自己分析とキャリアプランを紐づけるポイント

自己分析は、終えた時点では選択肢を1つも減らしていません。この記事では、掘り出した価値観を職種・業界・会社の段階へ順につないで、応募先を絞るところまでの手順を示します。
自己分析から先へ進めない理由
価値観は言葉にできた。それなのに、どの会社を受けるかが決まらない。この状態の相談を、エージェントとして繰り返し聞いてきました。
原因は掘り足りないことではありません。掘ったものを、選ぶための条件に変換していないことです。
「人の成長に関わりたい」という価値観をそのまま持って企業を探すと、教育、人材、コンサルティング、事業会社の人事まで全部が当てはまります。絞れないのは当然です。
変換には順番があります。職種、業界、会社の段階の順に見ていくと、条件が1段ずつ狭まるためです。
逆をやると行き詰まります。会社名から入ると、その会社の中で自分が何をするのかが最後まで決まりません。
職種から絞る手順
最初に決めるのは職種です。同じ会社でも、職種が違えば1日の過ごし方は別物になります。
価値観を職種に変換するときは、誰を相手にどう働くかで見ていきます。次に挙げるのは、候補になりやすい職種の例です。
- 目の前の相手が変わる瞬間に手応えを感じる:営業(法人向け・個人向け)、人事、コンサルタント
- 仕組みを作って多くの人に届けたい:商品企画、マーケティング、ソフトウェア開発
- 正確に積み上げることに集中したい:経理、法務、品質管理
- 未確定の状態から形を作りたい:事業企画、商品開発
同じ職種名でも、会社によって仕事の中身は変わります。募集要項に書かれた業務内容まで読んで、実際に何をするのかを確かめてください。
ここで決めるのは、最初の数年で経験を積みたい仕事です。一生の職業を決める作業ではありません。
新卒の募集では、職種を選んで応募できる会社と、総合職で入って配属を待つ会社があります。志望職種が決まったら、募集要項でどちらの方式かを先に確かめてください。
配属が決まっていない募集では、希望がどこまで反映されるかも聞いておきたいところです。過去の配属先の割合を答えてもらえると、見通しが立ちます。
業界と会社の段階での調整
職種が決まったら、次は同じ職種の中でどこに身を置くかです。
| 絞る軸 | 見るところ |
|---|---|
| 業界 何を扱う仕事か | 顧客が個人か法人か。商材に形があるか。取引の期間が長いか短いか。自分が興味を持って調べ続けられる対象かどうか |
| 会社の段階 どんな環境で働くか | 立ち上げ期は任される範囲が広く型がない。拡大期は型を作りながら人が増える。成熟期は型が整っていて役割が細かい |
扱う対象への関心は、業界を選ぶ大きな基準になります。ただし異動や担当替えで扱う商材が変わることもあるため、募集職種と配属の見込みもあわせて確認してください。
会社の段階を選ぶ基準は、興味ではなく自分の働き方の好みです。手順が決まっていないと動けない人が立ち上げ期に入ると、力を出す前に消耗します。
逆に、決まった手順の中で工夫したい人が立ち上げ期に入ると、毎日が場当たりに見えて手応えを失います。どちらが優れているという話ではありません。
新卒の場合、育つ環境という観点も欠かせません。研修の内容と若手の人数は確認材料の一部で、配属後に誰が教えるのか、1年目に何を任されるのか、困ったときの相談先まで聞いておきたいところです。
同期が何人いるかも見ておきたいところです。1人だけの配属と、10人で入るのとでは、最初の1年の心細さが変わります。
段階は会社単位で決まるとも限りません。成熟した大企業の中で、新規事業の部署だけが立ち上げ期という場合もあります。
紐づけの4ステップ
順番はこの通りです。
- ステップ1 価値観を1文で書く:自己分析で出したものをそのまま持ってくる(1文で言えたら次へ)
- ステップ2 職種を2つまでに絞る:上の分類を使い、なぜその職種かを1行添える(選ばなかった職種の理由も言えたら次へ)
- ステップ3 業界を3つまでに絞る:扱う対象への興味で選ぶ(各業界の主要企業を3社挙げられたら次へ)
- ステップ4 会社の段階を決める:立ち上げ期、拡大期、成熟期のどれで働きたいかを選ぶ(理由を自分の働き方で説明できたら完了)
4つを通すと、応募先の候補が具体的な会社名で出てきます。ここまで来て初めて、企業研究に時間を使う意味が出てきます。
候補の数は、選考の日程と1社あたりの準備時間から決めましょう。数が多いほど、企業研究と志望動機を書き分ける時間も必要になります。
