想定外の質問で問われる「柔軟な思考力と人間性」

面接の大半は準備で乗り切れます。差がつくのは、用意していない問いが飛んできた場面です。この記事では、そこで何が見られているのかと、答えを組み立てる手順を示します。
準備できる質問とできない質問
想定外に感じる質問は2つに分かれます。
1つは、調べていれば答えられたものです。「弊社の代表の名前は」「企業理念を教えておきます」がこれに当たります。慌てる必要はなく、事前の確認で防げます。
もう1つが、どれだけ準備しても予測できない問いです。「あなたを色に例えると」「最近イラッとしたことは」といった質問がここに入ります。
ここで扱うのは、準備した回答をなぞるだけでは通らない後者の場面です。
出題の傾向は、選考の段階よりも面接官によって変わります。一次から出てくることもあると考えて準備しておきましょう。
会社が変わった問いを投げる理由は、素の反応を見たいからです。その場で考える様子そのものを確かめています。
3つのパターンで意図が違う
予測できない質問も、狙いごとに3つへ整理できました。
| 質問の型/例 | 見られている点 |
|---|---|
| 自分を定義させる あなたを漢字一文字で/色に例えると/キャッチコピーは | 自分を客観的に捉えられているか。強みをどう定義し、納得できる言葉にできるか |
| 考える過程を見る マンホールはなぜ丸い/100万円あったら何に使う/桃太郎の仲間に1人加えるなら | 結論より、そこへ至る筋道。前提の置き方と、独自の視点があるか |
| 素の価値観を探る 友達を選ぶときの基準は/最近やってしまった悪いことは/あなたが面接官なら自分を採るか | 準備していない状態での誠実さ。困った状況での向き合い方 |
抽象的な問いを投げる型は、業界によって狙いが変わります。コンサルティングなら仮説を立てる力、広告や消費財なら限られた資源の配分の仕方、IT企業や企画職なら足りない要素を見抜く力が見られています。
「桃太郎の仲間に1人加えるなら」を例にすると分かりやすいところです。イヌ、サル、キジという現在の戦力を分析し、目的の達成に何が足りないかを説明できるかが問われています。
答えそのものに正解はありません。「情報を集める役がいないので偵察できる鳥をもう1羽」でも、「交渉役がいないので言葉を話せる人間を」でも構いません。
見られているのは、いまの構成を分析したうえで選んでいるかどうかです。理由なしに答えを出すと、そこで評価が止まります。
価値観を問う型で取り繕う人は多いのですが、これは逆効果です。きれいな答えより、正直な答えのほうが評価されます。
評価されている4つの点
正解のない問いを通して、面接官は次の点を見ています。
| 観点 | 中身 |
|---|---|
| その場で考えられるか | 慌てずに状況を整理し、自分なりの答えに向かえるか |
| 具体で語れるか | どこかで聞いた言葉ではなく、自分の経験から出た言葉になっているか |
| 対話を続けられるか | 掘られたときに、考えを止めずに応じられるか |
| 一貫しているか | それまで話してきた強みや価値観と、ずれていないか |
最も差がつくのは、価値観を問う型です。
面接官の「なぜ」を否定と受け取ってしまう人がいますが、この場面は説明を足す機会として使うほうが得です。
答えが出ないときに黙り込む人もいますが、そこも評価に入ります。「まだ整理できていませんが、いま考えているのはこの方向です」と言えるかどうかで印象が変わるためです。
一貫性も見落とされがちなところです。それまで論理性を強みとして話してきた人が、感覚だけで答えると違和感が残ります。
変わった質問だからといって、別人になる必要はありません。同じ人が答えている、と伝わる範囲で答えておきます。
答えを組み立てる3つの手順
その場で使える手順を3つにまとめました。
| 手順 | 中身 |
|---|---|
| 時間を作る | 「面白い質問ですね、少し考えてもよろしいですか」と伝える(完了の目安=5秒から10秒の間ができた) |
| 自分なりに定義する | 抽象的な問いを、自分の言葉に置き換える(完了=何を答える問いか言えた) |
| 経験で裏づける | 選んだ答えの理由を、実際にあった場面で説明する(完了=いつどこの話か言えた) |
