プロジェクトマネジメントとは。成功へ導く3つのポイントを紹介
プロジェクトマネジメントとは、期間や目的が定められた取り組み「プロジェクト」を成功に導くための管理手法のことです。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの企画から計画の立案、人材や費用の確保、進捗の管理などを行います。
常にプロジェクト全体の進行を気にかけ、問題や課題が発生した場合は迅速な対応が必要です。
本記事では、プロジェクトマネジメントの概要・成功へ導く3つのポイントを解説します。
社内でプロジェクトマネジメントを任された方や、今後プロジェクトマネジメントの経験を積んでキャリアアップを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもプロジェクトとは
プロジェクトマネジメントを理解する上で、前提として「プロジェクト」の概念を理解しておく必要があります。
業務におけるプロジェクトとは、目的を達成するために期間限定でチームを作り、業務を推進することを意味します。
プロジェクトの代表例は、以下の通りです。
- 新規事業立案・推進
- 業務システム刷新・導入
- 働き方・ワークスタイル改革
- マーケティングキャンペーン
プロジェクトは、一般的に一人で取り組んで解決できるものではなく、複数人で協働して解決を目指すものが該当します。
いずれも比較的規模が大きく、全社で取り組んだり複数部署から専門家を集めて対応したりします。
プロジェクトビジネスが増加する背景
近年、プロジェクト形式でのビジネスが増加している傾向です。
増加の背景としては、外部環境と内部環境の変化が関係しています。
ここでは、プロジェクト形式のビジネスが増加する背景について解説します。
外部環境の変化
外部環境における、プロジェクト形式のビジネスの増加要因は以下の通りです。
・ビジネス環境の変化が速い:テクノロジーの活用により、環境変化や情報連携のスピードが格段に上がっている。新しいことをやらないと取り残されてしまう時代となった。 ・自社だけでなく外部リソース(支援会社)の活用:コンサルティングファーム・SIer・広告代理店といった外部リソースの活用が増加している。 ・ワークスタイルの多様化:社内人材のなかでも、時短勤務・業務委託・インターンなど、さまざまな形態が増えた。 |
上記の変化に対応するために、各企業はプロジェクト形式のビジネスを取り入れるようになりました。
内部環境の変化
外部環境の変化に対し、企業内部で求められるのは「迅速な対応」です。
そこで、一から部署を立ち上げる必要のないプロジェクトベースの進め方が多く採用されるようになりました。
また、プロジェクトが大規模化・専門化するにつれて、部門横断・支援会社・業務委託の活用などが目立ってきています。
特に大企業では、コンサルティングファームとの協働を選択することも多く、これが近年コンサルの興隆に影響している側面でもあります。
さらに、企業は雇用形態やワークスタイルに関係なく、各社員の強みを活かすことが求められる時代となったのも大きな要因です。
社員の強みを活かすことは中長期の育成や事業の発展につながるため、経営観点から見てもメリットがあるといえます。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功に導くために、計画を立てて管理していくことを指します。
プロジェクトマネジメントは勢い・熱意だけでは成功しません。
計画に基づいてタスクスケジュールを管理し、さらに各メンバーのモチベーションを維持する必要があります。
ここでは、プロジェクトマネジメントの目的と、成功に欠かせないQCD(Quality Cost Delivery)について解説します。
プロジェクトマネジメントの目的
プロジェクトマネジメントの目的は、以下の3つです。
①ゴールの明確化:「何のためにやっているのか・結果がどうなればよいか」を明確に提示する |
②リソースの最適化:プロジェクトに関係する予算・メンバーを最適に配分して、タスクに偏りがない状態を目指す |
③チームビルディング:各メンバーの動向を把握して、協力できる体制を整える |
プロジェクトマネージャーは、3つの目的を達成できるようにプロジェクトを管理・進行します。
プロジェクトマネジメントの成功に欠かせないQCD
プロジェクトマネジメントを円滑に進め、プロジェクトの成功へ導くためには「QCD」を理解しておかなければなりません。
