外資系企業への挑戦とキャリア戦略

外資系企業をひとくくりには語れません。形態によって、求められる力も選考の時期も別物だからです。この記事では、3つの形態の違いから、選考の流れ、その後のキャリアまでを示します。
3つの形態で評価が違う
外資系と呼ばれる会社は、稼ぎ方によって性格が分かれます。代表的な3つを並べました。
| 形態/代表的な企業 | 中心になる力 |
|---|---|
| 戦略・総合コンサル マッキンゼー、BCG、アクセンチュアなど | 正解のない問いに、事実を積んで答えを出す力。経営者に説明する相手だけに、直感では通らない |
| 投資銀行 ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンなど | 決めた期日までに、精度を落とさず仕上げる力。企業の合併・買収や資金調達を扱うため、数字の誤りが許されない |
| 事業会社(テック・メーカー・消費財) Google、Amazon、P&G、セールスフォースなど | 自分で決めて動かす力。若いうちから担当領域を任され、変化への適応力やリーダーシップが評価軸として言語化されている |
同じ「外資系」でも、コンサルで評価される力と投資銀行で評価される力は別物です。志望先を決めるときは、この違いから入っておきます。
初任給の高さだけで選ぶと、入社後につまずきます。何を評価される場所なのかを先に確かめておくのが確実です。
動き出す時期が早い
日系企業とは時期がずれます。企業やコースによって幅がありますが、大まかな流れは次の通りです。
| 時期/段階 | やること |
|---|---|
| 大学2年から3年春 準備期 | 業界研究、ケース面接とWebテストの対策。選抜コミュニティの選考を受ける人もこの時期 |
| 大学3年 4月〜6月 選考の山場 | サマーインターンのES、Webテスト、面接 |
| 大学3年 7月〜9月 勝負どころ | サマーインターンに参加。ここで内定が出ることも多い |
| 大学3年 10月〜12月 本選考と併願 | 秋冬選考、日系企業の準備 |
戦略コンサルや投資銀行では、サマーインターンが実質の本選考になっている場合があります。3日から5日のインターンを通して、現場の社員が一緒に働きたい相手かどうかを見極める場です。
夏に内定が出そろい、秋以降の本選考では枠がほとんど残っていない会社もあります。志望するなら、3年の春には動き始めておきましょう。
日系企業の感覚で「3年の秋から準備すれば間に合う」と考えていると、主要な会社の選考が終わっています。この時期のずれが、外資系就活で最初につまずく点です。
併願する場合も、外資系のスケジュールを基準に組んでください。日系に合わせると、夏の山場に準備が間に合いません。
選抜コミュニティを使う人もいます。FactLogic ExecutiveやYC Seminarといった、選考を経て入る学生向けのコミュニティです。過去問やメンターによる添削が手に入ります。
ただし、入ること自体が目的になると、その先の判断が止まります。参加せずに内定を取る人も普通にいました。
早い人は大学2年のうちから動き始めますが、遅れたから終わりというものでもないところです。手に入る情報の差は、OB・OG訪問と過去の選考体験談で埋めていけます。
選考で見られる4つの場面
選考の段階ごとに、見られている点は移り変わっていきます。次の4つの場面を押さえてください。
| 場面 | 見られている点 |
|---|---|
| WebテストとES | 投資銀行では、成績だけでなく困難な状況での判断の付け方。「最大の困難をどう乗り越えたか」は、苦労話ではなく優先順位の付け方を聞く設問 |
| グループディスカッション | 総合コンサルの序盤で使われる。議論を引っ張る力より、他の人の意見を整理して前に進める力 |
| ケース面接 | 1対1で30分から1時間。「スターバックスの売上を2倍にするには」といった問いに、要素を分解して詰まりを特定できるか |
| ジョブ(インターン) | 数日間、朝から晩までワークが続く。頭の回転より、行き詰まったときの振る舞い |
ジョブで見られているのは成果物だけに限らず、議論が止まったときに他のメンバーへどう接するかも入ります。疲れた場面での態度が、そのまま評価につながるためです。
学生同士で競い合う場だと考えて、他の参加者の発言を潰しにかかる人も見かけます。この振る舞いは、ほぼ確実にマイナスに働くところです。
社員が見ているのは、その人がチームに入ったときの働き方です。成果を出した1人だけが通る選考とは、まるで別物になります。
