身が社員として社内にいるため、構築したシステムで社員が喜ぶ反応を見られたり、サポートをした際に感謝を伝えられたりと、直接的な反応を得られます。
社員の反応やフィードバックをもとに、長期的な視点でシステムの改善を繰り返すことも可能です。
さらに、社内SEのポジションによってはシステム戦略や技術選定など経営層を巻き込んだ最上流工程に関われる点も魅力です。
ITに関する知識や経験を踏まえ、IT戦略やシステム構築の企画を立案し、経営層にプレゼンするケースもあります。
このように、自分の努力と工夫次第でシステムの管理・運用だけでなく上流工程にも携われる点は、社内SEの大きなメリットです。
未経験から社内SEを目指す上で押さえておきたいポイント
未経験から社内SEを目指す上で押さえておきたいポイントは、以下の通りです。
- なぜSEではなく社内SEを志望するのか
- 前職から反映できるポータブルスキルをアピールする
- 関連資格を取得する
- 前職と同じ業界への転職を目指す
- 募集内容とマッチした人材かを再確認する
- プログラミングスキルは必須である
- 転職エージェントを活用する
なぜSEではなく社内SEを志望するのか
未経験から社内SEを目指す場合、まずは「志望動機」を明確にする必要があります。
採用担当者が気になるのは「クライアントワークを軸とするSEという職種もあるなかで、なぜ社内SEを目指すのか」という観点です。
この回答に対して明確に答えられないと「社内SEの業務について深く理解していない」「とりあえずIT業界に進みたいだけなのでは」という悪い印象を与えてしまいます。
まずは社内SEを志望する理由を明確にし、転職への熱意・意欲をアピールするようにしてください。
前職から反映できるポータブルスキルをアピールする
社内SEは、基幹システムの構築・運用・保守からヘルプデスク業務、IT戦略の立案まで業務内容が多岐にわたります。
その分、業務に活かせるスキルも幅広く、社内SE以外の職で身につけたスキルを業務に活かすことが可能です。
例えば、以下のようなポータブルスキルは社内SEの業務で十分活かせます。
- マネジメントスキル
- 課題発見・解決力
- マルチタスクをこなす力
- プレゼンテーションスキル
- コミュニケーションスキル
上記のようなポータブルスキルをアピールすれば、将来的に社内SEとして活躍できる素質をアピールできます。
関連資格を取得する
社内SEへ転職するのに、資格は必須ではありません。
しかし、関連資格の取得でスキルや知識を補うのも、職種未経験からの転職を成功させるための有効的な手段の一つです。
特に社内SEは近年人気が高まっていることもあり、未経験の応募者のなかでも差別化が必要です。
未経験でも資格を保有していれば、業界への意欲や熱意を評価し採用してくれる可能性が高まります。
社内SEへの転職で評価につながりやすい資格として、以下の資格が挙げられます。
資格 | 詳細 |
基本情報技術者試験 | 「ITエンジニアの登竜門」と位置付けられている国家試験。システムの設計・開発・運用に関する基礎的なスキルを証明できる。 |
応用情報技術者試験 | 基本情報技術者試験の応用版とされる国家試験。システムの設計・開発・運用に関する応用的なスキルに加え、経営にまつわる知識が問われる。 |
情報セキュリティマネジメント | セキュリティを維持・改善するための基礎的なスキルを証明できる国家試験。セキュリティ対策の計画・運用・改善などの知識が問われる。 |
プロジェクトマネージャ試験 | 高度IT人材としてプロジェクトを実行・管理できる能力を証明できる国家試験。プロジェクトを進行するリーダーとしてのスキルが問われる。 |
ネットワークスペシャリスト試験 | エンジニアとして大規模なネットワークやインフラを構築・運用する能力を証明できる国家試験。構築〜運用まで幅広いスキルが問われる。 |
上記の資格のなかでも「基本情報技術者試験」は、初心者からでも挑戦しやすい資格です。
まずは「基本情報技術者試験」の取得を目指し、IT業界やSE業務の知識・スキルを習得することをおすすめします。
前職と同じ業界への転職を目指す
未経験から社内SEを目指す場合、前職と同じ業界の社内SEだと採用確率が高まります。
実際に社内SEのポジションは、さまざまな業種の企業で募集されています。
前職と同じ業界での社内SEであれば、業界ならではの専門的な知識やポータブルスキルを活かすことが可能です。
前職の業界での知識や経験を適切にアピールすれば、SE未経験であっても採用される可能性が高まります。
募集内容とマッチした人材かを再確認する
求人へ応募する前には、必ず募集内容とマッチした人材かを確認するようにしてください。
一口に社内SEといっても、企業によって業務内容は異なります。
システムの開発・構築まで任される企業もあれば、社内ヘルプデスクやシステム運用だけを担当する場合もあります。
「社内SEなら何でもよい」というスタンスで応募をしてしまうと、入社後のミスマッチにつながりかねません。
社内SEの業務内容や求められるスキルを詳しく確認し、自分に合っているかどうかを判断してください。
プログラミングスキルは必須である
社内SEとして働くには、プログラミングスキルが必須です。
社内SEとしてシステム開発・構築を任される場合、プログラミングスキルを駆使してシステムを作り上げる必要があります。
システム開発を外部に発注する会社であれば、社内SEとしてシステム設計書やソースコード、試験成績書の確認をしなければなりません。
さらに、システムのトラブル対応やメンテナンスをするときには、自らプログラムを触って調節することもあります。
このように、システムを内製開発している・していないにかかわらず、社内SEにはプログラミングスキルの保有が必須です。
なお、使用するプログラミング言語は会社によって異なります。
PHPやPython、JavaScriptなど、応募企業に合わせたスキルをあらかじめ取得しておく必要があります。
転職エージェントを活用する
未経験から社内SEへの転職を目指すなら、転職エージェントの活用をおすすめします。
近年は社内SEの需要が高まり、求人も多く存在するものの、人気が高く応募が殺到する傾向です。
そのため、いかに計画的に転職活動を進めていくかが、転職を成功させるポイントとなります。
しかし、未経験からの転職だと業界や企業の知識が乏しく、手探り状態で転職活動を続けてしまい、転職活動が長期化する恐れがあります。
転職エージェントであれば、その業界や業種に精通したアドバイザーが必要なスキルや経験を伝えてくれるので、情報収集にも困りません。
また、数ある求人のなかから自分の経歴や要望に合った求人を紹介してくれるので、転職活動も効率的に進められます。
確実に転職を成功させるためにも、まずは転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
ASSIGN
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