大手企業vsベンチャー企業　企業規模選定のポイントは　

はじめに

転職を考える際、大企業とスタートアップのどちらを選ぶべきかは常に議論の的となるテーマである。人それぞれの価値観によって正解は異なるが、働く環境や得られる経験は大きく違う。本記事では、それぞれの環境で歩むキャリアについて解説し、自分に合った企業規模の選び方について紹介する。

大企業とスタートアップの特徴と違い

大企業の特徴

• 安定性が高く、福利厚生が充実している
• 業務プロセスが確立されており、効率的に働ける
• キャリアパスが明確である
• ブランド力があり、社会的信用度が高い

スタートアップの特徴

• 自由度が高く、裁量権のある仕事に携われる
• 少人数体制のため、一人ひとりの責任が大きい
• 事業の成長スピードが速く、変化が大きい
• 新しいことにチャレンジできる機会が多い

スタートアップのステージ別の経験

スタートアップと一口で言っても、そのステージによって得られる経験が異なる。

シードフェーズ（従業員1〜10名程度）

創業メンバーとして、ゼロからビジネスを立ち上げる経験が得られる。会社を成立させるために必要なあらゆる業務に携わることができるため、幅広いスキルを身につけられる。

アーリーフェーズ（従業員11〜30名程度）

ビジネスモデルの設計や、組織づくりの経験が得られる。事業の成長に直接貢献できる、やりがいのある仕事が多い。

ミドルフェーズ（従業員30〜50名程度）

収益性の確立や、業務の仕組み化に取り組むことができる。ピラミット型の組織に移行するタイミングでもあるため、マネジメント経験を積むチャンスもある。

レーターフェーズ（従業員50〜150名程度）

組織拡大に伴い、求められる役割が増えるため、複数の業務を経験できるケースもある。組織マネジメントに携わる機会も多い。

自分のキャリアビジョンや適性に合わせて、どのステージのスタートアップが自分に合っているかを見極めることが重要である。

転職におけるネームバリューとスキルの重要性

企業のネームバリューはどの程度転職時に評価されるのかという質問も多い。

企業のネームバリューは、20代前半から中盤までの転職時には意味を持つことがある。大手企業では、研修が充実していることが多いため、ベースのビジネススキルをもっていると評価されるため、企業のネームバリューが転職活動時に有利に働くこともある。

しかし、30代以降の転職では状況が変わる。企業のネームバリューよりも、どのようなスキルや経験を持っているかが重視されるようになるのだ。

年齢ごとに状況が変わることを念頭に置いて、キャリア形成を意識する必要がある。

スタートアップへの転職で得られるメリット

スタートアップへの転職で不安に感じる点は、待遇面ではないだろうか。しかし、スタートアップへ転職した人の約6割が年収アップを実現しているというデータもある（※1）。これは、成長領域の企業が優秀な人材確保のために高い報酬を提示しているためだ。現状維持の年収を含めると、実に80%の人が年収を下げずにスタートアップへ転職できているのである。
（※1）ONE CAREER PLUS

スタートアップへの転職で得られるメリットは以下の通りだ。
裁量権の大きさ

スタートアップでは、個人の裁量が大きく、自分の意思で仕事を進めることができる。大企業のように細かなルールや承認プロセスがないため、スピード感を持って業務に取り組むことが可能だ。また、自分のアイデアを提案し、実行に移しやすい環境がある。

成長機会の豊富さ

スタートアップは成長段階にある企業が多いため、事業の拡大とともに、個人の成長機会も豊富である。事業拡大に伴い、これまで存在しなかったポジションの必要性が発生した際には、社内からメンバーを募ることもあるため、これまでとは異なる経験を積むことができる。また、会社の成長に伴い、早いスピードで昇進・昇格のチャンスがある。

自分に合った企業規模の選び方

30代以降のキャリアを考える上で、将来像を明確にし、そこから逆算してキャリアプランを立てることが重要である。

自分のやりたいことが明確であれば、スタートアップへのチャレンジも検討に値する。一方で、安定性を重視するなら大企業を選ぶのも一つの選択肢だ。自分の価値観とキャリアプラン・ライフプランに合った企業規模を選ぶことが、長期的なキャリア形成につながるのである。