教育業界研究~進むオンライン化と変わる教育分野~

教育業界は、子どもの数が減り続ける一方で市場規模がほぼ横ばいを保っています。この記事では、その裏で何が入れ替わっているのかと、職種ごとの仕事の中身、入社後のキャリアを整理します。
市場規模と事業内容の変化
最初に押さえたいのが、需要の土台です。厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)によれば、2025年の出生数は67万1,236人で、前年の68万6,173人から1万4,937人減りました。
子ども向けの市場はこの減少をそのまま受けますが、業界全体は縮んでいません。矢野経済研究所の調査では、教育産業の主要15分野を合わせた市場規模は2025年度に2兆8,720億6,000万円と、前年度比0.6%増の予測です。
支えているのは、1人あたりの単価と学ぶ人の幅です。塾や通信教育に加え、社会人の学び直しや企業向けの研修が市場に加わりました。
子どもの数が減っても市場が持ちこたえているのは、家庭向けだけに頼っていないからです。社会人と企業からの需要が、減った分を埋めている面があります。
そのぶん、選ばれる基準は厳しくなりました。安さではなく成果を示せるかどうかで、契約が続くかが決まる市場になっています。
デジタル化も進みました。国内のeラーニング市場は2025年度に3,923億5,000万円へ伸びる見込みで、企業向けの需要が伸びを引っ張っています。
学校現場の変化も外せません。児童生徒に1人1台の端末を配るGIGAスクール構想は第2期に入り、配った端末の入れ替えが進んでいます。
調査会社エム・エム総研の2025年の調査では、自治体の更新の72%が2025年度に行われる見通しでした。更新には国の補助が付き、端末1台あたりの上限は5万5,000円です。
教材会社にとっては、端末の上で動くソフトを売り込む機会がここで生まれます。ただし更新の時期は自治体ごとに違うため、商談の山も地域で分かれます。
教える中身も変わりました。プログラミングが必修になり、英語の扱いも早い学年へ広がったため、教材や指導のやり方を作り直す必要が出ています。
大人向けの市場も立ち上がりました。人工知能やデータ分析を学び直す社会人向けの講座が増え、企業が費用を負担する形の研修も広がっています。
つまり教育業界は、子どもの数の減少と、デジタル化・学び直しという2つの追い風が同時に吹いている状態です。会社ごとに、どちらに軸足を置くかは分かれています。
主要プレイヤーの比較
| 企業・区分/立ち位置 | 直近の状況 |
|---|---|
| ベネッセホールディングス 通信教育と学校向けの最大手 | 2024年に株式の非公開化を実施。近年の売上高は4,230億円規模で、進研ゼミと学校向け事業が柱 |
| 学研ホールディングス 出版から介護・塾へ広げた複合型 | 2025年9月期の売上高は1,900億円を超え、次期は2,000億円超を見込む。教育と医療福祉の2本柱 |
| 学習塾・予備校/EdTech各社 対面とデジタルの両極 | 校舎を持つ塾は講師の確保が課題。デジタル専業は開発費が先行し、利用者数の拡大が生命線 |
(各社の公表資料および報道による数値で、決算期は会社ごとに異なります)
規模の大きい会社ほど、収益源が教育以外にも広がっています。学研が介護を持つように、少子化の影響を1本の事業で受け止めない作りです。
一方、塾や予備校は地域と学齢に密着した事業です。校舎の数と講師の質が業績を左右し、事業の設計が本部と現場で大きく違います。
デジタル専業の会社は、開発費を先に投じてから利用者を集める構造です。会社の規模より、どの層に何を売っているかで働き方は変わります。
対象年齢の幅も見ておいてください。幼児教育、小中高、大学・専門学校、社会人と、扱う層で商談の相手も売り方も入れ替わります。
近年は通信制高校の生徒数が伸び、そこに教材や運営の仕組みを提供する会社も出てきました。学校の形そのものが変わりつつある領域です。
主な職種の業務内容
新卒で入る先は、大きく次の職種に分かれます。
| 職種 | 仕事の中身 |
|---|---|
| 法人営業 | 学校や自治体に教材・端末向けサービス・模試などを提案する。担当エリアの計画づくりまで受け持つ |
| 個人向けの運営・指導 | 塾や教室の運営、保護者対応、生徒の学習計画づくり |
| 商品・コンテンツ企画 | 教材やアプリの中身を設計する。データ分析や開発部門と組んで進める |
| マーケティング | 広告の運用、会員を増やす施策、利用者調査 |
