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【PwCコンサルティング パートナー 市川氏インタビュー】SIer出身者に求められるコンサルとしての要諦(後編)

(左)PwCコンサルティング合同会社 データアナリティクス パートナー 市川 秀樹様 
(右)株式会社アサイン 取締役 奥井 亮

PwCコンサルティングで求められるスコープ

奥井:
市川さんから見た時にSIerからITコンサルに来られる方の特徴をお伺いしてもよろしいでしょうか。

市川:
SIer出身者は多く、全体の3分の1ほどいると思いますが、皆さん最初は苦労されますね。なぜかというとSIer出身者はスコープを意識して業務を行うのに慣れており、クライアントから100の機能に対して101を求められた時に困惑してしまうんですね。
コンサルティングファームはクライアントの課題解決が使命であり、101をやらなければいけないときがあります。難題でも常にクライアントに向き合い寄り添うことで、理解が深まり関係性を築くことができます。
おそらくスコープ外だからといって妥協してしまうと、結果的にクライアントの課題解決にはならず、次回以降声もかからなくなるのだろうと思います。

活躍する人の特徴

奥井:
コンサルタント未経験の方たちで活躍する方に共通する特徴はございますか。

市川:
成長意欲が高く、新しいチャレンジをしている方はコンサルティングファームで活躍できると思います。現在進行形でチャレンジしているかが重要ですね。

アナリティクスを例に挙げると、今の時代勉強するのにお金はかからないんです。教材はフリーで手に入り、インターネットで学ぶことができ、英語を少し使えばさまざまな文献やソースコードにたどり着くことができます。そのような環境があるからこそ、何もしていないというのはダメだと思っています。人より成功するためには人一倍努力しなくてはいけません。

奥井:
SIer出身者の方を市川さんが採用される際に、システムの要件定義から開発まで一気通貫して関わっていてほしい、というようなハード面での要望はございますか。

市川:
最初はプログラマーやテスターからスタートし、詳細な設計を描くようになり、要件定義を経験し、上流工程に関わっていらっしゃる方が望ましいです。加えてプログラミングが好きであることは重要です。コーディングができるかは前提条件だと考えています。
その理由としてはコンピュータシステムで何をどこまでできるのかという勘所がわかるからです。

チームとしてのサポート体制

奥井:
PwCや市川さんのチームとして未経験の方のフォロー体制としてはどんな特徴があられるのでしょうか。

市川:
勉強の仕方を教えることはもちろん、サンプルコードを書くこともします。細かい技術面に関しても丁寧にレビューしますね。PwCコンサルティングには非常に技術力が高い人が多いと感じています。私もクライアントとの打ち合わせで、提案書の内容を実際にその場で作ってお見せすることもあります。

またメンバーがミスをしてしまった場合、私がリカバリーにも入ることもあります。クライアントにご満足いただけるためにチーム一丸100%の力を出し切れるように動いています。実際、あるデータ調査のプロジェクトで、データ項目が欠落していることがわかり、リカバリーが必要になることがあったのですが、私を含めチーム全員で対応にあたり、お客様への報告の前になんとかリカバリーをしたこともあります。

未経験者が躓くポイント

奥井:
未経験の方がコンサルティングファームに入った場合、マインドセット・考え方含めて、どのような点で躓いてしまうのでしょうか。

市川:
まずは視点の高さです。お客様の目線ではなく自分のスコープの目線になってしまうと、トラブルになることが多いです。必要なことはお客様の視点に立つことで、プロジェクトにおいて何に悩んでいて、何を達成したいのかはもちろん、社内でどのような評価を気にされているのかなど、そこまで考えなくてはいけません。そうすると自分のスコープではなくお客様のことで頭がいっぱいになっていきます。なかなかすぐにはそこまでのマインドに到達はできないため、1年は苦労される方が多いですね。

またドキュメンテーションも躓くポイントです。やはり一流のコンサルタントはラフスケッチから物語を書くような気持ちで仕上げて、きれいな資料を作り上げていくため、未経験の方からすると、ストーリーの作り方、グラフィカルな見せ方、その両方で苦労される方が多いです。そのスキルを身に付けるためにはひたすらマネージャーからのレビューを受けることが重要ですし、ご自身の創意工夫が必要です。私はショートカットをどう工夫すれば0.1秒短縮できるかまで伝えます。そういう小さな積み重ねで限られた時間内の仕事のクオリティが変わってきます。

採用の角度を上げるマインドセット

奥井:
ここまでのお話も踏まえて、改めて、市川さんが新しい方を採用されるときに重要視されるポイントをお伺いしてもよろしいでしょうか。

市川:
ビジネスマインドは大事だと思っています。ビジネスマインドというのは、ニーズを捉える力や、投資対効果を捉える力、目指す方向性が定まっている方のことで、事業会社やご自身で事業をされてきた経験、ご実家で商売をされていた経験がある方は良いと思います。

コンサルタントは1人でなんでもできなくてはいけないと考えていまして、大きい会社で細分化された特定の領域の仕事をされている方よりも、小さい会社でなんでもされてきた方の方がコンサルティングファームでは活躍すると思います。

今後の展望

奥井:
最後に、PwCや市川さんのチームとして今後どのような方向性を目指していらっしゃるのかお伺いできれば幸いです。

市川:
業務課題に対して、瞬時に目の前で解決に向けてシステム化し、そのシステムを短いスパンで成長させる、BXT(Business eXperience Technologyというフレームワークを体現していきたいと考えています。半年かけて構想を描き1年かけてシステム化し、実際にアプリケーションが世の中に出るときには当初の担当者がいなくなってしまっている、という従来の進め方ではなく、3カ月後には最初のシステムをお見せできるようにしたいです。

そのためのポイントは「Quick and dirty」だと考えています。先ほどのお話と逆行しますが、お客様の目の前で、手書きでもいいので構想を伝え、翌週にはアプリケーションとしてお客様に触っていただく、そのくらいのスピード感が必要だと思いますし、PwCの全社員、少なくとも私のチームのメンバーはそのスピード感を求めていきたいです。

数年前に中国にいたときにまさに実感したのですが、彼らはビジネスアイデアの着想から実行までのスピード感がとても早いです。また早く仕掛けるからこそ事業が上手くいかないと分かったときの撤退のスピード感も早いです。日本だとどうしてもスピード感が遅く、なかなか撤退にも時間がかかってしまうというのが課題だと思っています。ビジネスマインドを有する方々を積極的に採用すること、海外に負けないスピードで日本企業の課題を解決し、今の日本を変えていくことを私は目指しています。

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