就活生が押さえておくべきキャリア戦略の重要性

キャリア戦略は、決めた方向を実際に使ってこそ意味が出ます。就活の3つの場面での使い方と、就活生が陥りやすい落とし穴を整理します。
キャリア戦略への誤解
キャリア戦略と聞くと、人生設計を細かく決める作業だと構えてしまう人は多いはずです。だから後回しになり、選考が始まってから慌てることになります。
面接官が将来像を聞くのは、いまの選択と結びついているかを確かめるためです。絵の大きさを測っているわけではありません。
ところが「将来像を書けと言われても、何も浮かばない」という状態はよくあります。壮大な絵を描こうとして、白紙のまま止まってしまう形です。
必要なのは、進みたい方向と、そこへ向かう順番だけです。ここが決まっていれば、就活の各場面で迷う時間が減ります。
逆に、決めないまま進めるとどうなるか。応募先を選ぶ基準がなく、面接で理由を掘られると答えに詰まり、内定が複数出たときに条件でしか比べられません。
戦略が要るのは目の前の就活を進めるためで、遠い将来のために書くものではありません。
就活の3場面で生きる考え方
決めた方向は、次の3つの場面で使います。
| 場面 | そこで戦略が果たす役割 |
|---|---|
| 応募先を選ぶ 選考が始まる前 | 数百社の中から候補を絞る基準になる。会社の知名度ではなく、若手が何を任されるかで見られるようになる |
| 面接で答える 選考の途中 | 志望動機と将来像を1本の線でつなぐ。「なぜ」を3回重ねられても軸が動かない |
| 内定先を決める 選考の後 | 条件が拮抗したときの判断基準になる。何を優先するかを先に決めておける |
3つとも決めた方向をそのまま使う場面で、新しく考え直す必要はありません。だから、方向を決める作業は選考が本格化する前に済ませておきたいところです。走りながらでは、目の前の関門に流されます。
3つの場面では、必要な精度も違うところです。応募先を選ぶ段階では大まかな方向で足りますが、面接では理由まで、内定を比べる段階では優先順位まで求められます。
順に精度が上がる形なので、最初から完璧を目指す必要はありません。選考が進むにつれて、同じ材料を細かくしていけば間に合います。
応募先の優先順位
候補の会社をどう絞るかは、自己分析とキャリアプランを紐づける記事が扱う範囲です。ここでは、絞った候補に順番をつける使い方を示します。
やることは3つです。
- 5年目までに身につけたい力を1つ書く:決めた方向から引き算する(完了の目安=1行で書けた)
- 候補の会社を、その力が積めそうな順に並べる:募集要項と社員紹介で、入社3年目までの担当を確認して並べる(完了=順位がついた)
- 下位に置いた会社の理由をメモする:なぜ後ろにしたかを1行残す(完了=各社1行ある)
下位に置いた理由のメモを、軽く見ないようにします。理由が残っていると、持ち駒が減ったときに探し直す起点になります。
会社を並べるときは、規模も見ておきたいところです。同じ職種でも、担当が細かく分かれた大手と、1人で幅広く見る会社では、3年で身につくものが変わります。
応募の件数は、選考の日程と1社あたりの準備時間から決めましょう。増やすほど、企業研究と志望動機を書き分ける時間も必要になります。
面接での使い方
面接では、決めた方向を質問に合わせて切り出しましょう。ここで扱うのは戦略から何を取り出すかで、企業研究の中身を答えに変える手順は面接準備の記事にあります。
| 使えていない例 | 使えている例 |
|---|---|
| 「御社で成長し、将来は事業を引っ張る人材になりたいです」 | 「まず法人向けの提案で数字を読む力をつけたいので、若手から顧客を持てる環境を探しています。御社の3年目の方が新規の顧客を担当していると伺い、志望しました」 |
前者は、どの会社にも出せる言い方です。後者は、身につけたい力と会社の実態が結びついています。
深掘りへの強さも別物です。「なぜその力からなのか」と聞かれたとき、後者なら自分の順番を説明すればすみます。
この切り出しができると、伝わり方が変わってきました。将来像の大きさより、いまの選択と結びついているかどうかで面接官の反応が変わります。
