AI時代だからこそ自分にしか書けないESを書く方法

生成AIで下書きを作る人が増えたぶん、似た文章が並ぶようになりました。差がつくのは、AIには手に入らない材料を持っているかどうかです。材料さえあれば、書く道具としてAIを使っても構いません。
AIが書けないもの
AIは整った文章を作れます。「困難な状況で努力し、成果を出しました」という筋書きなら、数秒あれば十分です。
書けないのは、あなたが実際に立っていた場所の細部です。冬の朝5時にグラウンドの霜を払った手の冷たさは、その場にいた人しか書けません。
AIで整えた文章は、文の運びがきれいで具体的な場面だけがないため、読む側にはすぐ分かります。
読み手は毎年何千通も目を通します。整った文が並ぶ中で目に留まるのは、細部のある1枚です。つまり勝負は書く前に、材料を持っているかどうかで決まっています。
材料は3種類あります。足を運んで得た話、書かれたものから引いた言葉、自分の感情の記録です。
一次情報の入れ方
AIは、あなたが入力していない現場の話を知りません。OB・OG訪問はその材料を取りに行く場ですが、聞き方を間違えると材料になりません。
「若手に裁量がありますか」と聞けば「あります」と返ってきます。この答えは公式サイトにも書いてあります。
聞くべきは過程です。入社3年目の方が、厳しい要求にどんな体制で向き合い、何に苦労したのかまで聞くと、公開情報にない話が出てきます。
書くときは、聞いた話をそのまま引用しないほうが安全です。自分の仮説がどう書き換えられたかを書きます。
| 材料が生きていない例 | 材料が生きている例 |
|---|---|
| 「OB訪問で、貴社の挑戦する社風を知り、魅力を感じました」 | 「当初、貴社の挑戦は新規事業のことだと思っていました。しかし1円単位のコスト削減に挑む現場の話を伺い、地道に続ける力こそが求められているのだと考えを改めました」 |
後者には、訪問の前と後で変わったものが書かれています。裏を取りに行った形跡そのものが、思考の深さを示す材料です。
同じ会社の社員を複数人訪ねると、部署や年次で見えている景色が変わるぶん材料が増えます。
話が食い違っても構いません。なぜ違って見えるのかを考えたところに、自分の視点が生まれます。
座談会や説明会も、同じように材料を取りに行く場です。大勢の前で自分の関心に踏み込んだ質問をすれば、返ってくる言葉のニュアンスが手に入ります。
聞いた話は、記憶で書くと事実と違う内容になるので、その日のうちにメモしましょう。
訪問の前にも準備が必要です。採用ページと直近の決算資料に目を通し、そこに書いていないことだけを質問に回しましょう。
相手の時間を使わせている以上、調べれば分かることは聞かないようにします。
経営者の本から引く
材料を変えたいなら、採用ページとインタビュー記事より一段深い情報源に当たるのが早道です。創業者の著書、社史、記念誌には、会社が何を大事にしてきたかが判断の形で残っています。
AIは内容を要約できます。ただし、その思想があなたの経験とどう重なるかまでは書けません。
引くときは、言葉と自分の経験を並べて書きます。「誠実さとは期待に応えることではなく、期待を裏切らない準備をすることだ」という一節に、大会前日まで練習場に通った経験を重ねる、という形です。
会社が苦しかった時期の判断も、強い材料です。損得を超えた決断がどこにあったかを読み取り、自分がなぜそこに惹かれたのかを書きます。「業績が良いから」「有名だから」という理由とは、読まれ方が違ってきます。
公開されている創業者の著書や社史なら、探すのは難しくありません。大学図書館や国立国会図書館で所蔵を検索できます。
有価証券報告書や統合報告書も同じ役割を果たします。経営陣が何を課題として書いているかは、採用ページより具体的です。
感情と過程を書く
残る材料は、自分の感情の記録です。その場で何を感じ、どう考えが動いたかを指します。
AIが得意なのは、「困難に対し対策を講じて結果を出した」という構成づくりになります。書けないのは、反対されても諦めなかった理由や、意見が割れた場で声を出すまでの迷いです。
読み手が知りたいのは実績の大きさより、その過程であなたが何を選んだかです。
描写を1つ入れるだけでも変わります。試合前の張り詰めた空気、対応の最後にお客様がふと緩めた表情といった細部が、文章に個性を与えます。
ただし描写だけを厚くしても評価は上がらないので、感じたことと、そこから取った行動をつなげてください。
感情は後から思い出そうとしても出てきません。活動の途中で、うまくいかなかった日に何を考えたかだけでも書き留めておくと、材料として残ります。
書き留める先はスマートフォンのメモで足り、1行でも構いません。その日の自分の言葉が残っていれば、後から使えます。
AIの正しい使い方
差別化を意識するあまり、AIを敬遠する必要はありません。使う場所を決めれば強い道具になります。
| 使い方 | 中身 |
|---|---|
| 向いている使い方 | 書いた文章を読ませ、具体性が足りない箇所を指摘させる |
| 向いている使い方 | 長くなった文を、意味を変えずに短くさせる |
| 向いていない使い方 | 経験そのものを書かせる。細部が抜けた文章になる |
自分の文章を入力して「感情が伝わりにくい部分はどこか」と聞き、返ってきた指摘を手がかりに自分で直すという往復が、材料を磨く作業になります。
指摘をそのまま反映させないことも覚えておきましょう。AIの提案どおりに直すと、たいてい無難な文になります。
指摘は「ここが弱い」という場所の目印として使い、どう直すかは自分で決めてください。この一手間があるかどうかで、細部が残るかが変わります。
提出前には、必ず自分で声に出して読んでみましょう。自分の言葉になっていない箇所は、読み上げたときに引っかかります。
引用と自分の体験の配分にも気をつけてください。調べたことばかりが並ぶと、あなたが何をしてきた人なのかが見えなくなります。
軸はあくまで自分の経験です。外から持ってきた材料は、その経験を説明するために使ってください。
AIに書かせた文章は、面接で深掘りされたときに説明を足せません。
「なぜそう感じたのですか」と聞かれて答えに詰まるのは、書いた本人が材料を持っていないときだけです。
逆に、自分で集めた材料で書いていれば、聞かれるほど話せることが増えます。ESと面接は別の準備ではないと考えてください。
ESの書き方の見直し方
ESを見直すときは、文章の出来より先に、AIには手に入らない材料が入っているかを確かめます。
「その話は、あなたにしか書けませんか」を、いま自分の言葉で説明できるでしょうか。誰にでも書ける内容なら、AIでも書けてしまいます。
どの経験が自分にしか書けない材料に当たるのかは、本人には当たり前すぎて見落としやすいため、ASSIGNのエージェントに経験を話し、どこに興味を持ったかを尋ねてみるのも1つの方法です。
志望企業のOB・OG訪問を1件だけ申し込んでみましょう。採用ページに目を通し、質問を3つ用意してから連絡します。
ASSIGN
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