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ベンチャー企業で得られる経験とキャリアパス

ベンチャーを志望する理由としてよく挙がるのが「裁量が大きいから」です。この記事では、その裁量の中身を規模ごとに分けて示し、入る前に確かめるべきことと、向き不向きの見分け方を整理します。

裁量の大きさの実際

ベンチャーを志望する学生に理由を聞くと、多くが裁量の大きさを挙げます。ただ、その中身まで説明できる人は多くありません。

面接官がここで確かめているのは、裁量という言葉の中身を自分で説明できるかどうかです。

ところが、この段階で止まったままになりがちです。裁量が何を指しているのか、本人にも曖昧なままになります。

実際の裁量は2つに分かれ、1つはやることを自分で決められること、もう1つは決めたことの結果を自分で背負うことです。

前者だけを想像して入ると、後者で驚くことになります。判断を任される代わりに、間違えたときに助けてくれる人が少ない環境だからです。

もう1つ知っておきたいのが、任される範囲の広さです。大企業なら別々の部署が担う仕事を、1人で通しで持つことがあります。

営業の資料を作り、商談に出て、契約の事務まで自分でやる。全体が見える代わりに、1つずつを深く磨く時間は取りにくくなります。

だから、ベンチャーが向くかどうかは、いまの自分に合うかどうかで決まります。

規模別に見る働き方の違い

ベンチャーとひとくくりにしても、人数によって働き方はまったくの別物です。

規模の目安新卒にとっての実際
10人前後
立ち上げ期
教える人がいない。仕事は自分で見つける。事業が変わることもある。経営者の近くで意思決定を見られる
数十人
拡大期
型を作りながら人が増える段階。任される範囲は広いが、先輩も数人いる。仕組みを作る側に回れる
100人を超える
組織化の段階
部署が分かれ始める。研修や評価の仕組みが整いつつある。大企業に近い部分と、まだ整っていない部分が混在する

新卒で入るなら、数十人以上の規模が現実的な選択になります。10人前後の会社では、教える余裕そのものがない場合が多いためです。

社会人の型を知らないまま自由に動くと、我流が固まります。3年目に転職しようとしたとき、何ができるのかを説明できない状態になりかねません。

もちろん例外はあります。創業者が育成に手をかける会社や、大企業出身の社員がそろっている会社なら、少人数でも学べます。

見分ける材料になるのは社員の経歴で、他社で経験を積んだ人が何人いるかを確かめておきたいところです。

採用ページの社員紹介を読めば、おおよその見当はつくはずです。新卒で入った人ばかりが並ぶ会社と、他社出身者が混ざる会社では、教わる中身が変わります。

規模の判断でもう1つ見たいのが、直近の伸び方です。1年で人数が倍になった会社では、仕組みが追いついていない可能性があります。

追いついていない状態を自分が面白がれるかどうかは、先に考えておきましょう。整っていない環境で動けるかどうかは、性格の問題であって能力の高低ではありません。

得られるものと失うもの

両方を並べておきます。

得られるもの得にくいもの
事業の全体像が見える。判断の場に早く立てる。成果が数字ですぐ返ってくる。経営者の考え方を近くで見られる体系立った研修。同じ仕事を反復して精度を上げる時間。同期の人数。仕事の型を教わる先輩の層

