生命保険業界の主な職制とキャリアパス

はじめに

日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命など、国内四大生保に代表される生命保険会社では、どのようなキャリアを積むことになるのでしょうか。これらの企業では、職制が基本的に4つに分かれており、職制によって得られるスキルやキャリアパスが異なります。

この記事では、生命保険会社における「4つの職制」について、その特徴やキャリア形成の流れを詳しく解説します。

1. 一般的な総合職

一般的な総合職は、生命保険会社の各部署に配属される可能性がある職制です。配属先は全国規模であり、入社1年目には営業研修を経た後、様々な部署に配属されます。配属される部署によって、商品開発や契約管理、資産運用など、異なるスキルや経験が求められます。

この職制では、配属された部署での評価が重要で、特に3つ目の部署までの実績がその後のキャリアに大きな影響を与えます。生命保険業界は他業界と比べて年功序列の風土が色濃く、約3年ごとに転勤をしながらキャリアを積み重ねる傾向があります。

2. エリア型の総合職

エリア型の総合職は、一般的な総合職とほぼ同様のキャリア形成が行われますが、転居を伴う転勤がない点が大きな特徴です。地域に密着した働き方を希望する方には、魅力的な職制といえるでしょう。

3. 営業系の総合職

営業系の総合職は、営業を主軸にキャリアを形成していく職制です。国内の生命保険会社では、営業ネットワークが大きな強みとされており、営業系の総合職はそのネットワークを管理・拡大する役割を担います。

1年目から2年目は新規開拓、3年目から4年目は内勤業務を経験し、5年目には現場の営業支店長の下で実務を積みます。そして6年目には営業部の責任者を目指すことが期待されるカリキュラムが組まれており、比較的早期にマネジメントポジションに進むことが可能です。

4. 営業職員

営業職員は、主に企業の従業員などを対象とした職域営業を行います。新卒採用者の場合、プレイヤーとして営業活動を行い、顧客との信頼関係を築きながら保険の販売を行います。営業職員の多くはプレイヤーとしてキャリアを積みますが、希望により内勤への異動が可能なジョブローテーション制度も存在します。

生命保険会社で得られるスキルとは

生命保険業界では、職制や配属部署によって得られるスキルが異なりますが、共通して身につくスキルも存在します。その一つが「金融知識」です。

配属によって得られるスキル

一般的な総合職やエリア型の総合職では、配属された部署ごとに専門的なスキルが求められます。例えば、商品開発部では新商品の企画力や市場分析力、資産運用部では投資判断力やリスク管理能力が養われます。部署での経験を通じて専門性を高めることができ、将来的にその分野でのエキスパートとしてのキャリアを築くことが可能です。

営業系で得られるスキル

営業系の総合職や営業職員では、顧客との関係構築能力が最も重要なスキルです。保険という金融商品を扱う営業としてのスキルを高めるだけでなく、社内外の関係者と協力して業務を進めるための調整力や、チームを率いるためのリーダーシップも早期から身につけることができます。

生命保険業界での2大キャリアパス

生命保険業界でのキャリアパスは、大きく分けて2つあります。金融業界でステップアップしていくキャリアパスと、他業界にチャレンジするキャリアパスです。

1. 金融業界でステップアップするキャリアパス

金融業界でのキャリアパスは、金融知識や配属部署で得た専門的な知見を活かしてステップアップしていくものです。年功序列の風土も相まって、社歴と共にキャリアアップが期待されます。

また、保険業界の営業職では、目標達成力や顧客との信頼関係を築くスキルが重要であり、それらを磨くことでトッププレイヤーやプレイングマネージャーとしてのキャリアを追求することができます。

2. 他業界へ異動するキャリアパス

生命保険業界での経験は、転職市場では年齢に比してスキルが低く見積もられる可能性があります。そのため、できる限り早い段階で自身の市場価値を見極め、必要なスキルを身につけることが求められます。

具体的な転職先としては、IT系や人材系企業、コンサルティングファームなどが挙げられます。IT系や人材系企業では、プロジェクトを遂行する力や裁量を持って進める力が求められ、コンサルティングファームでは企業支援を通じてバリューチェーン全体への理解を深めることができます。

生命保険業界と終身雇用制の崩壊

近年、日本に根付いていた終身雇用制が崩壊しつつあり、キャリアの選択肢が多様化しています。生命保険業界は依然として年功序列の風土が残っているものの、将来的にその制度が維持される保証はありません。そのため、一人ひとりが自らのキャリアに真剣に向き合い、適切な道を選び取ることが必要です。

自分はどのようなキャリアを築きたいのか、どんな存在になりたいのか、そして何を実現したいのか。今こそ、これらの問いに真剣に向き合う時期なのかもしれません。