内定先を決めるときの使い方
内定が複数出たとき、条件は必ず一長一短になります。給与が高い会社と任される範囲が広い会社は、どちらも良く見えるものです。
ここで使うのが、先に決めた優先順位です。何を最も優先するかを、内定が出る前に書いておきましょう。
出てから考え始めると、期限に追われて条件の数字だけで決めることになります。年収に加えて、最初に積める経験、配属の見込み、働き方、生活の条件まで並べて比べましょう。
比べる材料も、決めた方向から出てきます。3年目で何を任されるか、異動の仕組みがあるか、教える余裕がある人数か。この3つで並べると差が見えます。
迷いが残るなら、5年後にどちらの経験を語りたいかを比較の軸に加えてください。同時に、通勤や生活費など働き続けるための条件も並べて見ます。
決め手が見つからないときは、両社の若手にもう一度会わせてもらう手もあります。求人票では分からない差が、働く人の話し方に出るためです。
家族や友人の意見も参考にはなりますが、決めるのは自分です。入社後に働くのは、意見をくれた人ではありません。
就活生が陥りやすい3つの落とし穴
よくあるのは、次の3つです。
| 条件の数字だけで比べる | 一貫性を気にしすぎる |
|---|---|
| 初任給や知名度は比べやすいぶん、判断の軸になりやすい。ただし最初の数年で身につくものは、そこには表れない | 転職では経歴のつながりを確認する会社もある。ただし新卒の選考は、職務経験がない前提で学業や課外活動から判断される。将来の一貫性を心配して、いま挑戦する範囲を狭めるのは早すぎる |
- 「成長できる環境」で止める:何をもって成長と呼ぶかが抜けていると、面接でも自分の判断でも使えません
成長という言葉で選ぶ落とし穴は、特に多く見かけます。成長という言葉を、身につけたい力の名前に置き換えるだけで、選ぶ基準に変わります。
初任給で選ぶ落とし穴も、数字を見るなという話ではありません。初任給は生活に直結するため、判断材料の1つには入ります。
問題になるのは、比べやすい数字だけで並べてしまうときです。3年目に何を任されるかは数字で出てこないぶん、意識して調べないと比較の土俵に乗りません。
もう1つ添えておくと、方向は途中で変わって構いません。働いてみて初めて分かることのほうが多いためです。
変わったときに直せるよう、なぜその方向を選んだのかを残しておいてください。理由が残っていれば、状況が変わっても組み直せます。
就活の途中で方向が変わることもあります。説明会や面接で聞いた話がきっかけになるのは、よくあることです。
そのときは、変えた理由も同じメモに足しておいてください。面接で「軸が変わったのはなぜですか」と聞かれたときに、そのまま答えられます。
使えているかの確かめ方
戦略が使える状態かどうかの目安は、次の3つです。
- 応募しなかった会社について、なぜ受けなかったかを言えるか
- 「なぜその仕事からなのか」と3回続けて聞かれても、同じ軸で答えられるか
- 内定が2つ出たとき、何を基準に選ぶかをいま言えるか
1つでも詰まったら、方向と順番のどちらが曖昧なのかを見ます。1が崩れる人は絞り込みの基準へ、3が崩れる人は優先順位の書き出しへ戻るのが近道です。
3つ通れば就活の判断が速くなるのは、迷ったときに戻る場所が決まっているためです。
判定は、選考が進むたびにやり直しましょう。受けた面接で答えに詰まった箇所が、曖昧なまま残っている場所を教えてくれます。
同じ質問で2回詰まったら、その場で直す合図です。次の面接までに、方向か順番のどちらかを書き直しておいてください。
キャリア戦略の立て方
キャリア戦略を考えるときに要るのは、決めた方向を目の前の判断に使えることです。将来像の壮大さは関係ありません。
いま受けている会社を2社選び、どちらを優先するかとその理由を1行で書いてみてください。
書いた理由を、友人に説明してみましょう。納得してもらえないなら、まだ自分の中で優先順位が決まっていない部分です。
確かめたいことが残るなら、ASSIGNのエージェントに一度聞いてみる手もあります。
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