ケース面接の対策に時間を使う人は多いものの、ジョブでの振る舞いまで準備している人は多くないところです。差がつくのはむしろ後者になります。
内定者に共通する2つの資質
外資系の内定者に共通するのは、粘り強さと知的な誠実さの2つです。
粘り強さは、答えが出ない状態に耐える力です。ジョブでは何度も方向転換を求められるので、そこで投げ出さない人が残ります。
知的な誠実さは、分からないことを分からないと言える力です。取り繕って話を作る人は、次の質問で行き詰まります。
面接官がよく口にする言葉に「Smart, but Nice」があります。優秀であっても、一緒に働きたいと思われなければ通りません。
強いのは、指摘を受けて自分の結論を組み替えたうえで「ここは確証がありません」と正直に付け足せる形です。粘り強さと知的な誠実さが、同じ一言に出ます。
ケースの解き方は練習で身につきますが、この2つは日々の向き合い方に出ます。
裏を返せば、対策の量だけでは届かない部分があるということです。模擬面接を何度こなしても、指摘された瞬間に守りに入る癖は残ります。
日常の議論で、自分の考えが崩れたときにどう振る舞っているか。そこを変えるほうが、結果として選考にも表れます。
得られるものと確認する点
外資系でのファーストキャリアで手に入るものを整理しました。あわせて、入社前に確かめておく点も添えます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| どこでも使える仕事の型 | 短期間で成果を出す進め方が身につく。どの案件に入るかで幅が変わるため、配属の決まり方を確かめる |
| 2社目以降の選択肢 | 投資ファンドやスタートアップの経営層など、次の行き先が広がる。出身者がどこへ移っているかを調べる |
| 卒業生のつながり | 辞めた後も続く人的なネットワークが残る。同期の人数と離職の状況で密度が変わる |
人のつながりは見落とされがちなところです。マッキンゼー出身者が互いに事業を紹介し合うように、退職後にどのコミュニティに属せるかは長く影響します。
ただし、これらは自動的に手に入るものではありません。環境に置かれただけで力がつくわけではないところは、日系企業と変わりません。
同じファームに入っても、5年後の市場価値には差が出ています。任された案件で何を担ったか、その積み重ねが評価につながるためです。
最初の転職までは会社名も有効ですが、その先は何ができる人かで見られます。日系大手でも専門性は身につきますし、外資系でも組織を動かす仕事に就く道はあるところです。
日系大手との併願の決め方
外資系を志望する人の多くは、商社やデベロッパー、広告会社も併願します。比べるときの観点を3つ挙げました。
まず、手元に残る金額です。外資系には、退職金や住宅補助といった制度が手厚くない会社が多くあります。20代の額面年収が高くても、長く勤めたときの総額では見え方が変わってきます。
次に、任される範囲の速さ。若いうちから責任のある仕事に就ける代わりに、育てる仕組みは会社によって差があります。
そして、辞めた後の選択肢です。次に行ける場所の広さは、どの会社で何をしたかによって決まります。
この3つを並べたうえで、自分がどれを優先するかを決めてください。すべてを満たす会社はありません。
判断がつかないときは、5年後の自分がどこで働いていたいかから逆算するのが早道です。会社の格ではなく、そのときに持っていたい力から考えます。
判断の基準は、会社の形態ではありません。配属の決まり方、任される案件、異動の範囲、評価の仕組み。この4つを並べて比べてください。
OB・OG訪問では、制度の有無だけでなく、その会社の40代が社外でも通用する力を持っているかを見てください。ここが分かると、長期の判断がしやすくなります。
「アップ・オア・アウト」を怖がる人もいるでしょう。ただし現在は、退職する社員の次の行き先を会社側が支援する仕組みを持つところも多くあります。どこまで整っているかを、訪問の場で確かめておきましょう。
外資系企業研究の始め方
外資系への就職は到達点ではなく、自分の価値を高め続ける仕事の出発点です。だからこそ、なぜこの環境を選ぶのかという理由が問われます。
今週は、志望企業のインターン締め切りを1社だけ調べれば十分です。外資系の選考は、動き出した時期の差がそのまま結果に出ます。
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