メガバンク業界研究～非金利収益の拡大～

この記事では、メガバンク業界について解説するとともに、主要なプレイヤー、業務内容、適性、そしてキャリアパスについて詳しく説明します。

業界トレンド

メガバンクを含む銀行業界が現在直面している最大の課題の一つは、長期化する低金利時代です。1990年代には貸出金の金利の指標の一つである短期プライムレートが5％を超えていましたが、現在は1.475％という低水準が続いています。これにより、銀行業界全体が非金利収益の拡大に力を入れるようになっています。

非金利収益とは、融資以外の業務から得られる収益のことで、例えばコンサルティングフィー、不動産売買、資産運用、M&A、遺言信託などが該当します。かつては銀行員の目標として口座開設や定期預金の獲得が重視されていましたが、現在では融資の金利や非金利収益の額が重要視されるようになっています。

この流れに伴い、メガバンクではリテール事業の縮小が進んでおり、支店数の減少、住宅ローンの削減、中小企業の取引集約・オンライン対応化などが進行しています。

業界全体としては衰退が指摘されることもありますが、メガバンク3行ともに経常利益では依然として日本トップクラスに位置しています。また、金利ビジネス以外に注力することで、顧客に提供できるソリューションの幅が広がり、入社後に得られる知見も豊富になっています。

主要プレイヤーと特徴

主な職種の業務内容

営業

中小企業の法人営業

売上1億円～100億円程度の企業を対象に融資やコンサルティング案件の獲得を目指す営業活動を行います。企業オーナーの個人資産に関する提案も行うため、親密な関係を築きながら営業を進めていくことができます。

大企業の営業

プライム市場に上場している業界大手企業を対象に、複数の子会社を持つ企業に対してチームで営業活動を行います。高度なファイナンス案件に関与し、専門性を磨くことができます。

個人営業

銀行の幅広い顧客基盤を活かし、資産運用の提案を行います。投資信託や生命保険の提案から、証券会社や信託銀行を紹介するなど、個人のニーズに応じた幅広い提案が可能です。

本社企画

エリアごとの業績管理を行う営業企画や、金融庁との調整を踏まえた業務フローを作成する事務企画部門など、多岐にわたる本社機能を担当します。

海外拠点

日本国内企業の海外進出をサポートします。海外拠点での為替取引サポートや、国内との連携を図った海外法人向けのファイナンス提案に携わります。

ファイナンスなどの専門部署

不動産ファイナンスや船舶など大型ファイナンスのカスタマイズ案件を担当します。融資スキームの策定から関わり、定型的ではない提案を行います。

グループ会社への出向

証券会社、信託銀行、シンクタンクなどへの出向機会が多く、銀行から紹介された案件を担当し、グループ会社の機能を活かした提案をサポートします。

職種別適性

営業

中小企業の法人営業

多くの顧客と信頼関係を築きながら営業活動を行うため、顧客との長期的な関係構築を重視する方に向いています。好奇心旺盛で多様な業界に興味がある方にも適しています。

大企業の営業

チームで協力して目標を達成する能力が求められます。周囲を巻き込みながら業務を進めることができる方に向いています。

個人営業

幅広い提案を行いながら、自身の知見を広げたい方に適しています。証券会社や信託銀行との連携も多く、人を巻き込んでいくことが得意な方に向いています。

本社企画

数字の管理や資料作成が得意な方に向いています。また、現場部署や他の本部との連携を踏まえて方針を策定するため、コミュニケーション能力も重要です。

海外拠点

海外でのコミュニケーションを円滑に行える語学力が必要です。TOEICスコア730点以上が求められることも多く、現地での新規営業を行うため、高い営業力も必要です。

ファイナンスなどの専門部署

専門性を高めたい方に適しています。キャリアパスに大きな影響を与えるため、その領域への強い興味が必須です。

グループ会社への出向

専門性を磨くことが求められます。銀行営業を続ける中で、特定の領域に関わることが多くなるため、その分野に興味を持てることが重要です。

キャリアパス

メガバンクに入社すると、多くの社員が最初に中小企業の担当を経験します。どのような案件で目標を達成できるかが、その後の配属やキャリアに大きく影響します。

大企業向け営業に配属されるには、高い実績や専門的な知識が求められ、TOEICスコアも重要視されることがあります。営業部署で高い成果を上げた人は、本社企画に異動する可能性があります。

メガバンクでの海外駐在には、1年間程度のトレーニー制度と本配属としての駐在があります。高い実績とTOEICスコアが必要で、上長に希望を伝え続けることも重要です。

ファイナンスや専門部署には、トレーニー制度での配属と現業務での実績に応じた配属があります。グループ会社への出向は、2回目以降の転勤で経験する可能性があり、高い適性が認められた場合には、そこでのキャリアを築くこともあります。

まとめ

ファーストキャリアとして銀行を選ぶ方は多いですが、入社後の経験をどのように積むかが重要です。将来のキャリアを見据えて、自分の現在地や転職市場の動向を把握し、より良いキャリア形成を目指してください。