求める人物像から逆算した特殊な設問への対応

変わった設問には、会社ごとに確かめたいことがあります。面白い答えを競う場ではないので、設問の意図を読み取ってから書き始めます。
特殊な設問の出題意図
「あなたを色に例えると」「10年後のニュースを50文字で」。こうした設問の前では、手が止まりやすくなります。
手が止まる原因の1つは、面白いことを書こうとすることです。奇抜な言葉をひねり出そうとして書いては消すのを繰り返し、時間だけが過ぎていきます。
書く内容を絞る近道は、「この会社は、たぶん物の見方を見たいのだろう」と設問の狙いから考えることです。
こうした設問は、定番の質問だけでは差がつかない人気企業ほど多く出ます。
ガクチカや自己PRには答え方の型がありますが、変わった設問に型はありません。準備してきた人とそうでない人の差は、むしろここで開きます。
会社が見ているのは、物事を自分の頭で捉える力と、その捉え方が自社の仕事と噛み合うかどうかです。
だから最初にやりたいのは、この会社が何を確かめようとしているのかを1行に言い換えることです。
業界ごとの出題傾向
出題の傾向は業界によって変わります。過去の選考で出た設問を、確かめたいことに翻訳してみましょう。設問は年度ごとに変わるため、志望先の分は最新の募集要項で確かめるのが確実です。
| 企業・年次/設問 | 何を確かめているか |
|---|---|
| 電通・27卒本選考 あなたを夢中にさせているヒト/モノ/コトの魅力と、夢中になったきっかけ・理由をあなたらしい視点で | 好きなものを、知らない相手にも興味を持たせる形で語れるか |
| 博報堂・26卒本選考 これから10年後にありそうなニュースを50文字以内で。その考えをあなたなりの視点で自由に記述 | 社会や生活者を観察する精度。同社が掲げる生活者発想と重なるか |
| サントリー・26卒インターン 人生における「挑戦」または「創造」の経験を自由に表現(写真・グラフ・イラスト可) | 成果の裏にある地道な過程を、自分で重く見ているか |
| サッポロビール・27卒インターン あなたはどのような「カイタク人財」なのか、規定のスペース内で自由に表現 | 白紙を渡されたときに、自分で構成を決めて動けるか |
広告の2社は、物事の切り取り方を見ています。日常に埋もれた価値を見つけて言葉にするのが仕事だからです。
飲料の2社の設問からは、行動のもとになった価値観を見ようとしている意図が読み取れます。どちらも自由形式で、構成そのものを学生に任せている点が共通です。
確かめたいことは会社ごとに違うので、翻訳は設問ごとにやり直します。
翻訳ができると、設問に合わせて書く材料を絞りやすくなります。同じ答えをどの会社にも使い回さずに済むのも、この翻訳の効果です。
字数や形式の指定も、設問の一部として読みます。50文字以内なら削る力が、白紙1枚なら構成を決める力が試されているためです。
評価される3つの観点
正解のない問いを通して、会社は次の3つを見ています。
| 観点 | 中身 |
|---|---|
| 独自の視点 | どこかで見た無難な言葉ではなく、自分の実体験を通した言葉になっているか |
| 思考の筋道 | 突飛な結論でも、そこに至る理由が説明できているか |
| 価値観の重なり | 会社が掲げる考え方を、自分の行動に落とし込めているか |
設問の翻訳でつまずく人は、この2年で増えました。生成AIに下書きを作らせると、文の運びだけは整うためです。抜け落ちるのは、自分が実際に見たものや感じたことだけです。
読み手は毎年何千通も目を通しているため、その空白に気づきます。使うなら、素材を出した後の整形までにとどめてください。
面接でも同じ差が出ます。自分で書いていない文章は、その場で説明を足せないためです。
価値観を測る設問では、能力だけでなく、同じ方向を向いて働けるかが測られます。
サントリーの「やってみなはれ」やサッポロビールの「カイタク」は、社内で実際に使われている言葉です。共感を書くだけでは足りません。
自分の経験のどれがその言葉に当たるのかまで書けたとき、初めて噛み合っていると読まれます。
書き進める4つの手順
順番は次の通りです。
| 手順 | 中身 |
|---|---|
| 設問を翻訳する | 会社が確かめたいことを自分の言葉で1行にする |
