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SE・SIerから事業会社へのキャリアパス

はじめに

IT業界におけるSE・SIerからの転職は、近年ますます注目を集めている。多くのエンジニアが、自身のスキルアップや、より魅力的な案件に携わりたいという思いから、事業会社への転職を検討しているのである。

しかし、事業会社への転職には、SE・SIerとは異なる経験やスキルが求められる。単に技術力だけでなく、ビジネス視点やコミュニケーション能力なども重要視されるのだ。

そこで本記事では、SE・SIerから事業会社へ転職する際に、どのような点に注意すべきなのかを解説する。まず、事業会社が求める経験やスキルについて整理し、社内SEとしてのキャリアパスや役割について説明する。さらに、事業会社のプロダクト開発・アプリケーション開発へのキャリアパスについても触れていく。

SE・SIerとして培ってきた経験やスキルを活かしつつ、事業会社で新たなキャリアを築くためのヒントが得られるはずだ。ぜひ、自身のキャリアプランを考える上で参考にしていただきたい。

事業会社転職で求められる経験とスキル

社内SEとして求められるスキル

事業会社への転職を考える際、社内SEとして求められるスキルを理解しておくことが重要である。特に、以下の3つのスキルが重視される。

開発経験とシステム運用の知見

社内SEには、自社のシステムを運用・保守し、ベンダーとの折衝やエンハンス開発を行うことが求められる。そのため、開発経験や運用保守の知見が必要不可欠である。特に、基本設計以降の開発経験や、業務改善に向けたエンハンス開発の経験があると、社内SEとしてのキャリアパスが開けやすくなる。

プロジェクトマネジメントとベンダーコントロール

30代以降の社内SEには、プロジェクトマネジメントやベンダーコントロールの役割が期待される。要件定義からリリースまでの一連の開発工程を経験し、マネージャーとしてプロジェクトを管理した経験があると、社内SEとしてのキャリアアップが望めるだろう。

後輩育成とチームマネジメント

社内SEには、自社のIT部門のメンバーをマネジメントし、後輩を育成することも求められる。チームをまとめ、メンバーの成長を支援する経験やスキルがあると、社内SEとしての価値が高まるのである。

事業会社のプロダクト開発・アプリケーション開発に求められるスキル

事業会社のプロダクト開発やアプリケーション開発のポジションを目指す場合、社内SEと求められるスキルが異なってくる。

開発環境との親和性

転職先の企業で用いられている開発環境と、自身のスキルセットが合致しているかどうかが重要である。これまでの経験が、転職先の開発環境と一致していれば、即戦力として活躍できる可能性が高い。しかし、企業ごとに開発環境は多様であるため、自身の経験とのギャップを認識しておく必要がある。

メジャーなフレームワークの習得

転職先の企業で用いられているフレームワークを習得しておくことで、採用されるメリットが高まる。特に、メジャーなフレームワークやトレンド技術を押さえておくことが重要だ。自己学習を通じて、これらの技術を身につけておくことが求められるだろう。

技術的な深さと知見

30代以降になると、技術的な深さや知見が重視されるようになる。そのため、これまで触れたことのない開発環境へ移ることは難易度が高くなる。ポートフォリオや成果物を作成し、自身の技術力をアピールすることが有効である。

事業会社への転職を考える際は、自身の経験やスキルを客観的に分析し、求められる役割とのマッチングを図ることが重要だ。社内SEとプロダクト開発では、求められるスキルセットが異なるため、自身のキャリアビジョンに合わせて、必要なスキルを磨いていくことが求められる。

社内SEとしてのキャリアパスと役割

社内SEの役割と求められる経験

社内SEとして期待される主な役割は、既存の社内システムの運用・保守、ベンダーとの折衝・コントロール、システムのエンハンス開発、業務改善提案・実行などである。

特に、若手のうちはSEとしての開発経験を積み、基本設計以降の工程を担当することが求められる。また、運用保守におけるエンハンス開発や業務改善の経験も重要となる。

30代以降になると、より上流工程や管理業務が期待されるようになる。具体的には、ベンダーコントロール、プロジェクトマネジメント、社内ITチームのマネジメント、後輩育成などである。ベンダー側の立場として要件定義からリリースまでの一連の経験に加え、マネージャーとしてプロジェクトマネジメントを経験していると、社内SEとしてのキャリアパスが開けてくるだろう。

