20代人事が“採用のプロ”で終わらないために必要なキャリアの分岐点とは?
「このまま採用ばかりやっていていいんだろうか?」
日々忙しく業務に追われる中でふと湧き上がる、“この経験は市場でどう評価されるのか?”という漠然とした不安。
最近のキャリア相談では、20代で人事職に就き、採用担当として現場と並走しながら成果を出してきた方ほど、キャリアの次のステップに悩んでいるというご相談をいただくことが多くなってきていると感じています。
これまでハイクラス領域で多くの人事職の方を支援してきた中で、「採用のプロ」で終わってしまう人と、そこから先のキャリアを拓いていく人には、明確な違いがあることがわかっています。
本記事では、採用経験者が納得いくキャリア形成をしていくために意識すべきポイントを記載します。
「採用のプロ」で終わってしまう人の共通点
転職市場では、採用の経験自体が軽視されているわけではありません。ただし、「採用しかやってこなかった」という印象を与えてしまうと、選考の途中で評価が止まってしまうことが非常に多いのが実情です。
以下のような傾向にある方は要注意です。
- プレイヤー視点から抜け出せない
求職者対応、面接調整、母集団形成といったオペレーションの中で成果を出していても、「どう仕組みをつくったか」「事業にどう貢献したか」が語れないと、“単なる実務担当”と見なされてしまいます。 - “量とスピード”の成果に偏りすぎている
「年間●名採用」「ターンアラウンド●日短縮」といった数値も重要ですが、その先にある“採用戦略”や“採用ブランディング”の視点が伴っていなければ、再現性のある力とは見なされにくいのです。 - 他機能との接続がない
人事の中で「採用しか知らない」状態では、今後のキャリアの選択肢が限られてしまいます。労務、制度、育成など、他領域とどう接点を持ったかが重要な評価ポイントになります。
採用担当者がキャリアを広げるには
採用担当者がキャリアを広げるには、ただ目の前のオペレーションをこなすだけでは難しいです。特に新卒配属でリクルーターを経験している場合、採用以外の人事や組織全体に関与する機会は少ないため、自発的な戦略が必要です。
具体的には、以下の方法があります。
①実績を積んで領域を広げる
採用業務だけでなく、オンボーディング改善やタレントプールの構築など、横断的な関与を増やすことで、評価や信頼を得られ、異動や新しいプロジェクトへの参加につながります。
②横断的に経験できる部署や会社に異動する
育成、評価、配置、報酬など、採用以外の人事領域に接点を持つことができる部署や会社に異動することで、経験の幅が広がります。会社の制度や文化も重要で、人事全体を経験できる環境を選ぶことがキャリア形成の鍵です。
③将来的にCHROや人材開発責任者を目指す場合は、営業や事業経験を意識する
経営に近い立場で人事をリードするには、採用経験だけでなく「事業責任を持った経験」が大きな価値を持ちます。
たとえば営業部長のように数値責任を背負う立場では、売上目標を達成するために人員の配置や育成方針を考える必要があり、自然と「事業と人材のつながり」を理解することになります。こうした経験は、人事施策を単なる制度設計にとどめず、事業成果に直結させる力につながります。
結果として、経営陣とのコミュニケーションが円滑になり、採用だけでは届きにくいレイヤーでの議論や意思決定に関わることが可能になります。
④関連するプロジェクトや仕組みづくりに挑戦する
採用以外の領域にも影響を与える施策を立案・実行する経験を持つことで、将来の責任範囲を広げる準備になります。採用ブランディングや人材育成の仕組み作りが例です。
ロールモデルに学ぶ:人事から広がるキャリアパス
実際に人事からキャリアを築き第一線で活躍するロールモデルの方々をご紹介します。
曽山哲人氏(サイバーエージェント)
- 経歴:営業部長を経て人事本部長に就任。営業で培った事業目線を人事に活かし、組織全体の採用戦略や人材開発を牽引。
- ポイント:事業成果を理解した上で人事施策を設計・実行することで、組織全体に価値を生み出す力を示した。採用だけでなく、人材戦略や組織文化の形成にまで影響を及ぼすキャリア形成の好例。
曽和利光氏(人材開発研究所)
- 経歴:リクルートで採用担当としてキャリアをスタート。オープンハウスやライフネット生命保険等で人事責任者を担当した後、人材開発研究所で企業向け組織・人材戦略のコンサルティングに従事。その後、ご自身の会社を立ち上げ、HR領域での新規事業を展開。
- ポイント:採用の経験を土台に、組織開発・経営参画・起業という多角的なキャリアを築いた稀有な存在。自ら戦略を立案し、事業・人事双方で意思決定を行う経験を積むことで、採用担当者が次のステップを考える上での非常に参考になるロールモデル。
青田努氏(LINE/Cast a Spell合同会社代表)
- 経歴:リクルートで採用・人材開発に従事後、LINEでEmployee Success部門をリード。さらに、Cast a Spell合同会社を起業し、HR領域での外部事業も展開。
- ポイント:採用経験を基盤に、組織開発・タレントマネジメント・経営参画にまでキャリアを拡張。起業を通して経営視点を磨き、自身の知見を多角的に活かしている。採用担当者が「経験を広げてキャリアの幅を作る」際の強力なモデル。
これらのロールモデルに共通するのは、採用の経験を「経営課題の解決」と結びつけて広げてきたことです。
これからの人事キャリアをつくるために
採用担当者としてキャリアをスタートした後、さらに人事の中核へ進むために強みになる経験・スキルについてお伝えをしました。
- 採用・労務など基盤領域の理解
現場に近い領域でオペレーションや制度運用を経験し、人事の土台を固める。 - 制度企画や組織開発など経営に近い人事経験
経営戦略と連動する施策に携わることで、戦略人事としての視点を磨く。 - 営業・事業での責任あるマネジメント経験
人員配置や成果責任を担う経験は、人事施策を事業成果につなげる力となり、経営層からの信頼も高まる。
採用担当から出発しても、これらの経験を積み重ねることで、組織を牽引するCHROや人材開発責任者といったポジションへの道が開けていきます。
キャリアの可能性は、日々の積み重ねと選択で広がっていきます。焦らず着実に経験を重ねることが、次のステージへの確かな一歩につながります。
ASSIGN
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