| 素材を集める | 日頃の違和感や、自分だけがこだわっている対象を3つ以上書き出す |
| 抽象語を動詞に変える | 「開拓」「創造」を自分の行動で言い直す |
| 仕事とつなげる | その捉え方が入社後のどの場面で活きるかを1文で示す |
飛ばしやすいのが、抽象語を動詞に変える工程です。「私は創造を大切にしています」と書いても、読み手には何も伝わりません。
自分にとっての創造が、誰もやりたがらない役割を引き受けたことなのか、停滞した練習法に手を入れたことなのかを動詞まで下ろすと、何をした人なのかが読み手に伝わります。実際にやった場面を挙げられれば、言い直せています。
素材集めは、設問を見てから始めても間に合いません。普段から「なぜこのサービスは使いにくいのか」と考えた記録が、そのまま素材になります。候補が3つ以上あると、設問に合うものを選びやすくなります。
仕事とのつながりを書く理由は、この設問が選考の一部だからです。どれだけ面白い答えでも、仕事とつながっていなければ判断の材料になりません。
字数に余裕がある設問なら、最後の1文でその視点が入社後のどの場面で活きるのかを書いてください。社名を隠すと成立しなくなる文なら、仕事とつながっています。50字以内のような短い設問では、設問が求める対象から外さないことを優先します。
通らない答えの3つの型
通らない答えの型は、次の3つです。
| 型 | 中身 |
|---|---|
| 受けを狙いすぎている | 奇抜さが先に立ち、なぜそう考えたかが書かれていない |
| 理念をなぞっただけ | 会社のキーワードを引用しているが、自分の経験と接続していない |
| 読み手を想定していない | 自由形式なのに改行も見出しもなく、文字が詰まっている |
電通や博報堂の設問で見られているのは、答えに至る観察の精度です。受けを狙う答えにする場合も、なぜそう考えたかを具体的に書きましょう。
理念をなぞっただけの答えを、実際の書き方で比べてみましょう。
| 伝わりにくい例 | 伝わりやすい例 |
|---|---|
| 「貴社のやってみなはれ精神に強く共感しました。私も挑戦を大切にしています」 | 「私にとってのやってみなはれは、前例のない企画を通す前に自分で小さく試すことでした。学園祭の新企画では、本番の前に学内で30人規模の試験開催を挟みました」 |
前者は他社にもそのまま出せるのに対し、後者は会社の言葉が自分の行動で言い直されています。
自由形式の設問では、読み手を想定せずに答えを書いてしまうことがあります。数千通を短時間で確認する読み手を想像してください。写真や図を入れるのは見栄えのためではなく、言葉が足りない部分を補うためです。
具体的には、伝えたいことを1行の見出しにする、写真には何を写したものか一言添える、余白を残す、の3つで読みやすさは変わります。
デザインに凝るほど評価が上がるわけでもありません。凝った結果、何を伝えたい1枚なのかが分からなくなることもあります。
提出前に確かめる3点
書き上げたら、次の3つで確かめます。
- 結論に至った理由が、自分の経験で説明されているか
- 会社の言葉を、自分の行動に言い直せているか
- 社名を隠して読んだとき、他社にも出せる文になっていないか
足りないのが経験の材料か、その会社につながる根拠かを見分けましょう。前者は経験の書き出しで、後者は企業研究で補うのが順当です。
この3つを自分で確かめられれば、添削を受ける前に直せるぶん、出せる会社の数も増えます。
書いたものは、通っても落ちても手元に残してください。面接では、この設問の答えがそのまま質問の起点になります。
落ちた分も残すのは、どう書いて通らなかったかが分かれば、次の1枚で直す箇所が決まるためです。
自由形式の設問は構成を決めるまでに時間がかかるので、締め切りまでの日数にも余裕を持たせておきましょう。
特殊な設問への備え方
変わった設問で見られているのは、発想の奇抜さより設問の意図を読めているかどうかです。
今日のうちに、志望企業の設問を1つ選び、この会社は何を確かめたいのかを1行に言い換えてみましょう。答えを考えるのは、その後で構いません。
読み取った意図に別の解釈がないかを、書き始める前にASSIGNのエージェントと話してみてはどうでしょうか。
ASSIGN
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