5つのステップで押さえる就職活動の全体像

就活は、何から手をつけるかで迷いやすいものです。作業は5つの工程に分けられますが、一直線には進まず、必要に応じて前の工程へ戻ることになります。
就活の進み方の実際
就活の全体像を調べると、自己分析から内定までを一本の矢印でつないだ図が出てきます。工程の名前を覚えるには便利な図です。ただ、進め方の見取り図として使うと、かえって遠回りになりかねません。
実際の就活は前の工程に何度も戻ります。企業を調べて自分の軸のずれに気づいたり、面接で答えに詰まって経験の棚卸しに戻ったり。この往復が起きるのが普通です。
一本道だと思い込むと、戻ることが遅れの証拠に見えてしまいます。ずれに気づいても軸を直さず、志望動機の言い回しだけを整える方向へ逃げがちです。
もう1つ、図には出てこない前提があります。5つの工程は、かかる時間がそれぞれ違うということです。工程1と2は後の工程の材料を作る場所なので、ここに時間を先に確保しておきましょう。書類と面接は、素材がそろっていれば短く済みます。
図の矢印の長さで時間を配分すると、この差を見落としがちです。順番どおりに一度で終えるのではなく、必要に応じて前の工程へ戻る進み方になります。最初から完璧に仕上げる必要はなく、5つを一度通してから足りない工程へ戻れば十分です。
5つの工程と完了の目安
工程の中身と、次へ移る判断の目安を順に見ていきます。
まず自分を棚卸しします。経験を書き出し、会社を選ぶときに外せない条件を言葉にする作業です。条件を3つ挙げられたら次へ進めます。
次は業界と会社の絞り込みです。条件に合う職種から業界、会社の順に候補を並べていき、なぜその会社が候補なのかを自分の条件で説明できたら足ります。
3つ目が書類です。設問ごとに素材を選んで結論から書き、設問の全要素に答えたか・行動と結果が入っているか・誤字はないかを自分で通せたら、面接の準備へ移れます。
4つ目は面接です。頻出の問いに台本なしで答え、深掘りに耐えられるかを見ます。理由と具体例、その会社との接点まで自分の言葉で説明できれば、この工程は仕上がっています。
最後は、入社先を決めて動く工程です。内定を自分の条件で比べたうえで、入社までの準備に入る段階です。比べる項目を先に決めてあれば、迷いは小さく済みます。
この順番には理由があります。自分の条件が決まらないまま会社を並べると、候補は知名度の順に埋まってしまうためです。
書類の素材がないまま面接へ進むと、その場で作った話では深掘りに答えられません。先の工程で作ったものが、後の工程の材料になります。
自己分析と会社選びの往復
5つのうち、往復が最も多いのは工程1と2の間です。条件を決めてから会社を見るのが筋ですが、その条件は会社を調べて初めて具体的になります。
たとえば「成長できる環境」という条件は、言葉のままでは何百社にも当てはまる言い方です。若手に任せる仕事の範囲、異動の頻度、育成の仕組みまで下ろすと、当てはまる会社は絞られます。
条件を具体的にする材料は、説明会やインターン、OB・OG訪問で集めましょう。
ただし往復は無制限にしないほうが安全で、条件を書き換えるのは新しい事実を知ったときだけにします。不採用の直後は焦って軸まで変えたくなりますが、まず何が足りなかったのかを振り返るほうが早く進みます。
棚卸しと絞り込みで出る差
同じ工程を通っても残るものは人によって変わるので、工程1の棚卸しで比べてみましょう。
手が止まるのは「アルバイトでリーダーを任され、店をまとめた」で終わっている書き方です。次へ進めるのは「新人が3か月で半分辞めていたので、初日の手順書を作って教える順番を固定し、1人で店に立つまでの日数が縮まった」まで書いてある場合です。
差は経験の派手さではありません。困っていた状態、自分が取った行動、変わった結果の3つがそろっているかどうかです。この3点は工程3の書類でも工程4の面接でも、同じ形で使い回せます。
工程2の絞り込みでも、同じ種類の差が出ます。
「金融、商社、メーカーを見ています」と業界名だけを並べている状態では、まだ動けません。「若手に裁量がある」「異動で職種が変わらない」の2条件で業界をまたいで8社に絞ってあれば、次の工程で使えます。