QCDとは「Quality Cost Delivery」の頭文字を取った造語です。
プロジェクトマネジメントでは「品質・予算・納期」の3つを管理していく必要があります。
QCDはお互いにトレードオフの関係にあり、どれかを優先するとどれかが失われるのが特徴です。
例えば、品質にこだわって素晴らしいものを作ろうとしすぎると、納期が遅れてしまいます。
そのため、プロジェクトマネジメントでは、3つの観点をバランスよく進めて目標を達成することが求められるのです。
プロジェクト立ち上げ時のポイント
プロジェクト立ち上げ時のポイントは、以下の4つです。
- ゴールの明確化
- ステークホルダーを押さえる
- スケジュールの立案
- 担当者の明確化
ゴールの明確化
まず、プロジェクトに取り組む際にはゴールを明確にして、チーム内に浸透させることが肝要です。
ゴールを明確にする上で活用したいのが、「SMARTのフレームワーク」です。
SMARTのフレームワークに沿って以下5つの視点で考えると、より明確なゴールを選定できます。
5つの項目に関する補足と注意点は、以下の通りです。
・S:ゴールを具体的かつ明確なものにすることで、チームメンバーそれぞれの解釈や理解を統一できる ・M:すべてのプロジェクトが定量的に判断できるものではないが、可能な限り売り上げや会員数といった定量的 な目標を掲げることで、成果・達成度合いを把握できる ・A:目標が高すぎて実現可能性が低いと、メンバーのモチベーションが上がらない ・R:プロジェクトは会社や組織のなかで達成したいものがあるからこそ生まれるため、前提として会社のビジョンに沿った内容であることが必須 ・T:期限を明確にすることで、モチベーションの発奮・維持につながる |
「何を目指すのか・どのように目指すのか・いつまでに目指すのか」というゴールイメージが明確でないと、プロジェクトマネジメントはうまくいきません。
SMARTのフレームワークを用いて、明確なゴールを設定するように心がけてください。
ステークホルダーを押さえる
ゴールを設定した後に行うのが、ステークホルダーへの共有です。
ステークホルダーを共有するにあたって、まずは「社内・外部を含め、誰がプロジェクトメンバーなのか」を把握する必要があります。
特に外部支援会社も参画するプロジェクトの場合、メンバー全員の把握が難しいケースもあります。
名前・顔を早期に一致させるために、議事録として残した録画を見返したり、体系図を作成して、人物を整理したりすると効果的です。
スケジュールの立案
プロジェクト立ち上げ期には、ゴールの設定だけでなく、そこに至るまでのスケジュール立案が非常に大切です。
実現可能なスケジュール案をメンバーと共有してすり合わせることで、目標までのモチベーションが維持できます。
スケジュール立案で重要なポイントは、以下の3つです。
①ゴールから逆算 | ・ゴールの期限と達成状況を明確にする ・中間のマイルストーンを設け、大きなステップを定義する |
②タスクの分解化と構造化 | ・各ステップで必要なタスクを洗い出す ・タスクの粒度によって構造化しながらまとめる |
③クリティカルパスの特定と調整 | ・先に完了させておくべきことを整理して取り組む |
スケジュール立案で最も大切なのは、「何をいつまでにすべきか」を明確にして、タスクとクリティカルパスを整理することです。
クリティカルパスとは、タスクの連動がある道筋のことを指します。
ゴールに至るまでの流れが正しくメンバーに浸透すれば、プロジェクトの成功がより近づきます。
担当者の明確化
タスクを分解してスケジュールに落とし込むときには、そのタスクの担当者を明確にする必要があります。
上記の例では、担当者を明確にせず(もしくは被っているのを見落として)タスクを配分したことにより、Bさんが7月にほかの人の2倍働かなくてはならなくなっています。
この場合は、Bさんが7〜8月に担当する本番HP開発をほかの人に割り振ることで、タスクの偏りを防げます。
上記の例はプロジェクトに関わる人数が少ないので明確化しやすいですが、実際のスケジュールはさらに細かくなり、多くのステークホルダーが関与するのが大半です。
スケジュール立案の初期段階でメンバーの責任範囲も明確にして、タスク配分を検討することが大切です。
プロジェクトマネジメントを成功へ導く3つのポイント
プロジェクトは短くても数ヵ月、長いと数年にわたって進行します。
そのため、プロジェクトの成功には進行中の管理および日々の運用が重要です。