法人営業で相手にするのは、教員や教育委員会です。予算が決まる時期に合わせて動くため、年間の商談の流れが読みやすい面があります。
自治体が相手の場合は、入札という形をとることもあります。担当者との関係だけでは決まらず、提案書の作り込みが結果を左右する場面です。
マーケティングは、消費者向けの事業で特に厚く人を置いています。会員をどう増やし、どうやめずに続けてもらうかを数字で追う仕事です。
企画職は、教育の効果と事業の採算を同時に見る仕事です。良い教材を作るだけでなく、続けてもらえる仕組みまで設計する必要があります。
現場の声を集める工程も企画の一部です。教室や学校に足を運び、実際の使われ方を見てから直す会社が多くを占めます。
デジタルに力を入れる会社では、エンジニアやデータ分析の採用枠もあります。学習の記録を読み解き、つまずく場所を見つけて教材へ戻す役割です。
教室運営の仕事は、指導だけで終わりません。入会の相談、保護者への説明、講師のシフト管理まで含まれ、小さな店舗の経営に近い面があります。
新卒の配属先として人数が多いのは営業と教室運営です。まず現場で学校や保護者の実態を掴んでから、企画や本部の職種へ移る流れが一般的になっています。
キャリアパスと働き方
社内のキャリアは、専門性を深める形が主流です。他業界のような数年ごとの異動は少なく、自分で方向を決めていく必要があります。
働く時間には、事業ごとの癖があります。塾や教室の運営は夕方から夜が中心で、休みも平日に取る形が一般的です。
学校向けの事業は、年度の切り替えと入試の時期に忙しさが偏ります。落ち着く時期と重なる時期の差が大きい業界だと考えてください。
社外への出口も見ておきましょう。法人営業の経験からIT企業の営業へ、マーケティングの経験から他の消費者向けサービスへ移る例が多く見られます。
企画職は、教育以外のサービスで商品設計に関わる道が開けます。利用者の行動を見て中身を直し続けた経験は、業界を越えて説明しやすい資産です。
教員免許は、ほとんどの職種で応募の条件になりません。教える仕事そのものより、教える仕組みを届ける仕事だと捉えるほうが実態に近いはずです。
処遇は会社と事業で差が出ます。初任給・休日の取り方・配属の決まり方は、教材の会社と教室を運営する会社でまったく違うので、募集要項を並べて比べてください。
向いている人と選考の視点
同じ教材会社を受けても、志望動機は2つに分かれます。「教育が好き」で止まる形と、「学校向けのデジタル教材は、端末の更新が終わった後にどう使われるかが勝負になる」まで届く形です。
前者は「それなら学校の先生でもいいですよね」と返されて言葉が止まります。後者はそのまま自治体の予算と現場の使われ方の話へ広がりました。
差がつくのは教育への思い入れの強さではなく、教育を事業として見られているかどうかです。
思い入れが要らないという話ではありません。ただ、誰がお金を払い、その対価として何を届けているのかを説明できないと、面接では会社を選んだ理由まで届きません。
職種ごとに、向き不向きは分かれます。
| 職種 | 向いている人 |
|---|---|
| 法人営業 | 教員や自治体の事情を理解し、長い関係を続けられる人 |
| 教室運営 | 目の前の生徒と保護者に向き合い、日々の改善を積める人 |
| 商品企画 | 教育の効果と採算の両方を、数字で見られる人 |
| マーケティング | 広告や会員数の数字を読み、施策を回し続けられる人 |
保護者と向き合う場面が多いのも、この業界の特徴です。学習の成果は本人だけで決まらないため、家庭の事情まで含めて相談に乗る力が欠かせません。
どの職種でも、成果が出るまでには時間が要るものです。1年単位で結果を待てるかどうかが、続けられるかの分かれ目になります。
教育業界研究の始め方
その会社が誰からお金をもらっているかを一言で言えるようになれば、理念への共感だけの志望動機からは抜け出せます。
「この会社は、誰からお金をもらっているのですか」と問われたら、どう答えるでしょうか。詰まるなら、まだ事業として見られていない合図です。
気になる1社の決算資料か会社案内を開き、売上が学校・保護者・企業のどこから来ているかを見てみてください。3行のメモで、答えの形が見えてきます。
学校向けと消費者向けのどちらが合うかは、外から見ているだけでは判断が難しいところです。そのまま止まらずに、ASSIGNのエージェントに一度話してみると早く進みます。
ASSIGN
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