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“当事者になりたい”コンサルが、事業会社で満たされない本当の理由

寄稿エージェント:粂田 敦希

「クライアントの事業だから、どこか他人事だった。」

「事業会社に行けば、自分は当事者になれると思った。」

これは、コンサルティングファーム出身者から非常によく聞く言葉だ。

実際、事業会社に転職した人の多くが「自分のプロダクトを持ちたい」「もっと事業にコミットしたい」と語る。

しかし、いざ事業会社に入ってしばらくすると、こんな声も聞こえてくる。

「思っていたほど、当事者感がない。」

この違和感は、どこから生まれるのだろうか。

コンサルと事業会社は、実はほとんど同じ仕事をしている

一見すると、コンサルと事業会社はまったく違う世界に見える。

だが、仕事の構造を分解すると、やっていることは驚くほど似ている。

どちらも本質的には、

  • 顧客やユーザーの課題を定義し
  • それを解決する仕組みを設計し
  • KPIや成果で評価される

という営みをしている。

コンサルは「クライアントの課題」を扱い、

事業会社は「自社のユーザーの課題」を扱う。

違うのは“誰の課題か”ではなく、その成果がどのPLに跳ね返るかだけだ。

当事者意識の正体は「顧客」ではなく「リスクとリターン」

では、なぜコンサルから事業会社に行っても満たされない人がいるのか。

それは多くの人が、当事者意識をこう誤解しているからだ。

「顧客の事業に深く関わること=当事者」

しかし、当事者意識の本質はそこではない。

それは、

自分の意思決定と成果が、

どれだけ直接リスクとリターンに結びついているか

にある。

株を持っているか。

PLに対する最終責任を負っているか。

失敗したときに、投資停止や撤退の判断を自ら下す立場か。

事業会社に行っても、

裁量が限定的で、意思決定権がなく、固定給で守られている限り、

当事者性は本質的には大きく変わらない。

「場所」を変えただけで、「立場」は変わっていないからだ。

なぜコンサルは“当事者意識”を失いやすいのか

多くのコンサルが「自分は外側にいる」と感じてしまうのは、

個人の意識の問題というより、構造の問題である。

典型的なコンサルファームのガバナンスはこうだ。

  • どの業界・どのテーマで勝つかを決めるのはパートナー
  • 誰に、いくらで、どの契約で売るかを決めるのもパートナー
  • 投資や撤退の判断をするのもパートナー

多くのコンサルタントは、

これらの意思決定のもとでプロジェクトにアサインされる。

その結果、どれだけ重要な役割を担っていても、

無意識にはこう感じやすい。

「このビジネスの方向や資本配分を決めているのは、自分ではない」

たとえばSenior Manager以上は、

売上目標、アカウント、稼働率、粗利といったPLの運用責任を担っている。

しかしそれは、「決められたPLをどう達成するか」という責任であって、

「どんなPLを作るか」「どこに資本を張るか」を決める立場ではない。

この運用と意思決定の分断が、

「これは自分の事業ではない」という感覚を生みやすくする。

だがこれは、コンサル業という事業の

資本と意思決定の構造がそう見せているに過ぎない。

事業会社でも、同じ構造は繰り返される

そしてこの構造は、事業会社に移っても簡単には消えない。

事業会社では、

  • CEOが「どの市場で戦うか」「どの事業を伸ばすか」を決め
  • CFOが「どこに資本を配分し、どこから撤退するか」を決め
  • COOが「その戦略をどのオペレーションで実行するか」を決める

多くの人は、そのCxOの意思決定のもとで動く。

たとえ肩書きが「事業企画」「プロダクト責任者」「事業部長」であっても、

CxOレイヤーの資本配分や撤退判断、PLに直接アクセスできていなければ、

本質的な立ち位置はコンサルタント時代と大きく変わらない。

つまり、

当事者意識を決めるのは、

コンサルか事業会社かではなく、

CxOと同じテーブルに座っているかどうか

ここに尽きる。

エージェントという仕事から見える“当事者性”

私はいま、転職エージェントとして働いている。

日々やっているのは、

候補者のキャリアの課題と、企業の採用の課題を同時に解くことだ。

しかし、それだけでは終わらない。

そのマッチングの質は、

そのまま自社の売上・評判・成長に跳ね返ってくる。

つまり私は、

  • 候補者の人生
  • 企業の事業
  • そして、このモデルで勝つ自社

この三つすべての当事者でいなければならない。

この視点がなければ、

どんな仕事も「誰かのため」にはなっても、

「自分の事業」にはならない。

コンサル出身者への、本当の問い

だから、コンサル出身者にこそ問いかけたい。

あなたが本当に求めているのは、

  • 事業会社か
  • それとも、リスクと資本意思決定を持つポジションか

この二つは、似ているようでまったく違う。

事業会社に行くこと自体が、当事者になることではない。

どのPLを生きるかを選ぶことが、当事者になるということだ。

どこに行くかより、何の当事者になるか

コンサルにいても、事業家として働く人はいる。

事業会社にいても、外側のままの人もいる。

違いを分けるのは、業界や肩書きではなく、

「自分は、何の事業の当事者として生きているのか」

この一点だ。

転職は、その問いに向き合うための手段であって、答えそのものではない。

私はエージェントとして、

次の会社を紹介するだけでなく、

あなたがどのPLの当事者になるのかまで含めて、

キャリアを一緒に考えたいと思っている。

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