PR職種研究~業務内容とトレンド~

広報は、お金を払って枠を買う広告と違い、報道してもらえるかどうかを相手が決める仕事です。この記事では、4つの領域の中身と新卒で就く経路、入社後のキャリアを整理します。
広告と広報の違い
まず押さえたいのが、広告との違いです。広告は媒体の枠を買い、載せる内容も時期も自分で決められます。
広報は違います。記者やメディアに情報を届けても、取り上げるかどうかは相手の判断です。掲載を約束できない代わりに、第三者が伝えるぶん信頼されやすくなるのが特徴です。
この構造が、仕事の中身を決めます。原稿を書いて送れば終わりではなく、誰にどの切り口で届けるかを設計し、関係を長く保つ必要があります。
対象も広告より広いのが特徴です。消費者だけでなく、記者、株主、取引先、地域、そして自社の社員まで含みます。
もう1つ、都合の悪い情報も扱う点が広告と決定的に違います。不具合や不祥事が起きたとき、何をいつ発表するかを決めるのも広報の役目です。
つまり広報は、良い話を広める仕事であると同時に、会社の信頼を守る仕事でもあります。
4つの領域の比較
| 領域/主な相手 | 仕事の中身と評価のされ方 |
|---|---|
| サービス広報 記者・消費者 | 商品やサービスを記事にしてもらう。掲載件数や反響が数字で見えるため、成果が分かりやすい |
| 企業広報 記者・社会 | 会社の方針や姿勢を伝える。信頼の蓄積が仕事で、短期の数字にはなりにくい |
| 社内広報 自社の社員 | 方針を社内に浸透させる。社内報や社内イベントを通じて、働く人の理解をそろえる |
| IR(投資家向け広報) 株主・投資家・証券アナリスト | 業績や戦略を説明する。決算の数字を正確に扱う力が要り、財務の知識が前提になる |
(会社によって呼び方と分け方は異なります。人数の少ない会社では1人が全部を担う場合もあります)
領域によって、必要な力はまったく違います。サービス広報は企画とメディアへの提案力、IRは会計と数字の理解が要となります。
学生がイメージしやすいのはサービス広報です。ただし配属の数でいえば、社内広報や企業広報のほうが多い会社もあります。
IRは、財務や経営企画の部署が兼ねる会社も少なくありません。志望するなら、その会社でどの部署が担当しているかを確かめてください。
発信の場が増えた
この10年で、広報の仕事は広がりました。かつては新聞・テレビ・雑誌への働きかけが中心でしたが、いまは自社の発信媒体も持つのが当たり前になっています。
情報が届く場所そのものも移りました。電通の「2025年 日本の広告費」によれば、総広告費8兆623億円のうちインターネット広告費が4兆459億円と、構成比50.2%で初めて過半数を占めています。
会社の公式アカウント、自社サイトの記事、動画。記者を通さずに直接伝えられる手段が増えたぶん、広報が扱う守備範囲も広がりました。
採用の場面でも広報は使われます。働く人の姿を発信して応募を集める取り組みは、この数年で多くの会社に広がりました。
一方で、情報が速く広がる分だけ、誤りが出たときの影響も大きくなりました。発信前の確認を丁寧に踏む姿勢が、以前より強く求められています。
広告費の内訳を見ると、その変化がよく分かります。同じ電通の調査では、テレビ・新聞・雑誌・ラジオの4媒体の広告費が2兆1,691億円で、インターネット広告費の半分ほどにとどまりました。
ただし報道の影響力が落ちたわけではありません。新聞やテレビで取り上げられた事実は、いまも会社の信頼を裏づける材料として使われています。
新卒で広報に就く経路
志望するうえで最初に押さえたいのが、新卒からいきなり広報に配属される例は多くないことです。自社の商品や事業を語れないと、記者への提案ができないためです。
だから経路は3つに整理できます。
- 総合職で入り、営業や店舗などの現場を数年経験してから異動する(最も多い)
- 広報の専門部署を持つPR会社や広告会社に入り、複数の企業を担当しながら経験を積む
- 人数の少ない会社に入り、他の業務と兼務する形で広報を担う
大手の事業会社でも、広報を少人数で回している会社は珍しくありません。異動の枠が限られるぶん、社内での競争があると考えておいてください。
