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【前編】人材開発とは。主体性を育てる具体的な手法や陥りやすい失敗を紹介

事業の発展や企業の成長に必要不可欠なのが「人材のパフォーマンス向上」です。

各業界・企業は人材のパフォーマンスを向上させるために、あらゆる施策を打って人材開発を行っています。

しかし、人材開発は一筋縄ではいかないのが実情です。

「研修や教育に費用をかける」「OJT・メンターを付けてマンツーマンで指導する」などの施策が、全ての人材でうまく効果が出るわけではありません。

あくまでも人材開発の対象となる社員は、自分とは異なる他人です。

一人ひとりに合った施策を講じなければ、人材開発の成功する可能性が下がります。

そこで前編となる本記事では、人材開発の具体的な手法・陥りやすい失敗を解説します。

特に、人事職・組織をマネジメントするポジションの方は、ぜひ参考にしてください。

人材開発とは。役割と目的

人材開発(育成)は、社員やメンバーに対して、成長や実力向上を促すための活動全般のことを指します。

育成担当は人に向き合って仕事をするため、無意識のうちに「人」にフォーカスしすぎてしまうケースが多々あります。

そのため、人材開発の目的を誤認している方が多い傾向です。

人材開発・育成の本来の目的は「成長を通じて事業成長・業績の向上につなげること」です。

人材の適性・希望などを汲み取るあまり、本来の目的である事業成長・業績の向上から乖離しては意味がありません。

あくまで事業成長・業績の向上のために人材開発・育成を行うのを、念頭に置いて実施する必要があります。

人材開発で陥りがちな失敗

人材開発を実施する際に陥りがちな失敗は、以下の3つです。

  • つい代わりに仕事をしてしまう
  • そのときの思いつきや気分で言うことが変わる
  • 育成リソースの配分を間違える

つい代わりに仕事をしてしまう

代わりに仕事をしてしまう失敗例

育成担当が新入社員に仕事を任せるのではなく、気づけばつい代わりに仕事をしてしまうケースが散見されます。

代わりに仕事をしてしまうことは、無意識で陥りがちな失敗です。

社員が自分の存在意義を見失ってしまうことにも結びつくので、避けるようにしてください。

具体的な失敗事例は、以下の通りです。

【失敗事例1】
チェーン展開しているコーヒーショップの店長が、本部からアルバイトを「おいしいコーヒーが淹れられる人材」に育てるように任された。しかし、店長はお客様への品質を考えるあまり、アルバイトにはコーヒーを淹れさせず自分で淹れてしまっていた。その結果、アルバイトはおいしいコーヒーを淹れられる人材に育たなかった。
【失敗事例2】
部下の人材開発を実施している管理職。部下に提案の方針や提案戦略を考えさせる機会を十分に与えず、戦略部分を自分が代わりに描いて、その実行だけを本人に任せていた。その結果、実行部分は一定の成果が出せるようになったが、戦略部分が未熟なままになってしまった。

特に失敗事例2では、最終的な実行業務だけを任せることで、全ての業務をできるようになったと誤認して失敗するパターンです。

育成する際は、業務の最初から最後まで全てを一気通貫で指導する必要があります。

一部でも仕事を代わりに行うのは避けるようにしてください。

そのときの思いつきや気分で言うことが変わる

その時々で思いついた事柄を発言したり、気分で発言が変わったりすることは、人材開発において悪影響を与えます。

自身は理解している事象でも、新入社員には常に全てが学びの場です。

それゆえに、育成担当は新入社員の一つひとつのインプットが本人の成長に大きく影響することを理解する必要があります。

ただし、気分に左右されない・そのときの考えや気分で発言しないことは、育成担当にとって非常に難易度が高いものです。

気分・思いつきで発言しないためには、本人に対しての育成ポリシーやコミュニケーションの方針を定めた上で、正しい振る舞いや行動を心がけることが大切です。

一人ひとりに合わせた人材開発の方針が定まっていない状態では、気分・思いつきでの発言を無くすのはほぼ不可能といえます。

育成リソースの配分を間違える

育成リソース配分の失敗例

人材の成長・能力の開発にフォーカスしすぎると、リソース配分を間違える可能性が高くなります。

原則、人材開発にかけられる資本・人的リソースは有限です。

そのため、人材開発に取り組む際には「事業成長につながるかどうか」の観点でリソースを考えるべきです。

例えば、売り上げ0円の新入社員を100万円に育てることと、既存社員の300万円の売り上げを1,000万円に育てることでは、後者が容易かつ少ないリソースで実施できます。

また、以下の事例もリソース配分において注意すべき内容です。

【失敗事例】
新入社員5人の育成を任されている担当者。基準ラインが月間売上100万円であり、5人のうち4人が100万円に到達していて、1人だけが30万円だった。全体の品質を優先するあまり、到達していない1人にリソースを割いてしまった。
  ↓
【改善案】
基準ラインに到達している4人のなかに、少し指導するだけで売り上げが500万円になるポテンシャルの高い人材がいた。基準に到達していない30万円の人にリソースを過剰に投じるのではなく、ポテンシャルが高い人材に育成リソースを配分する。

