コンサルの転職理由で好印象を残す。ポイントや例文、志望動機との違いを解説
コンサルをはじめ、多くの業種における採用選考で聞かれる「転職理由」。
選考で伝える転職理由は、面接官が納得できる具体的で明確なものでなければなりません。
転職希望先がコンサル業界であれば、なおさら緻密に練られた転職理由が求められる傾向があります。
しかし、自分の想いを言語化して納得感のある転職理由を考えるのが難しいと感じている人もいるかもしれません。
そこで本記事では、コンサルへ転職する際の転職理由の考え方・志望動機との違い・例文を解説します。
コンサル業界への転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
コンサル転職では明確な転職理由の説明が必須
コンサルタントへの転職は、未経験者からの応募が多いという特徴があります。
未経験者を採用するにあたって、コンサル企業が特に重視するポイントが「転職理由」です。
コンサルティングファームは、無形商材を売るビジネスモデルです。
華やかなイメージを持たれやすいですが、無形のサービスを売るビジネスモデルであるがゆえに、サービスへの理解と採用に向けた地道な作業が欠かせません。
コンサルに対して表面的な理解しかしておらず、コンサルへの転職理由が明確でない人は「短期離職しやすい」と判断されてしまいます。
逆に、明確な転職理由を伝えられれば、「業界や企業をよく調べた上で、転職を決断した人だ」と判断され、採用確率が上がります。
このように転職理由では、コンサル特有の傾向を把握しつつ、自分自身の経験・価値観をベースに作成することが大切です。
志望動機と転職理由の違い
転職理由と志望動機は似ている項目ですが、明確な違いがあります。
志望動機と転職理由の概要は以下の通りです。
- 志望動機:なぜこの業界・企業に応募したのか
- 転職理由:なぜ現職から職を変え、転職するのか
上記を比較すると、転職理由は「現職」に対する理由で、志望動機は「応募先」に対する理由となるのが主な相違点です。
ただし、志望動機・転職理由ともに内容には「一貫性」が求められます。
転職理由と志望動機がスムーズにつながる内容であれば、面接官も納得しやすいものとなります。
コンサルへの転職理由を考える手順
コンサルへの転職理由を考える際には、ここで紹介する5つの手順で検討してみてください。
- 転職のきっかけや原因を振り返る
- 現職(前職)での状況と自分の行動を整理する
- 企業側が求める人物像や活躍を理解する
- 言い換えを考える
- PREP法で組み立てる
1.転職のきっかけや原因を振り返る
転職理由を検討するには、まず自分がなぜ転職を検討し始めたのかを洗い出すことが大切です。
転職を考え始めたきっかけや原因としてよくあるものは、以下の通りです。
- 年収を上げたい
- 自分の市場価値を上げたい
- 休みが少ない
- 残業が多い
- 定型業務ではなくもっと面白い業務がしたい
- キャリアアップを目指したい など
「転職理由ではネガティブなものは避けるべき」との意見がありますが、洗い出しの際はネガティブな内容が含まれていても問題ありません。
むしろ、この段階では自分に素直になって洗い出すほうが、結果的に明確な転職理由が作成できます。
2.現職(前職)での状況と自分の行動を整理する
誰しも、現職では叶わない自分の希望を叶えるために、転職を視野に入れるはずです。
採用企業側からすれば「なぜ現職ではその希望が叶わないのか」について、明瞭な事実を把握したいと考えています。
「現職にはない環境・制度が応募先にある」「現職より応募先のほうが合っている明確な事実がある」など、転職を選択する妥当性があると面接官も納得しやすいといえます。
なお、現職での状況を伝える際には、現職への批判や愚痴と受け取られるような内容・言い回しは避けるべきです。
現職が自分にそぐわない状況であっても、そのなかで「状況を改善するためにどのような行動をとったか」「何を思って転職の選択になったのか」を転職理由に組み込むことが肝要です。
3.企業側が求める人物像や活躍を理解する
転職理由を検討する際には、主観だけでなく企業側の視点を取り入れることも大切です。
企業側が人材を募集するのには、以下のような背景があります。
