面接官の心を動かす話し方とは

面接は、一緒に働く相手かどうかを確かめる対話の場です。売り込みのプレゼンとは違い、同じ内容でも話し方しだいで伝わり方が変わります。
話す長さは1分以内
面接官がこの場で見ているのは、一緒に働く相手として話が通じるかどうかです。話の巧さを競う場ではありません。ところが、良い経験を持ちながら話し方で損をしている人は少なくありません。最も多いのが、話が長くなる型です。
1つの質問に1分以上話し続けると、やり取りが一方通行だと受け取られます。面接官が求めているのは会話であって、一方的な説明ではないためです。目安は1分以内、文字数にすると300字ほど、文の数でいえば6文から9文になります。
短くしすぎるのも避けたいところです。ひとことで終えると、面接官が次の質問を組み立てにくくなります。削る順番を決めておくと調整が楽になります。まず背景の説明、次に細かい数字、最後まで残すのが自分の行動と結果です。
長さの感覚は、実際に測らないと身につきません。手元で時間を計りながら話すと、1分がどれくらいの分量かが分かってきます。
多くの人は、自分が思っているより長く話しています。1分で収めたつもりが、測ると2分近くかかっていた例も珍しくありません。面接官が相槌を打ちながら聞いていた時間も、体感には含まれません。だからこそ、一度は機械で測っておきます。
深掘りで崩れない話し方
用意した回答を一言一句覚えて臨む人もいますが、この準備の仕方は深掘りに弱いところがあります。覚えた文章を再現しようとするほど、想定と違う角度の質問に対応できなくなるものです。焦って、前の発言と食い違う説明をしてしまう場面も出てきます。
覚えておきたいのは、話す材料のほうです。何に困り、何をして、どうなったかの3つを押さえておけば、聞かれ方が変わっても組み立て直せます。
想定外の質問には、無理に即答しなくて構いません。「興味深いご質問ですね、少し考える時間をいただけますか」と伝えて、5秒から10秒で整理しておきましょう。
この程度の間なら、直ちにマイナスにはなりません。面接官に話を伺うと、次のような評価をしている例もありました。
> 想定問答を暗記してきたような流暢な回答よりも、「少し考えさせておきます」と一度立ち止まって自分の言葉で答えようとする姿から、誠実さと粘り強さを感じた
PREP法による組み立て方
話の順番には型があり、結論、理由、具体例、もう一度結論の順で運びます。ガクチカを例に、順番の違いを見てみましょう。
| 伝わりにくい形 | 伝わりやすい形 |
|---|---|
| 「私は個別指導塾でアルバイトをしていました。担当していたのは中学生で、最初は生徒の成績がなかなか上がらず……」 | 「担当した生徒10名の平均点を、半年で20点上げました。つまずく箇所が生徒ごとに違うと気づき、宿題の1問目だけを一緒に解く時間を作ったことが要因です」 |
後者なら1文目だけで何をした人かが伝わるので、面接官も全体像を把握したうえで続きを聞けます。
具体例では、抽象と具体を行き来しておきましょう。「工夫しました」で止めず、実際に何をしたのかまで下ろします。
数字は大きさを競うものではありません。10名でも、20点でも、変化が分かれば役目を果たします。
型に慣れるまでは、書いてから話す練習が有効です。ただし本番で読み上げないよう、覚えるのは順番だけにしておきましょう。
この型が有効なのは、面接官が同じ日に何人もの話を聞いているためです。結論が最後に来る話は、途中で理解が追いつかなくなります。
一方で、すべての回答をこの型にはめる必要もありません。「学生時代の失敗は」のような問いでは、出来事から入ったほうが自然に伝わります。
型は道具です。1文目で何の話かを伝えるという目的さえ守れば、順番は場面に合わせて構いません。
声と表情で変わる印象
同じ内容でも届き方は話し方で変わり、押さえたいのは3つです。
| 要素 | 中身 |
|---|---|
| 抑揚と間 | 大事な一文の前に一拍置く。淡々と続けるより耳に残る |
| 表情と目線 | 口角を上げ、相手の目を見る。オンラインならカメラのレンズを見る |
| 聞く姿勢 | 相手が話している間のうなずきと相槌 |
聞く姿勢は見落とされがちなところです。適度に相槌を打ちながら聞く姿勢が「顧客との距離を縮めるのが上手そうだ」という評価につながることもあります。
緊張して声が震えるのは誰にでも起こることで、面接官の側もそれは承知のうえです。
ただし、語尾が消える話し方や、視線が定まらない状態が続くと、社外の相手と向き合えるか不安を持たれてしまいます。
緊張していても、最後の一音まで届く声で話すこと。この一点だけ意識しておけば、他が多少崩れても伝わります。
震えを止めようとするより、間を長めに取るほうが効果的です。息を吸う時間を作ると、声が落ち着いてくるためです。
手元にメモを置いておくのも有効な手立てになります。読み上げるためではなく、詰まったときに視線を落とせる場所として使います。
最初の30秒の重要性
「面接は入室から始まっている」と言われますが、そこまで準備してくる学生は多くありません。内定を取る人ほど、この瞬間を意識しています。
- 挨拶は少し明るいトーンで、はっきり伝える
- 入室や接続の瞬間から見られていると考える
- 名前を名乗るときだけは、ゆっくり話す
最初に良い印象を作れると、その後の面接を落ち着いて進められます。逆に立ち上がりでつまずくと、取り返そうとして話が長くなりがちです。
待ち時間の振る舞いも見られていると考えてください。控室での姿勢や、案内してくれた社員への受け答えが伝わっている場合があります。
面接が始まってから切り替えようとしても間に合いません。会社の建物に入った時点から始まっていると捉えるほうが安全です。
オンラインの場合は、開始前の準備も含まれます。接続を数分前に済ませ、カメラの高さを目線に合わせておきましょう。
見下ろす角度になると、それだけで印象が変わってしまいます。パソコンの下に本を数冊置くだけで調整できます。
自分で確かめる3つの問い
話し方は自分では気づけないので、録音して次の3つで確かめてください。
- 1つの回答が1分を超えていないか(超えていれば背景の説明から削る)
- 1文目だけを聞いて、何の話か伝わるか(伝わらなければ結論を前に出す)
- 語尾まで聞き取れるか(消えていれば声量を上げる)
録音は面倒に感じますが、聞き返すと発見があります。思っていたより早口だった、同じ接続詞を繰り返していた、といった癖が見えてきます。
3つとも通ったら、次は人に聞いてもらいましょう。感想ではなく「分からなかった箇所」を尋ねるほうが、直す場所がはっきりします。
聞いてもらう相手は、その業界を知らない人でも構いません。前提知識のない相手に伝わる話は、面接官にも伝わります。
専門的な用語を使わずに説明できるかも、あわせて確かめてください。研究やアルバイトの話で、業界の内側でしか通じない言葉を使う人は多いところです。
話し方改善の始め方
面接での話し方は、短期間で身につくものではありません。ただし、納得させるのではなく理解してもらう場だと捉え直すだけで、伝わり方は変わります。
自分のガクチカを1分で話して録音してみましょう。
録音を友人にも聞いてもらい、どこで話が長く感じたかを教えてもらってください。自分では気づけない箇所が、そこで見つかります。
判断に迷うときは、ASSIGNのエージェントに一度ぶつけてみると決めやすくなります。
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