SNSマーケティングとは－主な手法5つと今後の市場について－

SNSマーケティングとは、TwitterやInstagram、LINEといったSNSを活用したマーケティング手法のことです。近年、SNSの利用者数や使用時間が急拡大していることを背景に、SNSマーケティングも生活と切り離せないものになりつつあります。

本記事では、SNSマーケティングの概要を把握するとともに、今後の市場について予測していきたいと思います。

従来のマーケティングとの違い

従来の一般的な購買行動は「認知→興味関心→比較検証→購入」というプロセスでした。

構造としてはファネル型になっており、上から認知を行い、フェーズが進むにつれて下に落ちていくような流れです。

しかし、SNSマーケティングにおける購買行動プロセスはそれとは大きく異なっています。

SNS上の自社投稿や広告配信に対して「いいね！」がつくと、その数に応じてメディアやGoogle等のサーチ内で上位に検索され、より多くの人のタイムラインに登場します。それを見た人が商品を購入し、SNS上でシェアすることでさらに認知が広がっていきます。

つまり、SNSマーケティングは「フライホイール」と呼ばれる、文字通り円形の構造をしていて、したがって一度このサイクルに入れば自社投稿がなくても勝手にサイクルが回り続け、拡散され、売上向上に繋がっていきます。

そのため、SNSマーケティングで最も重要なことは、ファンによる企業に対する自然発生的な投稿や口コミといったシェアを増やせるような「好感の持てる認知」を最大化させることになります。

SNSマーケティングが重要視されてる理由

日本におけるSNSのアクティブユーザーは年々増加しており、株式会社 ＩＣＴ総研の「2022年度 SNS利用動向に関する調査」では、2022年末時点でのSNS利用者は8.270万人に達する見込みです。この数値は今後も増加していくと見られています。

また、年代別で見ても全ての層でSNSユーザーは増加していて、幅広い人々の生活に根付きつつあるものであると言えます。 最近では、若年層を中心として検索エンジンではなくSNSで情報を探すという人も多く、マーケティングする上ではこれ以上ない、うってつけの場となっているのです。

SNSマーケティングの具体的な手法5選

SNSマーケティングの具体的な手法は主に以下の5つです。

①SNSアカウント運用
②SNS広告
③インフルエンサーマーケティング
④ソーシャルリスニング
⑤SNSキャンペーン

ここでは、それぞれの手法の特徴や強みについて解説していきます。

SNSアカウント運用

最も一般的であり、取り組みやすい施策は、企業公式のSNSアカウントを運用することです。

企業公式アカウントのSNS投稿にユーザーが反応すれば、その影響がより広範囲のSNSユーザーに広がり、購買行動に繋がります。 広告とは異なり、初めから売上に直結するわけではありませんが、公式SNSを見たユーザーの多くはその企業への興味や親近感を抱き、企業のファンとして購買行動を起こすことへと繋がるります。そのため、SNSアカウント運用では中長期的に顧客との関係性を構築することができるといえるでしょう。

SNS広告

SNS広告とは、SNS上に動画や画像の広告を表示させる施策です。

各SNSにはユーザーのこれまでの行動データが蓄積されているため、他のデジタル広告よりターゲティングの精度が高く、特定の顧客層に刺さりやすいことが利点です。

またSNS広告は、テレビCMのように広告主側のタイミングでユーザーに情報を伝えるプッシュ型広告ではなく、ユーザーが自ら検索やタップすることで現れるプル型広告です。そのためユーザーの不快度が低いという特徴があり、これらの特徴からSNS広告の需要が高まっているというわけです。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングとは、ある特定のコミュニティやターゲット層において影響力の強いインフルエンサーを起用するマーケティング施策です。彼らが発信する商品やサービスについての情報は、企業の広告よりも親近感を抱かせ、インフルエンサーをフォローする多くの人の購買行動に強い影響を与えます。

ただし、その商品紹介がPRであることを明かさないまま中立な第三者を装って紹介する、いわゆる「ステマ（ステルスマーケティング）」であることが明らかになった場合、信用を失いイメージダウンに繋がるため、運用には注意が必要といえるでしょう。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングとは、主にSNSでユーザーのリアルな声を収集し、分析を行い、マーケティングに活用する施策のことを指します。

消費者が日常の中で発信している生の声を、製品・サービスの開発、宣伝広告、顧客対応までの企業活動のすべてのプロセスに活かすことができる為、従来の消費者アンケートと比べ、より率直で自由な意見や批評を集めやすく、自社ブランドのさらなる改善に活用することができます。

SNSキャンペーン

SNSキャンペーンとは、期間を限定して応募者にプレゼントや特典を付与することにより、ブランドや商品の認知拡大、販売促進を目指すものです。

その中で、近年特に増加しているのが、ユーザー参加型のキャンペーンです。指定したテーマに沿った投稿をしたり、企業の投稿に対してリツイート等のユーザーアクションを起こしてもらうことを応募条件としたりすることで、ブランドの認知拡大やフォロワー獲得に繋げています。

今後のSNSマーケティング市場の見通し

SNSマーケティングの市場は凄まじい速度で拡大を続けています。

コロナ禍以降、日本の総広告費は下落したものの、インターネット広告媒体費のみでいえば右肩上がりで伸び続けており、そのインターネット広告の中でもおよそ3分の1、約35.4％を占めるのがSNSマーケティングです。

株式会社電通による調査レポート「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」と、株式会社サイバー・バズによる「国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」によると、2021年の市場規模は7,640億円と前年比134.4％で成長しており、2025年には11,171億円を突破すると予想されています。

現在、SNSマーケティングはインターネット広告の一手段であり、WEBマーケティングとSNSマーケターは兼務となっている場合が多くなっています。

しかし、今後も市場が拡大し続ければ、SNSマーケターという職種が一般化する日も遠くないといえるでしょう。