ステップ2で2つまでに絞れない人は、ステップ1の価値観がまだ抽象的です。C0034の4つの問いに戻って、具体的な場面を足してください。
4つの答えは、選考が進むと変わります。変わること自体は問題ありません。変えた理由を説明できる状態にしておきましょう。
3番の業界を3つに絞るとき、隣接する業界をまとめて選ぶ手もあります。人材と業務システムのように、法人向けで無形の商材という共通点があれば、志望動機の骨格を使い回せます。
違う業界を増やすほど、企業研究と志望動機の作り分けも増える形です。時間が限られる時期ほど、近い業界でそろえるほうが深く調べられます。
紐づけの良し悪しが出るところ
同じ価値観からでも、変換の粗さで結果が変わります。
- 紐づけが粗い例:「人の成長に関わりたいので、教育業界を志望します」
- 紐づけができている例:「相手が自分では気づいていない選択肢を示せたときに手応えがあったので、法人向けの提案営業を軸にしています。業界は、扱う商材を長く追える人材と業務システムに絞りました」
前者は業界名しか出ていません。後者では、職種と業界の両方に理由がついています。
面接での通りやすさも別物です。後者なら「なぜ教育ではないのか」と聞かれても、自分の言葉で答えられます。
もう1組、会社の段階でも比べます。
- 紐づけが粗い例:「成長できる環境で働きたいので、ベンチャーを志望します」
- 紐づけができている例:「手順が決まっていない状態でも動けるほうなので、型を作る側に回れる規模の会社を見ています」
前者は、成長の中身が語られていません。後者は、自分の働き方から選んでいることが伝わります。
会社の見せ方と実態のずれ
絞り込みの最後に、確かめる工程を入れます。採用向けの発信と、入った後の実態は一致するとは限りません。
「挑戦を歓迎する」と書かれていても、実際は決裁が細かい会社があります。「チームで働く」と掲げていても、個人の数字で評価される会社もあります。
確かめる方法は3つです。インターンで実際に働く、OB・OG訪問で現場の人に聞く、説明会で若手が任されている仕事を具体的に聞く。
質問の仕方にも工夫が必要です。「風通しは良いですか」と聞くと良い答えしか返りません。「直近で、若手の提案が通った例を教えてください」と聞けば、事実が返ってきます。
答えに詰まられても、それだけで結論を出さないでください。その人の担当外というだけの場合もあります。別の社員や採用担当にも同じ質問をして確かめます。
面談で見てきた中に、同じ業界を志望する2人がいました。一方は調べた内容をそのまま志望動機にし、もう一方は「調べた内容と、実際に聞いた話が違っていた」と話しました。
後者はその食い違いを自分の判断材料に変えています。分かれるのは調べた量ではなく、確かめる工程を持っているかどうかでした。
決めた軸の確かめ方
紐づけができたかどうかは、次の3つで判定できます。
- 志望職種を2つ以内で言え、選ばなかった職種の理由も言えるか
- 同じ業界の会社を2社並べたとき、どちらを優先するかとその理由を言えるか
- 「なぜその業界なのか」と3回続けて聞かれても、同じ軸で答え続けられるか
1つでも詰まったら、対応するステップに戻ってください。1が崩れる人は価値観の掘り直しへ、2が崩れる人は会社の段階の見直しへ戻るのが近道です。
3つ通れば、応募先を増やすときも判断が速くなります。新しい会社を見つけたときに、自分の軸に合うかどうかをその場で判定できるためです。
反対に、絞り込みが甘いまま応募数だけ増やすと、1社あたりの準備に割ける時間が減ります。応募数を増やす場合も、各社の準備時間を確保できるかを先に確かめてください。
軸が固まっていれば、持ち駒が減ったときの立て直しも速くなります。落ちた会社と同じ条件の会社を探せばよいためです。
自己分析とキャリアプランの紐づけ方
自己分析は深く掘るほどいい、と思われがちですが、実際に有効なのは職種から順に条件へ落とせているかどうかです。
「その職種で、あなたは何をしている場面が浮かびますか」と聞かれたら、答えられるでしょうか。浮かばないなら、まだ条件まで落ちていない合図です。
自分の価値観を1文で書き、そこから思いつく職種を3つ挙げてみてください。最も具体的に場面を想像できたものが、いまの第1候補です。
書き出した職種3つを持って、ASSIGNのエージェントに目を通してもらってください。あなたの価値観が力になる場所を、実際の配属の実態と突き合わせられます。
ASSIGN
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