当然ながらプロジェクト初期の検討は大切ですが、進行中になんらかのトラブルが発生することも多々あります。
そこで、ここでは日々の運用で押さえておきたいポイントを3つ解説します。
- 振り返りと優先順位判断
- 予期せぬリスクへの対応
- コミュニケーション
①振り返りと優先順位判断
プロジェクト立ち上げ期に検討したスケジュールに沿って進行しても、想定より時間がかかってしまうことが多々あります。
スケジュール通りにプロジェクトを完遂させるためには、逐一「現状が計画に対して進んでいるのか、あるいは遅れているのか」を正しく認識することが重要です。
上記のようにスケジュールが遅延している場合の対処法は、以下の通りです。
課題:11月20日時点で設計のタスクが予定よりも遅延している 解決策: ・開発タスクを一旦ストップさせる ・メンバーを増やす ・対応範囲を限定させる |
想定よりプロジェクトの進行が遅延している場合、具体的な解決策を考案する必要があります。
まずは進捗具合を正しく把握し、遅延の原因を見つけて迅速に対処することが大切です。
②予期せぬリスクへの対応
プロジェクトの進行中に、予期せぬリスクが発生することは往々にしてあります。
予期せぬリスクに対しては、以下の4ステップで対応することが効果的です。
ステップ | 概要 |
①特定 | 「事業を進めていくのが難しい状況になった」「今使っているツールのバージョンが変わってしまった」などの今後起きうる状態を予測する |
②分析 | 特定したリスクの発生確率・影響度合いを分析して重要度を決定する |
③対応計画 | リスクを未然に防ぐ方策と、起きてしまった場合の対応策を計画する |
④コントロール | 初期段階で特定したリスクに対する重要度の変化、新規リスクの発生などを定期的に確認する |
事前に対応策・コンティンジェンシープラン(緊急事態が発生したときに、被害を最小限に抑える計画のこと)が練れている状態だと、仮にリスク事案が発生してもスピーディーに対処でき、影響を最小化できます。
反対にリスクへの備えがなければ、最悪の場合プロジェクトを中断させるしかない事態にもなり得ます。
常にリスクへの備えを考えながら、プロジェクトの進行を管理するようにしてください。
③コミュニケーション
プロジェクトの進行中は、メンバー・ステークホルダーなどとの円滑なコミュニケーションが大切です。
プロジェクトの進行中に行うコミュニケーションは、大きく分けて3つあります。
1つ目は会議体のコミュニケーションで、「どのような会議を、何の目的で、いつ、誰が参加するのか」を事前に決めておくことが重要です。
会議には、報告会・定例会議・緊急時の対応ミーティングなど、さまざまな形式があります。
以下のように、各ミーティングにおいて目的や参加者、日時を事前に設定しておくことが望ましいです。
プロジェクト進行中に行うコミュニケーションの2つ目は、ツールを用いたやりとりです。
円滑にやりとりするためには「組織内でどのようなコミュニケーションツールを用いるか」を定義する必要があります。
コミュニケーションツールの例は以下の通りです。
- 電話
- メール
- チャット
- 資料共有フォルダ
- 各種クラウドサービス など
プロジェクトに社外の組織・人材が参画している場合は、使用するツールを統一し、必要に応じてアカウント発行・ツールの購入を行うのが望ましいです。
そして、プロジェクトの進行中に行うコミュニケーションの3つ目は、情報共有とチームワークです。
大きな方針・スケジュール・仕様変更などの重要事項は、必ずプロジェクトメンバーに共有する必要があります。
共有をしなければ、メンバーが時間を浪費する羽目になり、プロジェクトの進行に悪影響を及ぼすからです。
円滑な情報共有を行う上でベースとなるのが、チームワークです。
メンバーがお互いに感謝して、リスペクトすることでチームに一体感をもたらします。
プロジェクトマネジメントに従事する際には、メンバー間がリスペクトを持って協働できる環境を整備することを心がけてください。
ウォーターフォール開発とアジャイル開発
システム開発のプロジェクトを進める上でよく用いられるのが「ウォーターフォール開発」と「アジャイル開発」です。
システム開発だけでなく、そのほかのプロジェクトを推進する上でも応用できます。
ウォーターフォール開発とアジャイル開発は、プロジェクトの規模・内容によって使い分けて運用すると効果的です。
ここでは、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の概要・相違点を解説します。