失うものの中で影響が大きいのは、最後の2つです。同期がいないと、比べる相手がいないまま数年が過ぎます。

型を教わる相手がいないのも、後から響きます。自分のやり方が通用するのか、この会社だから通用しているのかが分からなくなるためです。

この2つを補うには、社外に相談相手を作るしかありません。大学の同期や、他社に入った友人と定期的に話す場を持っておきましょう。

得られるものの側では、判断の場に早く立てる点が最も大きく影響します。20代のうちに自分で決めた回数は、後から取り返しにくい差になります。

数字がすぐ返ってくるのも利点です。自分の打ち手が当たったかどうかが月単位で分かるため、直す速さが上がります。

一方、その速さは苦しさにも変わるものです。うまくいかない月は、その事実も同じ速さで返ってきます。

見極めるための質問

説明会や面接で、次の順に聞くと実態が見えます。

  • 直近1年で入った新卒は何人か:人数が分かれば、教える体制の規模が推測できる(完了の目安=人数が分かった)
  • その人たちはいま何をしているか:入社1年目の実際の担当が分かる(完了=具体的な仕事の名前が出た)
  • 辞めた人はどれくらいいるか:答えにくい質問だが、答え方に姿勢が出る(完了=何らかの回答を得た)
  • 事業がうまくいかなかったらどうなるか:撤退の判断や配置転換の考え方を聞く(完了=方針が聞けた)

退職者数と撤退の判断は聞きにくい質問ですが、それでも確かめておきたい項目です。都合の悪いことをどう説明するかに、会社の姿勢が出るものです。

はぐらかされたら、それも判断材料になります。ただし、その場の担当者が知らないだけの場合もあるため、別の社員にも同じ質問をしてみましょう。

聞く相手は、人事だけに限らないほうが正確です。現場の社員が話す1年目の実際と、採用担当が話す想定はずれることがあります。

インターンに参加できるなら、それが最も確かな確認方法です。数日でも中に入れば、質問では見えない部分が分かります。

参加できない場合は、社員紹介に出ている人の在籍年数を見てください。3年目以上の社員が何人いるかで、続けられる環境かどうかの見当がつきます。

向く人と向かない人

実際には、次のように分かれます。

向いているのは、決まっていない状態を面白がれる人です。手順がない状況でも、自分で作りながら進められます。

向いていないのは、何をすべきかを先に知りたい人です。この性質は悪いものではなく、型が整った環境なら強みに変わります。決められた手順を正確に回せる人は、規模の大きい組織で評価されます。

もう1つの分かれ目が、成果が出ない時期に耐えられるかどうかです。ベンチャーでは、事業そのものがうまくいかない期間があります。

そのとき支えになるのは、事業への納得です。何をやっている会社なのかに共感していないと、続ける理由がなくなります。

だから、ベンチャーを受けるなら事業内容の理解が必須になります。知名度や社風で選ぶと、苦しい時期に踏みとどまれません。

理解の深さは、誰にお金を払ってもらっている会社かを説明できるかで測れます。ここが曖昧なまま入ると、自分の仕事の意味も曖昧になります。

新卒で入る判断の仕方

決め方はこの3つの順です。

決め方中身
事業に納得できるか誰のどんな困りごとを解いている会社かを、自分の言葉で説明できるか
教わる相手がいるか他社で経験を積んだ社員が何人いるか。1年目に誰が教えるのか
3年後に何ができているか社員の3年目が何をしているかで判断する

3つとも通れば、新卒で入る選択は十分に成り立ちます。1つでも欠けるなら、大企業で数年働いてから移る道も検討してください。

大企業からベンチャーへ移る人は多く見かけますが、逆の向きは応募できる求人が絞られる場合があります。ただし職種と実績によって事情は変わるため、一般則として鵜呑みにしないほうが安全です。

この差は覚えておいてください。迷っているなら、後から選び直せる順番で進めるほうが安全です。

とはいえ、順番の安全さだけで決める話でもありません。いま面白いと感じる事業に若いうちから関わる価値は、別にあります。

判断の材料は、上の3つでそろいます。憧れではなく、事業への納得と教わる体制で決めてください。

ベンチャー企業研究の始め方

ベンチャーを調べるときに確かめておきたいのは、任される範囲と教わる体制です。裁量という言葉より、こちらのほうが入社後の実感に直結します。

気になる1社の採用ページで、入社1年目の社員が何をしているかを読んでみてください。

読んだ内容を、友人相手に話してみましょう。1年目に何を任されるのかを具体的に言えないなら、まだ情報が足りていません。

ベンチャーと大企業のどちらから始めるかは、外から眺めているだけでは決めきれない部分です。そこは1人で抱えず、ASSIGNのエージェントに一度聞いてみるのが近道です。

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