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メガバンク業界研究~非金利収益の拡大~

メガバンクは融資で稼ぐ一方、手数料で得る収益を成長の柱に育ててきました。この記事では、3グループが非金利収益をどこで作っているかの違いと、入社後のキャリアの実像を整理します。

非金利収益の中身

貸し出しの利ざやで得る収益を資金利益と呼び、銀行の基本業務としていまも収益の中心にあります。

これに対して非金利収益は、融資以外から得る収益をまとめた呼び方です。送金や決済の手数料、投資信託や保険の販売、M&Aの助言、不動産や相続の相談などが含まれます。

決算資料で近い数字を探すなら、役務取引等利益が目安になります。ただし各社で開示の区分が違うため、非金利収益そのものとして厳密に一致するわけではありません。

この領域が重視される理由は2つあります。長く続いた低金利で貸し出しだけでは収益を確保しにくかったこと、そして手数料は金利環境に左右されにくいことです。

金利が上下しても、企業の海外進出や個人の資産形成の相談はなくなりません。顧客との接点が積み上がるほど、収益も安定します。

では、3グループはどこで手数料を稼いでいるのでしょうか。

どこで手数料を稼ぐかの違い

まず全体の状況です。直近の通期決算では3グループとも過去最高の利益を出しました。金利のある世界が戻り、本業の利ざやが改善したことが大きく寄与しています。

それでも各社は非金利収益の拡大を緩めていません。金利は再び下がりうるのに対し、手数料で得た顧客との関係は残るためです。

手数料への傾き方には差が出ています。連結粗利益に占める役務取引等利益の割合は、三井住友が約38%、みずほが約31%でした(2026年3月期の各社決算短信より算出)。

三菱UFJは米国会計基準でも決算を開示しており、同じ定義での比較はできません。数字を並べるときは、どの基準のどの指標かを確かめる必要があります。

各社の打ち手は3つの方向に整理できます。

方向中身
資産運用へ広げる三菱UFJは資産運用サービスのウェルスナビを2025年3月に完全子会社化し、証券子会社との統合による新会社の設立を発表しました
決済で顧客をつなぎとめる三井住友のOliveは2026年3月末に750万件へ達し、収益への貢献も年々拡大しています
海外と投資銀行で稼ぐ三菱UFJはインドの大手ノンバンクへ20%出資し、三井住友は米ジェフリーズへの出資比率を引き上げて日本株事業の合弁会社を設立、みずほは米グリーンヒルを約760億円で買収して助言業務を強化しました

みずほは楽天証券への出資に加え、楽天銀行とも資本業務提携を結びました。銀行だけで顧客と向き合う時代ではなくなった、という認識が各社に共通しています。

この動きは、働く人の仕事の中身も変えました。かつて銀行員の目標は口座や預金の獲得でしたが、いまは融資の採算と、融資以外で顧客の課題をどれだけ解いたかが問われる時代です。

つまり同じメガバンクでも、次の収益源をどこに置くかは分かれています。志望動機では、この違いを踏まえられるかどうかが差になります。

主要プレイヤーの比較

金融グループ/連結純利益非金利の主戦場
三菱UFJ
2兆4,272億円
海外とウェルスマネジメント。資産運用を内製化
三井住友
1兆5,829億円
決済のOliveと投資銀行。役務利益の比率が最も高い
みずほ
1兆2,486億円
銀行・信託・証券の一体運営と外部連携

(2026年3月期の各社決算短信。持株会社の連結純利益で、3グループとも過去最高の水準。実際に入行するのは傘下の銀行であり、この数値は銀行単体のものではありません)