- 既存事業の拡大
- 新規事業の初期メンバー獲得
- 業務に必要な資格を持つ人材が退職 など
採用を進める企業は、「入社後にこう活躍してほしい」という人物像や行動まで想定していることが大半です。
転職理由を作成する際は募集要項や企業の公式Webサイトなどを熟読した上で、その内容を反映できれば、面接官への説得力が高まります。
4.言い換えを考える
1.で洗い出した転職のきっかけを、実際に面接官を前にして述べる際には、ポジティブな言い回しに変換し、企業が求める人物像に沿って訴求する必要があります。
言い換えの例は以下の通りです。
例:・転職のきっかけ:「もっと面白い仕事がしたい」「定型業務はしたくない」 ・企業が求める人材:「好奇心」「勉強熱心」「積極的」な人材 →(言い換え)積極的な行動や発言が重視される環境で、さまざまなことを学びながら挑戦し続けたいと思い、転職を決断した。 |
言い換える上で大切なのは、「自分が転職を通じて何を実現したいのか」を明確に伝えられるようにすることです。
転職を通して何を達成したいかが明確であれば、企業側に対しても深い納得感を与えられます。
5.PREP法で組み立てる
転職理由を組み立てるときには、フレームワーク「PREP法」を利用するのがおすすめです。
PREP法はあらゆるビジネスシーンで用いられるフレームワークで、「結論」「理由」「具体例」「結論」で構成されます。
詳細は以下の通りです。
- Point(結論):要点や主張
- Reason(理由):その結論に至った経緯・背景
- Example(具体例):理由に具体性を持たせるためのデータや例示
- Point(結論):要点や主張
PREP法の大きな特徴は、最初に結論を述べる点です。
結論を述べた後に、理由や具体例を説明し、最後にもう一度結論を述べることで、相手に納得感を与えやすくなります。
PREP法を転職理由の作成に利用することで、面接官に要点が伝わりやすい内容の転職理由が作成できます。
コンサルへの転職理由を伝えるときのポイント
コンサルへの転職理由を伝えるときには、以下のポイントを意識してください。
- 業界・企業の十分な理解が必要
- 自分の経験やスキルを盛り込む
- 企業との適合度を示す
- 前職の不満や愚痴を言わない
- 志望動機との一貫性を持たせる
業界・企業の十分な理解が必要
転職理由に具体性を持たせるためには、十分な業界研究・企業研究が必要です。
業界・企業を十分に理解していなければ、各企業に合った内容を伝えることはできません。
企業研究で調査すべき項目は以下の通りです。
- 企業文化
- 価値観
- プロジェクト内容・範囲
- 業績
- 将来性 など
上記のような内容を、転職理由のなかにうまく盛り込む必要があります。
自分の経験やスキルを盛り込む
転職理由には、必ず自分の経験やスキルを盛り込み、内容に独自性を出すようにしてください。
例えば、以下の転職理由は自分の経験が入っておらず、不十分だと捉えられる可能性があります。
- コンサルティングファームが解決すべき課題が複雑かつ多様化しているため
- 社会においてM&Aの重要性が増しているため など
不十分とされる理由は、内容が第三者視点・マクロ情勢の視点になっている点です。
時勢を評論するような内容は、自身の経験・ストーリーが入っておらず、転職理由として好ましくありません。
説得力を出すためには、「自分がどういったことを経験してきて、どう感じて転職に至ったのか」を説明する必要があります。
企業との適合度を示す
転職理由では、志望企業と自分の適合度を示すことも大切です。
過去の経験やスキル、価値観が新しい職場にどのように合致するかを強調すると、志望度の高さをアピールできます。
また、企業側にとっても、転職者を採用するメリットをイメージしやすくなるという利点があります。
なお、適合度を示すためには、深い企業研究と自分自身への理解が欠かせません。
深い企業研究と自分自身への理解があって、初めて明確に適合度が示せるため、企業研究や自己分析などの基本的な対策を怠らず行うようにしてください。
前職の不満や愚痴を言わない
転職のきっかけが、以下のようなネガティブな内容である人もいるかもしれません。
- 残業が多い
- 人間関係が合わない