一方、PR会社なら新卒から広報の実務に就けます。複数の業界を担当できる代わりに、自社ではなく顧客企業の看板で動く点は好みが分かれるところです。
PR会社を選ぶなら、広告会社との違いも見ておきましょう。広告会社が枠の設計と表現を担うのに対し、PR会社は報道につながる企画と関係づくりを引き受けます。
キャリアパスと働き方
社内のキャリアは、広報を専門として深める道と、経営企画やマーケティングへ広げる道の2つです。会社の方針を外に説明した経験は、経営に近い部署でも評価されます。
処遇は、他の管理部門と同じ水準に置かれる会社が一般的です。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、役職別の賃金は係長級39万9,200円、課長級52万9,200円、部長級63万5,800円でした。役職に就かない層は31万500円です。
会社の規模でも差が出ます。同じ調査の企業規模別では、大企業41万4,100円に対し中企業34万4,400円、小企業31万5,000円でした。全体の平均は34万600円です。
入り口の水準は職種で大きく変わりません。同調査の大学卒初任給は26万2,300円で、前年から5.6%増えています。大学院卒は29万9,000円でした。広報を含む管理部門も、ここから始まると考えてください。
なお、この調査に広報職だけを取り出した区分はありません。ここまでの金額は全職種を含む数字です。
働き方には、突発の対応が付いて回ります。記者からの問い合わせや、想定外の報道への対応は時間を選びません。
決算の発表や新商品の発表など、日付が決まっている仕事も多い職種です。その前後は忙しさが集中します。
社外への出口は広いほうです。事業会社とPR会社の間を行き来する道があり、業界を変えても経験を持ち出しやすい職種になります。
一方で、成果を数字で示しにくい面もあります。掲載件数だけでは会社への貢献を語りきれないため、何を目的に何を発信したかを説明できるようにしておいてください。
向いている人と選考の視点
強い志望動機は、「掲載を保証できないからこそ、伝える中身で選ばれる仕事に関わりたい」という形です。
広告との構造の違いを押さえたうえで、そこから自分の関わり方まで導いています。だから「それなら記者や広告会社でもいいですよね」と返されても、そこから話が続きました。
一方、「情報を発信するのが好き」で止まる志望理由は多いところです。その言葉は広告にもメディアにも当てはまるため、同じ問いで詰まってしまいます。
領域ごとの適性は次の通りです。
| 領域 | 向いている人 |
|---|---|
| サービス広報 | 相手が興味を持つ切り口を考えられる人。断られても次を出せる人 |
| 企業広報 | 会社の姿勢を自分の言葉で語れる人。長い関係を保てる人 |
| 社内広報 | 社内の温度を感じ取れる人。地道な運営を続けられる人 |
| IR | 数字を正確に扱える人。財務を学び続けられる人 |
英語を使う場面は、会社の事業の広がりしだいです。海外の投資家や海外メディアを相手にする部署では、日常的に必要になる会社もあります。
もう1つ、社外の人と長く付き合う職種でもあるのです。記者との関係は数年かけて育つため、担当が代わると築き直しになります。
学生時代の経験なら、何かを人に伝えて動かした場面が語れると強い材料になります。サークルの集客でも、研究の発表でも構いません。
どの領域でも、対外的に会社を代表して話す仕事です。1つの言い間違いが会社の信頼に響くと分かったうえで、慎重に進められる人が信頼されます。
PR職種研究の始め方
面接で差がつくのは、発信の華やかさではなく、広告との違いを踏まえた仕事の理解のほうです。
気になる1社の公式サイトを開き、プレスリリースを3本読む。何を、誰に向けて、どんな切り口で出しているかをメモする。今日はここまでで足ります。
それだけで、広報の仕事の輪郭が見えてくるはずです。
読んだプレスリリースの感想を持って、ASSIGNのエージェントに話してみることもできます。
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