3グループの規模の差は、そのまま海外事業の厚みの差でもあります。三菱UFJは東南アジアに商業銀行を持ち、収益の海外比率が最も高い構造です。

一方で、規模が大きいほど良い職場とは限りません。海外比率が高ければ若手のうちから海外案件に触れる機会も増えますが、その分だけ異動の範囲も広がります。

みずほのように、外部との提携で足りない機能を補う戦い方もあります。自前で抱えるか組んで広げるかという選択も、入社後に関わる仕事の性格を変える要素です。

3行の違いをつかんだら、次に見るのは入社後の仕事です。

非金利部門の仕事内容

銀行の職種そのものは営業・市場・本部に大きく分かれますが、ここでは非金利収益に直接関わる3つの現場を見ます。

融資以外の法人営業の提案

同じ法人営業でも、扱う中身が広がりました。運転資金の融資だけでなく、事業承継、M&Aの相手探し、海外進出の支援まで持ち込みます。

中小企業が相手なら、後継者がいない経営者に買い手候補を紹介する場面もあります。融資では解けない課題に答えることが、そのまま手数料になる構図です。

ウェルスマネジメント

個人の資産運用と相続を担う領域で、各社が最も人を厚くしている現場です。証券会社や信託銀行と組み、運用商品から不動産、遺言まで扱います。

三菱UFJがコース名にこの領域を掲げ、三井住友が新卒から専門人材を採用しているのは、ここが競争の中心だからです。

決済・デジタル

Oliveのような口座・カード・証券をまとめた仕組みを設計し、使ってもらうことで手数料を積み上げます。銀行の窓口ではなく、アプリの中で顧客と接する仕事です。

企画側だけでなく、加盟店を開拓する営業や、データを分析して使われ方を改善する役割もこの領域に含まれます。

新卒の入口はコース別採用が主流になりました。三菱UFJ銀行はオープンやウェルスマネジメントなど9コース、三井住友銀行はオープンに加えて11のコースを設けています。

みずほフィナンシャルグループの場合は、銀行・信託・証券の4社が合同で採用する形です。オープンコースのほか、グローバルや専門領域のコースが並びます。

コース名は各社の戦略をそのまま映します。ウェルスマネジメントや不動産ソリューションといった名前が並ぶこと自体が、非金利収益をどこで取りにいくかの答えです。

キャリアパスと働き方

処遇の水準は高く、初任給の引き上げも続いています。三井住友銀行は2026年4月入行から、大卒・院卒とも月30万円に統一しました(採用サイト)。

有価証券報告書の平均年収は、三菱UFJ銀行が914万3,000円でした(2026年3月期)。前年の856万円から上がっています。

ただしこれは銀行単体の全社員平均であり、新卒の初年度とは別物として読んでください。

働き方も変わりました。コース別採用が広がり、入社時に専門領域を選べる会社が増えています。三井住友銀行は初期配属をコースで確約したうえで、その後のキャリアは流動的だと明記しました。

社外への出口も広く、コンサルティングファーム、事業会社の財務や経営企画、投資ファンドが挙がります。融資の審査で企業の数字を読み込んだ経験は、業界を越えて評価されやすい資産です。

一方で、若いうちは異動が多く、専門性が定まりにくい面もあるようです。数年ごとに担当が変わる環境を、幅が広がると捉えられるかどうかが分かれ目になります。

コース別採用は、この不確実さを小さくする方向に働く仕組みです。ただし入口を絞るほど、後から関心が変わったときの融通は利きにくくなります。

どちらが良いという話ではありません。専門を早く決めたいのか、まだ選択肢を残したいのかを、自分の性格に照らして選ぶ場面です。

向いている人と選考の視点

同じ銀行を受けても、志望動機は2つに分かれます。「幅広い企業を支えたい」で止まる形と、「融資だけでなく、決済や資産運用まで含めて企業と個人に関わりたい」まで届く形です。

前者は「それなら他の金融機関でもいいですよね」と返されて言葉が止まります。同じ問いを受けても、後者はそのまま手数料収益の話へ移りました。

この違いが示しているのは、差が金融への熱意ではないということです。銀行がいま何で稼ごうとしているかを、自分の言葉で追えているかどうか。分かれるのはそこです。

現場ごとの向き不向きを並べます。

現場向いている人
法人営業経営者と対等に話せる人。数字から事業の状態を読める人
ウェルスマネジメント長い時間軸で顧客の人生に伴走できる人
決済・デジタル使われ方をデータで読み、仕組みを改善し続けられる人

どの現場でも、扱うのは他人のお金です。短期の成果より、信頼を積み重ねられる人が長く活躍しています。

メガバンク研究の始め方

金融を志望する理由より、その銀行が融資以外のどこで稼ごうとしているかのほうが、面接では深く聞かれます。

まずは今日、気になる1行の決算説明資料を開き、役務取引等利益の推移を確かめてみてください。3行のメモで、面接で話せる材料が1つ増えます。

3グループのどこが自分に合うか迷ったら、ASSIGNのエージェントに相談するのも1つの手です。

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