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不動産業界研究~現状と未来を見据えたキャリア選択~

不動産と一口に言っても、街を作る仕事と物件を売買する仕事では、日々やることがまるで違います。この記事では、事業の種類ごとの違いと大手の稼ぎ方、そして入社後のキャリアの実像を整理しました。

大手が最高益を並べた年

まず直近の数字から確認しましょう。2026年3月期は、大手デベロッパーが軒並み最高益を更新しました。

三井不動産は営業収益2兆7,097億円と、14期連続で過去最高を更新しています。三菱地所も営業利益・純利益がともに過去最高となりました。

好調の中身は2つに分かれます。1つはオフィスの賃料が上がり、都心の空室が埋まったこと。もう1つは、高額なマンションが売れ続けていることです。

とくに賃貸事業の貢献度は大きく、住友不動産では営業利益の7割を不動産賃貸が生んでいます。保有するビルから毎年入る収益が、業績の土台になっている構図です。

保有する物件の評価額も上がりましたが、その上昇はその年の利益とは別物です。売って初めて利益になるため、賃貸事業の営業利益とは分けて見ておきます。

一方で、住宅を買う個人の側には金利上昇という逆風があります。建築費と人件費の上昇も続いており、今の好調がそのまま続くとは限りません。

海外への展開も各社が進めています。国内の人口が減る前提に立ち、米国やアジアでの開発や運用に資金を振り向ける動きです。

主要プレイヤーの比較

企業/稼ぎ方の軸2026年3月期の状況
三井不動産
開発と分譲の総合力
営業収益2兆7,097億円・純利益2,786億円。街づくりから商業施設運営まで手広く、海外事業も厚い
三菱地所
丸の内を核とした賃貸
営業収益1兆7,461億円・営業利益3,297億円。特定エリアに資産を集中させる形
住友不動産
賃貸の比率が高い
連結営業利益2,991億円のうち不動産賃貸が2,101億円。自社で建てて長く持つ方針
野村不動産ホールディングス
住宅分譲が強い
売上高9,425億円・事業利益1,473億円。前期比24.4%増と伸び率が大きい

(各社の2026年3月期決算短信および決算説明資料による)

同じ「デベロッパー」でも、収益の作り方は違います。持ち続けて賃料を得る型と、作って売る型では、景気の波の受け方が変わります。

賃貸中心の会社は、収益が安定する代わりに大きく跳ねにくい構造です。分譲中心の会社では、売れる時期に利益が集中します。

この違いは働き方にも出ます。分譲が強い会社では、引き渡しの時期に業務が集中する部署が生まれるためです。

会社を比べるときは、事業ごとの利益の内訳を見ておきます。売上の規模より、どの事業で稼いでいるかのほうが仕事の中身に直結する部分です。

事業の種類による仕事の違い

不動産業界の求人は、次の4つに整理すると見通しがよくなります。

  • 開発(デベロッパー):土地を仕入れ、建てるものを決め、完成後の運営まで組み立てる。1件に数年かかる
区分中身
仲介売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人をつなぐ。成約時の手数料が収益
管理建物と入居者を預かり、修繕・契約更新・家賃回収を担う。毎月の収益が安定する
投資・ファンド資金を集めて物件を買い、運用して利回りを出す。金融の知識が要る

