営業から事業企画への転職を成功させるためのポイント

はじめに

営業職から事業企画職への転職を考えている方は多いのではないだろうか。事業企画職は、営業企画と新規事業企画の2つに大別される。どちらも企業の成長に欠かせない重要な役割であるが、求められるスキルや経験は異なる。

営業企画は、営業組織全体の改善を目的とし、売上向上や新人教育の効率化などに取り組む。一方、新規事業企画は、新たな市場やニーズを探索し、事業戦略の立案や市場調査などを行う。

営業職から事業企画職への転職を成功させるためには、自身の強みや経験を活かせる領域を見極めることが重要だ。また、事業企画職に必要なスキルを身につけるために、社内での経験を積むことも有効な手段の一つである。

本記事では、営業企画と新規事業企画の役割の違いや、それぞれの職種に必要な経験とスキルについて詳しく解説する。さらに、営業職から事業企画職への転職を目指す方が取るべきアクションについても触れたい。

営業企画と新規事業企画の役割の違い

営業企画の役割

営業企画は、営業組織全般の改善を担当するポジションである。具体的には、全社の売上向上や新入社員の早期戦力化などの課題に対し、課題の特定から施策の立案、実行までを多くの人をまとめながら進めていく。このポジションは、実際の営業プロセスなどを理解していることが求められるため、現場経験を持つ人材が兼任として入り、徐々に専任化していくケースが多い。

新規事業企画の役割

新規事業企画は、マーケットの選定やニーズの定義、事業戦略の策定、市場規模の正確な算出など、多岐にわたる役割を担う。コンサルティングファームで経験を積んだ後、ファシリテーションやドキュメンテーションスキルを活かして新規事業に携わるケースや、新規事業の開拓担当から入り、新規事業企画になるケースもある。いずれにせよ、市場調査や競合調査、コンテンツの作成など地道な作業が多く、限られた予算の中で事業を推進していく必要があるため、推進力のある人材が求められることが多い。

両者の違いと共通点

営業企画と新規事業企画の大きな違いは、営業企画が既存事業の改善に注力するのに対し、新規事業企画は新たな事業の立ち上げに注力する点である。また、営業企画は営業現場の経験が求められるのに対し、新規事業企画はコンサルティングファームでの経験やファシリテーション、ドキュメンテーションスキルが求められる傾向にある。ただし、両者ともに課題解決のための施策立案や推進力が必要とされる点は共通している。

営業企画への転職に必要な経験とスキル

営業プロセスの理解と改善提案力

営業企画として活躍するには、自社の営業プロセスを深く理解し、その課題を特定できる能力が必要不可欠である。営業現場での経験があれば、どの段階でボトルネックが発生しているのか、どのような施策が効果的かを判断しやすい。また、改善施策を立案・実行する際には、営業現場の実情を踏まえた現実的な提案力が求められる。

社内外の関係者を巻き込む調整力

営業企画は、営業部門だけでなく、マーケティングや製品開発、経営層など、社内の多様なステークホルダーと連携しながら仕事を進める必要がある。そのため、関係者の利害を調整し、巻き込みながらプロジェクトを推進していく力が求められる。部門間の垣根を越えて、円滑にコミュニケーションを取れる人材が適している。

データ分析力とロジカルシンキング

営業組織の改善には、売上データや顧客データの分析が欠かせない。データに基づいて課題を可視化し、論理的に施策を組み立てられる思考力が必要とされる。ExcelやSQLなどのツールを使いこなし、データからインサイトを引き出せるスキルがあれば、営業企画としての市場価値は高い。

プロジェクトマネジメント能力

営業企画は、立案した施策を確実に実行に移すことが求められる。プロジェクトをリードし、メンバーの進捗管理やリスク管理を行いながら、目標達成に向けて舵取りする能力が問われる。営業現場でのプロジェクト経験があれば、その知見を営業企画の立場で活かすことができるだろう。