上記の例で、リソース配分を伸びしろが大きい4人に割くことは、その育成リソースに対する業績貢献や事業成長につながりやすいです。

能力が基準に及ばない人材を完全に切り捨てるまではいかないにしても、事業の継続・発展を考える上では、見込みの高い人材にリソースを割くことが大切です。

人材開発で主体性を育てるコミュニケーション3ステップ

特に、若手の人材開発で重要なポイントは「主体性」です。

若手の人材開発において主体性を育てることは、全体の7〜8割を占めるほどの重要性を持ちます。

主体性を育てる3つのコミュニケーションのステップは、以下の通りです。

  • 信頼関係を構築する
  • 本人にミッションを宣言してもらう
  • 振り返りを実施する

ここからは育成を行う側を「育成担当」、育成される側を「新入社員」と表現して解説します。

信頼関係を構築する

育成担当と新入社員の間で重要となるのが「信頼関係の構築」です。

お互いの間で信頼関係がなければ、育成担当の言葉は新入社員に届きません。

信頼関係を構築する上で、育成担当が心がけたいポイントは以下の2点です。

①期待をかける新入社員に仕事の重要性を伝えた上で、中長期的な視点で相手を信頼している意思を示す

②気にかけてあげる「代わりに仕事をする・過保護になる」ではなく、体調不良のときにお見舞いに行く、落ち込んでいるときやモチベーションが下がっているときに気にかけてあげるなどの振る舞いをする

信頼関係を構築するためには、とりとめのない声掛けから始まる小さなコミュニケーションを大切にして、メンバーと逐一コミュニケーションを取ることが効果的です。

本人にミッションを宣言してもらう

本人にミッションを宣言してもらう

人材開発の観点で、実際の業務を任せるときに大切なのが「本人にミッションを宣言させる」ことです。

任せる仕事の重要性と期待を伝え、本人にやりたいか・やりたくないかを聞き、本人側に「やりたい」と宣言してもらう流れを意識してみてください。

本人にミッションを宣言してもらうための実践例を紹介します。

▼商談からクロージングまで一気通貫で担当してほしいことを伝える場合

順序フロー
1任せたいミッションについて、自社にとっての重要度や顧客企業との取引遍歴などの関連情報を伝える
2重要度の高い仕事だが、あなたならできると思っているので、一気通貫で任せたいと伝える
3本人からの意思「やりたいです」を聞き出す

3の宣言については「この顧客企業は私が責任を持ってやりたいと思います」「私が担当としてやり切りたいと思います」などの強い意志を引き出せれば、それだけで主体性が育つことが期待できます。

また、この宣言は育成担当に対してだけでなく、ほかのメンバーにも宣言する形を取ると、より主体性を高められます。

宣言を通して主体性を育てる手法の注意点は、相手に対しての期待を伝えるため、「自分がほかより特別に優れているのではないか」と誤認する可能性がある点です。

誤認を防ぐために、社員への期待を伝えると同時に謙虚さを保つ重要性を説明したり、まだ育成対象である点を伝えたりすることも重要です。

振り返りを実施する

振り返りを実施する

人材開発では、行動に対する振り返りを適宜行うことが大切です。

実際の現場では、振り返りの時間が取れず、反省を活かせないまま次の事柄に取り組んでいるケースも散見されます。

振り返りを確実に行うためには、育成担当が意識的にミーティングの時間を設けて「反省を次にどう活かすのか」を問いかけていくことが肝要です。

振り返りでは、以下の3点をセットで行うと効果的です。

  • 前回の活動はどうだったか
  • 今回の活動に反省をどのように活かすのか
  • 中長期的に何を目指していくのか

振り返りは頻繁に行っても構いません。

ただし、中長期的な振り返りは頻繫に行っても効果が薄いので、2、3ヵ月に1回ほどを目安に行うのが望ましいです。

主体性を育てるコミュニケーションで誤解しやすいポイント

主体性を育てるコミュニケーションで誤解しやすいポイントは、以下の2点です。

  • 宣言は重大なものに対して行う必要がある
  • 質問・聞く行為は日常的には行わない

宣言するミッションは小さなものでも構わない

主体性を育てるためにミッションを宣言させる際、その対象は重大なものでなければならないと誤解するケースがあります。

しかし、実際は「一つの商談のストーリーを作って本人に任せる」「品質保証リーダーや責任者になる」などの小さいもので問題ありません。

ただ、小さいものであるがゆえに、その仕事の重要性や期待の伝え方は、育成担当の技量が問われます。

質問する・聞く行為は日常的に行う

育成担当による「質問する・聞く」といった行為が、何か区切りがついたタイミングだけで行えばよいと誤解されることがあります。

質問する・聞く行為は、本人の主体性を引き出す重要なアプローチですので、特別なときだけではなく日常的に行うことが大切です。

育成担当は「この仕事はどうすればいいか・どう進めればいいか」といった質問を受けるシーンが多くあります。

そのときに「あなたはどうすればよいと思うか」と聞いたり、見本を見せて「理解できたか」と確かめたりすることで、部下が自らの言葉で話せて、主体性を引き出せます。

ただし、主体性を育てる観点では、あくまで本人が回答できるものに留めておかなければなりません。

質問に対する質問の仕方によって、その本人の学びが促されるかどうかが変わるため、育成する側の返答に工夫を凝らすことが大切です。

後編では、人材開発に必要な「コミュニケーションスキル」から解説いたします。

>>【後編】人材開発に必要なコミュニケーションスキルとは。評価制度や業務設計のポイントを解説

人材開発職へのキャリアアップ・転職にお悩みなら「ASSIGN AGENT」に相談を

人材開発では、育成する側が常に以下の点を意識しておくことが大切です。

  • 人材開発の目的は、成長を通じて事業成長・業績の向上を目指すことである
  • 育成される側の主体性を育てる
  • コミュニケーションを円滑に取れる環境作りに努める など

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