時間を作らずに即答しようとすると、話しながら筋が崩れます。考える時間を求めること自体は減点になりません。
むしろ即答して的外れな答えを返すほうが、印象は悪くなります。落ち着いて考えられる人だと受け取られるほうが有利です。
ただし、10秒を超えて黙り続けるのは避けてください。考えている途中の内容を、声に出しながら進めるほうが安全です。
自分なりに定義する工程が、要になります。「あなたを色に例えると」なら、色を答える問いではなく、自分の強みを1つ選んで説明する問いだと捉え直します。
この置き換えができれば、答える中身は自己PRと変わりません。ゼロから考えているようで、実は準備してきた材料が使えます。
経験で裏づけるところまで行くと、答えが具体になります。「赤です」で止めず、なぜその色なのかを経験で説明してください。
| 弱い答え | 強い答え |
|---|---|
| 「私は赤です。情熱的だからです」 | 「ただの赤ではなく、炭火の赤だと考えています。部活で士気が下がったとき、私は前に立って盛り上げる役ではなく、一人ずつ話を重ねて全員が自主練に参加する空気を作りました。静かに熱を広げるという意味で炭火に近いと思います」 |
後者には選んだ理由と実際の行動が入っているので、掘られても答えが続きます。
質問ごとに完成した答えを用意しても、別の切り口で聞かれれば使えなくなります。
ただし、まったくの無準備で臨むのは避けたいところです。自分の価値観と経験の材料は、先に整理しておいてください。
覚えるべきは答えではなく、この3つの手順のほうです。手順さえ体に入っていれば、初めて聞く問いにも対応できるでしょう。
答えにくい質問への向き合い方
ネガティブな内容を聞かれる場面では、感情をそのまま出すと評価が下がってしまいます。「最近イラッとしたことは」と聞かれたとしましょう。
| 避けたい答え | 伝わる答え |
|---|---|
| 「電車が遅延したことです。ただ、冷静に対処しました」 | 「チームの会議で、目的と行動がかみ合わない議論が続いたときです。苛立ちというより、当事者として進めたい気持ちの裏返しだと捉え直し、次の回で論点を整理した資料を用意しました」 |
前者は出来事の説明で終わっているのに対し、後者は感情を自分でどう扱ったかまで書かれています。
作り話にする必要はありません。実際にあった苛立ちを、後から捉え直した過程を話せば足ります。
苛立ちを感じたこと自体は、感情のない人を採りたいわけではないので問題視されません。
「あなたが面接官なら自分を採用しますか」も答えにくい問いです。ここで謙遜しすぎると、自己評価ができない人に見えてしまいます。
採る理由とまだ足りない点の両方を挙げれば、誠実さと客観性の両方が伝わるはずです。
「最近やってしまった悪いこと」のように、答えづらさそのものを試す問いもあります。深刻な話を持ち出す必要はありません。
日常の範囲で正直に答え、そこから何を感じたかまで話せば十分です。無理に笑いを取りにいくと、場を読めない人という印象が残ります。
こうした質問の後には、たいてい「なぜそう思ったのですか」が続くものです。1つの答えに対して、理由を2段階まで用意しておくと落ち着いて応じられます。
面接官がこの種の質問を投げるのは、用意していない場面での考え方を見るためです。正解の有無を採点する場面ではありません。
対応できるのは質問を面白がれる人で、身構えているほど用意した言葉に逃げてしまいます。想定していない問いほど、その人の考え方が出る場面になります。
答えの正しさを心配する必要はありません。考えている過程を言葉にできていれば、それだけで評価の材料になります。
想定外の質問への備え方
想定外の質問に強い人と弱い人の差は、才能ではありません。普段から考える習慣があるかどうかです。
まずは今日から、目に入った看板やニュース、自分が感じた小さな苛立ちに対して「なぜ」を1日3回だけ問いかけてみましょう。答えを出す必要はありません。
考えた内容は、短くてよいのでメモに残してください。言葉にした回数だけ、その場で使える引き出しが増えていきます。
考える癖がついているか不安なら、ASSIGNのエージェントにぶつけてみるのが近道です。
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