新規事業企画への転職に必要な経験とスキル

マーケティングスキル

新規事業企画では、市場調査や競合分析を通じて、ターゲットとなる市場のニーズや課題を正確に把握することが重要である。そのためには、データ収集や分析、インタビューなどのマーケティングスキルが必要不可欠だ。また、収集したデータをもとに、市場規模や成長性を予測する能力も求められる。

事業戦略立案スキル

新規事業を成功に導くためには、市場ニーズに合致した事業戦略を立案する能力が求められる。具体的には、ターゲット顧客の設定、価値提供方法の検討、収益モデルの設計などが含まれる。また、事業戦略を実行に移すための実行計画の策定も重要なスキルの一つである。

プロジェクトマネジメントスキル

新規事業の立ち上げには、多くの関係者との調整や限られたリソースの管理が必要となる。そのため、プロジェクトマネジメントのスキルが求められる。具体的には、タスクの優先順位付け、スケジュール管理、リスク管理などが含まれる。また、関係者との円滑なコミュニケーションを図るためのファシリテーションスキルも重要である。

ビジネスプラン作成スキル

新規事業の実現可能性を検証し、経営陣の承認を得るためには、説得力のあるビジネスプランを作成する必要がある。ビジネスプランには、市場分析、事業戦略、財務計画などが含まれる。また、ビジネスプランを分かりやすく伝えるためのドキュメンテーションスキルやプレゼンテーションスキルも求められる。

事業企画への転職を目指す営業職が取るべきアクション

社内の新規事業開発に手を挙げる

営業職から事業企画への転職を目指す際、まずは社内の新規事業開発に積極的に関わることが重要である。テレワークの導入や競合調査など、小さなタスクから始めることで、徐々に事業企画の全体像を掴むことができる。社内で経験を積み、実績を作ることで、社内での事業企画のポジションに就くチャンスが広がるだろう。

市場調査やマーケティングのスキルを身につける

事業企画では、市場調査や競合分析、マーケティング戦略の立案など、データに基づいた意思決定が求められる。営業職の経験を活かしつつ、これらのスキルを身につけることが重要だ。社内外の研修やセミナーに参加したり、関連書籍を読んだりして、知識を深めていくことをおすすめする。

ビジネスプランの作成経験を積む

事業企画では、新規事業のビジネスプランを作成する機会が多い。営業職としての経験を活かし、顧客ニーズや市場トレンドを踏まえたビジネスプランを作成する経験を積むことが重要だ。社内の新規事業開発に関わる中で、ビジネスプランの作成に携わる機会を見つけ、スキルを磨いていくことが求められる。

社外のネットワークを広げる

事業企画では、社内外のステークホルダーと協働しながら事業を推進していく必要がある。営業職の経験を活かし、社外のネットワークを広げることが重要だ。業界団体や異業種交流会など、さまざまな場に参加し、人脈を築いていくことをおすすめする。これらのネットワークは、事業企画への転職や新規事業開発の際に、大きな助けになるだろう。

おわりに

営業企画と新規事業企画への転職を考える営業職の方へ、本記事では両者の役割の違いや必要なスキル、転職に向けて取るべきアクションについてまとめました。

営業企画は営業現場の経験と理解が求められる一方、新規事業企画ではマーケティングスキルや推進力が重要となります。いずれも企業の成長に直結する重要な役割ですが、求められる経験やスキルには違いがあることを理解しておく必要があります。

営業職から事業企画へのキャリアチェンジを目指す方は、まずは小さなタスクから関わり、徐々に経験を積んでいくのがおすすめです。社内での機会を積極的に見つけ、手を挙げていくことで、将来的なキャリアアップにつなげていきましょう。

事業企画職への転職は、営業職の経験を活かしつつ、新たなスキルを身につける絶好の機会である。自身の強みを活かせる領域を見極め、必要なスキルを磨きながら、着実にステップアップを目指していただきたい。