社内SEのキャリアパスの留意点

ただし、社内SEのポジション自体は限られており、プロパー社員が多くを占めているケースが多い。そのため、タイミングを見極めてポジションに応募していく必要がある。

また、IT企画のような戦略的なポジションの場合、コンサルティングファーム出身者が採用されることが多い。そのため、一度コンサルティングファームを経由するキャリアパスも視野に入れるとよいだろう。

社内SEとして経験を積む中で、開発だけでなく運用・保守、ベンダーコントロール、プロジェクトマネジメントなど、幅広い経験を積むことが重要である。また、ポジションが限られている点には留意が必要だ。タイミングを見極めて応募するとともに、場合によってはコンサルティングファームを経由するキャリアパスも検討したい。

事業会社のプロダクト開発・アプリケーション開発へのキャリアパス

開発環境との適合性とスキルの習得

事業会社のプロダクト開発やアプリケーション開発へのキャリアパスを目指す場合、まずはスキルセットが企業の求めるものと合致しているかどうかが重要となる。メジャーなフレームワークや開発言語を習得し、企業にとって採用するメリットがあると認識してもらう必要があるだろう。

これまでの経験で培ってきた開発環境が、転職先企業の開発環境とぴったり一致していれば、即戦力としての転職が可能だ。しかし、実際には企業ごとに開発環境は様々であり、年齢特性を考慮した対応が求められる。

  • 20代の場合:言語習得力があり、メジャーなフレームワークやトレンド技術を習得していれば、ポテンシャルを評価されキャリアパスが開けやすい。
  • 30代以降の場合:技術的な深さや知見が求められるため、未経験の開発環境へのキャリアチェンジは難易度が高くなる。

ポートフォリオ・成果物の作成

特に30代以降の転職では、これまでの経験や実力を示すポートフォリオや成果物の作成が有効だ。自己学習を通じて、具体的なアウトプットを提示できれば、企業側も採用の判断がしやすくなるだろう。

たとえばWebアプリケーション開発へのキャリアチェンジを考えるなら、HTML/CSS/JavaScriptなどのフロントエンド技術の習得、Ruby on RailsやLaravelなどのWebアプリケーションフレームワークの学習、GitHubなどを活用した個人開発によるポートフォリオ作成、オープンソースプロジェクトへの貢献による実践経験の蓄積などのアプローチが考えられる。

このように、目指す開発領域で求められる技術やフレームワークを確実に習得し、実践的な成果物をアピールすることが、プロダクト開発・アプリケーション開発へのキャリアパスを切り拓く鍵となるだろう。

おわりに

SE、SIerからの事業会社への転職は、タイミングとポジションの見極めが重要である。社内SEとしての転職では、既存システムの運用やベンダーとの折衝、エンハンス開発などが期待される。一方、プロダクト開発・アプリケーション開発への転職では、スキルセットの適合性が鍵を握る。

若手であれば、開発経験や基本設計以降の経験、運用保守でのエンハンス開発や業務改善の経験があれば、十分にキャリアパスを実現できるだろう。30代以降は、ベンダーコントロールやプロジェクト管理、IT組織のマネジメントや後輩育成が期待される。

ただし、社内SEのポジションは限られており、プロパー社員が多いため、タイミングを見極める必要がある。IT企画などの戦略的ポジションを目指す場合は、コンサルティングファームを経由するのも一案である。

プロダクト開発・アプリケーション開発への転職では、開発環境の一致度が重要だ。20代であれば、言語習得力やトレンド技術の理解があれば可能性は広がるが、30代以降は技術的な深さや知見が求められる。ポートフォリオや成果物の作成を通じて、自己アピールすることが肝要である。

SE・SIerとしてのキャリアを積みつつ、将来的には事業会社のIT戦略を担うポジションを目指していくとよいだろう。自身のキャリアビジョンに合わせて、必要なスキルを磨き、着実にステップアップしていくことが重要である。

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