- 上司とうまくいっていない
- 給料が低い
- 休みが少ない など
上記の内容を、そのままストレートに面接官に伝えるのは望ましくありません。
なぜなら、転職先でも同じような出来事があれば、また早期退職するのではないかと不安視されてしまうためです。
また、ネガティブな内容を話す際には、つい感情的になってしまいがちです。
感情的な一面が見られた場合、聞き手を配慮できない人・他責な人だと判断されてしまう可能性も出てきてしまいます。
ネガティブな内容はポジティブな内容に言い換えるよう留意してください。
志望動機との一貫性を持たせる
転職理由は、志望動機とスムーズに連動するような一貫性がなければ、説得力に欠けてしまいます。
例えば、志望動機として「キャリアの成長やリーダーシップの機会に興味がある」と述べつつも、実際の転職理由が「給与の向上」の場合は、一貫性がないと判断されます。
転職理由と志望動機は、一貫性があり関連性の高い内容となるように意識して作成すべきです。
よくあるコンサルへの転職理由
コンサルへの転職理由で頻出な内容は、以下の通りです。
- コンサルスキルを獲得したい
- 自分の市場価値を高めたい
- 仕事にやりがいを感じたい
- 大規模な仕事に関わりたい
- グローバルに活躍したい など
実際のコンサルティング業務では、数名のチームを組み、数ヵ月〜数年ほどの長期的なプロジェクトに取り組むことが大半です。
一つのプロジェクトを通して動く金額が大きく、世界規模の課題解決に挑むことも少なくありません。
チームで解決が困難と思われる課題に取り組み、無事解決できることへ大きなやりがいを感じられる人は、コンサルタントに向いているといえます。
コンサルの転職理由の例文
ここでは、コンサルへの転職理由の参考になる例文を3つ紹介します。
例文1:IT企業からコンサルタントへ
現在の職場では、ITプロジェクトのプロジェクトマネジメントを担当し、新しいシステムの導入や既存システムの最適化を通じて企業の業績向上に貢献してきました。しかし、現職ではプロジェクトのスコープが狭く、組織全体の課題に対処する機会が限られています。
私は広範なビジネス課題に取り組み、企業全体の成長に寄与したいという志向を持っていますが、現場ではプロジェクトに特化した支援しか提供できません。
潜在的な組織課題や業界全体のトレンドに対するアプローチが制約されています。
そのため、戦略コンサルタントとしてより幅広い視野を持ち、組織全体の戦略的な課題に対処したいと思い転職を決断しました。
IT人材を募集している御社であれば、自身の経験とスキルを活かしながら企業に対して継続的かつ戦略的なアドバイスを提供できると考えております。
例文2:建設業からコンサルタントへ
私は工事管理として複数の現場を受け持つポジションで勤務しております。人手不足が著しい建設業では、DX化やAI化による現場改革が不可欠といえる状況です。しかし、現状は業界特有の特徴や課題などにより後回しにされる傾向が強く、なかなか進んでいません。
このような現状で、私は働きやすい職場・業界にしていくためには、外からの支援も進めていく必要があると感じるようになりました。
そこで、建設業へのコンサルティング業務も行っている御社の募集要項を拝見し、これまでの経験・スキルを活かしつつ、業界ならびに御社に対して貢献できると思い、応募させていただきました。
例文3:製造業からコンサルタントへ
現在、弊社の工場にて生産技術職に従事しております。
生産ラインの自動化が推進される現代においては、自動化に関するノウハウの醸成や人材の獲得も製造業に求められています。私は生産技術職として自動化に対し課題感を持って勤務しておりますが、弊社ではあまり重要視されていないのが実情です。
私はそのような状況下で、さらに広範にこれからの製造業の発展に寄与できるポジションに就きたいと考えるようになり、転職を決意いたしました。
御社のコンサルティング業務を通じた製造業に抱いている課題感が、私の抱いているものと親和性が高く感じたため、この度応募いたしました。これまでのスキル・経験を活かし、製造業ならびに御社への貢献ができると考えております。
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