ウォーターフォール開発とは
ウォーターフォール開発とは、上流工程から下流工程まで順番に開発を進める手法のことです。
川の流れのように、上流から下流に開発工程が流れていくフローが名称の由来です。
主に大企業の基幹システム開発といった大規模プロジェクトで用いられ、従来のシステム開発にはこの手法が多く採用されています。
システム開発には開発工程とテスト工程があり、ウォーターフォール開発では各工程を一つひとつクリアして進めていきます。
図にあるように、「基本設計とシステムテスト」「詳細設計と単体テスト」と各工程が対応しているのが特徴です。
「要件定義通りに実装されているか」「やりたいことができるかどうか」をテスト工程で確認できるため、一つずつの工程を着実に管理できます。
アジャイル開発とは
アジャイル開発とは、小さな単位で実装・テスト・リリースを繰り返す手法のことです。
アジャイル開発では、「反復」の意味を持つイテレーションと呼ばれる小さな開発計画を指すプロセスを繰り返します。
このイテレーションの期間は1〜2週間程度で設定することが多く、イテレーションごとにリリースを繰り返し、完了すれば次のイテレーションに進んでいきます。
ウォーターフォールとアジャイルの違い
ウォーターフォール開発とアジャイル開発の相違点は、以下の通りです。
ウォーターフォール開発は、前工程が終了しなければ次工程に進めないため、確実・安定した開発がマストとなる大規模開発に適しています。
アジャイル開発では、ローンチ前から市場にアーリーアクセスといった形式で公開できるため、ユーザーのフィードバックを受けられるのが最大のメリットです。
一方で、ウォーターフォール開発は柔軟性に欠け、アジャイル開発は最悪の場合、開発遅延を招く可能性があるというデメリットがあります。
つまり、ウォーターフォール開発とアジャイル開発のどちらか一方が優れているわけではなく、開発規模・対象システム・アプリケーションによって向き不向きがあります。
プロジェクトの概要・特性に応じて、適切に手法を選択するようにしてください。
プロジェクトマネジメントに役立つプロジェクト管理ツール
プロジェクトマネジメントを円滑に進行させるためには、プロジェクト管理ツールの使用が欠かせません。
プロジェクト管理ツールとは、プロジェクト進行におけるさまざまな業務を一元管理できるツールのことです。
プロジェクト管理ツールの主な機能は以下の通りです。
- スケジュール管理
- タスク管理
- 担当者管理 など
プロジェクト管理ツールを用いることで、さまざまな管理業務を簡素化・自動化できるため、管理業務への負荷・ミスを減らせます。
従来のプロジェクト管理では「Excelでガントチャートや課題管理表を作って運用する」形式が多く見られました。
しかし、近年ではデータを同時編集したりインポートしたりと、他サービスの連携に対応したクラウドサービスが続々と登場しています。
ここでは、以下の代表的なプロジェクト管理ツールを紹介します。
- Microsoft Project
- Jira
Microsoft Project
Microsoft Projectは、マイクロソフト社が提供しているプロジェクト管理ツールです。
タスク管理や進捗管理といった基本的な機能はもちろん、ほかのマイクロソフト社製品と連携しやすい点が特徴です。
特に、オンライン会議ツールであるTeamsとのシナジーが高く、ファイル共有・チャット・会議などの機能を合わせて利用できます。
また、セキュリティ面でも信頼性に優れたエンタープライズ クラウドであるAzureを用いて構築されているため、安心して導入できるのも魅力です。
Jira
Jiraは、オーストラリアに本社を置くAtlassian社が提供しているプロジェクト管理ツールです。
アジャイル開発といった、スピード感を持ってPDCAを回す開発の管理を得意としているツールです。
工数を数値化して「各イテレーションを1週間でどれだけこなせるか」といった分析ができます。
実際のツール画面では、ボード画面でチケット化されたタスクを一覧表示できます。
これが進捗状況や担当者に紐づいており、現在の進捗状況が一目で把握可能です。
また、Jiraでは予実管理を定量的に扱えるため、今週のタスク消化率をチーム・個人単位で把握・分析できるのも魅力です。
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