業界名は条件の代わりになりません。条件で絞ると候補は業界をまたぐのが普通で、数も自然に減ります。棚卸しが浅いと、後の工程で経験を整理し直す場面が増えるでしょう。1周目でも、素材の形だけは整えておきましょう。
ESと面接は同じ素材から作る
書類と面接を別の作業だと考えると、準備が二重になります。実際に使うのは同じ素材です。エントリーシートに書いた経験は、そのまま面接で掘り返されます。
素材は設問ごとに作り直さなくて構いません。経験1つを1枚にまとめ、書類でも面接でもその1枚から取り出します。その1枚が使えるかどうかの目安は、同じ経験を30秒でも3分でも話せるかどうかです。
「ESは会社ごとに書き分けるものだ」と考えていると、締め切りが重なったときに手が回らなくなります。経験1枚にまとめてあれば、企業が増えても持ちこたえられるはずです。
1枚がないと企業ごとに一から書き始めることになり、提出直前は文字数を合わせるだけで手一杯になります。経験の棚卸しを共通の1枚にしておけば、会社ごとに作るのは志望動機など固有の設問だけです。
就活で手が止まりやすい2か所
手が止まる場所は、工程2の絞り込みと工程4の深掘りの2か所に集まります。どちらも、前の工程の詰めの甘さが後から表に出た形になっています。
候補を絞らないまま締め切りを迎えると、1社ずつ調べる時間が取れず、どの会社にも同じ志望動機を当てることになりかねません。
外せない条件を3つに絞ってから会社を並べれば、候補が減ったぶん1社ずつの準備に時間を回せます。数を持つこと自体は問題ではなく、順番の問題です。
もう1か所の深掘りでは、用意した答えは言えるのに「なぜそう思ったのか」の2手目で言葉が消えます。
経験を選んだ理由を口頭で説明できないなら、原因は練習量ではなく工程1の棚卸しのほうです。説明はできるのに本番で詰まるなら、模擬面接の回数を増やすほうが早く直ります。
内定後に残る2つの作業
工程5は内定が出た時点ではまだ途中で、比べる作業と入社までの準備が残っている段階です。
比べるときは、給与や配属だけでなく、最初の3年で任される仕事の範囲まで並べて見ます。準備のほうは、入社までの手続きと、学生のうちにしか取れない時間の使い道を決めることです。
複数の内定を比べる基準は、内定が出る前に決めておいてください。出てから考え始めると、条件の見た目や周りの評価に引っ張られます。工程1で書いた条件が、ここで最後の判断材料になります。
進み具合の確かめ方
いま自分がどの工程にいるかは、次の4つを目安にしてください。
- 会社を選ぶときに外せない条件を、3つ言えるか
- 書類に使う経験が、1枚にまとまっているか
- 社名を隠したとき、志望理由が他社に使い回せない状態になっているか
- 頻出の問いに、台本を見ずに30秒から1分で答えられるか
4つとも通っていれば、応募先を増やす段階に入れます。増やすときは、締め切りと設問の形式を会社ごとに確認します。
できていない項目があれば、そこだけ立ち止まって整えれば十分です。全部を同時に進めようとすると、どれも仕上がりません。
確かめるのは月に1回で足ります。毎日見返すと、進んでいない事実ばかりが気になって手が止まりがちです。
記録は1か所にまとめておきましょう。4つの問いへの答えを、日付をつけて同じファイルに書き足していく。1か月前の答えと比べれば、どの工程が動いていないかがはっきりします。動いていない工程が2つ以上あるときは、番号の小さいほうから手をつけます。
就活の進め方の第一歩
就活の全体像でつまずく原因は、工程を知らないことではありません。どこまでできたら次へ進めるのかを持たないまま、目の前の締め切りに追われることです。
今日やることを1つ選ぶなら、工程1の入口です。会社を選ぶときに外せない条件を、3つだけ紙に書き出す。言葉が抽象的でも構いません。書き出した条件は、応募先を選ぶときにも、内定を比べるときにも使います。
条件が3つ出てこないときは、1人で考え続けても進みにくいところです。ASSIGNのキャリア相談で、経験から条件を言葉にする作業を一緒に進める方法もあります。
ASSIGN
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