このほか、建物を建てる建設会社や、設計を担う事務所も不動産の周辺です。志望先を広げるなら、そこまで含めて見ておくと選択肢が増えます。

学生に人気が集まるのは開発です。ただし採用人数が少なく、1社あたり数十名にとどまる会社が大半を占めます。

一方、仲介や管理は採用の門が広く開いています。同じ業界を志望するなら、どの事業なら自分の力が出せるかまで考えて選んでください。

デジタル化の遅れは、この業界が長く抱えてきた課題です。紙の契約書と電話でのやり取りが残る現場は今もあります。

その分、変える余地も大きい領域になりました。物件情報の扱いや契約手続きを作り替える会社が現れ、大手も自社の仕組みへ投資を始めています。

開発の仕事は、社外の関係者を動かす調整が中心です。設計事務所、建設会社、行政、地権者と、立場の違う相手をまとめる役割になります。

仲介は、成果が短い周期で数字に出る仕事です。担当した取引がその月の売上になるため、目標との距離が常に見えています。

管理の仕事は、建物と人の両方を預かります。設備の不具合から入居者同士のもめごとまで、日々起きることに手を打ち続ける役割です。

投資やファンドの仕事は、物件を金融商品として扱います。利回りを計算し、買う・持つ・売るの判断を数字で組み立てます。

新卒で投資部門に配属される例は多くなく、開発や仲介で現場を知ってから移る流れが一般的です。

キャリアパスと働き方

処遇は業界内でも差が大きい領域です。大手デベロッパーは水準が高く、仲介は成果に連動する報酬の比重が大きい会社が目立ちます。

資格の扱いも押さえておいてください。仲介の現場では宅地建物取引士が要となる資格ですが、取得の期限や手当の有無は会社と職種で違います。

開発や管理でも、建築や不動産の資格を持つと任される仕事が広がります。入社してから学ぶ前提の会社がほとんどなので、選考時点の有無で不利になることはありません。

休みの取り方も事業で変わります。個人の顧客を相手にする仲介や分譲の販売は、土日に商談が入るため平日に休む形が一般的です。

年収を調べるときは、上場企業の有価証券報告書に載る平均年収を見てください。持株会社の数値と事業会社の数値は別物なので、どちらを見ているかを確かめる必要があります。

社内のキャリアは、事業部門をまたぐ異動が中心です。住宅からオフィス、開発から運営へと移りながら、扱う資産の幅を広げていきます。

社外への出口も広い業界です。不動産投資ファンド、外資系の運用会社、事業会社の不動産部門などが移り先として挙がります。

大手デベロッパーは、社内での育て方も長期を前提にしています。1つの開発が完成するまで数年かかるため、若手のうちは先輩の担当案件に付いて全体の流れを覚える形が一般的です。

反対に仲介は早い段階から自分の顧客を持ち、任される範囲が広いぶん力の付き方も早くなります。

仲介で数字を作った経験は、業界を越えて評価されやすい資産です。無形の商材を扱う営業職や、人材・ソフトウェアの営業へ移る例も見られます。

一方で、成果が出るまでに時間がかかる仕事でもあります。開発は完成まで数年、仲介も1件の商談が数か月に及ぶことは珍しくありません。

向いている人と選考の視点

不動産の志望理由は、「街づくりに関わりたい」で止まりやすいところです。ではなぜ不動産会社なのかを聞かれると、そこで言葉が続かなくなります。

その言葉は、建設会社にも鉄道会社にも当てはまるものです。面接で「それなら他の会社でもいいですよね」と返されると、そこで詰まります。

収益の作り方まで踏まえて語れると、印象は変わります。「持ち続けて賃料を得る事業に関わりたい」と話せる学生は、面接官の反応が明らかに違いました。

どの事業が向くかは、次のように分かれます。

事業向いている人
開発立場の違う相手を動かせる人。数年先を見て粘れる人
仲介数字の目標から逆算して動ける人。断られても切り替えられる人
管理現場のトラブルに落ち着いて対処できる人。継続的な関係を保てる人
投資・ファンド数字で物件の価値を判断できる人。金融の知識を学び続けられる人

この業界には、強引な営業という印象が付いて回ります。会社や部署によって進め方は違うため、説明会やOB・OG訪問で実際の売り方を確かめてください。

どの事業でも、扱う金額は大きくなります。人の資産に関わる仕事だと分かったうえで、丁寧に進められる人が信頼されています。

不動産業界研究の始め方

不動産会社を調べるときに見ておきたいのは、その会社が何で稼いでいるかです。知名度より、こちらのほうが面接では通じます。

「この会社は、どこで利益を出しているのですか」と聞かれて、すぐ言葉が出てくるでしょうか。詰まるなら、まだ知名度で見ている合図です。

気になる1社の決算資料を開き、賃貸・分譲・仲介のどこから利益が出ているかを見てみましょう。3行のメモで、答えの形が見えてきます。

書き出した3行を、ASSIGNのエージェントに渡してみると決めやすくなります。

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