組織進化とバックオフィスの役割

企業フェーズが進むにあたって、バックオフィス側に求められる役割や体制も大きく異なってきます。

一方で、現職以外の事業フェーズを体験する事は簡単ではありません。今回は、組織進化とバックオフィスの役割というテーマで解説をしていきます。

組織フェーズによって役割は異なる

売上の5%強は企画事務職に割り振られるべきと言われるように、事業規模に応じて体制や役割は異なってきます。今回は大きく3つに分けてバックオフィスの役割をイメージしていただければと思います。

創業フェーズ

創業間もない頃は、バックオフィスは細分化されておらず、幅広い範囲に対応していくことが求められます。特に、会社の規模にかかわらず必要とされる経理の仕事を中心にしながら、会社の登記関連や、従業員との雇用契約の締結、取引先との契約の締結等、マルチタスクで動かしていきます。

このフェーズでの経験は、事業を成立させるための全体観を把握することにつながり、専門性を磨くわけではありませんが、貴重な知見となります。

成長フェーズ

売上高が3億円を超えたタイミングで、バックオフィスが少しずつ細分化されていきます。

経理や人事のポジションが設けられ始めることも多く、比較的経験が少なくても、その会社のビジョンや文化との親和性が高ければ採用される場合が多い傾向にあります。

成長フェーズの序盤では、自身の役割をまず果たすところからスタートしますが、そこで一定の活躍を見せることによって、仕組み作りを行う役割にキャリアアップすることができます。

経理や人事などの役割での 即戦力としてみなされる人材は、この成長フェーズで仕組み作りやマネジメントといったポジションを任せられていることが多いです。

加えて、大手企業で限定された役割を担うよりも、自身で切り開いていく力があるとみなされる傾向にあります。

一方で、既存の仕組みの中で役割をしっかりと果たしたり、まずは見本となる仕組みや仕事を学びたいという方には、オススメできないフェーズです。

上場フェーズ

上場準備に入ったタイミング、または上場済みの企業がこのフェーズにあたります。

上場企業としてのルールに基づいてバックオフィスが運営されている必要があり、整備された業務プロセスの中で仕事をする力が鍛えられます。

その分、自身の関わる範囲や、裁量は制限されることも多いですが、上場企業への転職を考えるのであれば、上場企業経験は重視されることが多く、非上場企業での経験とは異なるものとして捉えられます。

もちろん、上場企業の中でも裁量の大きいポジションは存在しており、成長フェーズの企業で事業企画や財務責任者を担当した後に、上場企業における中核ポジションに移っていくというキャリアも今後は主流になっていくと思われます。

整った仕組みの中で仕事をしたり、仕組み自体を理解したりするには非常に良いフェーズである一方、若手として関われる仕事の範囲は限定されるというデメリットもあります。

転職市場におけるバックオフィスの市場価値とは

企業成長を支えるカギは、バックオフィスが担っており、直接的な売り上げ貢献等はないけれども、会社が安定的に成長するためには重要な役割と見なされています。

各フェーズによって求められる人材の違いは上述の通りですが、その方のスキルセットに応じて高待遇での提示がされることも少なくありません。

基本的には、即戦力性のある経験がどこまであるか、それを保証する資格の保有があるかという二軸で判断されることが多く、ご自身の活躍したい環境を定めた上で、経験やスキルを積んでいく必要があります。

また、上場前の企業では企業との文化マッチを重視する傾向にあり、同じ方向を目指して協力できる人材かどうかを大切にしています。

このように、バックオフィスの役割というのは、組織の規模や状況に応じて大きく異なってきます。

一括りにバックオフィスとして捉えるのではなく、ご自身のやりたい方向や適性を踏まえた上でのキャリア形成を考えていただければ嬉しい限りです。